税理士法人プライムパートナーズ

なぜ?医療費控除で病院の駐車場代が対象外になる理由を徹底解説

2026-02-19
目次

確定申告の時期が近づくと、通院にかかった費用が医療費控除の対象になるのか気になりますよね。通院のために車を使った際、病院の駐車場代やガソリン代も医療費として申告できるのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。実は、医療費控除において病院の駐車場代は対象外となっています。この記事では、なぜ駐車場代が対象ではないのか、そして通院費として認められるものと認められないものの具体的な違いについて、分かりやすく解説していきます。

医療費控除の基本と病院の駐車場代が対象外となる理由

医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定の基準額を超えた場合に、税金が安くなる制度です。しかし、通院にかかったすべての費用が対象になるわけではありません。ここでは、医療費控除の具体的な計算方法と、なぜ病院の駐車場代が対象外となるのかを詳しく見ていきましょう。

医療費控除とは?具体的な計算方法

医療費控除は、自分や生計を共にする家族のために支払った1年間(1月1日から12月31日まで)の医療費が対象です。控除される金額は、「実際に支払った医療費の合計額」から「保険金などで補填される金額」を引き、さらに「10万円」を差し引いた金額となります。ただし、その年の総所得金額が200万円未満の方の場合は、10万円ではなく「総所得金額の5%」を差し引いて計算します。控除額の上限は200万円までです。このように、計算には具体的な基準が設けられているため、対象となる費用を正確に把握しておくことがとても大切です。

通院にかかる交通費の考え方

医療費控除の対象となる交通費は、「医師の診療などを受けるために直接必要なものであり、かつ通常必要なもの」と国税庁によって定められています。具体的には、電車やバスといった公共交通機関を利用した際の運賃がこれに該当します。公共交通機関は通常、領収書が発行されませんが、通院した日付や経路、運賃をメモ帳などに記録しておくことで、確定申告の際に医療費控除の明細書に記入して申告することが可能です。

駐車場代やガソリン代が対象外である理由

では、なぜ自家用車で通院した際の駐車場代やガソリン代は対象外なのでしょうか。その理由は、ガソリン代や駐車場代が「直接的な人的役務の提供に対する対価」ではないと判断されるためです。公共交通機関の運賃は、人を運ぶというサービス(人的役務)への支払いですが、ガソリン代は自動車の燃料という物品の購入費用であり、駐車場代は車をとめるスペースを借りるための場所代という位置づけになります。そのため、たとえ通院に不可欠であったとしても、税法上は医療費控除の対象には含まれないのです。

通院費用で医療費控除の対象になるもの・ならないもの

通院費用に関するルールは少し複雑に感じるかもしれませんね。間違えて申告してしまうと後で修正が必要になることもあるため、何が対象で何が対象外なのかをしっかり区別しておくことが重要です。表を使って分かりやすく整理してみましょう。

対象になる通院費用の具体例

医療費控除の対象として認められる通院費は、原則として公共交通機関の利用代金です。また、病状が重くて歩行が困難な場合や、深夜で電車やバスが動いていないなど、公共交通機関の利用が著しく難しい状況でタクシーを利用した場合のタクシー代は対象となります。以下の表に具体例をまとめましたので参考にしてください。

対象となる費用 具体的な要件
電車・バスの運賃 通院のために利用した公共交通機関の交通費
タクシー代 歩行困難など公共交通機関が利用できない場合の運賃

対象にならない通院費用の具体例

一方で、自家用車での通院に関連する費用は、基本的にすべて対象外となります。先ほどお伝えしたガソリン代や駐車場代に加えて、高速道路の料金やレンタカーの代金なども含まれません。また、実家へ里帰り出産をするための帰省費用なども、通院のための直接的な費用とはみなされないため対象外です。

対象外となる費用 具体的な要件
自家用車のガソリン代 通院に利用しても燃料の購入費とみなされるため
病院の駐車場代 場所を借りるための費用とみなされるため

タクシー代は医療費控除の対象になる?

自家用車が対象外なら、タクシーを使った場合はどうなるのでしょうか。タクシー代については、利用した状況によって対象になるかどうかが変わってきます。ここでは、どのようなケースなら認められるのかを詳しく解説します。

対象として認められる特別なケース

タクシー代が医療費控除の対象となるのは、電車やバスなどの公共交通機関を利用することが困難な特別な理由がある場合です。例えば、突然の陣痛で病院に向かう場合や、骨折をしていて電車に乗ることができない場合、深夜に急病で救急外来を受診する場合などが当てはまります。このようなやむを得ない状況でのタクシー代は、通院に直接必要な費用として認められます。

単なる利便性のための利用は対象外

一方で、「荷物が多いから」「バスを待つのが面倒だから」「駅から少し遠いから」といった、単なる利便性や個人の都合によるタクシーの利用は対象外となります。税務署から確認を求められることもあるため、タクシーを利用した際は、領収書を保管するとともに、なぜタクシーに乗る必要があったのか(急病、歩行困難など)をメモに残しておくと安心です。

付き添いの人の交通費はどうなる?

小さなお子様や、一人で通院することが難しい高齢者の場合、家族が付き添って病院に行くことがありますよね。このような場合、付き添いの方の交通費は医療費控除の対象になるのでしょうか。

患者本人が一人で通院できない場合

患者本人の年齢や病状から判断して、どうしても一人で通院することができず、付き添いが必要だと認められる場合には、その付き添いの方の交通費も医療費控除の対象となります。例えば、幼児の通院に親が付き添う場合の電車代やバス代などがこれに該当します。この場合も、原則として公共交通機関の運賃であることが条件です。

入院患者のお見舞いに行く際の交通費

注意が必要なのは、入院している家族の世話やお見舞いのために病院へ通う場合の交通費です。これは患者本人の通院費用ではなく、家族が自発的に病院へ行くための費用とみなされるため、医療費控除の対象にはなりません。あくまで治療を受ける本人の通院に直接必要な費用のみが対象となることを覚えておきましょう。

確定申告をスムーズに行うためのポイント

医療費控除を受けるためには、ご自身で確定申告を行う必要があります。会社員の方でも、年末調整では医療費控除の手続きができないため、忘れずに申告しましょう。スムーズに申告を行うための準備についてお伝えします。

領収書や明細書の整理と保管

確定申告の際、医療費の領収書を直接提出する必要はなくなりましたが、代わりに医療費控除の明細書を作成して提出する必要があります。そのため、病院の領収書や薬局のレシートは、人ごとや病院ごとに整理して保管しておきましょう。また、公共交通機関の交通費は領収書が出ないことが多いため、乗車日、区間、運賃をエクセルやノートにこまめに記録しておくことが大切です。なお、領収書は自宅で5年間保管する義務があるため、申告後も捨てないようにしてください。

高額療養費制度なども考慮して計算する

医療費が高額になった場合、健康保険から高額療養費や出産育児一時金などが支給されることがあります。医療費控除を計算する際は、支払った医療費の総額から、これらの受け取った給付金を差し引かなければなりません。例えば、入院費で30万円支払い、高額療養費として10万円戻ってきた場合は、実質的な負担額である20万円をもとに計算することになります。給付金の通知書なども手元に揃えておきましょう。

まとめ

医療費控除における通院費用のルールについて解説しました。病院の駐車場代やガソリン代は、税法上「人的役務の提供」ではないとみなされるため、残念ながら医療費控除の対象にはなりません。通院費として申告できるのは、原則として電車やバスなどの公共交通機関の運賃です。例外的に、歩行困難や深夜の急病などでタクシーを利用した場合は対象となります。医療費控除の対象になるものとならないものを正しく理解し、明細書や記録をしっかり残しておくことで、確定申告をスムーズに進めて賢く節税につなげましょう。

参考文献

国税庁:No.1122 医療費控除の対象となる医療費

医療費控除の通院費に関するよくある質問まとめ

Q.医療費控除で病院の駐車場代が対象にならないのはなぜですか?

A.駐車場代は場所を借りるための費用であり、税法上で認められている「人を運ぶという人的役務の提供の対価」には当たらないと判断されるため、医療費控除の対象外となります。

Q.自家用車で通院した際のガソリン代は申告できますか?

A.いいえ、申告できません。ガソリン代は自動車の燃料という物品の購入費用とみなされるため、駐車場代と同様に医療費控除の対象外です。

Q.通院のためにタクシーを利用した場合、タクシー代は対象になりますか?

A.電車やバスが利用できない特別な理由(急病や骨折で歩行困難など)がある場合は対象になります。ただし、単に便利だからといった理由での利用は対象外です。

Q.子供の通院に親が付き添った場合、親の交通費は対象になりますか?

A.患者本人の年齢や病状により、一人での通院が困難で付き添いが必要と認められる場合は、付き添いの方の公共交通機関の交通費も対象となります。

Q.入院中のお見舞いに行く際の交通費は対象になりますか?

A.対象になりません。お見舞いや家族の世話のための交通費は、患者本人の治療に直接必要な通院費用ではないため、控除に含めることはできません。

Q.電車やバスの交通費は領収書が出ませんが、どうやって申告すればよいですか?

A.領収書がなくても申告可能です。通院した日付、利用した区間、支払った運賃をメモやノートに正確に記録しておき、医療費の明細書に記入してください。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

\ 相続の不安、専門家にまずは無料相談 /
士業の先生向け専門家AI
士業AI【税務】
\ 相続の不安、専門家にまずは無料相談 /