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交通事故死で運転手を信じない方がいい理由|遺族が知るべきこと

2025-01-17
目次

突然の交通事故で大切なご家族を亡くされたこと、心からお悔やみ申し上げます。計り知れない悲しみと混乱の中、これからどうすればいいのか、途方に暮れていらっしゃるかもしれません。

そんな大変な状況で、事故の加害者である運転手と向き合わなければならないのは、本当に辛いことです。相手を許せない気持ちと、今後の手続きへの不安で、心が張り裂けそうになることもあるでしょう。

しかし、こんな時だからこそ、少しだけ冷静になる必要があります。なぜなら、加害者である運転手の言葉を安易に信じてしまうと、本来受け取れるはずの正当な補償を受けられず、後悔することになりかねないからです。

この記事では、なぜ運転手の話を鵜呑みにしてはいけないのか、そして、ご遺族としてどのように行動すればよいのかを、優しく丁寧にご説明します。どうか一人で抱え込まず、ご自身の心と権利を守るために、知っておいてくださいね。

なぜ交通事故の加害者(運転手)の言葉を信じてはいけないのか

事故を起こした運転手は、あなたと同じように、あるいはそれ以上に動揺しています。そして残念ながら、その動揺や自己保身の気持ちから、ご遺族にとって不利益な言動をとることが少なくありません。運転手の言葉をそのまま信じることには、いくつかの大きなリスクが伴います。

事故直後の加害者の心理状態

交通事故の直後、加害者は極度のパニック状態に陥っています。自分が人の命を奪ってしまったという事実に直面し、正常な判断ができないことが多いのです。「申し訳ない」という謝罪の気持ちがある一方で、「自分の責任を少しでも軽くしたい」「これからどうなってしまうのだろう」という強い自己保身の心理が働きます。このため、無意識に自分に都合の良い記憶を組み立ててしまったり、事実と異なる説明をしたりすることがあります。

証言の変遷と保身行動

事故直後は謝罪していた加害者が、時間が経つにつれて証言を変えるケースは珍しくありません。例えば、「自分は制限速度を守っていた」「被害者の方が急に飛び出してきたように見えた」など、自身の過失を小さく見せるための主張を始めることがあります。これは、弁護士や保険会社の担当者からアドバイスを受け、自分に有利な状況を作ろうとするためです。一度「信じてしまった」後で証言を覆されると、ご遺族はさらに深く傷つくことになります。

安易な示談交渉の危険性

ご遺族が葬儀などで心身ともに疲弊している時期を見計らって、加害者やその保険会社が示談を急かしてくることがあります。「誠意としてこれだけお支払いします」と提示される金額は、一見すると大きな額に見えるかもしれません。しかし、それは弁護士が介入した場合に得られる正当な賠償額よりも、はるかに低い金額であることがほとんどです。一度示談書にサインしてしまうと、原則としてそれ以上の請求はできなくなります。だからこそ、相手のペースに乗せられず、慎重に対応することが何よりも大切なのです。

交通事故の死亡慰謝料と損害賠償の内訳

ご家族を亡くされた悲しみは、お金で癒えるものではありません。しかし、残されたご家族が今後の生活を送っていく上で、正当な補償を受けることは非常に重要です。運転手や保険会社から提示された金額が妥当かどうかを判断するためにも、損害賠償にはどのような項目があり、どのくらいの金額が一般的なのかを知っておきましょう。

死亡慰謝料の相場

死亡慰謝料とは、亡くなられたご本人の精神的苦痛と、ご遺族の精神的苦痛に対して支払われるお金のことです。この慰謝料の計算には3つの基準(自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準)がありますが、最も高額で正当な基準とされるのが「弁護士基準(裁判基準)」です。保険会社が最初に提示してくるのは、これより低い基準であることがほとんどです。

亡くなられた方の立場 慰謝料の目安(弁護士基準)
一家の支柱(家庭の生計を支えていた方) 2,800万円程度
母親、配偶者 2,500万円程度
その他(独身の男女、子ども、高齢者など) 2,000万円~2,500万円程度

これはあくまで目安であり、事故の状況などによって金額は変わります。

逸失利益とは?

逸失利益(いっしつりえき)とは、もし事故がなければ、亡くなられた方が将来得られたはずの収入や利益のことを指します。これは、故人の年齢、職業、収入などをもとに計算され、損害賠償の中でも非常に大きな割合を占める項目です。計算は専門的で複雑になりますが、「将来得られたはずの収入」から「将来かかったはずの生活費」などを差し引いて算出します。この逸失利益を正しく計算し請求することが、残されたご家族の生活を守るために不可欠です。

その他の損害賠償項目

慰謝料や逸失利益の他にも、以下のような費用を請求することができます。

  • 葬儀費用:原則として150万円が上限とされていますが、それを超える場合でも認められることがあります。
  • 死亡までの治療費や入院費:事故後、病院に搬送され治療を受けた場合の費用です。
  • 付添看護費:入院中にご家族が付き添った場合の費用です。
  • 交通費:病院への見舞いや葬儀場への移動にかかった交通費です。

運転手の刑事責任と民事責任

交通事故の加害者は、「刑事責任」と「民事責任」という2つの責任を負うことになります。この2つは全く別の手続きで進められますので、違いを理解しておくと、今後の流れを把握しやすくなりますよ。

刑事責任:加害者に科される罰

刑事責任とは、法律を破ったことに対する国からの罰です。死亡事故の場合、加害者には「過失運転致死罪」や、飲酒運転などの悪質なケースでは「危険運転致死罪」といった罪が問われます。警察や検察が捜査を進め、裁判によって懲役刑や禁錮刑などの刑罰が決まります。これは、あくまで国が加害者に対して行う手続きであり、ご遺族への賠償とは直接関係ありません。

民事責任:遺族への損害賠償

民事責任とは、事故によってご遺族が被った損害を、金銭によって賠償する責任のことです。これは、加害者(とその保険会社)とご遺族との間の問題であり、示談交渉や民事裁判を通じて解決を目指します。刑事裁判で加害者に重い罰が科されたからといって、自動的に十分な賠償金が支払われるわけではない、ということを覚えておいてください。ご遺族が正当な賠償を受けるためには、民事の手続きをきちんと進める必要があります。

遺族が取るべき具体的な行動ステップ

悲しみの中で様々な手続きを進めるのは、本当に大変なことです。ですが、後悔しないために、いくつか押さえておくべきポイントがあります。焦らず、一つひとつ確認していきましょう。

すぐに弁護士に相談する

何よりもまず、交通事故、特に死亡事故の対応に詳しい弁護士に相談することを強くお勧めします。専門家である弁護士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。

  • 加害者や保険会社との交渉をすべて任せられるため、精神的な負担が大きく減ります。
  • 法的に正当な賠償額(弁護士基準)で交渉を進めてもらえます。
  • 今後の手続きの流れや必要なことを分かりやすく説明してくれます。

多くの法律事務所では無料相談を行っています。一人で悩まず、まずは専門家の話を聞いてみてください。

証拠の確保を怠らない

事故の状況を客観的に証明する証拠は、交渉を有利に進めるために非常に重要です。警察が作成する「実況見分調書」や「供述調書」といった刑事記録は、事故の過失割合を判断する上で大切な資料になります。これらの証拠の取り寄せも、弁護士に依頼すればスムーズに進めてくれます。もし、ドライブレコーダーの映像や目撃者の方がいらっしゃる場合は、その情報も大切に保管しておきましょう。

加害者側の保険会社とのやり取り

加害者が加入している保険会社の担当者は、あくまで加害者側の立場です。ご遺族に寄り添うような言葉をかけてきても、その目的は「自社の支払いをできるだけ少なく抑えること」にあります。担当者から言われたことを鵜呑みにせず、すべての連絡や交渉は弁護士を通すようにしましょう。「これが弊社で支払える上限です」と言われても、安易に同意してはいけません。

相続手続きも忘れずに

ご家族が亡くなられた場合、交通事故の賠償問題と並行して、相続の手続きも進める必要があります。これも大切な手続きですので、忘れないようにしましょう。

損害賠償請求権の相続

故人が受け取るはずだった損害賠償金(慰謝料や逸失利益など)を請求する権利は、「相続財産」として法定相続人が引き継ぐことになります。そのため、誰が相続人になるのかを戸籍謄本などで確認し、相続人全員で協力して手続きを進めていく必要があります。

相続税申告の必要性

交通事故の賠償金は、その内容によって相続税の対象になるものとならないものがあります。基本的に、故人の死亡に対して支払われる慰謝料や逸失利益、葬儀費用などは、相続税の対象にはなりません。これは、残された遺族の生活保障などの意味合いが強いからです。ただし、故人が生前に受け取るはずだった治療費の未払い分や、事故とは関係のない預貯金や不動産といった財産がある場合は、それらを合計した金額によっては相続税の申告が必要になります。相続税の申告と納税は、亡くなられたことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があるので、注意してくださいね。

まとめ

交通事故で突然ご家族を失った悲しみは、決して消えることはありません。そんな辛い状況で、加害者と向き合い、複雑な手続きを進めていくのは本当に過酷なことです。

しかし、一番お伝えしたいのは、「加害者の言葉を信じすぎず、ご自身の権利をしっかりと守ってください」ということです。運転手の言葉に惑わされず、保険会社のペースに乗せられず、冷静に対応することが、故人の無念を晴らし、残されたご家族が未来へ向かって一歩を踏み出すために不可欠です。

どうか、すべての負担を一人で背負い込まないでください。信頼できる弁護士という専門家を味方につけることで、精神的な負担を大きく減らし、心穏やかに故人を偲ぶ時間を持つことができます。それが、ご自身とご家族の未来を守るための、最も確実な方法です。

参考文献

国税庁|No.4111 交通事故の損害賠償金

交通事故で運転手の話を信じられない時のよくある質問まとめ

Q.交通事故で家族が亡くなりました。加害者の説明に納得できません。どうすればいいですか?

A.まずはドライブレコーダーや防犯カメラの映像、目撃者の証言など客観的な証拠を集めることが重要です。加害者側の言い分を鵜呑みにせず、できるだけ早く弁護士に相談し、今後の対応についてアドバイスを受けることをお勧めします。

Q.警察の捜査だけで真実は明らかになりますか?

A.警察の捜査は刑事責任を問うためのものであり、必ずしも遺族が望む真実の全てが解明されるとは限りません。特に民事的な過失割合などについては、遺族側で独自に証拠を集め、主張していく必要があります。

Q.死亡事故の遺族ができる証拠集めには何がありますか?

A.事故現場の写真撮影、周辺の店舗や住宅への防犯カメラ映像の提供依頼、目撃者を探す看板の設置などが考えられます。事故から時間が経つと証拠が失われる可能性があるので、迅速に行動することが大切です。

Q.交通事故に詳しい弁護士に相談するタイミングはいつが良いですか?

A.事故直後のなるべく早い段階で相談することが望ましいです。特に、加害者側の保険会社と話をする前に一度相談することで、不利な状況に陥るのを避けられます。初期対応がその後の結果を大きく左右します。

Q.加害者側の保険会社の担当者の言うことは信じていいのでしょうか?

A.いいえ、鵜呑みにするのは危険です。保険会社の担当者は加害者側の立場であり、支払う賠償金を低く抑えようとする傾向があります。提示された内容に安易に同意せず、必ず弁護士に確認してください。

Q.運転手が嘘の証言をしているようです。どう対抗すればいいですか?

A.実況見分調書やドライブレコーダー、車両の損傷状況、現場の痕跡など、客観的な証拠に基づいて相手の証言の矛盾を指摘します。専門家の協力も得ながら、証拠をもって冷静に反論していくことが重要です。

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