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借地権とは?価値・譲渡・価額決定の仕組みをやさしく解説

2025-01-27
目次

「借地権(しゃくちけん)」という言葉、耳にしたことはありますか?土地を「所有」するのではなく「借りて」家を建てる権利のことですが、なんだか少し難しそうに聞こえるかもしれませんね。ですが、実はマイホームをお得に手に入れるための賢い選択肢の一つなんです。この記事では、借地権の基本的な仕組みから、なぜ土地を借りることに価値があるのか、そして譲渡(売却)はできるのか、その価額(値段)がどのように決まるのかまで、専門的な内容をできるだけわかりやすく、丁寧にご説明していきます。

借地権の基本をわかりやすく解説!

まずは「借地権」そのものが、一体どんな権利なのかを見ていきましょう。借地権にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。ご自身の状況と照らし合わせながら読み進めてみてくださいね。

そもそも借地権ってどんな権利?

借地権とは、建物を建てることを目的として、地主さんから土地を借りる権利のことです。この契約を結ぶと、土地の所有権は地主さんのもの、その上に建てた建物の所有権は土地を借りた人(借地権者)のもの、という関係になります。借地権者は、土地を使わせてもらう対価として、毎月地主さんに「地代」を支払うのが一般的です。

借地権の主な種類と特徴

借地権は、いつ契約が結ばれたかによって、適用される法律が異なり、大きくいくつかのタイプに分けられます。それぞれの特徴を理解しておくことがとても大切ですよ。

借地権の種類 特  徴
旧借地権(1992年7月31日以前の契約) 借地権者の権利が非常に強く保護されています。地主さんに正当な理由がない限り、契約の更新が半永久的に可能です。建物の構造によって存続期間が異なり、木造などの非堅固な建物で30年、鉄筋コンクリート造などの堅固な建物で60年と定められています(当事者間でこれより長い期間を定めた場合はその期間)。
普通借地権(1992年8月1日以降の契約) 旧借地権と考え方は似ていますが、建物の構造による区別がなくなりました。最初の存続期間は30年で、1回目の更新で20年、2回目以降の更新で10年となります。こちらも地主側に正当事由がなければ更新が可能です。
定期借地権(1992年8月1日以降の契約) 契約の更新がないタイプの借地権です。契約期間は原則50年以上と長く設定されますが、期間が満了したら、建物を解体して土地を更地の状態にして地主さんに返還する必要があります。

なぜ土地を「借りる」ことに価値があるの?

土地は所有するのが当たり前、と思われがちですが、あえて「借りる」という選択をすることには、金銭的なメリットがたくさんあるんです。特に都市部では大きな魅力となるでしょう。

所有権と比べて初期費用が安い!

最大のメリットは、土地を購入する費用がかからない点です。特に地価の高いエリアでは、土地代が建物代を大きく上回ることも珍しくありません。借地権付きの物件であれば、土地の購入費用が不要になるため、同じ立地条件の所有権付き物件と比べて、初期費用を大幅に抑えることができます。例えば、更地価格が8,000万円の土地であれば、借地権付き建物の価格は更地価格の60%〜70%程度、つまり4,800万円〜5,600万円程度で取得できる可能性があるのです。

税金の負担が軽くなるメリット

土地を所有していると、毎年固定資産税都市計画税を納める必要があります。しかし、借地権の場合、土地の所有者は地主さんなので、これらの税金を支払う義務はありません。税金の負担は地主さんが担うことになります。また、将来的に相続が発生した場合も、借地権は所有権(更地)よりも相続税評価額が低く計算されるため、相続税の負担を軽減できるというメリットもあります。

借地権は譲渡(売却)できるの?

「借りている権利」と聞くと、自由に売ったりできないのでは?と考える方もいらっしゃるかもしれません。結論から言うと、借地権は財産的価値があるため、譲渡(売却)することが可能です。ただし、いくつかの重要なルールがあります。

原則として譲渡は可能!ただし地主の承諾が必要

借地権は財産権の一種として認められているため、第三者に売却することができます。しかし、自分の土地ではないため、必ず地主さんの承諾を得なければなりません。もし地主さんに無断で借地権を譲渡してしまうと、契約違反となり、最悪の場合、借地契約を解除されてしまう可能性があるので注意が必要です。

譲渡時にかかる「譲渡承諾料」とは?

地主さんに譲渡の承諾をもらう際に、その対価として支払うのが「譲渡承諾料」です。これは「名義変更料」とも呼ばれます。法律で金額が定められているわけではありませんが、一般的には借地権価格の10%程度が相場とされています。例えば、借地権の時価が2,000万円の場合、譲渡承諾料として200万円程度を地主さんに支払うケースが多いです。これはあくまで目安であり、最終的には地主さんとの話し合いによって金額が決まります。

地主が承諾してくれない場合の対処法

地主さんとの関係性や、譲渡先の相手によっては、承諾がスムーズにもらえないこともあります。まずは誠意をもって話し合うことが大切ですが、どうしても交渉がまとまらない場合は、法的な手続きを検討することになります。裁判所に申し立てを行い、「地主の承諾に代わる許可」を求める「借地非訟(しゃくちひしょう)」という制度があります。ただし、時間も費用もかかるため、これは最終手段と考えるのが良いでしょう。

借地権の価額(値段)はどうやって決まるの?

借地権の価値、つまり値段はどのように決まるのでしょうか。これには「税金の計算で使う価額」と「実際に市場で取引される価額」の2つの側面があります。

相続税評価額の計算方法

相続税や贈与税を計算する際の借地権の価額は、国税庁が定めたルールに基づいて算出されます。この計算式を知っておくと、相続対策を考える上で役立ちます。

計算式: 借地権評価額 = 自用地評価額 × 借地権割合

「自用地評価額」とは、その土地が更地だった場合の評価額のことで、主に「路線価」を使って計算します。「借地権割合」は、その土地の価値のうち借地権が占める割合を示すもので、国税庁が地域ごとに定めています。

路線価図で借地権割合を調べてみよう

借地権割合は、国税庁のウェブサイトで公開されている「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で誰でも確認できます。路線価図には、道路に面した土地の1平方メートルあたりの価格(路線価)と共に、AからGまでのアルファベットが記載されています。このアルファベットが借地権割合を示しています。

記号 借地権割合
A 90%
B 80%
C 70%
D 60%
E 50%
F 40%
G 30%

例えば、路線価図に「400D」と記載があれば、路線価は40万円/㎡で、借地権割合は60%ということになります。

実際の取引価格(時価)は交渉で決まる

上記で計算した相続税評価額は、あくまで税金を計算するための基準値です。実際に借地権を売買する際の価格(時価)は、これとは異なります。時価は、物件の立地条件、建物の状態、残りの契約期間、地代の額、そして何よりも地主さんとの関係性など、さまざまな要因を総合的に考慮して、売主と買主、そして地主さんとの交渉によって決まります。一般的には更地価格の60%~80%程度が目安と言われますが、これはケースバイケースです。

借地権を譲渡する際にかかる税金と費用

借地権を売却して手元にお金が残る際には、税金や諸費用がかかることも忘れてはいけません。どのような費用が必要になるのか、事前に把握しておきましょう。

譲渡所得税・住民税

借地権を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して所得税と住民税が課税されます。譲渡所得は以下の計算式で算出します。

譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)

「取得費」は、その借地権を手に入れたときにかかった費用(購入代金など)、「譲渡費用」は、売却するために直接かかった費用(不動産会社への仲介手数料や譲渡承諾料など)です。税率は、借地権を所有していた期間によって大きく異なります。

所有期間 税率(所得税・復興特別所得税・住民税の合計)
5年以下(短期譲渡所得) 39.63%
5年超(長期譲渡所得) 20.315%

このように、5年を超えて所有してから売却する方が、税負担はかなり軽くなります。

その他の諸費用

税金の他にも、以下のような費用がかかるのが一般的です。

  • 仲介手数料:売却を依頼した不動産会社に支払う成功報酬です。法律上の上限は「売買価格の3% + 6万円 + 消費税」です。
  • 印紙税:売買契約書に貼付する収入印紙の代金です。売買価格によって金額が変わります。
  • 登記費用:借地上の建物の所有権を買主に移転するための登記にかかる費用(登録免許税や司法書士への報酬)です。

まとめ

今回は、借地権の基本から価値、譲渡、価格の決まり方までを詳しく見てきました。最後にポイントを整理しておきましょう。

  • 借地権は、建物を所有するために土地を借りる権利で、初期費用や税負担を抑えられるメリットがあります。
  • 地主さんの承諾があれば譲渡(売却)も可能ですが、その際には譲渡承諾料が必要です。
  • 借地権の価額は、税法上の評価額と実際の取引価格(時価)があり、時価は当事者間の交渉で決まります。
  • 権利関係が複雑なため、売却や相続などで悩んだときは、借地権に詳しい不動産会社や弁護士などの専門家に相談することが、トラブルを避けてスムーズに進めるための鍵となります。

借地権は少し複雑に感じるかもしれませんが、その仕組みを正しく理解すれば、資産活用の有効な選択肢となります。この記事が、皆さんの借地権への理解を深める一助となれば幸いです。

参考文献

国税庁 No.4611 借地権の評価

国税庁 No.3255 譲渡費用となるもの

国税庁 No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法

借地権に関するよくある質問まとめ

Q. そもそも借地権とは何ですか?

A. 借地権とは、建物を建てる目的で土地の所有者(地主)から土地を借りる権利のことです。土地の所有権はなくても、その土地を利用する権利が法的に保護されます。

Q. 借地権付きの物件はなぜ安いのですか?価値はありますか?

A. 土地の所有権が含まれないため、所有権付きの物件に比べて購入価格が安くなります。初期費用を抑えて都心の一等地などに住めるメリットがあり、財産として資産価値も認められています。

Q. 借地権は譲渡(売却)できますか?

A. はい、譲渡できます。ただし、地主の承諾が必要となり、承諾を得るために「譲渡承諾料」を支払うのが一般的です。承諾が得られない場合は、裁判所に申し立てることも可能です。

Q. 借地権の価額(価格)はどのように決まるのですか?

A. 借地権の価額は、更地価格に国税庁が定める「借地権割合」を掛けて算出するのが一般的です。借地権割合は地域によって異なり、路線価図で確認できます。

Q. 借地権のメリットとデメリットを教えてください。

A. メリットは、物件の購入価格が安いこと、土地の固定資産税や都市計画税がかからないことです。デメリットは、地代の支払いが必要なこと、建物の増改築や売却時に地主の承諾が必要なことなどが挙げられます。

Q. 借地権には更新できない種類もあるのですか?

A. はい、「定期借地権」は原則として契約の更新がありません。契約期間が終了すると、建物を解体して土地を更地にして地主に返還する必要があります。契約前に種類を必ず確認することが重要です。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

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