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【相続税】前払い損害保険、解約返戻金の有無で申告は変わる?

2025-12-15
目次

ご家族が亡くなられた後、故人が契約していた火災保険や自動車保険などの「損害保険」について、「これも相続税の申告に必要なの?」と疑問に思ったことはありませんか?特に保険料をまとめて前払いしていたり、解約するとお金が戻ってくるタイプ(解約返戻金があるもの)だと、どう扱えば良いか迷ってしまいますよね。実は、損害保険の前払いや解約返戻金の有無は、相続税申告の要否を判断する上でとても重要なポイントになります。この記事では、損害保険と相続税の関係について、解約返戻金の有無に着目しながら、誰にでも分かりやすく解説していきます。

損害保険も相続財産になる?基本を理解しよう

まず大切なのは、損害保険も条件によっては立派な「相続財産」になるということです。相続税は、現金や預貯金、不動産だけでなく、「金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのもの」が課税対象となります。そのため、故人が契約していた損害保険に「財産としての価値」があれば、相続税の申告対象に含まれるんですよ。

相続税の対象になる損害保険とは?

相続税の対象となるかどうかのカギを握るのは、「相続が始まったとき(故人が亡くなったとき)に、その保険を解約したらいくらお金が戻ってくるか」という点です。具体的には、以下のようなものが該当します。

  • 積立型の損害保険:満期になると満期返戻金が受け取れたり、途中で解約しても「解約返戻金」が支払われたりするタイプの保険です。例えば、積立型の火災保険などがこれにあたります。
  • 前払いした保険料がある保険:たとえ掛け捨て型の保険であっても、保険料を1年分や数年分まとめて前払い(年払いや長期一括払い)している場合、未経過期間分の保険料が戻ってくることがあります。この戻ってくるお金も相続財産とみなされます。

相続税の対象にならない損害保険

一方で、相続税の対象にならないのは、一般的に「掛け捨て型」と呼ばれる損害保険です。解約してもお金が一切戻ってこないタイプで、保険料も毎月支払っているようなケースでは、財産としての価値がないと判断されるため、相続税の申告は必要ありません。ただし、次のポイントには注意が必要です。

「掛け捨て」でも油断は禁物!前払い保険料の存在

「うちは掛け捨ての保険だから大丈夫」と思っていても、注意したいのが保険料の支払い方法です。もし故人が保険料を年払いや契約期間分を一括で支払っていた場合、掛け捨て型であっても相続財産として申告が必要になる可能性があります。これは、亡くなった時点でまだ経過していない期間分の保険料(未経過保険料)が返還されることがあるためです。この返還される未経過保険料が、相続財産と見なされるわけですね。

解約返戻金の有無で相続税申告はこう変わる

それでは、解約返戻金や前払い保険料の有無によって、相続税の申告が具体的にどう変わるのかを整理してみましょう。結論から言うと、相続開始時点でお金が戻ってくる可能性のある保険契約は、すべて相続財産として評価し、申告を検討する必要があります。

ケース 相続税申告での取り扱い
解約返戻金がある場合(積立型など) 相続財産として申告が必要です。
解約返戻金はないが、保険料を前払いしている場合 未経過保険料分を相続財産として申告が必要です。
解約返戻金も前払い保険料もない場合 財産価値がないため、申告は不要です。

解約返戻金がある場合の評価

積立型の火災保険など、解約返戻金がある保険を相続した場合、その財産価値は「故人が亡くなった日(相続開始日)に解約したとしたら、いくら解約返戻金が支払われたか」という金額で評価します。実際に解約するかどうかは関係なく、あくまでその時点での価値を計算して相続財産に計上します。

前払い保険料がある場合の評価

掛け捨て型であっても保険料を前払いしていた場合は、「故人が亡くなった日(相続開始日)時点で、まだ経過していない期間に対応する保険料の額」が財産価値となります。こちらも保険会社に問い合わせて、正確な金額を確認する必要があります。

損害保険の相続税評価額を確認する方法

損害保険を相続財産として申告する場合、その評価額を正確に把握することが不可欠です。評価額は自分で計算するのではなく、保険会社に確認するのが最も確実で正しい方法です。

保険会社に「評価額証明書」を依頼しよう

評価額を調べるには、まず故人が契約していた保険の保険証券などを用意し、記載されている保険会社や代理店に連絡します。そして、「契約者が亡くなったので、相続税申告のために『相続開始日時点の解約返戻金相当額(または未経過保険料)がわかる証明書』を発行してほしい」と依頼しましょう。この証明書に記載されている金額が、そのまま相続税申告で使う評価額となります。

手続きに必要なもの

保険会社に連絡する際は、スムーズに手続きを進めるために、以下の情報を手元に準備しておくと良いでしょう。

  • 保険証券(証券番号がわかるもの)
  • 亡くなった方の氏名、生年月日、死亡日
  • 連絡している相続人の氏名と、故人との続柄

証明書の発行依頼の際には、担当者から追加で必要な書類(戸籍謄本など)について案内がありますので、その指示に従ってください。

損害保険の相続手続きはどう進める?

故人が契約していた損害保険は、相続財産として評価するだけでなく、契約そのものをどうするかを決める手続きも必要です。手続きは大きく分けて「名義変更」か「解約」の2択になります。

まずは保険契約の内容を確認

手続きを進める前に、まずは保険証券を探し出し、契約内容をしっかり確認しましょう。誰が契約者で、どんな内容の保険なのか、保険期間はいつまでか、といった基本情報を把握することが第一歩です。

「名義変更」して契約を引き継ぐ

その家に住み続ける相続人がいる場合など、火災保険の補償を引き続き受けたい場合は、契約者を故人から相続人へ変更する「名義変更(契約承継)」の手続きを行います。この手続きをすれば、保険契約はそのまま継続されます。

「解約」して契約を終了させる

自動車を売却した場合の自動車保険のように、保険の必要がなくなった場合は「解約」の手続きを行います。解約すれば、解約返戻金や未経過保険料があれば、指定した相続人の口座に振り込まれます。ここで注意したいのは、名義変更をしても解約をしても、相続税の評価額は変わらないということです。相続税の評価は、あくまで「亡くなった日」の価値で計算されることを覚えておきましょう。

損害保険と相続税に関する注意点

最後に、損害保険の相続に関して見落としがちな注意点をいくつかご紹介します。申告漏れなどのトラブルを避けるためにも、ぜひ知っておいてくださいね。

生命保険の非課税枠は使えません

相続税には、生命保険の死亡保険金に対して「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠が設けられています。しかし、この非課税枠は損害保険の解約返戻金などには適用されません。全額が課税対象の財産としてカウントされるので、混同しないように注意が必要です。

そもそも相続税申告が必要かどうかの確認

損害保険の評価額が分かったら、他のすべての相続財産と合計して、遺産総額がいくらになるか計算してみましょう。相続税には基礎控除額があり、遺産総額がこの範囲内であれば申告も納税も必要ありません。

【相続税の基礎控除額】
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

例えば、法定相続人が配偶者と子2人の合計3人なら、基礎控除額は3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円となります。損害保険を含めた遺産総額が4,800万円以下なら、相続税の心配はいりません。

税務調査で指摘されやすいポイントです

損害保険の解約返戻金や未経過保険料は、金額がそれほど大きくないこともあり、つい申告から漏れてしまいがちな財産です。しかし、税務署は保険会社への照会などを通じて保険契約の情報を把握できるため、申告漏れは税務調査で指摘されやすいポイントの一つです。特に長期一括払いの火災保険などは見落としやすいので、故人が自宅を所有していた場合は必ず確認するようにしましょう。

まとめ

今回は、損害保険の前払いや解約返戻金と相続税申告の関係について解説しました。最後に大切なポイントを振り返っておきましょう。

  • 損害保険も「解約返戻金」や「前払いによる未経過保険料」があれば相続財産になります。
  • たとえ「掛け捨て型」の保険でも、保険料を前払いしていれば申告が必要な場合があります。
  • 評価額は「故人が亡くなった日」時点の金額で計算し、保険会社への確認が必須です。
  • 生命保険金のような非課税枠は使えないため、評価額の全額が課税対象となります。
  • 申告漏れは税務調査で指摘されやすいため、契約内容はしっかり確認しましょう。

損害保険の相続は少し複雑に感じるかもしれませんが、一つひとつ確認していけば大丈夫です。もし手続きに不安があったり、他にもたくさんの財産があって判断に迷ったりするようであれば、税理士などの専門家に相談することも検討してみてくださいね。

参考文献

損害保険の前払いと相続税申告のよくある質問まとめ

Q.故人が支払った損害保険の前払い保険料は、相続税の対象になりますか?

A.未経過保険料ある場合は、その金額が相続財産となり相続税の対象になります。

Q.解約返戻金のない「掛け捨て型」の損害保険でも、相続税申告は必要ですか?

A.掛け捨て型の損害保険は財産的価値がないため、通常は相続税申告の対象外です。ただし、保険契約者の地位を相続人が引き継ぐ手続きは必要になる場合があります。

Q.前払いした火災保険料に解約返戻金がある場合、相続税申告でどう評価すればよいですか?

A.亡くなった日(相続開始日)に解約した場合に受け取れる「解約返戻金相当額」で評価します。保険会社に問い合わせて、証明書などを発行してもらうのが一般的です。

Q.自動車保険の保険料を前払いしていましたが、これも相続財産になりますか?

A.自動車保険も他の損害保険と同様に、解約返戻金があれば相続財産とみなされます。解約返戻金の有無と金額を保険会社に確認し、申告の要否を判断します。

Q.相続した家にかけられていた火災保険。保険料は前払い済みですが、手続きはどうなりますか?

A.まず保険契約者の名義変更手続きが必要です。解約返戻金があれば相続財産として計上します。保険を継続する場合は、相続人が契約を引き継ぐことになります。

Q.損害保険の前払い保険料を相続税申告から漏らしてしまった場合、どうなりますか?

A.解約返戻金があるにもかかわらず申告漏れが発覚した場合、税務調査で指摘され、過少申告加算税や延滞税といった追徴課税が発生する可能性があります。速やかに修正申告を行いましょう。

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