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公的年金に源泉徴収はある?課税対象となる金額や計算方法を解説

2025-08-17
目次

老後の生活の支えとなる公的年金ですが、受け取るときに税金が引かれているのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。結論からお伝えすると、公的年金にも源泉徴収の仕組みがあり、受給額やご年齢の条件を満たすと所得税などが差し引かれます。この記事では、公的年金の源泉徴収の対象となる具体的な金額や、差し引かれる税金の計算方法、そして確定申告が必要なケースについて、優しく分かりやすく解説していきます。

公的年金に源泉徴収はある?課税対象となる条件

公的年金には、税金がかからない非課税のものと、税金がかかる課税対象のものがあります。一般的な老後の生活資金である老齢年金を受け取る場合、ご年齢と1年間の受給額の基準を満たすと、源泉徴収が行われます。

源泉徴収の対象となる公的年金と非課税の年金

まずは、ご自身が受け取っている年金が課税対象かどうかを確認しましょう。遺族年金や障害年金は全額が非課税として扱われるため、いくら受け取っても源泉徴収はされません。一方で、国民年金や厚生年金などの老齢年金は、受給額が基準を超えると雑所得として扱われ、税金が差し引かれます。

年金の種類 課税の有無
老齢年金(国民年金・厚生年金など) 課税対象
障害年金・遺族年金 非課税

65歳未満の源泉徴収の基準金額

65歳未満で老齢年金を受け取っている場合、1年間の年金受給額が108万円以上になると、原則として源泉徴収の対象となります。ご自身の受給額が108万円を下回っていれば、年金から所得税は引かれません。なお、2025年(令和7年)12月からは税制改正により、この基準額が155万円以上に引き上げられます。

65歳以上の源泉徴収の基準金額

65歳以上の方の場合は、差し引かれる控除の額が大きくなるため、基準となる金額も高くなります。1年間の年金受給額が158万円以上になると、源泉徴収の対象となります。こちらも2025年(令和7年)12月からは基準額が変わり、205万円以上に引き上げられます。ご年齢によって基準が異なる点にご注意ください。

ご年齢 基準となる年間受給額
65歳未満 108万円以上(2025年12月以降は155万円以上)
65歳以上 158万円以上(2025年12月以降は205万円以上)

公的年金から源泉徴収される税金の計算方法

実際にいくらの税金が源泉徴収されるのかは、受け取る年金額から社会保険料やさまざまな控除を差し引いて計算されます。ここでは、どのようなものが引かれて計算のベースとなるのかを詳しく見ていきましょう。

年金額から差し引かれる社会保険料

税額を計算する際、まずは年金額から直接引き落とされる(特別徴収される)社会保険料が差し引かれます。具体的には、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料、介護保険料などが該当します。これらの保険料を差し引いた後の金額が、税金を計算するための土台となります。

適用される各種控除の金額

次に、さまざまな所得控除が差し引かれます。受給者全員に適用される基礎的控除のほか、毎年送られてくる「扶養親族等申告書」を提出することで、配偶者控除(最大40,000円の月割)、扶養控除(32,500円の月割)、障害者控除(22,500円から35,000円の月割)などが適用されます。この申告書を出し忘れると、これらの控除が受けられず税金が高くなってしまうため、必ず提出するようにしましょう。

控除の種類 月割控除額の例
配偶者控除(70歳未満の配偶者) 32,500円
扶養控除(16歳以上の扶養親族) 1人あたり32,500円

所得税率と復興特別所得税の割合

年金額から社会保険料と各種控除を差し引いた残りの金額に対して、決められた税率を掛けて源泉徴収される金額が決まります。公的年金に適用される税率は、所得税と復興特別所得税を合わせた5.105%です。このようにして計算された金額が、年金の支給日にあらかじめ差し引かれています。

確定申告が必要なケースと不要なケース

源泉徴収が行われているからといって、すべての方が確定申告をしなくてよいわけではありません。ここでは、申告が必要な人と不要な人の違いを分かりやすく解説します。

確定申告が不要になる条件

公的年金を受け取っている多くの方の負担を減らすため、確定申告不要制度が設けられています。具体的には、公的年金等の収入金額が年間400万円以下であり、かつ公的年金等以外の所得(給与や家賃収入など)が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です。多くの方がこの条件にあてはまり、申告の手間を省くことができます。

確定申告をした方が良い、または必要な人

確定申告が不要な条件を満たしていても、医療費が年間10万円を超えて医療費控除を受けたい場合や、生命保険料控除などを追加したい場合は、確定申告をすることで払いすぎた税金が戻ってくる可能性があります。また、年金以外の所得が20万円を超える場合は、確定申告が義務付けられているため忘れずに手続きを行いましょう。

2025年(令和7年)税制改正による影響

2025年(令和7年)分からは、基礎控除や給与所得控除の見直し、そして特定親族特別控除の創設が行われます。これに伴い、合計所得金額が132万円以下の方や、新たに扶養控除の対象となるご親族がいる方などは、確定申告をすることで税金が還付される可能性があります。ご自身の控除額がどのように変わるのか、一度確認してみることをおすすめします。

まとめ

公的年金は、障害年金などを除き原則として源泉徴収の対象となります。65歳未満の方は年額108万円(2025年12月からは155万円)、65歳以上の方は年額158万円(2025年12月からは205万円)以上を受け取る場合、所得税と復興特別所得税が差し引かれます。「扶養親族等申告書」を忘れずに提出し、医療費控除などがある場合は確定申告を行うことで、払いすぎた税金を取り戻すことができます。ご自身の年金額と控除の内容をしっかり把握しておきましょう。

参考文献

国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係

国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等と確定申告

公的年金の源泉徴収に関するよくある質問まとめ

Q.公的年金には源泉徴収がありますか?

A.はい、老齢年金は受給額の基準を満たすと源泉徴収の対象となります。ただし、障害年金や遺族年金は全額非課税のため源泉徴収は行われません。

Q.源泉徴収の対象となる基準の金額はいくらですか?

A.65歳未満の方は年額108万円以上、65歳以上の方は年額158万円以上です。なお、2025年12月からは税制改正により、それぞれ155万円以上、205万円以上に引き上げられます。

Q.源泉徴収される税金額はどのように計算するのですか?

A.受け取る年金額から、あらかじめ引かれる社会保険料や基礎的控除、配偶者控除などを差し引いた残りの金額に対して、5.105%の税率を掛けて計算します。

Q.毎年送られてくる扶養親族等申告書は提出が必要ですか?

A.各種控除を受けるために必要です。提出を忘れてしまうと配偶者控除などが適用されず、源泉徴収される税金が高くなってしまうため、該当する方は必ず提出しましょう。

Q.公的年金をもらっている場合、確定申告は必ずしなければなりませんか?

A.公的年金等の収入金額が年間400万円以下であり、かつ公的年金以外の所得が年間20万円以下であれば、原則として確定申告は不要です。

Q.確定申告が不要な条件を満たしていても申告した方がよいのはどんな人ですか?

A.医療費が年間10万円を超えた場合や生命保険料控除を追加したい場合などは、確定申告をすることで払いすぎた税金が戻ってくる可能性があります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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