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【最新】生前贈与のルール変更!税制改正のポイントをわかりやすく解説

2025-12-26
目次

2024年1月1日から、私たちの暮らしに関わる税金のルール、特に生前贈与や相続に関するルールが大きく変わりました。「相続税対策として贈与を考えていたのに、どう変わったの?」と不安に思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。今回の改正は、将来の相続を見据えた大切な資産の引継ぎに大きく影響します。この記事では、特に重要な変更点である生前贈与のルールについて、専門的な言葉をなるべく使わずに、わかりやすく丁寧にご説明しますので、ぜひ最後までご覧ください。

2024年税制改正の2つの大きなポイント

今回の税制改正で、特に知っておきたい大きな変更点は2つあります。それは、贈与税の2つの課税方法である「暦年課税(れきねんかぜい)」「相続時精算課税(そうぞくじせいさんかぜい)」の制度が見直されたことです。これまで多くの方が利用してきた「暦年課税」のルールが厳しくなる一方で、「相続時精算課税」が使いやすくなるなど、今後の生前対策の考え方がガラッと変わる可能性があります。まずは、この2つの制度がそれぞれどのように変わったのか、一つずつ見ていきましょう。

【改正点①】生前贈与の加算期間が3年から7年へ延長(暦年課税)

まず、多くの方が相続税対策として活用してきた「暦年課税」のルール変更です。これまで、亡くなる直前3年以内に行われた贈与は、相続財産に持ち戻して相続税を計算するというルールでしたが、この期間が3年から7年に延長されました。これは実質的な増税ともいえる大きな変更点です。

「生前贈与加算」ってそもそも何?

「生前贈与加算」とは、亡くなる直前に急いで財産を贈与して、相続税を不当に安くすることを防ぐためのルールです。具体的には、亡くなった日から遡って一定期間内に行われた贈与は、「なかったこと」にして、その分を相続財産に足し戻して相続税を計算します。この制度があるため、亡くなる直前の駆け込み贈与では、節税効果が得られない仕組みになっています。今回の改正で、この「なかったことにする期間」が3年から7年に延びた、ということです。

いつの贈与から影響があるの?

この新しい7年ルールは、2024年1月1日以降に行われた贈与から適用されます。ただし、すぐに全てのケースで7年分の贈与が加算されるわけではありません。加算される期間は、2027年1月1日以降に発生する相続から段階的に延びていき、完全に7年分が加算対象となるのは2031年1月1日以降に亡くなられた場合です。

相続が発生した日 生前贈与加算の対象期間
2026年12月31日まで 相続開始前3年以内
2027年1月1日~12月31日 2024年1月1日~相続開始日まで(最大3年)
2030年12月31日 相続開始前6年以内
2031年1月1日以降 相続開始前7年以内

延長された4年間には100万円の控除がある

ただ期間が延長されて厳しくなっただけではありません。新しい救済措置も設けられました。今回延長された4年間(具体的には、相続開始前の3年超~7年以内の期間)に行われた贈与については、合計100万円までは相続財産に加算しなくてもよいことになりました。例えば、毎年110万円の暦年贈与を7年以上続けていた場合、亡くなる前の3年分の330万円は全額加算されますが、その前の4年間(4年~7年前)の贈与額440万円からは100万円を差し引いた340万円が加算の対象となります。少し複雑ですが、わずかながら負担が軽減される措置が用意されています。

【改正点②】使いやすくなった!相続時精算課税制度

これまで「一度選ぶと暦年課税に戻れない」「年間110万円の非課税枠が使えない」といった理由で、利用しにくいイメージがあった「相続時精算課税制度」ですが、今回の改正でとても使いやすい制度に生まれ変わりました。

年間110万円の基礎控除が新設!

最大の変更点は、2024年1月1日から、相続時精算課税制度にも年間110万円の基礎控除が新設されたことです。これは、これまでの2,500万円の特別控除とは別枠で使える非課税枠です。この新しい基礎控除のポイントは以下の通りです。

  • 年間110万円までの贈与であれば、贈与税の申告が不要です。
  • この110万円の基礎控除を使って贈与した財産は、将来相続財産に加算されません

つまり、毎年110万円までなら、贈与税も将来の相続税も心配することなく、財産を次の世代に移すことができるようになったのです。これにより、相続時精算課税制度を選択するメリットが格段に大きくなりました。

改正前と改正後の比較

相続時精算課税制度がどれだけ使いやすくなったか、表で比較してみましょう。

項目 改正前(~2023年)
基礎控除(非課税枠) なし
特別控除枠 生涯で2,500万円
相続財産への加算 贈与した財産の全額が加算対象
項目 改正後(2024年~)
基礎控除(非課税枠) 年間110万円(申告不要・相続財産への加算なし)
特別控除枠 生涯で2,500万円(基礎控除とは別枠)
相続財産への加算 贈与した財産のうち、年間110万円の基礎控除を超えた部分のみが加算対象

結局どっちがお得?暦年課税 vs 相続時精算課税

今回の改正で、これまで「暦年課税一択」と考えていた方も、「相続時精算課税もアリかも?」と迷われているかもしれません。どちらの制度が有利になるかは、ご自身の年齢、資産状況、誰に贈与したいかなどによって変わってきます。ここでは、それぞれの制度がどのような方に向いているのか、ケース別に見ていきましょう。

暦年課税が向いているケース

  • 贈与する方がまだ若く、長期間にわたって贈与を続けられる場合: 7年という加算期間を超えて長く贈与を続けることで、相続財産を効果的に減らすことができます。
  • 孫や子の配偶者など、「相続人以外」に贈与したい場合: 生前贈与加算の7年ルールは、原則として相続人にだけ適用されます。そのため、相続人ではないお孫さんなどへの贈与は、亡くなる直前であっても相続財産に加算されません。
  • 多くの人に少しずつ財産を渡したい場合: 贈与を受ける人ごとに年間110万円の非課税枠があるため、子どもや孫など、複数人に贈与することで、より多くの財産を非課税で移転できます。

相続時精算課税が向いているケース

  • 贈与する方がご高齢で、7年以内に相続が発生する可能性がある場合: 新設された年間110万円の基礎控除は、相続開始までの期間に関係なく相続財産に加算されないため、確実に相続財産を減らすことができます。
  • 将来、価値が上がりそうな財産(例:成長企業の株式など)を贈与したい場合: 相続時に加算される財産の価額は「贈与した時点」のものです。そのため、贈与後に価値が上がっても、相続税の計算には影響しません。
  • 特定の相続人にまとまった財産を早めに渡したい場合: 2,500万円の特別控除と年間110万円の基礎控除を組み合わせることで、大きな金額を非課税または低い税負担で贈与できます。

税制改正に対応する今後の生前対策

新しいルールを上手に活用することで、効果的な生前対策を行うことができます。ここでは、今後の対策として考えられる2つのポイントをご紹介します。

孫への贈与を積極的に活用する

前述の通り、生前贈与加算の7年ルールは、基本的に「相続または遺贈により財産を取得した人」が対象です。そのため、将来相続人にならないお孫さんへの贈与は、このルールの対象外となります。お孫さんに財産を渡したいと考えている方にとっては、暦年贈与が引き続き非常に有効な手段といえるでしょう。ただし、お孫さんが遺言によって財産を受け取る場合や、親が先に亡くなっていて代襲相続人になる場合は、加算の対象となるため注意が必要です。

各種非課税制度も忘れずに検討する

今回の改正で注目されている2つの制度以外にも、目的別の非課税制度があります。これらを組み合わせることで、さらに効果的な対策が可能です。

  • 教育資金の一括贈与: 30歳未満の子や孫へ、教育資金として1,500万円まで非課税で一括贈与できる制度です(2026年3月31日まで)。
  • 結婚・子育て資金の一括贈与: 18歳以上50歳未満の子や孫へ、結婚や子育て資金として1,000万円まで非課税で一括贈与できる制度です(2025年3月31日まで)。
  • 住宅取得等資金の贈与: 子や孫がマイホームを取得するための資金を贈与する場合、省エネ等住宅であれば1,000万円まで非課税になる制度です(2026年12月31日まで)。

これらの制度は期間限定のものが多いので、活用を検討する際は期限に注意しましょう。

まとめ

2024年からの税制改正は、生前贈与のあり方を大きく変えるものです。今回のポイントを改めてまとめると、以下のようになります。

  • 暦年課税では、生前贈与加算の期間が3年から7年に延長されました。
  • 相続時精算課税制度では、新たに年間110万円の基礎控除が設けられ、非常に使いやすくなりました。
  • どちらの制度を選ぶべきかは、個々の状況によって異なります。ご自身の家族構成や資産状況、そして「誰に、いつ、どのように財産を渡したいか」という想いに合わせて、最適な方法を選ぶことが大切です。

生前対策は、早めに始めるほど選択肢が広がります。今回のルール変更をきっかけに、ご家族で資産の引継ぎについて話し合ってみてはいかがでしょうか。ご自身での判断が難しい場合は、税の専門家に相談してみるのも一つの方法です。

参考文献

令和5年度 相続税及び贈与税の税制改正のあらまし(国税庁)

No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)(国税庁)

No.4103 相続時精算課税の選択(国税庁)

2024年〜2025年税制改正(生前贈与)のよくある質問まとめ

Q.2024年から生前贈与の何が変わったの?

A.主に2つの大きな変更点があります。1つ目は、亡くなる前の贈与を相続財産に加算する期間(持ち戻し期間)が3年から7年に延長されました。2つ目は、「相続時精算課税制度」に年間110万円の新しい基礎控除が設けられました。

Q.生前贈与の持ち戻し期間が7年になったのはいつから?

A.2024年1月1日以降の贈与が対象です。2027年1月1日以降に相続が開始した場合から段階的に期間が延長され、最終的に7年分の贈与が相続財産に加算されることになります。ただし、延長された4年分については、合計100万円までは加算されません。

Q.暦年贈与の110万円非課税はもう使えないの?

A.いいえ、これまで通り利用できます。年間110万円までの贈与であれば贈与税はかかりません。ただし、贈与した人が亡くなった場合、亡くなる前7年以内の贈与は相続財産として加算(持ち戻し)される点に注意が必要です。

Q.新しい相続時精算課税制度のメリットは何?

A.従来の2,500万円の特別控除とは別に、年間110万円の基礎控除が新設されたことです。この110万円以下の贈与は贈与税の申告が不要で、相続財産に加算されることもありません。暦年贈与の持ち戻しを気にせず、毎年非課税で贈与しやすくなりました。

Q.暦年贈与と相続時精算課税制度、どっちを選べばいい?

A.一概にどちらが良いとは言えず、資産状況や贈与の目的によって異なります。少額を長期間にわたって多くの人に贈与したい場合は暦年贈与、特定の相続人にまとまった財産を早めに非課税で渡したい場合は相続時精算課税制度が向いている場合があります。

Q.2023年までの贈与も7年ルールが適用されるの?

A.いいえ、適用されません。7年ルールの対象となるのは、2024年1月1日以降に行われた贈与です。2023年12月31日までに行われた贈与については、従来の3年ルールが適用されます。

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