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ブロック塀のある道路は正面路線?相続税の土地評価で損しない判定法

2025-02-18
目次

相続で土地を評価するとき、角地のように複数の道路に面している土地は「正面路線」を決めなければなりません。原則として、路線価が高い方の道路が正面路線となります。でも、「路線価が高い方の道路との間にはブロック塀があって、実際には出入りしていない…」というケース、意外と多いんです。この場合、正面路線はどうやって判定するのでしょうか?この判断を間違えると、相続税を払い過ぎてしまう可能性もあるため、とても重要です。今回は、ブロック塀がある土地の正面路線の判定方法について、具体例を交えながらわかりやすく解説していきますね。

相続税の土地評価における「正面路線」とは?

まずは、土地評価の基本である「正面路線」についておさらいしましょう。これがなぜ重要なのかを知ることで、ブロック塀がある場合の考え方も理解しやすくなりますよ。

正面路線の基本的な決め方

土地が複数の道路に接している場合、どの道路を「正面」として評価額を計算するかの基準となるのが正面路線です。この正面路線は、単に「路線価が高い方」というわけではありません。正しくは、「路線価に奥行価格補正率を掛け合わせた金額が最も高くなる道路」が正面路線となります。

奥行価格補正率とは、土地の奥行きの長さに応じて評価額を調整するための率です。奥行きが標準的でない(長すぎる、または短すぎる)土地は使い勝手が悪くなるため、評価額を下げるために使われます。したがって、路線価が少し低くても、奥行価格補正率を掛け合わせたら金額が逆転することもあるんですよ。

なぜ正面路線が重要なのか?

正面路線の判定がなぜそんなに重要かというと、土地の評価額の根幹になるからです。土地の基本的な評価額は「正面路線の価額 × 土地の面積」で計算されます。さらに、角地や二方路地の場合は、正面路線ではない道路(側方路線や裏面路線)からの影響も加算して評価額を計算します(側方路線影響加算・二方路線影響加算)。

この加算額を計算する際にも、正面路線の価額が基準となります。つまり、どの道路を正面路線にするかによって、評価額全体が大きく変わってくる可能性があるのです。だからこそ、慎重な判定が必要になるんですね。

ブロック塀がある道路は正面路線になる?ケース別解説

それでは、本題の「ブロック塀がある場合」について見ていきましょう。ポイントは、ブロック塀があるという事実だけでなく、その周辺の状況を総合的に見ることです。

ケース1:ブロック塀がある「だけ」の場合

最も多いのがこのケースです。路線価が高い方の道路に面してはいるものの、所有者が防犯やプライバシー確保のためにブロック塀を設置し、門なども作らず出入り口として利用していない状態です。

この場合、結論から言うと原則として路線価が高い方(補正後の価額が高い方)が正面路線となります。税務上の考え方は、「所有者が自らの意思でブロック塀を設置しているだけで、それを取り壊せば利用できる状態」と判断されるからです。つまり、「使えるのに、あえて使っていないだけ」と見なされてしまうのです。たとえ長年その状態で利用していなくても、土地が本来持っている価値で評価するというのが基本スタンスです。

ケース2:ブロック塀に加えて「著しい高低差」がある場合

次に、ブロック塀があり、さらに道路と土地の間に物理的に越えられないほどの高低差があるケースです。例えば、道路が土地より2メートルも高い位置にあり、擁壁とブロック塀で仕切られているような場合です。

このような状況では、たとえブロック塀を壊したとしても、高低差が大きすぎて車両の乗り入れはもちろん、人の出入りも事実上不可能です。階段などを設置するにも大規模な造成工事が必要となり、多額の費用がかかります。

このように、道路からの効用(利用価値)が著しく低いと客観的に認められる場合には、その道路を正面路線とせず、実際に利用している路線価の低い方の道路を正面路線として申告することが認められる可能性があります。これは、土地の現況が利用を著しく妨げていると判断されるためです。

状況 正面路線の判定
ブロック塀のみ(高低差なし) 原則通り、補正後の路線価が高い方を正面路線とする。
ブロック塀+著しい高低差(物理的に利用不可) 実際に利用している道路を正面路線とできる可能性がある。

判断のポイントは「物理的な利用可能性」

結局のところ、税務署が重視するのは「その道路を物理的に利用できる可能性があるか」という点です。所有者の意思で設置したブロック塀は、意思決定一つで撤去できるため「利用可能性あり」と判断されます。一方で、大規模な造成が必要なほどの高低差や、間に水路があるなど物理的な障壁がある場合は「利用可能性が著しく低い」と判断されやすくなります。この違いをしっかり見極めることが大切です。

間違えやすい!正面路線判定の注意点

ブロック塀以外にも、正面路線の判定で注意すべき点がいくつかあります。思い込みで判断しないように、ポイントを押さえておきましょう。

普段使っている出入口は関係ない

「うちはいつもこっちの門から出入りしているから、こっちが正面だ」と考えがちですが、それは税務上の判断基準にはなりません。日常的にどの出入口を使っているか、玄関がどちらを向いているか、といった主観的な利用状況は、原則として正面路線の判定に影響しません。あくまで、路線価という客観的な数値に基づいて機械的に判定されるのが基本です。この点を混同しないように注意しましょう。

接道義務を満たしていない道路

建築基準法では、建物を建てるために「幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならない」という接道義務が定められています。もし、路線価が高い方の道路が建築基準法上の道路ではなかったり、接している間口が2メートル未満だったりして接道義務を満たしていない場合、その土地には建物を建てることができません。

このようなケースでは、たとえ路線価が高くても、その道路に接していることによる土地の価値は低いと評価されます。そのため、接道義務を満たしているもう一方の道路を正面路線として評価することが認められています。

実際に判定してみよう!計算例

ここで、具体的な数値を使って正面路線を判定する流れを見てみましょう。
例えば、以下のような角地があったとします。

【前提】
・土地の形状:長方形
・地区区分:普通住宅地区
・道路A(北側):路線価200,000円、土地の奥行き30m
・道路B(東側):路線価190,000円、土地の奥行き15m
・道路A側にはブロック塀があり、出入り口は道路B側にある

この場合、それぞれの道路の補正後の価額を計算します。

項目 道路A
路線価 200,000円
奥行距離 30m
奥行価格補正率 0.97
補正後の路線価 194,000円 (200,000円 × 0.97)
項目 道路B
路線価 190,000円
奥行距離 15m
奥行価格補正率 1.00
補正後の路線価 190,000円 (190,000円 × 1.00)

計算の結果、道路Aの補正後の価額(194,000円)が道路B(190,000円)を上回りました。この土地と道路Aの間に著しい高低差などの物理的な障壁がなければ、たとえブロック塀があって普段使っていなくても、道路Aが正面路線として扱われます。

専門家への相談も検討しよう

ここまで見てきたように、正面路線の判定は単純ではありません。特に、ブロック塀や高低差、がけ地、私道など、土地に特殊な事情がある場合は、判断が非常に難しくなります。評価額に何百万円、何千万円もの差が出ることも珍しくないため、もし少しでも判断に迷うようであれば、相続税に詳しい税理士や不動産鑑定士に相談することを強くおすすめします。専門家は現地の状況や役所での調査を通じて、最も適切な評価方法を導き出してくれますよ。

まとめ

今回は、ブロック塀がある土地の正面路線の判定について解説しました。最後に、大切なポイントをまとめておきましょう。

・正面路線は、原則として「路線価 × 奥行価格補正率」が最も高くなる道路です。
・単にブロック塀があるだけで、高低差などがない場合は、原則通り路線価が高い方が正面路線になります。
・ブロック塀に加えて、著しい高低差など物理的に利用できない事情があれば、実際に利用している道路を正面路線とできる可能性があります。
・判断の鍵は、主観的な利用状況ではなく「物理的な利用可能性」です。
・判定が難しいケースでは、専門家に相談することが適切な相続税申告への一番の近道です。

正面路線の判定は、相続税評価の入り口であり、非常に重要なステップです。正しい知識を身につけて、損のないように慎重に進めていきましょう。

ブロック塀と正面路線に関するよくある質問まとめ

Q.ブロック塀があるだけで、路線価が低い道路を正面路線にできますか?

A.いいえ、原則としてできません。所有者が自ら設置したブロック塀で、物理的に利用可能な場合は、路線価に奥行価格補正率を乗じた後の価額が高い方が正面路線となります。

Q.道路との高低差はどのくらいあれば考慮されますか?

A.明確な基準はありませんが、一般的に階段の設置が必要になるような1メートル以上の高低差があり、車両の出入りが不可能など、利用が著しく制限される場合に考慮される可能性が高まります。

Q.正面路線の判定を間違えるとどうなりますか?

A.土地の評価額が過大または過少になる可能性があります。過大に申告すると余分な相続税を払い、過少に申告すると後の税務調査で追徴課税や延滞税が発生するリスクがあります。

Q.普段使っている玄関側の道路が正面路線になりますか?

A.必ずしもそうとは限りません。正面路線は、日常的な利用状況ではなく、路線価と奥行価格補正率に基づいて客観的に判定されます。

Q.側方の道路との間にブロック塀と高低差がある場合、側方路線影響加算は適用されますか?

A.側方道路からの利用価値が全くないと判断される場合、側方路線影響加算が適用されない可能性があります。ただし、採光や通風などの便益はあると判断されることもあり、個別の状況に応じた判断が必要です。

Q.正面路線の判定は誰がするのですか?

A.相続税申告を行う相続人(または依頼を受けた税理士)が、財産評価基本通達に基づいて行います。その評価が妥当かどうかを最終的に判断するのは税務署です。

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