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【相続税】42条1項5号道路の評価額は?接道路線価を使う論拠を解説

2025-09-28
目次

ご家族が亡くなり相続が発生したとき、財産の中に「42条1項5号道路」、いわゆる位置指定道路が含まれていると、どのように評価すればよいか戸惑ってしまいますよね。特に、その道路自体には路線価が設定されておらず、路線価のある道路に接しているケースでは、評価の根拠がわからず不安になる方も多いのではないでしょうか。この記事では、そんな42条1項5号道路の評価方法について、特に接している道路の路線価を基に評価する際の論拠となる条文や考え方を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

そもそも42条1項5号道路(位置指定道路)とは?

まずは、評価の対象となる42条1項5号道路がどのようなものか、基本から確認しておきましょう。この道路の性質を理解することが、正しい評価への第一歩になります。

建築基準法で定められた「道路」の一種です

建築基準法第42条第1項第5号に定められている道路は、一般的に「位置指定道路」と呼ばれます。これは、宅地を造成する際に、特定の行政庁(市役所など)から「ここが道路ですよ」と位置の指定を受けて造られた、幅員4メートル以上の私道のことを指します。見た目は普通の私道ですが、法律上は建物を建てるために必要な道路として認められている、ちゃんとした「道路」なのです。分譲地の中にある袋小路の道路などが、これに該当することが多いですね。

相続税の評価が必要な理由

位置指定道路は「私道」ですので、個人の財産です。そのため、所有者が亡くなれば、他の土地や預貯金と同じように相続財産となり、相続税の課税対象となります。ただし、誰もが通れるように提供されている性質上、所有者が自由に利用したり売却したりすることが難しいという制約があります。この利用上の制約を考慮して、相続税評価額は大幅に減額されることになっています。

私道評価の3つの基本パターン

私道の相続税評価は、その利用状況によって大きく3つのパターンに分かれます。42条1項5号道路がどのパターンに当てはまるのか見てみましょう。

私道の利用状況 評価方法
不特定多数の者が利用するもの(通り抜けできる私道など) 評価しない(評価額0円)
専ら特定の者が利用するもの(行き止まりの私道など) 自用地評価額の30%で評価
所有者だけが利用するもの(自宅へ続く専用通路など) 宅地の一部として100%で評価

42条1項5号道路は、その道路に面した家の人たちなど、限られた人たちが利用する「専ら特定の者が利用するもの」に該当するのが一般的です。そのため、原則として自用地として評価した価額の30%で評価することになります。

路線価を基にした評価方法とその論拠

それでは、本題である「接している道路の路線価を基に自用地評価額を算定する」方法とその論拠について詳しく見ていきましょう。どの通達を根拠にしているのかがポイントです。

評価減の直接的な論拠は「財産評価基本通達24」

まず、私道の評価額を30%に減額できる直接的な根拠は、財産評価基本通達24「私道の用に供されている宅地の評価」です。ここには、以下のように定められています。

「私道の用に供されている宅地の価額は、11から21-2までの定めにより計算した価額の100分の30に相当する価額によって評価する。」

この「11から21-2までの定め」というのが、路線価方式や倍率方式で評価することを指しています。つまり、「まず路線価などを使って自用地としての価額を計算し、その価額を30%にしなさい」というのが、この通達の趣旨です。

接道する道路の路線価を使う考え方の根拠

問題は、42条1項5号道路自体には路線価が設定されていないことが多い、という点です。この場合、どうやって「自用地としての価額」を計算すればよいのでしょうか。

これについて「この条文を使いなさい」と明確に示した単独の条文があるわけではありません。しかし、財産評価基本通達の趣旨や関連する通達、質疑応答事例を組み合わせることで、接道する道路の路線価を使って評価することが合理的であると解釈されています。

具体的には、財産評価基本通達15「奥行価格補正」などの各種画地補正の考え方を準用します。つまり、その私道を「路線価が設定されている道路に面した一つの土地」と仮定して、その道路の路線価を基に、奥行きなどに応じて評価額を計算するのです。これは、路線価が設定されていない土地の評価方法として、最も合理的で実務上も広く採用されている方法です。

言わば、「評価のしようがないから、一番近くの客観的な指標である接道する道路の路線価を使って、評価のルール(奥行価格補正など)に当てはめて計算しましょう」という考え方に基づいています。

具体的な評価額の計算例

言葉だけだと難しいので、具体的な数字を使って計算の流れを見てみましょう。

【設例】

  • 接道する道路の路線価:200,000円/㎡
  • 42条1項5号道路の地積:100㎡
  • 形状:間口5m、奥行20m
  • 地区区分:普通住宅地区

ステップ1:自用地としての価額を計算する
まず、この私道を通常の宅地とみなして評価額を計算します。奥行が20mなので、国税庁の「奥行価格補正率表」で補正率を確認すると「1.00」です。

計算式:路線価 × 奥行価格補正率 × 地積
200,000円 × 1.00 × 100㎡ = 20,000,000円

ステップ2:30%を乗じて最終的な評価額を算出する
ステップ1で計算した自用地価額に、私道評価の30%を乗じます。

計算式:自用地としての価額 × 30%
20,000,000円 × 30% = 6,000,000円

この場合、42条1項5号道路の相続税評価額は6,000,000円となります。

特定路線価を設定した場合との比較が重要な論拠に

実は、接道する道路の路線価を使える、より強力な根拠があります。それは「特定路線価」を設定した場合の取り扱いです。

特定路線価とは?

特定路線価とは、路線価が設定されていない道路にだけ接している宅地を評価するために、納税者の申出により、税務署長が設定する特別な路線価のことです。この特定路線価を使って、その宅地や私道を評価することができます。

有利な方を選べるというルール

ここで重要なのが、国税庁の質疑応答事例「側方路線影響加算等の計算――特定路線価を設定した場合」です。この中では、私道自体の評価について、以下の2つの方法で計算した価額のいずれか低い方の金額で評価してよいとされています。

評価方法① 私道が接する道路の路線価を基に、奥行価格補正などを行って計算した価額 × 30%
評価方法② 設定した特定路線価 × 私道の地積 × 30%

このルールは、「特定路線価を設定したからといって、必ずそれを使わなければならないわけではない」ということを示しています。そして何より、「私道が接する道路の路線価を基に評価する方法」が、選択肢の一つとして国税庁に公式に認められていることの、非常に強い論拠となるのです。

評価する際の注意点も忘れずに

最後に、42条1項5号道路を評価する際の注意点をいくつかご紹介します。

共有の私道の場合

私道が複数の所有者による共有になっている場合は、まず私道全体を一つの土地として評価額を計算し、その評価額に被相続人の共有持分割合を乗じて評価額を算出します。例えば、評価額が600万円で持分が1/5であれば、相続財産となる価額は120万円です。

固定資産税が非課税でも相続税は課税対象

私道は、固定資産税が「公衆用道路」として非課税になっていることがあります。しかし、固定資産税が非課税だからといって、相続税も非課税になるわけではありません。行き止まりの私道などは、固定資産税が0円でも、相続税は30%評価で課税されるので注意が必要です。

まとめ

42条1項5号道路が路線価のある道路に接している場合の評価について、ご理解いただけましたでしょうか。ポイントをまとめます。

  • 42条1項5号道路は、原則として自用地価額の30%で評価します。
  • その自用地価額は、接している道路の路線価を基に、奥行価格補正などを行って算定するのが一般的です。
  • その直接的な論拠は単一の条文ではなく、財産評価基本通達24や15などの趣旨を総合的に解釈した結果です。
  • 特定路線価を設定した場合に、接道する道路の路線価を基にした評価額と有利な方を選択できるという国税庁の質疑応答事例が、その方法の正当性を裏付ける強力な根拠となります。

土地の評価は非常に専門的で、少しの間違いが納税額に大きく影響することもあります。特に私道のような特殊な土地の評価に不安がある場合は、無理せず相続税に詳しい税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

参考文献

42条1項5号道路と路線価に関する評価方法のよくある質問まとめ

Q. 42条1項5号道路(位置指定道路)とは何ですか?

A. 建築基準法第42条1項5号に定められた道路で、土地を建築物の敷地として利用するために、特定行政庁からその位置の指定を受けた私道のことです。

Q. 位置指定道路と路線価のある公道の両方に接する土地は、どのように評価しますか?

A. 路線価のある公道を正面路線価とし、位置指定道路からの影響を「側方路線影響加算」または「二方路線影響加算」として評価額に加算します。

Q. 路線価のない位置指定道路の影響を加算する根拠条文は何ですか?

A. 財産評価基本通達20「側方路線影響加算等の評価」が論拠となります。この通達に基づき、路線価のない道路に接することによる利用価値の高さを評価額に反映させます。

Q. 側方路線となる位置指定道路の「路線価」はどのように考えればよいですか?

A. 路線価は設定されていませんが、財産評価基本通達24-6「特定路線価」の考え方を準用します。接続する公道の路線価を基に、その道路状況に応じた仮の路線価を算定して計算に用います。

Q. なぜ路線価のない道路の影響をわざわざ評価額に加算するのですか?

A. 複数の道路に接する土地は、採光や通風、通行の利便性が高く、利用価値が単独で接する土地より高いと判断されるためです。その経済的価値を相続税評価額に正しく反映させるために加算評価を行います。

Q. 位置指定道路にしか接していない土地の評価方法とは異なりますか?

A. はい、異なります。位置指定道路にしか接していない場合は、税務署に「特定路線価」の設定を申請して評価するか、状況によっては無道路地として評価減を適用することが考えられます。

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