税理士法人プライムパートナーズ

住宅ローンペアローンのメリット、デメリットを徹底解説

2026-03-20
目次

マイホームの購入を考えたとき、ご夫婦で協力して住宅ローンを組む方法としてペアローンがあります。希望する物件を購入するために借入額を増やせる便利な方法ですが、将来のライフプランによっては思わぬ落とし穴になることもあります。ここでは、ペアローンの仕組みや収入合算との違い、知っておきたいメリットやデメリットについて、具体的な金額を交えながら分かりやすく解説していきます。

ペアローンの仕組みと収入合算との違い

ご夫婦の収入を合わせて住宅ローンを組む方法には、大きく分けてペアローン収入合算の2種類があります。まずは、それぞれの仕組みや違いについて確認していきましょう。

ペアローンとは

ペアローンとは、1つの物件に対してご夫婦それぞれが主たる債務者となり、別々に住宅ローンを契約する方法です。例えば、6,000万円の物件を購入する際、夫が4,000万円、妻が2,000万円というように、2本のローンを組むことになります。お互いがお互いの連帯保証人になる必要があり、毎月の返済もご夫婦それぞれの口座から引き落とされます。

収入合算(連帯保証型)とは

収入合算は、ご夫婦のどちらか1人が主たる債務者としてローンを契約し、もう1人の収入を合算して審査を受ける方法です。連帯保証型の場合、契約するローンは1本のみで、合算する側(例えば妻)は連帯保証人となります。この場合、妻はローンの返済義務を負いますが、住宅ローンの名義人ではないため、住宅ローン控除を受けたり、団体信用生命保険に加入したりすることはできません。

収入合算(連帯債務型)とは

もうひとつの収入合算である連帯債務型は、ご夫婦のどちらかが主たる債務者、もう一方が連帯債務者となり、2人で1本のローンを協力して返済していく方法です。ローンの契約は1本ですが、ご夫婦ともに同等の返済義務を持ちます。そのため、ご夫婦それぞれが負担割合に応じて住宅ローン控除を受けることが可能です。ただし、取り扱っている金融機関が限られている点には注意が必要です。

契約方法 ローンの契約本数
ペアローン 2本(ご夫婦それぞれが契約)
収入合算(連帯保証型) 1本(主債務者のみが契約)
収入合算(連帯債務型) 1本(2人で1本の契約を共有)

ペアローンを利用するメリット

ご夫婦それぞれが契約者となるペアローンには、単独でローンを組む場合にはない魅力的なメリットがいくつかあります。具体的にどのような利点があるのか見ていきましょう。

借入可能額を大幅に増やせる

最大のメリットは、ご夫婦2人分の収入をもとに審査が行われるため、借入可能額を増やせることです。例えば、夫の年収が500万円の場合、単独での借入限度額の目安は約4,000万円となりますが、年収400万円の妻とペアローンを組めば、世帯年収900万円として審査され、借入額を7,000万円以上に伸ばすことも可能です。これにより、より条件の良い物件や理想の間取りを選ぶことができるようになります。

ご夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる

住宅ローン控除は、年末時点のローン残高の0.7%が最大13年間にわたり所得税や住民税から差し引かれる制度です。ペアローンではご夫婦それぞれが債務者となるため、2人ともこの控除の適用を受けられます。例えば、一定の省エネ基準を満たす新築住宅の場合、1人あたりの借入限度額は4,000万円です。夫が4,000万円、妻が2,000万円のペアローンを組んだ場合、初年度は夫が最大28万円、妻が最大14万円、世帯合計で最大42万円もの税金が軽減されることになり、大きな節税効果が期待できます。

ご夫婦それぞれが団体信用生命保険に加入できる

団体信用生命保険(団信)とは、契約者に万が一のことがあった際、残りのローンが保険金で完済される仕組みです。ペアローンではご夫婦それぞれが団信に加入します。もし夫に万が一のことが起きた場合、夫名義のローン残高(例:4,000万円)はゼロになります。妻のローン(例:2,000万円)の返済は残りますが、世帯全体としての負担は大きく減るため、残されたご家族の生活を守ることができます。

ペアローンを利用する際のデメリットと注意点

借入額を増やせて税金面でもお得なペアローンですが、ご夫婦の状況が変化した際にリスクを伴うこともあります。あとで後悔しないよう、デメリットもしっかりと理解しておきましょう。

契約にかかる諸費用が2倍になる

ペアローンは2本のローン契約を結ぶため、契約にかかる諸費用が単独ローンの2倍になってしまいます。例えば、金融機関に支払う事務手数料が借入額の2.2%(税込)の場合、夫4,000万円、妻2,000万円の借入で、合計132万円の事務手数料がかかります。また、契約書に貼る印紙代(1,000万円超5,000万円以下なら2万円ずつ)や、司法書士に支払う抵当権設定の登記費用もそれぞれ発生するため、初期費用の負担が大きくなる点に注意が必要です。

どちらかの収入が減ると返済が苦しくなる

ペアローンはご夫婦がともに働き続けることを前提とした借り入れです。そのため、出産や育児、病気などによる休職や、転職による収入の減少があった場合でも、毎月の返済は2人分続いていきます。例えば、毎月の世帯返済額が15万円(夫10万円、妻5万円)の場合、妻が産休や育休に入って収入が減っても、引き続き月15万円を支払い続けなければなりません。どちらか一方の収入が途絶えた際でも生活が破綻しないか、事前にしっかりとシミュレーションをしておくことが大切です。

離婚時の財産分与や名義変更が複雑になる

万が一ご夫婦が離婚することになった場合、ペアローンで購入した物件の取り扱いは非常に複雑になります。ペアローンの物件はご夫婦の共有名義となっており、売却するにはお互いの同意が必要です。もし売却額がローンの残高を下回る(オーバーローン)場合、手持ちの現金で不足分を補わなければ売却することすらできません。また、どちらか一方が住み続けるためにローンを一本化しようとしても、残る側の単独の収入では金融機関の再審査に通らないことが多く、トラブルに発展しやすいというデメリットがあります。

ペアローンで気をつけたい贈与税のリスク

ご夫婦で資金を出し合ってマイホームを購入する際、気をつけなければならないのが贈与税です。夫婦間であっても、お金の動きによっては税金がかかってしまうことがあります。

持分割合と負担割合のズレによる贈与税

マイホームを購入すると、誰がどのくらいの割合で所有しているかを示す「持分割合」を登記します。この持分割合は、ご夫婦それぞれが実際に負担した資金の割合(頭金+住宅ローンの借入額)と一致させなければなりません。例えば、6,000万円の物件に対し、夫が4,000万円、妻が2,000万円を負担したにもかかわらず、持分割合を「夫50%、妻50%」で登記してしまうと、夫から妻へ1,000万円分の財産が贈与されたとみなされ、妻に高額な贈与税が課されてしまう恐れがあります。

ローンの肩代わりによる贈与税

ご夫婦のどちらかが病気や退職などで収入がなくなり、もう一方が代わりに住宅ローンを返済した場合も、その返済額が贈与とみなされることがあります。贈与税には年間110万円の基礎控除があるため、1年間に肩代わりした金額が110万円以下であれば非課税となりますが、毎月の返済額が大きく年間110万円を超えてしまう場合には、贈与税の申告と納税が必要になる可能性があります。

贈与税が発生しやすいケース 具体的な内容
持分割合の不一致 実際の出資割合(ローン+頭金)と登記上の所有割合が異なる場合
返済の肩代わり 一方のローン返済をもう一方が代わりに行い、年間110万円を超える場合
ローンの一本化 離婚時などに相手のローン残高を引き受ける場合

ペアローンがおすすめなご夫婦の特徴

ここまで解説したメリットとデメリットを踏まえ、ペアローンの利用が適しているご夫婦の特徴をまとめました。ご自身の状況と照らし合わせて検討してみてください。

ご夫婦ともに安定した収入がある

ペアローンはご夫婦お互いの収入をあてにしてローンを組むため、公務員や正社員など、将来にわたって安定した収入が見込めるご夫婦におすすめです。また、手元にある程度の貯蓄(生活費の半年分など)があり、一時的な収入減少や産休・育休の期間を無理なく乗り越えられる家計の余裕があることも重要なポイントになります。

住宅ローン控除の恩恵を最大限受けたい

ご夫婦それぞれが高い所得税や住民税を納めており、住宅ローン控除の節税効果をフルに活用したい場合には、ペアローンが非常に有利です。控除される金額は納めている税金の額が上限となるため、単独ローンで1人の税金から引ききれない分がある場合、ペアローンに分けて2人分の税金から控除する方が、世帯全体でお得になる可能性が高くなります。

まとめ

ペアローンは、ご夫婦の収入を合わせることで借入可能額を増やし、理想の住まいを手に入れるための有効な選択肢です。ご夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられたり、団体信用生命保険に加入できたりと、単独ローンにはないメリットがたくさんあります。一方で、諸費用が2倍かかる点や、将来どちらかの収入が減った際の返済リスク、離婚時のトラブルといったデメリットも存在します。ペアローンを利用する際は、現在の収入だけでなく将来の出産や働き方の変化も考慮し、無理のない返済計画を立てることが何よりも大切です。

参考文献

国税庁 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)

住宅ローンペアローンのよくある質問まとめ

Q.ペアローンと収入合算の大きな違いは何ですか?

A.ペアローンはご夫婦それぞれが別々に2本のローンを契約する方法です。一方、収入合算はどちらか一方が代表して1本のローンを契約し、もう一人の収入を審査に加味してもらう方法です。

Q.ペアローンを利用すると税金が安くなると聞いたのですが本当ですか?

A.はい、本当です。ペアローンではご夫婦それぞれが住宅ローン控除の対象となるため、条件を満たせばお互いの所得税や住民税から税金が控除され、世帯全体での節税効果が大きくなります。

Q.ペアローンの審査は厳しいですか?

A.ご夫婦それぞれの収入や信用情報をもとに個別に審査されるため、お互いに安定した収入があることが求められます。どちらかに過去の延滞履歴などがあると、審査に通らない場合があります。

Q.ペアローンで贈与税がかかるのはどのような時ですか?

A.物件の所有割合(持分割合)と、実際に負担した金額(ローン借入額と頭金の合計)の割合が異なるときや、配偶者のローン返済を肩代わりして年間110万円を超えたときなどに贈与税がかかる可能性があります。

Q.ペアローン返済中に一方が働けなくなったらどうなりますか?

A.ペアローンではお互いが連帯保証人になっているため、一方が働けなくなり収入が途絶えたとしても、もう一方が2人分のローンを返済していく義務があります。事前の貯蓄や無理のない資金計画が大切です。

Q.ペアローンでどちらかが亡くなった場合、ローンはすべてなくなりますか?

A.いいえ、すべてはゼロになりません。ご夫婦それぞれが団体信用生命保険に加入しているため、亡くなった方のローン残高は保険金で完済されますが、残された方のローン返済は引き続き残ります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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