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【不動産取得税の教科書】税率と軽減措置を新築・中古別に完全解説

2024-12-04
目次

マイホームの購入や新築、贈与などで不動産を手に入れたとき、忘れたころにやってくるのが「不動産取得税」の納税通知書です。これは、不動産を取得したことに対して一度だけ課税される都道府県税のこと。「いったい、いくら払うの?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、ご安心ください。この税金にはさまざまな軽減措置があり、要件を満たせば納税額を大きく抑えることができます。この記事では、不動産取得税の基本的な仕組みから、具体的な計算方法、そして新築・中古住宅ごとの軽減措置まで、わかりやすく解説していきます。

不動産取得税とは?基本的な仕組みを知ろう

まずは、不動産取得税がどのような税金なのか、基本から押さえていきましょう。これは、土地や家屋といった不動産の所有権を取得した際に、その取得者に対して課される地方税(都道府県税)です。毎年支払う固定資産税とは違い、支払いは取得時の1回限りです。

課税対象となる「不動産の取得」とは?

不動産取得税の対象となる「取得」とは、お金を払って購入する「売買」だけではありません。家を新しく建てる「新築」や、増改築、親族からの「贈与」なども含まれます。有償か無償か、登記をしたかどうかに関わらず、不動産の所有権が移転した事実があれば課税の対象となります。ただし、相続による取得の場合は非課税です。親から家や土地を相続した場合には、不動産取得税はかからないと覚えておきましょう。

誰がいつまでに納めるの?

納税義務者は、不動産を取得したご本人です。不動産を取得してから数ヶ月後(自治体によっては半年から1年後)に、その不動産の所在地を管轄する都道府県税事務所から納税通知書が送られてきますので、その通知書に記載された期限までに納付します。原則として、不動産を取得した日から一定期間内(例えば東京都は30日以内、多くの県では60日以内)に申告が必要ですが、法務局で所有権移転登記を行えば、申告は不要となる場合がほとんどです。

固定資産税との違い

不動産取得税とよく似た名前の税金に「固定資産税」がありますね。この2つの大きな違いは、課税されるタイミングです。

不動産取得税 不動産を取得した時に一度だけかかる税金
固定資産税 不動産を所有している間、毎年かかる税金

このように、不動産取得税は「取得」という行為そのものに、固定資産税は「所有」していることに対して課税される、という違いがあります。

不動産取得税の計算方法【課税標準額と税率】

不動産取得税の税額は、シンプルな式で計算されます。まずはこの基本の計算式を覚えましょう。

税額 = 課税標準額 × 税率

「課税標準額」という言葉が少し難しく聞こえるかもしれませんが、これから一つひとつ丁寧に解説していきますね。

税金の基準となる「課税標準額」とは?

税額を計算するもとになる「課税標準額」は、実際に不動産を購入した金額(売買価格)や建築工事費ではありません。ここがとても大切なポイントです。

使われるのは、「固定資産税評価額」という公的な価格です。これは、市町村が管理している固定資産課税台帳に登録されている価格のことで、一般的には売買価格の7割程度の金額になることが多いと言われています。新築でまだ価格が登録されていない家屋の場合は、都道府県が固定資産評価基準に基づいて価格を決定します。

宅地の場合は課税標準額が半分に!

土地の中でも「宅地」として評価されている土地については、嬉しい特例があります。令和9年3月31日までに宅地を取得した場合、課税標準額は、その土地の固定資産税評価額の2分の1の金額で計算されます。これにより、土地にかかる不動産取得税の負担が大きく軽減されるんですよ。

不動産取得税の税率

不動産取得税の本来の税率は4%ですが、現在、特例措置が設けられています。令和9年3月31日までの取得については、下の表の通り軽減された税率が適用されます。

 

取得対象 税率
土地・住宅 3%
住宅以外の家屋(店舗・事務所など) 4%

【新築住宅】不動産取得税の軽減措置

マイホームを新築した場合、一定の要件を満たすことで税金の負担を軽くできる軽減措置が用意されています。せっかくの制度ですから、しっかり活用したいですよね。ここでは、建物と土地、それぞれに適用される軽減措置について見ていきましょう。

建物の軽減措置の要件と控除額

新築した住宅の建物部分については、評価額から一定額を差し引いてもらえる控除があります。

【主な要件】
・住宅の課税床面積が50㎡以上240㎡以下であること。

この要件を満たすと、建物の固定資産税評価額から1,200万円が控除されます。

計算式は次のようになります。
(固定資産税評価額 - 1,200万円) × 3% = 税額

もし、評価額が1,200万円に満たない場合は、税額は0円になります。また、「長期優良住宅」の認定を受けた住宅の場合は、控除額が1,300万円に増額されます。

土地の軽減措置の要件と計算方法

建物の軽減措置が適用される場合、その敷地である土地についても税額が軽減されます。

【主な要件】
・土地を取得してから3年以内に、その土地の上に軽減措置の対象となる住宅を新築すること。

要件を満たすと、税額から次のうちどちらか高い方の金額が減額されます。

1. 45,000円
2. (土地1㎡あたりの固定資産税評価額 × 1/2) × (住宅の床面積 × 2 ※上限200㎡) × 3%

多くの場合、2番の計算式で算出した金額の方が高くなり、土地の不動産取得税が0円になるケースも少なくありません。

【中古住宅】不動産取得税の軽減措置

中古住宅を購入してマイホームにする場合にも、新築住宅と同様に軽減措置が用意されています。ただし、建物の要件や控除額の考え方が少し異なりますので、注意が必要です。

建物の軽減措置の要件と控除額

中古住宅の建物に軽減措置を適用するには、床面積の要件に加えて、建物の築年数や耐震性が問われます。

【主な要件】

  • 取得した方がご自身で居住するための住宅であること。
  • 住宅の課税床面積が50㎡以上240㎡以下であること。
  • 1982年(昭和57年)1月1日以降に新築されたものであること。または、新耐震基準を満たしていることが証明されたものであること。

これらの要件を満たす場合、建物の固定資産税評価額から、その住宅が新築された日に応じて定められた額が控除されます。控除額は自治体によって定められていますが、一例として東京都のケースを見てみましょう。

新築された日 控除額
1997年(平成9年)4月1日以降 1,200万円
1989年(平成元年)4月1日~1997年3月31日 1,000万円
1985年(昭和60年)7月1日~1989年3月31日 450万円
1981年(昭和56年)7月1日~1985年6月30日 420万円

計算式は次のようになります。
(固定資産税評価額 - 上の表の控除額) × 3% = 税額

土地の軽減措置

中古住宅の敷地である土地についても、建物の軽減要件を満たし、土地の取得前後1年以内にその建物を取得するなどの要件を満たせば、軽減措置を受けられます。減額される金額の計算方法は、新築住宅の土地の軽減措置と同じです。

不動産取得税の申告と納税手続き

不動産取得税、特に軽減措置を受けるためには、手続きが必要です。納税通知書が届いてから慌てないように、流れを把握しておきましょう。

申告は必要?不要?

不動産を取得したら、原則として管轄の都道府県税事務所へ申告が必要です。しかし、不動産登記を行えば、法務局から都道府県へ通知がいくため、多くの場合、申告をしなくても都道府県側で取得を把握してくれます。
ただし、軽減措置を受けるためには、別途申請手続きが必要になることがあります。納税通知書が届いたら、軽減が適用されているかを確認し、もし適用されていなければ、すぐに税事務所に問い合わせましょう。

納税はいつ、どうやって?

不動産を取得してからおよそ半年~1年後に、都道府県税事務所から納税通知書が郵送で届きます。納付書を使って、金融機関の窓口やコンビニエンスストアで支払うのが一般的です。最近では、クレジットカード払いやスマートフォン決済アプリに対応している自治体も増えていますので、お住まいの都道府県のホームページで確認してみてください。

軽減措置の申請を忘れたら?

「納税通知書が届いて全額払ってしまったけど、後から軽減措置の対象だと気づいた…」という場合でも、諦めないでください。納税後であっても、5年以内であれば還付請求という手続きを行うことで、払い過ぎた税金を取り戻せる可能性があります。必要書類を揃えて、管轄の都道府県税事務所に相談してみましょう。

まとめ

今回は、不動産を取得したときにかかる不動産取得税について解説しました。最後に大切なポイントを振り返っておきましょう。

  • 不動産取得税は、不動産を手に入れたときに一度だけかかる都道府県税です。
  • 税額の計算は、実際の購入価格ではなく「固定資産税評価額」が基準になります。
  • 新築・中古を問わず、マイホームには床面積や耐震基準などの要件を満たすことで適用される手厚い軽減措置があります。
  • 軽減措置を適用すると、税額がゼロになることも少なくありません。
  • 軽減措置の適用には申請が必要な場合があります。手続きを忘れないようにしましょう。

不動産取得税は、仕組みと軽減措置をしっかり理解しておけば、決して怖い税金ではありません。もしわからないことがあれば、一人で悩まずに、不動産の所在地を管轄する都道府県税事務所に問い合わせてみてくださいね。

参考文献

東京都主税局 不動産取得税

総務省 地方税制度|不動産取得税

不動産取得税(固定資産取得税)のよくある質問まとめ

Q. 固定資産取得税とは何ですか?

A. 不動産(土地や家屋)を取得した際に一度だけ課される都道府県税のことです。一般的には「不動産取得税」と呼ばれます。毎年かかる固定資産税とは別の税金です。

Q. 不動産取得税の税額はどうやって計算しますか?

A. 「課税標準額 × 税率」で計算します。課税標準額は、原則として固定資産税評価額が用いられますが、宅地などでは評価額が軽減される特例があります。

Q. 不動産取得税の税率は何パーセントですか?

A. 土地と住宅は3%、店舗や事務所などの住宅以外の家屋は4%が原則です。ただし、これらは特例税率であり、適用期限がありますのでご注意ください。

Q. 税金が安くなる軽減措置はありますか?

A. はい、あります。一定の要件を満たす新築住宅や中古住宅を取得した場合、課税標準額から一定額が控除され、税負担が大幅に軽減されることがあります。

Q. 新築住宅の軽減措置について具体的に教えてください。

A. 床面積が50㎡以上240㎡以下の新築住宅は、課税標準額から1,200万円が控除されます。認定長期優良住宅の場合は控除額が1,300万円に増額されます。

Q. 中古住宅でも不動産取得税の軽減措置は受けられますか?

A. はい、受けられます。床面積などの要件に加え、取得した個人が住むこと、そして築年数要件(例:木造は築20年以内)を満たすか、新耐震基準に適合していることが証明されれば、築年数に応じた控除が適用されます。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
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電話番号
対応責任者
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