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【2024年改正】空き家特例の要件を詳説!買い手の解体期限と譲渡日のポイント

2024-12-10
目次

ご両親が住んでいた実家などを相続したものの、ご自身は住む予定がなく「空き家」になっている、というケースは少なくありません。そのままにしておくと管理も大変ですし、固定資産税もかかり続けます。そこで売却を考える方が多いのですが、その際に大きな税金の壁が立ちはだかることがあります。それが「譲渡所得税」です。
しかし、一定の要件を満たせば、この税金を大幅に軽減できる「空き家特例(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除)」という制度があります。この特例は、令和5年度の税制改正(令和6年1月1日以降の譲渡に適用)で、さらに使いやすいように内容が見直されました。今回は、この空き家特例の詳しい要件、特に今回の改正で注目されている「買い手による解体期限」や、意外と知らない「譲渡日の考え方」について、わかりやすく解説していきますね。

空き家特例(3,000万円特別控除)とは?

まずは、空き家特例がどのような制度なのか、基本から押さえておきましょう。この特例は、亡くなった方(被相続人)が住んでいた家と土地を相続した人が、その不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合に、その利益から最大3,000万円まで控除できるという、とても節税効果の大きな制度です。

特例の目的は「空き家」を減らすこと

この制度が作られた背景には、社会問題化している「空き家問題」があります。使われなくなった家が放置されると、景観の悪化や倒壊の危険、防犯上の問題などを引き起こす可能性があります。そこで、相続した空き家が市場に流通しやすくなるよう、売却時の税負担を軽くする目的でこの特例が設けられました。

控除額はいくら?

控除額は、原則として譲渡所得から最大3,000万円です。ただし、注意点があります。令和6年1月1日以降の譲渡から、空き家とその敷地を相続した相続人が3人以上いる場合は、1人あたりの控除額が2,000万円に引き下げられました。ご兄弟などで共同相続した場合は、この点に注意が必要です。

適用期間はいつまで?

この特例は、もともと期限付きの制度でしたが、令和5年度の税制改正で適用期間が4年間延長されました。これにより、平成28年4月1日から令和9年(2027年)12月31日までの間に譲渡した場合に適用が受けられます。

空き家特例の主な適用要件

この特例は誰でも使えるわけではなく、いくつかの細かい要件をすべてクリアする必要があります。ここでは、主な要件を「人」「物件」「譲渡」の3つのポイントに分けて見ていきましょう。

対象となる人(売主)の要件

まず、売主についての要件です。これはシンプルで、相続または遺贈(遺言によって財産を受け取ること)によって、亡くなった方が住んでいた家屋とその敷地を取得した相続人であることが必要です。

対象となる家屋・敷地の要件

次に、売却する物件についての要件です。ここが少し複雑なので、表で確認してみましょう。

建築時期 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること。(いわゆる旧耐震基準の建物です)
建物の種類 区分所有建物登記がされていないこと。(つまり、マンションなどの集合住宅は対象外です)
居住状況 相続が始まる直前に、亡くなった方以外に住んでいる人がいなかったこと。(亡くなった方が一人暮らしだった、というケースが典型です)
利用状況 相続してから売却するまで、事業用や貸付用、居住用として使われていないこと。

なお、亡くなった方が老人ホーム等に入居していた場合でも、一定の要件を満たせば特例の対象となる場合があります。

譲渡(売却)に関する要件

最後に、売り方に関する要件です。ここにもいくつか重要なポイントがあります。

譲渡の期限 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
譲渡価格 家屋と土地を合わせた売却代金が1億円以下であること。
譲渡の相手 親子や夫婦など、特別な関係にある人への売却ではないこと。

特に「相続開始から3年以内」という期限はとても重要なので、しっかり覚えておきましょう。

【重要ポイント1】買い手による解体・耐震改修と期限の論点

ここからが今回の本題です。特に令和5年度の税制改正で大きく変わったのが、建物の解体や耐震改修に関するルールです。これが非常に使いやすくなりました。

令和5年度税制改正で要件が緩和!

これまでのルールでは、古い家(昭和56年5月31日以前の建築)を売る場合、

  • 家屋付きで売るなら、売主が売る前に耐震基準を満たすようにリフォームする
  • 土地だけで売るなら、売主が売る前に建物を解体して更地にする

必要がありました。売主にとって、売れるかどうかわからない物件に先行して費用をかけるのは大きな負担でした。
しかし、令和6年1月1日以降の譲渡からは、売却後に買い手が解体や耐震改修を行う場合でも、この特例の対象となりました。これは売主にとって大きなメリットですね。

買い手が行う場合の期限はいつまで?

買い手が解体や耐震改修を行う場合、いつでも良いというわけではありません。ちゃんと期限が設けられています。
その期限とは、「譲渡の日の属する年の翌年2月15日まで」です。例えば、令和6年8月10日に物件を引き渡した場合、買い手は令和7年2月15日までに解体工事や耐震改修工事を完了させる必要があります。

売買契約書での取り決めの重要性

この新しいルールを使う場合、売主は買い手の協力が不可欠になります。もし買い手が期限までに解体などを実施してくれなかったら、売主は特例を使えず、多額の税金を納めることになってしまいます。こうしたトラブルを防ぐためにも、売買契約を結ぶ際に「いつまでに解体(または耐震改修)を行うか」といった内容を特約として明記しておくことが非常に重要です。

【重要ポイント2】譲渡日は「契約日」と「引き渡し日」どちらもOK?

もう一つの重要な論点が「譲渡日」の考え方です。特例の適用期限である「相続開始から3年を経過する年の12月31日まで」に間に合うかどうかは、この譲渡日をいつにするかで決まります。

譲渡の日の原則は「引き渡し日」

税法上のルールでは、資産を売却した「譲渡の日」は、原則として買主に物件を実際に引き渡した日とされています。不動産売買では、一般的に残代金の決済と鍵の受け渡しが行われる日を指します。

例外として「契約日」も選択可能

ただし、納税者の有利な方を選べるように、例外が認められています。それが、売買契約を締結した日(契約の効力発生日)を譲渡の日とする方法です。つまり、売主は「引き渡し日」と「契約日」のどちらかを選択することができるのです。

なぜ「譲渡の日」の選択が重要なのか?

この選択がなぜ重要かというと、期限ギリギリのケースで特例が使えるかどうかが変わってくるからです。
例えば、相続開始が令和3年2月1日だった場合、特例の期限は「3年を経過する日の属する年の12月31日」、つまり令和6年12月31日となります。
もし、令和6年12月20日に売買契約を結び、買主のローン手続きなどで引き渡しが翌年の令和7年1月15日になったとしましょう。
この場合、原則の「引き渡し日」を譲渡日にすると、期限を過ぎてしまい特例は使えません。しかし、「契約日」を選択すれば、令和6年中の譲渡として申告できるため、無事に特例の適用が受けられるのです。このように、ご自身の状況に合わせて有利な日を選択できることを覚えておいてください。

特例を受けるための手続き

この特例を利用するためには、自動的に適用されるわけではなく、ご自身で手続きを行う必要があります。

確定申告が必要

空き家を売却した年の翌年2月16日から3月15日までの間に、税務署へ確定申告を行う必要があります。その際に、特例の適用を受ける旨を申告書に記載します。

「被相続人居住用家屋等確認書」の取得

確定申告の際には、様々な書類が必要ですが、中でも重要なのが「被相続人居住用家屋等確認書」です。これは、売却した空き家が所在する市区町村の役場で発行してもらいます。申請から交付まで時間がかかることもあるため、売却が決まったら早めに準備を始めると安心です。

まとめ

今回は、相続した空き家を売却する際に使える「空き家特例」について、詳しく解説しました。
最後にポイントをもう一度おさらいしましょう。

  • 相続した空き家の売却益から最大3,000万円(相続人3人以上なら2,000万円)を控除できる。
  • 令和6年1月1日以降の譲渡では、買い手が譲渡の翌年2月15日までに解体・耐震改修を行っても適用可能になった。
  • 譲渡日は「引き渡し日」か「契約日」か、有利な方を選択できる。
  • 適用を受けるには、確定申告が必要。

空き家特例は、要件が細かく複雑ですが、上手に活用すれば税負担を大きく減らせる可能性のある制度です。特に今回の改正で、売主の負担が減り、より利用しやすくなりました。ご自身のケースが当てはまるかどうか、もし判断に迷う場合は、税理士などの専門家に相談してみることをおすすめします。

参考文献

空き家特例の解体期限と譲渡日|適用要件のよくある質問まとめ

Q.空き家特例とは、どのような制度ですか?

A.被相続人が一人で住んでいた家を相続人が売却した際に、一定の要件を満たすと譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。

Q.空き家特例の「譲渡日」は、契約日と引き渡し日のどちらですか?

A.原則は家や土地を「引き渡した日」ですが、納税者の選択によって売買「契約日」を譲渡日とすることも可能です。特例の適用期限(相続開始から3年を経過する年の12月31日まで)に間に合わせるために、どちらの日付を適用するか選択できる点がポイントです。

Q.土地だけを売る場合、いつまでに家を解体すれば特例を使えますか?

A.原則として、売却する前(譲渡時)までに相続人が家を解体し、更地にしておく必要があります。ただし、買い主が解体するケースでも特例を使える場合があります。

Q.買い主が家を解体する場合でも、空き家特例は使えますか?

A.はい、可能です。その場合、売買契約に基づき、譲渡の年の翌年2月15日までに買い主が家を解体することが条件となります。契約書に「引き渡し後に買主の負担で解体する」といった特約を明記しておくことが重要です。

Q.家を解体せず、耐震リフォームして売る場合も特例の対象になりますか?

A.はい、対象になります。譲渡時までに、その家屋が新耐震基準に適合するようリフォームされていれば、家屋と敷地をセットで売却する場合でも特例を適用できます。

Q.空き家特例の対象となる物件の主な要件は何ですか?

A.主な要件は、①昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、②相続開始直前まで被相続人が一人で居住していたこと、③相続時から譲渡時まで事業用や貸付用に使われていないこと、④譲渡対価が1億円以下であること、などです。

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