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不動産オーナー必見!個人の不動産経営でも支払調書は必要?

2025-03-22
目次

不動産経営が大きくなってくると、「これって個人事業主だけど、法人と同じような手続きが必要なのかな?」と疑問に思うことがありますよね。特に「支払調書」や「法定調書」といった書類は、聞き慣れない方も多いかもしれません。事業的規模で不動産経営をしている個人オーナーさんは、これらの書類を作成・提出する必要があるのでしょうか?今回は、個人で不動産経営をされている方向けに、支払調書や法定調書の提出義務について、わかりやすく解説していきますね。

そもそも法定調書・支払調書とは?

まずは、言葉の意味から確認しておきましょう。「法定調書」と「支払調書」、この2つの関係性を知ることが最初のステップです。

法定調書ってどんな書類?

法定調書とは、簡単に言うと「税務署が皆さんのお金の流れを正確に把握するために、法律で提出が義務付けられている書類」のことです。所得税法や相続税法などの法律に基づいて、「誰が、誰に、どんな内容で、いくら支払ったか」を報告するために使われます。税務署は、この法定調書と確定申告の内容を照らし合わせることで、申告漏れがないかなどを確認しています。法定調書には全部で60種類以上もの書類があるんですよ。

支払調書は法定調書の一種

そして、今回テーマになっている「支払調書」は、その法定調書の中の一つの種類です。つまり、支払調書は法定調書という大きな枠組みの中に含まれる書類ということですね。不動産経営に関連する支払調書には、いくつか代表的なものがあります。例えば、不動産の家賃や、税理士さんへの報酬などを支払った場合に作成が必要になることがあります。

なぜ提出が必要なの?

支払調書を提出する一番の目的は、税金の申告が正しく行われているかを確認するためです。例えば、あなたが修繕業者さんに100万円の工事費を支払ったとします。このとき、あなたが支払調書を税務署に提出すると、税務署は「修繕業者さんは、あなたから100万円の収入を得ているはずだ」と把握できます。そして、修繕業者さんの確定申告で、この100万円がきちんと売上として申告されているかを確認するわけです。このように、支払調書は、取引の透明性を高め、公平な課税を実現するためにとても大切な役割を担っているのです。

不動産経営で支払調書の提出が必要になるケースは?

では、具体的に個人の不動産オーナーがどんな支払いをしたときに、支払調書の提出が必要になる可能性があるのでしょうか。ここでは、不動産経営でよくある4つの支払調書について見ていきましょう。

「不動産の使用料等の支払調書」

これは、事務所や店舗、土地などの家賃(使用料)や、権利金、更新料などを支払った場合に提出が必要になる支払調書です。個人で不動産経営をされている方が、他の物件を事務所として借りている場合などが考えられますね。同一の相手(個人)に対して、年間の支払額が15万円を超える場合に提出義務が生じます。

「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」

これは、不動産の売買や賃貸の仲介をしてくれた不動産会社などに「あっせん手数料(仲介手数料)」を支払った場合に必要となる支払調書です。入居者さんを見つけてもらった時などに支払う手数料がこれにあたります。同一の相手に対して、年間の支払額が15万円を超える場合に提出が必要です。

「不動産等の譲受けの対価の支払調書」

これは、投資用の物件を購入するなど、不動産を譲り受けた(買った)場合に、その対価を支払ったときに必要となる支払調書です。同一の相手に対して、年間の支払額が100万円を超える場合に提出義務が生じます。

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」

これは、弁護士や税理士、司法書士といった専門家へ報酬を支払った場合や、フリーランスのデザイナーに広告作成を依頼した場合などに必要となる支払調書です。確定申告を税理士さんにお願いしている方は、このケースに当てはまる可能性があります。同一の相手(個人)に対して、年間の支払額が5万円を超える場合に提出が必要です。

【ケース別】支払調書の提出義務がある人

「自分も提出しないといけないの?」と不安に思った方もいるかもしれません。実は、支払調書は誰でも提出しなければならないわけではありません。法律で提出義務者が決められています。

提出義務があるのは「法人」と「不動産業者である個人」

不動産関連の支払調書(「不動産の使用料等」「あっせん手数料」「譲受けの対価」)の提出義務があるのは、原則として「法人」「不動産業者である個人」です。つまり、個人であっても「不動産業者」に該当する場合は、支払調書の提出義務者となります。

「不動産業者である個人」とは?

ここでいう「不動産業者である個人」とは、不動産の売買、交換、賃貸借の代理や仲介、管理などを事業として行っている個人のことを指します。不動産の賃貸、いわゆる大家業もこの「不動産業」に含まれます。

事業的規模の不動産オーナーは提出義務があるの?

結論から言うと、事業的規模で不動産経営を行っている個人オーナーは、「不動産業者である個人」に該当し、支払調書の提出義務が生じる可能性が高いです。
「5棟10室基準」などを満たし、事業として不動産貸付を行っている場合は、単なる資産運用ではなく「不動産業」を営んでいると見なされます。そのため、先ほど挙げたような特定の支払いを行った際には、支払調書を作成して税務署に提出する必要がある、と考えておくのが安全です。
ただし、例外として「主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいる」不動産業者の個人には、提出義務がないとされています。とはいえ、ご自身のケースで判断に迷う場合は、管轄の税務署や税理士に確認することをおすすめします。

各支払調書の提出要件をチェック!

ご自身に提出義務があると分かったら、次は具体的にどんな場合にどの支払調書を提出する必要があるのか、金額の基準などをしっかり確認しましょう。分かりやすく表にまとめました。

支払調書の種類 提出が必要になる金額の基準(年間・同一人あたり)
不動産の使用料等の支払調書 15万円を超える支払(家賃、権利金、更新料など)
不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書 15万円を超える支払(仲介手数料など)
不動産等の譲受けの対価の支払調書 100万円を超える支払(物件購入代金など)
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 5万円を超える支払(税理士報酬など)

注意点として、「不動産の使用料等の支払調書」は、支払先が法人の場合、家賃や賃借料のみの支払いであれば提出は不要です。権利金や更新料などを支払った場合にのみ対象となります。支払先が個人の大家さんである場合は、家賃も対象になります。

支払調書の提出手続き

最後に、支払調書の提出手続きについて解説します。提出義務があるのに忘れてしまうと罰則の対象になる可能性もあるので、しっかり押さえておきましょう。

提出期限はいつまで?

支払調書の提出期限は、原則として、支払いを行った年の翌年1月31日です。例えば、2024年中に支払った家賃や報酬に関する支払調書は、2025年1月31日までに提出する必要があります。毎年、確定申告の準備と重なる時期なので、早めに準備を始めると安心ですね。

どこにどうやって提出する?

支払調書は、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」という書類と一緒に、納税地を管轄する税務署に提出します。提出方法は、税務署の窓口に直接持参するほか、郵送やe-Tax(電子申告)を利用することもできます。前々年に提出した法定調書の枚数が種類ごとに100枚以上の場合には、e-Taxなど電子的な方法での提出が義務付けられています。

提出しなかった場合の罰則

もし、正当な理由なく期限までに支払調書を提出しなかったり、偽りの記載をして提出したりした場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。うっかり忘れていた、ということがないように、提出義務と期限はしっかりと管理しましょう。

まとめ

今回は、事業的規模で不動産経営を行う個人オーナーの支払調書・法定調書の提出義務について解説しました。
ポイントをまとめると、

  • 事業的規模の不動産オーナーは「不動産業者である個人」と見なされ、支払調書の提出義務が生じる可能性が高いです。
  • 家賃や仲介手数料、税理士報酬など、一定金額を超える特定の支払いを行った場合に提出が必要です。
  • 提出期限は翌年の1月31日で、法定調書合計表と一緒に所轄の税務署へ提出します。

となります。不動産経営の規模が大きくなると、税務上の手続きも複雑になってきます。ご自身の状況で判断に迷う場合は、必ず税務署や顧問税理士などの専門家に相談するようにしてくださいね。

参考文献

国税庁 No.7400 法定調書の提出義務者

国税庁 No.7401 法定調書の種類

国税庁 No.7431 「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数等

国税庁 No.7441 「不動産の使用料等の支払調書」の提出範囲等

国税庁 No.7442 「不動産等の譲受けの対価の支払調書」の提出範囲等

国税庁 No.7443 「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」の提出範囲等

不動産経営の支払調書に関するよくある質問まとめ

Q.そもそも支払調書って何ですか?

A.支払調書とは、法律で税務署への提出が義務付けられている「法定調書」の一種です。「誰に、どのような内容で、年間いくら支払ったか」を税務署に報告するための書類で、税務署が取引内容やお金の流れを正確に把握するために利用されます。

Q.事業的規模の不動産オーナーは、必ず支払調書を出さないといけないのですか?

A.はい、その可能性が非常に高いです。事業的規模の不動産経営者は「不動産業者である個人」に該当すると考えられ、法律で定められた支払調書の提出義務者となります。税理士報酬や仲介手数料、家賃などの支払いが一定額を超えた場合に、支払調書を税務署へ提出する必要があります。

Q.管理会社に物件の管理を委託している場合、支払調書の提出は誰がしますか?

A.支払調書の提出義務は、支払いを行った本人にあります。たとえ管理会社が家賃の集金などを代行していても、賃貸契約の当事者であり、事業主であるオーナー様ご自身が提出義務者となるのが一般的です。

Q.法人に支払った事務所の家賃も支払調書の対象になりますか?

A.いいえ、法人に支払う家賃や賃借料のみの場合は、「不動産の使用料等の支払調書」の提出は必要ありません。ただし、同じ法人に権利金や更新料などを支払った場合は、その部分について支払調書の提出が必要になります。

Q.支払調書の提出を忘れたらどうなりますか?

A.正当な理由なく法定調書を期限までに提出しなかったり、偽りの記載をして提出したりすると、所得税法により1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。提出義務がある場合は必ず期限内に提出しましょう。

Q.支払調書は、支払い相手にも渡す必要がありますか?

A.法律上、支払調書を支払い相手(例:報酬を支払った税理士など)へ交付する義務はありません。提出義務があるのは税務署に対してのみです。ただし、慣習として、確定申告の参考資料として相手に写しを交付するケースも多くあります。

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