ご家族が亡くなられて、遺品の中にゴルフ会員権が見つかるケースは少なくありません。ゴルフをされる方にとっては価値のある資産ですが、そのままではプレーすることはできません。会員としてプレーしたり、将来的に売却したりするためには、「名義書換」という手続きが必要です。少し手続きが複雑に感じるかもしれませんが、一つひとつ順を追って進めれば大丈夫ですよ。この記事では、ゴルフ会員権の名義書換請求について、特に相続の場合を中心に、手続きの流れから費用、税金のことまで分かりやすく解説していきますね。
ゴルフ会員権の名義書換とは?なぜ必要?
ゴルフ会員権は、購入したり相続したりしただけでは、自動的にあなたがメンバーになるわけではありません。ゴルフ場に対して「会員の名義を私に変えてください」と申請し、承認を得る必要があります。この手続きがゴルフ会員権の名義書換請求です。この手続きを完了して初めて、メンバーとしてコースを利用する権利や、クラブ競技に参加する権利などが得られるのです。相続の場合は、亡くなった方(被相続人)から、権利を引き継ぐ相続人へと名義を書き換える大切な手続きとなります。
名義書換をしないとどうなる?
もし名義書換をしないまま放置してしまうと、ゴルフ場のメンバーとして扱われません。そのため、メンバー料金でのプレーはもちろん、クラブが主催する月例杯などの競技会にも参加することができません。また、会員権を売却しようと考えたときも、自分の名義になっていなければ売ることができないため、結局は名義書換の手続きが必要になります。せっかくの権利を活用するためにも、必ず手続きを行いましょう。
名義書換の種類(売買・贈与・相続)
ゴルフ会員権の名義書換には、いくつかのケースがあります。第三者から会員権を購入する「売買」、ご家族などに無償で譲る「贈与」、そして、亡くなった方から権利を引き継ぐ「相続」です。それぞれで必要となる書類や手続きが少しずつ異なります。今回は、特にご質問の多い「相続」による名義書換請求に焦点を当てて、詳しくご説明していきますね。
法人会員権の場合
会社が保有している法人会員権の場合、実際にコースを利用する役員や従業員(記名者)がいます。この記名者が退職や異動などで交代する場合にも、名義変更(記名者変更)の手続きが必要です。個人の相続とは異なりますが、こちらもゴルフ場所定の手続きと手数料が必要になります。手続き方法はゴルフ場によって異なりますので、法務や総務の担当者の方は、まずゴルフ場に問い合わせて確認することをおすすめします。
相続によるゴルフ会員権の名義書換手続きの流れ
それでは、実際に相続によってゴルフ会員権を取得した場合の手続きの流れを見ていきましょう。基本的なステップは以下のようになります。ゴルフ場によって細かな違いはありますが、大まかな流れは共通しています。
STEP1: ゴルフ場への連絡と必要書類の確認
まず最初に行うことは、会員権のあるゴルフ場へ連絡することです。会員の方が亡くなったこと、そして相続によって名義書換をしたい旨を伝えます。その際、今後の手続きの流れ、必要な書類一式、そして名義書換料などの費用について詳しく確認しましょう。この段階で全体像を把握しておくと、後の手続きがスムーズに進みますよ。
STEP2: 必要書類の準備と提出
ゴルフ場から案内された必要書類を準備します。相続の場合は、通常の売買とは異なり、相続関係を証明する書類が追加で必要になります。一般的に求められる書類は以下の通りです。
| 書類名 | 説 明 |
| ゴルフ会員権証券(預託金証券など) | 会員であることの証明書です。もし紛失している場合は、再発行の手続きが必要になり、別途手数料がかかることがあります。 |
| 被相続人(亡くなった方)の除籍謄本 | 亡くなった事実と、相続人が誰であるかを確認するために必要です。出生から死亡まで連続した戸籍謄本を求められる場合もあります。 |
| 遺産分割協議書 | 複数の相続人がいる場合に、誰がそのゴルフ会員権を相続するのかを証明する大切な書類です。相続人全員の署名と実印の押印が必要です。 |
| 相続人全員の印鑑証明書 | 遺産分割協議書に押印した実印が本人のものであることを証明します。通常、発行から3ヶ月以内のものが求められます。 |
| 新入会者(相続人)の書類 | 住民票、顔写真、印鑑証明書など、ゴルフ場が指定する入会申込に必要な書類です。 |
これらの書類を揃え、ゴルフ場指定の申請書とともに提出します。
STEP3: ゴルフ場による入会審査
書類一式を提出すると、ゴルフ場の理事会などで入会審査が行われます。ゴルフ場にはそれぞれ入会資格が定められており、例えば「年齢満30歳以上」「日本国籍を有する者」「他のクラブに在籍していること」「会員2名の推薦が必要」といった条件がある場合があります。ただし、相続による名義書換の場合は、この入会審査が免除されたり、条件が緩和されたりすることも多いようです。
STEP4: 名義書換料・年会費の支払いと手続き完了
無事に入会審査で承認されると、ゴルフ場から承認通知と、名義書換料や年会費(初年度分や月割分)の請求書が届きます。記載された金額を指定の期日までに支払うと、すべての手続きが完了です。後日、あなたの名前が入った新しい会員証やバッグタグなどが送られてきて、晴れてそのゴルフ場のメンバーとしてプレーを楽しむことができます。
ゴルフ会員権の名義書換にかかる費用
名義書換を行う際には、いくつかの費用が発生します。どのような費用が、どれくらいかかるのかを事前に知っておくと安心ですね。主な費用は以下の3つです。
名義書換料
これは、会員の名義を変更するための手数料として、新しく会員になる人がゴルフ場に支払う費用です。一度支払うと、基本的には返還されません。金額はゴルフ場によって本当に様々で、10万円から100万円程度が一般的な相場ですが、格式高い名門コースなどでは1,000万円を超えるようなケースもあります。ただし、相続の場合は特典として、通常の名義書換料の半額など、割引料金が適用されることが多くなっています。
年会費
会員権を維持していくために、毎年支払う費用です。名義書換の手続きが完了したタイミングで、その年度の年会費(月割で計算されることが多いです)を支払う必要があります。また、亡くなった方の年会費に未納分があると名義書換ができないため、事前にゴルフ場に確認し、もし未納があれば精算する必要があります。
入会預託金(入会保証金)
ゴルフ場によっては、名義書換料とは別に「入会預託金」や「入会保証金」といった名目のお金を預けるよう求められることがあります。これは会員権を購入するときに支払う「預託金」とは別のもので、基本的にはゴルフ場を退会する際に返還される性質のお金です。ただし、ごく稀に返還されないケースもあるため、契約前によく確認することが大切です。
| 費用の種類 | 返還の有無 |
| 名義書換料 | 返還されない |
| 入会預託金(入会保証金) | 原則として返還される |
ゴルフ会員権と税金の話
ゴルフ会員権は財産的な価値を持つため、相続したり売買したりする際には税金が関係してきます。少し専門的な話になりますが、とても重要なポイントですので、一緒に確認していきましょう。
相続税の評価方法
ゴルフ会員権は、亡くなった方の財産として相続税の課税対象になります。その評価方法は、会員権に市場での取引相場があるかどうかで変わります。
多くの場合、会員権には取引相場があります。その場合の評価額は、亡くなった日(相続開始日)の通常の取引価格の70%に相当する金額となります。例えば、取引価格が100万円であれば、70万円が相続税を計算する上での評価額になる、ということです。一方で、取引相場がない会員権の場合は、預託金の額面や、会員権が株式の形をとっている場合は非上場株式の評価方法に準じるなど、評価が複雑になります。
名義書換料は経費になる?
相続時に支払った高額な名義書換料を、相続税の計算から差し引くこと(債務控除)はできるのでしょうか。残念ながら、これはできません。名義書換料は、亡くなった方が負っていた債務ではなく、あくまで相続人が新しく会員になるために支払う費用と見なされるため、相続財産から差し引くことは認められていないのです。
消費税はかかる?
個人の方が持っている会員権を、別の個人の方に譲る場合には消費税はかかりません。しかし、ゴルフ会員権の仲介業者を通じて購入した場合の仲介手数料や、ゴルフ場に直接支払う名義書換料、年会費には消費税がかかります。これは、ゴルフ場が提供するサービスへの対価と見なされるためです。この点は国税庁のウェブサイトにも明記されています。
相続したゴルフ会員権を使わない場合は?
相続したものの、ご自身はゴルフに興味がなかったり、遠方でコースに通えなかったりすることもあるでしょう。そのように、会員権を使わない場合の選択肢についても考えてみましょう。
売却する
最も一般的な選択肢は、ゴルフ会員権を売却することです。ゴルフ会員権の売買を専門に扱う仲介業者に依頼し、買い手を探してもらいます。無事に売却できて利益(譲渡所得)が出た場合は、所得税の課税対象となります。ただし、相続税を支払っている方が、相続開始から3年10ヶ月以内にその会員権を売却した場合には、「取得費加算の特例」という制度を使える可能性があり、所得税の負担を軽くすることができます。
そのまま保有する(休会制度など)
すぐに売却せず、しばらく様子を見たいという選択肢もあります。ゴルフ場によっては、年会費を支払うことでプレーはせずに会員資格だけを維持できる「休会制度」を設けている場合があります。将来的にご自身がゴルフを始めるかもしれない、あるいは会員権の相場が上がるのを待ちたい、といった場合に検討できます。ただし、このような制度があるかどうか、またその条件はゴルフ場によって異なりますので、直接確認が必要です。
まとめ
今回は、ゴルフ会員権の名義書換請求について、特に相続のケースを中心にご説明しました。手続きには様々な書類や費用が必要で、少し大変に感じられるかもしれませんが、一つひとつ手順を踏んでいけば必ず完了できます。大切なのは、まずゴルフ場に連絡して、正確な情報を得ることです。最後に、今回のポイントをまとめておきますね。
- ゴルフ会員権を利用・売却するには、名義書換請求の手続きが必ず必要です。
- 相続の場合は、通常の売買に加え、被相続人の除籍謄本や遺産分割協議書といった書類の準備が求められます。
- かかる費用は主に名義書換料(10万円~100万円が目安)、年会費、ゴルフ場によっては入会預託金です。
- ゴルフ会員権は相続税の課税対象となり、取引相場がある場合はその価格の70%で評価されるのが基本です。
- 相続したけれど使わない場合は、売却するという選択肢もあります。
手続きや税金のことで不安な点や、評価が難しいケースに直面した場合は、税理士などの専門家にご相談されるのも良い方法です。この記事が、あなたの手続きの一助となれば幸いです。
参考文献
ゴルフ会員権の名義書換に関するよくある質問まとめ
Q.ゴルフ会員権の名義書換にはどんな費用がかかりますか?
A.主にゴルフ場に支払う「名義書換料」、会員権業者への「仲介手数料」のほか、年会費の精算などが必要になる場合があります。
Q.名義書換の手続きの流れを教えてください。
A.会員権業者を通じて売買契約を結び、必要書類をゴルフ場へ提出します。ゴルフ場の入会審査で承認されれば、名義書換が完了となります。
Q.名義書換にはどのような書類が必要ですか?
A.会員証券、印鑑証明書、住民票などが一般的ですが、ゴルフ場ごとに規定が異なりますので、事前に必ず確認が必要です。
Q.手続きにはどれくらいの期間がかかりますか?
A.書類を提出してからゴルフ場の審査・承認を経て完了するまで、通常1~2ヶ月程度かかります。ゴルフ場の理事会の開催頻度によって変動します。
Q.相続したゴルフ会員権も名義書換できますか?
A.はい、可能です。通常の書類に加え、戸籍謄本や遺産分割協議書など相続を証明する書類が別途必要となります。
Q.名義書換をゴルフ場に拒否されることはありますか?
A.ゴルフ場が定める入会資格(年齢、国籍、他クラブ在籍状況など)を満たしていない場合や、面接等で入会が不適当と判断された場合に拒否されることがあります。