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不動産の評価と記載方法とは?固定資産税評価額は使える?

2026-02-04
目次

不動産である土地や建物を相続したり贈与されたりしたとき、その価値をいくらとして申告すればよいのか迷ってしまいますよね。税金の計算には「固定資産税評価額」と「相続税評価額」という2つの基準があり、それぞれ目的や使い道が違います。このブログでは、不動産の評価のポイントや具体的な計算方法、固定資産税評価額は相続税の計算に使えるのかどうかについて、優しくわかりやすく解説していきます。

不動産の評価額には種類があるって本当?

不動産の価値を表す価格には、目的に応じていくつかの種類が用意されています。代表的なものが固定資産税評価額相続税評価額です。これらを混同してしまうと、税金の計算を間違えてしまう原因になるため、まずはそれぞれの違いをしっかり確認しておきましょう。

固定資産税評価額とは?目的と調べ方

固定資産税評価額は、毎年支払う固定資産税や都市計画税、また不動産を買ったときにかかる不動産取得税や登録免許税を計算するための基準となる価格です。市区町村(東京23区の場合は東京都)が3年に1度、価格を見直して決定します。ご自身で評価額を調べる場合は、毎年4月から6月頃に役所から送られてくる「固定資産税の課税明細書」を見るか、役所の窓口で「固定資産課税台帳」を閲覧する、もしくは「固定資産評価証明書」を1件300円から400円程度の手数料を支払って取得することで確認できます。

相続税評価額とは?固定資産税評価額との違い

相続税評価額は、相続税や贈与税を計算するときに使うための価格です。役所が勝手に計算して教えてくれる固定資産税評価額とは違い、こちらは財産をもらった人ご自身で国のルール(財産評価基本通達)に従って計算しなければなりません。計算の手間がかかる反面、土地の形や使い道によっては評価額を大きく下げられる可能性があります。表に2つの違いをまとめましたので参考にしてみてください。

項目 固定資産税評価額と相続税評価額の違い
目的 固定資産税は毎年支払う税金の基準、相続税は相続・贈与時の税金の基準
評価の決定者 固定資産税は市区町村が決定、相続税は納税者自身がルールに沿って計算

土地の時価(実勢価格)と評価額の差額とは

土地が実際に市場で売買される価格のことを時価(実勢価格)と呼びます。実は、税金を計算するための評価額は、この時価よりも低く設定されているのが一般的です。国が毎年発表する公示価格を基準とした場合、固定資産税評価額は公示価格の約70パーセント、相続税評価額は公示価格の約80パーセントを目安に決められています。このように評価額が低く抑えられているのは、不動産はお金に換えるのに仲介手数料や税金などの費用がかかることや、急激な地価の変動から納税者を守るためです。

土地の相続税評価額の調べ方と計算方法

土地の相続税評価額を計算するには、大きく分けて路線価方式倍率方式という2つの計算方法があります。どちらを使うかは、その土地がある場所によって国税庁があらかじめ決めています。

市街地で使われる路線価方式の計算式

主に市街地にある土地は路線価方式で計算します。道路ごとに「1平方メートルあたり何千円か」という路線価が決められており、国税庁のホームページで毎年7月1日に公表されます。計算式は「路線価 × 土地の面積(平方メートル) × 各種補正率」です。例えば路線価が300千円(30万円)、面積が100平方メートルのきれいな正方形の土地なら、30万円 × 100平方メートル = 3,000万円が評価額となります。奥行きが長すぎる場合や形が歪な場合は、評価額を少し下げるための補正率を掛け算します。

路線価がない地域の倍率方式の計算式

路線価が定められていない郊外や農村部の土地は、倍率方式で計算します。この場合は、さきほど説明した固定資産税評価額が計算のベースになります。計算式は「固定資産税評価額 × 倍率」と非常にシンプルです。掛ける倍率は地域や土地の種類(宅地や田畑など)によって異なり、1.1倍や1.2倍といった数字が国税庁の「評価倍率表」に記載されています。土地の形が悪いことによるマイナス評価はすでに固定資産税評価額に反映されているため、倍率方式では形の補正は行いません。

固定資産税評価額から相続税評価額の目安を出す方法

路線価方式の土地であっても、「本格的な計算をする前に、ざっくりと相続税評価額の目安を知りたい」という場合がありますよね。そんなときは、お手元の固定資産税評価額を使うと便利です。先ほどお伝えした通り、固定資産税評価額は公示価格の70パーセント、相続税評価額(路線価)は80パーセントが目安です。そのため、「固定資産税評価額 × 1.14(80を70で割った数字)」を計算すると、おおよその相続税評価額がわかります。例えば固定資産税評価額が1,400万円の土地なら、1,400万円 × 1.14 = 約1,596万円が目安となります。

建物の相続税評価額の調べ方と計算方法

土地に比べて、建物の評価方法はとてもシンプルです。建物の相続税評価額の計算では、原則として固定資産税評価額をそのまま使うことができます。

自宅建物の評価額は固定資産税評価額と同じ

ご自身で住んでいる自宅の建物の場合、相続税評価額は「固定資産税評価額 × 1.0」となります。つまり、毎年春に送られてくる固定資産税の課税明細書に書かれている価格そのものが、相続税や贈与税を計算するときの建物の価値になります。わざわざ再建築にかかる費用を計算したり、築年数に応じた細かい減価償却の計算をご自身でする必要はありません。

人に貸している建物の評価額の計算式

アパートやマンションなど、第三者に貸している建物の場合は、ご自身が自由に使えるわけではないため評価額が下がります。計算式は「固定資産税評価額 × (1 - 借家権割合30パーセント × 賃貸割合)」です。借家権割合は全国一律で30パーセントと決まっています。賃貸割合は、満室であれば100パーセント(1.0)です。例えば固定資産税評価額が2,000万円で満室のアパートなら、2,000万円 × (1 - 0.3 × 1.0) = 1,400万円まで評価額を下げることができます。

土地の評価額を下げる!減額できる要素とは

土地の相続税評価額は、ただ面積と単価を掛け算するだけでなく、土地の使われ方や特徴によって大きく減額できる特例やルールがたくさんあります。

貸宅地・貸家建付地の要件と減額割合

ご自身の土地を第三者に貸して建物を建てさせている場合を貸宅地、ご自身の土地にご自身でアパートなどを建てて第三者に部屋を貸している場合を貸家建付地と呼びます。他人が使っている権利の分だけ土地の価値が下がるため、貸宅地の場合は「自用地の評価額 × (1 - 借地権割合)」、貸家建付地の場合は「自用地の評価額 × (1 - 借地権割合 × 借家権割合30パーセント × 賃貸割合)」で計算します。借地権割合は地域によって30パーセントから90パーセントの間で決められています。

小規模宅地等の特例の要件と限度面積

亡くなった方が住んでいたご自宅の土地や、商売をしていた事業用の土地を引き継ぐ場合、小規模宅地等の特例という非常に有利な制度が使えます。ご自宅の土地(特定居住用宅地等)であれば、配偶者や同居していたご親族が相続するなどの要件を満たすことで、330平方メートルまでの部分について評価額が80パーセントも減額されます。事業用の土地(特定事業用宅地等)であれば400平方メートルまで80パーセント減額、人に貸している土地(貸付事業用宅地等)であれば200平方メートルまで50パーセント減額となります。

特例の種類 限度面積と減額割合
特定居住用(ご自宅) 330平方メートルまで80パーセント減額
貸付事業用(アパートなど) 200平方メートルまで50パーセント減額

不整形地や地積規模の大きな宅地の補正

形が三角形やL字型など歪な土地(不整形地)は、家を建てにくいため不整形地補正率を掛けて評価額を下げます。また、面積が広すぎる土地(三大都市圏では500平方メートル以上、それ以外の地域では1,000平方メートル以上)は、地積規模の大きな宅地の評価というルールを適用して規模格差補正率を掛け、評価額を大きく下げることが可能です。これ以外にも、線路沿いで騒音がひどい土地や、周囲より極端に低い土地などは、利用価値が著しく低下しているとして10パーセントの減額が認められるケースがあります。

固定資産税評価額を下げて節税するためのポイント

固定資産税評価額そのものを適正な価格まで下げる工夫をすれば、毎年払う固定資産税だけでなく、倍率方式の地域の相続税評価額も下げることができます。

住宅用地の特例を適用させる

土地の上に人が住むための家屋が建っていると、住宅用地の特例が適用されて固定資産税が安くなります。住宅1戸につき200平方メートルまでの部分(小規模住宅用地)は、固定資産税の課税標準額が評価額の6分の1に、200平方メートルを超える部分は3分の1に減額されます。空き家を取り壊して更地にしてしまうとこの特例が外れて税金が最大6倍に跳ね上がるため、取り壊しのタイミングには注意が必要です。

土地の分筆や私道(公衆用道路)の申告

1つの土地(1筆)の中に、ご自宅と貸駐車場など違う使い道が混ざっている場合、土地を分筆(登記上で分けること)して用途ごとに評価してもらうことで、全体の固定資産税評価額が下がる可能性があります。また、ご自身の土地の一部が通り抜けできる私道として不特定多数の人に使われている場合、市区町村に公衆用道路として申告することで、その部分の固定資産税を非課税にすることができます。相続税の評価でも、不特定多数が通る私道は評価額がゼロになります。

まとめ

不動産の評価額には、主に市区町村が決める固定資産税評価額と、国税庁のルールで計算する相続税評価額があります。ご自宅の建物や、路線価がない倍率地域の土地の相続税評価をする際には、固定資産税評価額の数字をそのまま、あるいは倍率を掛けて使うことができます。一方で、市街地の土地は路線価をもとにご自身で計算する必要があり、形がいびつな場合やアパートを建てている場合、特例を使える場合などは計算がとても複雑になります。損をせずに適正な価格で記載するためにも、不動産の評価の基本をしっかり押さえておきましょう。

参考文献

国税庁 No.4602 土地家屋の評価

国税庁 No.4606 倍率方式による土地の評価

不動産の評価と固定資産税評価額に関するよくある質問まとめ

Q.固定資産税評価額とは何ですか?

A.毎年納める固定資産税や都市計画税、不動産を買ったときの不動産取得税などを計算する基準となる価格です。市区町村が3年に1度決定し、毎年春に送られてくる課税明細書で確認できます。

Q.相続税の計算に固定資産税評価額は使えますか?

A.建物の場合は、固定資産税評価額をそのまま相続税評価額として使えます。土地の場合は、路線価が定められていない倍率地域であれば、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて使います。

Q.路線価方式の土地の評価額はどう計算しますか?

A.国税庁が公表する路線価(道路ごとの1平方メートルあたりの価格)に、土地の面積を掛け算して求めます。土地の形が悪い場合や奥行きが長い場合は、補正率を掛けて評価額を減額します。

Q.小規模宅地等の特例とはどのような制度ですか?

A.亡くなった方のご自宅や事業に使っていた土地を同居親族などが引き継ぐ場合、決められた面積(ご自宅なら330平方メートル)まで土地の評価額を最大80パーセント減額できる有利な制度です。

Q.アパートを建てて人に貸している土地の評価はどうなりますか?

A.貸家建付地と呼ばれ、他人に貸している権利の分だけご自身で自由に使えないため、自用地の評価額から、借地権割合と借家権割合(30パーセント)、賃貸割合を掛けた金額を差し引いて低く評価されます。

Q.固定資産税評価額から相続税評価額の目安を知ることはできますか?

A.はい、ざっくりとした目安を計算することができます。固定資産税評価額は公示価格の約70パーセント、路線価は約80パーセントに設定されているため、固定資産税評価額に1.14を掛けた金額がおおよその目安となります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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