いつも車を運転する方にとって、ガソリン代の負担は気になりますよね。ニュースなどで「ガソリン暫定税率」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、実際にはどのような仕組みなのかご存知でしょうか。今回は、ガソリン価格に大きく関わる暫定税率について、具体的な金額やこれまでの歴史を交えながら分かりやすくお話しします。
ガソリン暫定税率とはどのようなもの?
私たちが普段支払っているガソリン代には、実は複数の税金が含まれています。その中でも大きな割合を占めているのがガソリン税です。ここでは、その仕組みを詳しく見ていきましょう。
ガソリンにかかる税金の種類と内訳
ガソリン税(正式には揮発油税および地方揮発油税)は、本来の税率である本則税率と、それに上乗せされている暫定税率(特例税率)の2つから成り立っています。具体的に1リットルあたりいくらかかっているのか、表で確認してみましょう。
| 税金の種類 | 1リットルあたりの金額 |
|---|---|
| 本則税率(本来の税率) | 28.7円 |
| 暫定税率(上乗せ分) | 25.1円 |
| ガソリン税の合計 | 53.8円 |
このように、1リットルあたり合計で53.8円のガソリン税がかかっており、そのおよそ半分が暫定税率による上乗せ分となっています。
暫定税率が導入された背景と目的
暫定税率が初めて導入されたのは、1974年のことです。当時は日本のモータリゼーションが急速に進んでおり、道路を整備するための資金が不足していました。そこで、道路整備のための特定財源を確保する目的で、本来の税率の約2倍に引き上げる暫定的な措置が取られました。本来は一時的なはずでしたが、期間の延長が繰り返され、現在まで長きにわたって続いています。
現在の特例税率への名称変更
2010年度の税制改正により、道路の建設にしか使えなかった特定財源が、医療や年金など様々な用途に使える一般財源へと変更されました。これに伴い、「暫定税率」という名称は廃止され、現在では廃止時期を定めず維持される「特例税率」という扱いになっています。名前は変わりましたが、1リットルあたり25.1円という上乗せ金額はそのまま残っている状態です。
トリガー条項とは?ガソリン価格が下がらない理由
ガソリン価格が高騰した際に、私たちの負担を減らすための仕組みとして「トリガー条項」というものがあります。しかし、現在はこれが機能していません。その理由について解説します。
トリガー条項の具体的な仕組み
トリガー条項とは、総務省が発表する小売物価統計調査において、レギュラーガソリンの全国平均価格が3ヶ月連続で1リットルあたり160円を超えた場合に、暫定税率分の25.1円を免除(課税停止)する仕組みです。その後、価格が3ヶ月連続で130円を下回ると、再び元の税率に戻るというルールになっています。
なぜ現在も発動が凍結されているのか
トリガー条項は2010年に導入されましたが、翌2011年に発生した東日本大震災の復興財源を確保するため、特例法によって発動が凍結されました。現在でもガソリン価格が160円を大きく超える時期が続いていますが、法改正が行われない限り、このトリガー条項が発動されて25.1円が安くなることはありません。
補助金制度による価格抑制措置
トリガー条項の凍結が続く一方で、政府はガソリン価格の急激な上昇を抑えるため、石油元売り会社に対して補助金を支給するという対策を行っています。これにより、小売価格が1リットルあたり175円程度の目安を超えないよう調整されていますが、私たち消費者からすると、直接税金が安くなるトリガー条項の発動を望む声も多く聞かれます。
ガソリン代にかかる税金の二重課税問題について
ガソリン代について語る上で避けて通れないのが、税金にさらに税金がかかっている「二重課税」の問題です。給油のレシートを見ると気づくかもしれませんが、ガソリンには消費税もかかっています。
どのような計算で二重課税になっているのか
ガソリンスタンドで支払う金額は、ガソリン本体の価格に、ガソリン税(53.8円)と石油石炭税(2.8円)を足した合計額に対して、10%の消費税がかけられています。ガソリン税という税金そのものに消費税がかかっているため、二重に税金を支払っているのではないかという不満の声が上がっています。て
| ガソリン本体価格 | 消費税10%の対象 |
| ガソリン税(53.8円)+石油石炭税(2.8円) | 消費税10%の対象 |
政府の見解としては、ガソリン税は石油元売り会社が納めるものであり、私たち消費者はその税金分を含めた「ガソリンの販売価格」に対して消費税を払っているため、法的には問題ないとしています。しかし、消費者感情としては納得しづらい部分があるのが実情です。
私たちが知っておくべき今後のガソリン税の行方
これまで見てきたように、ガソリン暫定税率は名前を変えながらも長年私たちの生活に影響を与え続けています。今後のガソリン税はどうなっていくのでしょうか。
自動車に関わる税制全体の抜本的な見直し
近年、電気自動車(EV)の普及が進んでおり、ガソリンを使わない車が増えています。これにより、国に入るガソリン税の税収は将来的に減少していくことが予想されます。そのため、1キロメートルあたりいくらというように走行距離に応じて税金をかける「走行距離課税」の導入など、自動車に関わる税制全体を新しく作り直す議論が始まっています。
トリガー条項の凍結解除に向けた議論
ガソリン価格の高止まりが続く中、補助金制度には多額の国費が投じられています。そのため、補助金への依存から脱却し、本来の仕組みであるトリガー条項の凍結解除を求める動きも政界や世論で活発になっています。今後の国会での議論や法改正の動向に注目していく必要があります。
まとめ
今回は、ガソリン暫定税率の仕組みや具体的な金額、トリガー条項などについて分かりやすく解説しました。本来の税金に1リットルあたり25.1円が上乗せされている状態が現在も「特例税率」として続いています。また、税金に消費税がかかる二重課税の問題など、私たちが負担しているガソリン代には複雑な仕組みが隠されています。今後の税制改正の議論に注目し、自分たちの生活にどう影響するのかを見守っていきましょう。
参考文献
ガソリン暫定税率のよくある質問まとめ
Q.ガソリン暫定税率とは何ですか?
A.ガソリン本来の税率に上乗せされている特例の税金のことです。1リットルあたり25.1円が加算されています。
Q.いつから暫定税率が導入されたのですか?
A.1974年に道路整備の財源を確保する目的で導入されました。現在は名称を特例税率に変えて続いています。
Q.トリガー条項とは何ですか?
A.レギュラーガソリンの平均価格が3ヶ月連続で1リットルあたり160円を超えた場合、暫定税率の25.1円を免除する仕組みです。
Q.なぜトリガー条項は発動されないのですか?
A.2011年の東日本大震災の復興財源を確保するため、特例法によって現在は発動が凍結されているからです。
Q.ガソリンの二重課税とはどういうことですか?
A.ガソリン本体の価格だけでなく、ガソリン税や石油石炭税を含めた合計額に対して消費税10%がかかっている状態のことです。
Q.暫定税率はいつ廃止されますか?
A.現在は特例税率として一般の財源に組み込まれており、具体的な廃止時期は決まっておらず維持される見通しです。