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休眠会社に税務署からお尋ねが!法人税・消費税の申告、どうする?

2025-11-22
目次

会社を休眠させていたのに、ある日突然、税務署から「法人税及び消費税の申告についてのお尋ね」という書類が届いたら、驚いてしまいますよね。「休眠中なのに申告が必要なの?」「何か悪いことをしてしまったのかな?」と不安になるかもしれません。でも、大丈夫です。この記事では、休眠会社に税務署からお尋ねが届いた場合の対応方法を、分かりやすく丁寧にご説明しますね。

なぜ休眠会社に税務署から「お尋ね」が届くの?

まず、なぜ活動していないはずの休眠会社に税務署から連絡が来るのか、その理由から見ていきましょう。慌てずに、まずは状況を正しく理解することが大切ですよ。

休眠会社でも税務上の申告義務はある

会社を「休眠」させる手続き(異動届出書の提出)をしても、会社自体がなくなったわけではありません。法的には会社は存続しているため、法人税や消費税の申告義務は原則として残っているんです。税務署は、すべての法人がきちんと申告しているかを確認する義務があるため、申告期限を過ぎても提出がない会社に対して「申告してくださいね」というお知らせとして「お尋ね」を送ってくるのです。

「お尋ね」は税務調査の連絡ではない

「税務署からの手紙」と聞くと、すぐに税務調査をイメージして焦ってしまうかもしれませんが、この「お尋ね」は税務調査の事前通知とは違います。あくまで「申告書が提出されていませんが、どうなっていますか?」という確認の書類です。ですから、この時点で過度に心配する必要はありません。誠実に対応すれば問題ありませんよ。

無視は絶対にNG!放置するリスク

「休眠中だから関係ない」と思って「お尋ね」を無視してしまうのは絶対にやめましょう。放置していると、税務署から督促状が届いたり、電話がかかってきたりすることがあります。最悪の場合、税務署の職権で調査が行われ、本来払う必要のなかった税金や延滞税、無申告加算税といったペナルティが課される可能性もあります。必ず何らかのアクションを起こすことが重要です。

税務署からのお尋ねが届いたら、まず何をすべき?

では、実際に「お尋ね」の封筒が手元に届いたら、具体的にどう動けばよいのでしょうか。手順を追ってご説明します。

書類の内容をしっかり確認する

まずは落ち着いて、送られてきた書類に目を通しましょう。どの事業年度の申告についてのお尋ねなのか、回答期限はいつまでか、担当部署や連絡先はどこか、といった基本情報を確認します。多くの場合、同封されている「申告についてのお尋ね」という書類に、申告書の提出状況を回答する欄があります。

会社の状況を整理する

次に、お尋ねの対象となっている事業年度に、会社の活動が本当に全くなかったかを確認しましょう。例えば、以下のような点を確認してみてください。

  • 売上や仕入れは一切なかったか?
  • 預金利息などの収入はなかったか?
  • 事務所の家賃や通信費などの経費の支払いはなかったか?

もし少しでもお金の動きがあれば、申告内容に関わってきます。

税務署に連絡してみる

書類を読んでもどうすればよいか分からない場合や、状況を伝えたい場合は、書類に記載されている担当部署に電話してみるのも一つの方法です。「休眠中であること」「事業活動がなかったこと」を伝えれば、今後の手続きについて丁寧に教えてくれることが多いです。正直に状況を話すことが大切ですよ。

具体的な対応方法|申告書の提出

「お尋ね」への最も誠実な対応は、期限内に申告書を提出することです。休眠中の会社の申告は、それほど複雑ではありません。

利益ゼロ(所得0円)で申告する

休眠中で事業活動による売上も経費も一切ない場合、基本的には所得金額を0円として申告します。法人税は所得に対して課税されるため、所得が0円であれば法人税額も0円となります。同様に、消費税も課税売上がなければ納税額は0円です。申告書を作成し、「所得0円、納税額0円」として提出しましょう。

法人住民税の均等割について

法人税が0円でも、多くの会社は法人住民税の「均等割」を支払う義務があります。これは、会社の所得に関わらず、法人が存在すること自体に対して課される税金です。資本金1,000万円以下、従業員50人以下の会社の場合、最低でも年間約7万円がかかります。
ただし、自治体によっては、休業の届出を提出することで、この均等割が免除または減額される場合があります。お尋ねが届いたことを機に、会社の所在地がある都道府県税事務所や市区町村役場に確認してみましょう。

法人住民税均等割の目安(資本金1,000万円以下・従業員50人以下の場合)
税の種類 税額(年額)
都道府県民税 20,000円~
市町村民税 50,000円~
合計 70,000円~

※税額は自治体によって異なります。

青色申告の承認取消に注意

もしあなたの会社が青色申告の承認を受けている場合、注意が必要です。2期連続で期限内に申告書を提出しないと、青色申告の承認が取り消されてしまいます。青色申告には、赤字(欠損金)を最大10年間繰り越せるという大きなメリットがあります。将来事業を再開したときに、過去の赤字と将来の黒字を相殺して節税できる重要な制度です。この権利を失わないためにも、所得が0円でも申告書はきちんと提出しておくことを強くおすすめします。

休眠中の申告をしないとどうなる?

お尋ねを無視して申告もしなかった場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか。改めて確認しておきましょう。

無申告加算税や延滞税のリスク

もし預金利息などでわずかでも所得があった場合、本来納めるべき税金が発生します。その状態で無申告のままでいると、本来の税額に加え、ペナルティとして無申告加算税(納付税額の15%~20%)や、納付が遅れた日数に応じた延滞税が課されてしまいます。

2期連続無申告で青色申告が取り消される

先ほども触れましたが、これは非常に大きなデメリットです。事業再開の可能性が少しでもあるなら、青色申告の維持は必須と考えましょう。所得0円の申告書を提出するだけで維持できるので、手間を惜しまず対応したいところです。

「みなし解散」のリスク

これは税務とは少し異なりますが、株式会社の場合、最後の登記から12年間何も登記手続き(役員変更など)を行わないと、法務局によって「みなし解散」として扱われ、強制的に解散させられてしまう可能性があります。休眠中でも役員の任期は満了しますので、定期的な役員変更登記は忘れないようにしましょう。税務署へ申告を続けていれば、会社の存在を意識し続けることにも繋がり、こうした登記忘れを防ぐ効果も期待できます。

専門家への相談も検討しよう

「自分で申告書を作るのは難しそう」「忙しくて対応する時間がない」という場合は、税理士などの専門家に相談するのも一つの手です。休眠中の会社の申告であれば、比較的安価に対応してくれる事務所も多いです。一度相談して、申告書の作成や提出を代行してもらうと安心ですよ。今後の会社運営(事業再開や解散・清算など)についてもアドバイスをもらえるかもしれません。

まとめ

休眠会社に税務署から「法人税及び消費税の申告についてのお尋ね」が届いたら、まずは慌てずに内容を確認し、所得0円で申告書を提出するのが基本の対応です。無視や放置は、延滞税や青色申告の承認取消など、さまざまなリスクに繋がります。事業活動がなくても申告義務があることを理解し、誠実に対応しましょう。もし対応に不安があれば、税務署の担当部署や税理士に相談してみてくださいね。

参考文献

国税庁 法人税及び地方法人税の申告

国税庁 欠損金の繰越し

法務省 休眠会社・休眠一般法人の整理作業について

休眠会社の税務申告に関するお尋ねのよくある質問まとめ

Q.休眠会社なのに、なぜ税務署から申告のお尋ねが届くのですか?

A.法務局への休眠届とは別に、税務署へ「異動届出書」で休業の届出をしていない場合、税務署は会社の活動状況を把握できないため、申告確認のために「お尋ね」が送付されます。

Q.税務署からのお尋ねは無視しても大丈夫ですか?

A.絶対に無視しないでください。放置すると、青色申告の承認が取り消されたり、税務署から確認の連絡が入ったりする可能性があります。必ず期限内に回答しましょう。

Q.休眠中で所得はゼロですが、法人税の申告は必要ですか?

A.はい、所得がゼロでも法人税の申告は原則として必要です。申告することで、過去の赤字(繰越欠損金)を将来の黒字と相殺できるメリットを維持できます。

Q.消費税の申告についてのお尋ねも届きました。これも申告が必要ですか?

A.課税事業者である場合、課税売上がゼロでも申告義務があります。免税事業者の場合は申告不要ですが、お尋ねには休眠中であり申告義務がない旨を回答する必要があります。

Q.お尋ねには、具体的にどのように対応すればよいですか?

A.同封されている回答用紙に、休眠中であることや事業活動がない旨を記載して返送します。併せて、税務署に「異動届出書」を提出し、正式に休業の届出をすることをお勧めします。

Q.申告しないと何か罰則はありますか?

A.所得がなければ直接的な税金のペナルティはありませんが、2期連続で期限内に申告しないと青色申告の承認が取り消されます。これにより、将来事業を再開した際に税制上の優遇が受けられなくなるデメリットがあります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。