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共有ゴミ捨て場は相続税で40%減額?再建築不可の考え方を解説

2025-12-05
目次

複数人で共有しているゴミ捨て場、相続税の評価はどうなるのでしょうか?「ゴミ収集箱があって自由に使えないから、再建築不可として40%も評価が下がるのでは?」そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。実は、土地の評価には様々なルールがあり、状況によって使える減額方法が変わってきます。この記事では、共有のゴミ捨て場の相続税評価について、減額の可能性と正しい評価方法をわかりやすく解説していきます。

共有ゴミ捨て場は「再建築不可」で評価減できる?

結論からお伝えすると、共有のゴミ収集箱が設置されているという理由だけで、直ちに「再建築不可」として40%の減額が認められるわけではありません。なぜなら、相続税評価における「再建築不可」の減額は、主に建築基準法の「接道義務」を満たしていない土地などに適用されるものだからです。ゴミ収集箱があるからといって、法律上、家が建てられないわけではないんですね。でも、がっかりしないでください。別の方法で評価額を下げられる可能性は十分にありますよ。

相続税評価における「再建築不可」とは?

相続税の計算で「再建築不可」とされる土地は、主に「接道義務」を果たしていない土地のことを指します。これは、建物を建てる際には「幅4m以上の道路に2m以上接していなければならない」という建築基準法のルールです。このルールを満たしていない土地は、今ある建物を取り壊すと新しい建物を建てられないため、利用価値が低いとみなされ、評価額が大きく下がります。国税庁の指針では、無道路地(道路に接していない土地)の場合、最大で40%の評価減が認められています。

減額の主な理由 内容
接道義務違反 建築基準法で定められた道路に2m以上接していない。
無道路地 公道に全く接していない。

ゴミ収集箱の設置は「再建築不可」の理由にならない

ご自身の土地に共有のゴミ収集箱が置かれていると、確かに自由に利用できない感覚になりますよね。ですが、税務上の評価では、これは「利用上の制約」とは見なされても、「建築上の制約」とは考えられにくいのです。ゴミ収集箱は、やろうと思えば移動させることが可能です。そのため、ゴミ収集箱があること自体が、建築基準法上の再建築を妨げる直接的な原因とはならないため、「再建築不可」の減額を適用するのは難しいのが現状です。

40%減額の根拠は「無道路地」の評価

よく言われる「40%減額」は、国税庁の財産評価基本通達にある「無道路地の評価」が根拠となっています。無道路地とは、道路に全く接していない土地のことです。このような土地は、建物の建築ができないだけでなく、日常生活においても非常に不便ですよね。そのため、通常の土地評価額から、道路に出るための通路部分の価額を差し引くことが認められています。この控除額の上限が、通路を差し引く前の評価額の40%とされているんです。つまり、ご所有のゴミ捨て場が接道義務を満たしているのであれば、この規定を直接適用することはできません。

ゴミ捨て場の評価で使える減額方法

「じゃあ、共有のゴミ捨て場は全く減額できないの?」というと、そんなことはありません。状況によっては、他の規定を使って評価額を下げることができます。ここでは、ゴミ捨て場のような特殊な土地の評価で検討できる減額方法をご紹介します。

利用価値が著しく低下している宅地の評価

ゴミ捨て場は、衛生面や臭気の問題から、周辺の宅地に比べて利用価値が著しく低いと考えられる場合があります。国税庁の通達では、騒音、日照阻害、臭気、忌み等により取引金額に影響を受けると認められる宅地は、利用価値が低下していないものとして評価した価額から10%を控除できるとされています。ゴミ捨て場がこの「臭気」や「忌み(嫌悪感)」に該当すると主張できる可能性があります。

減額の要件 内容
利用価値の著しい低下 騒音、臭気、日照阻害、忌み(墓地に隣接するなど)がある。
減額割合 10%

私道の評価

もし、そのゴミ捨て場が特定の家々のためだけに使われる袋小路のような私道の一部である場合、「私道の評価」を適用できる可能性があります。もっぱら特定の者の通行の用に供されている私道は、通常の土地として評価した価額の30%で評価することになっています。つまり、70%の減額です。ただし、不特定多数の人が通り抜けできるような場合は評価されません(評価額ゼロ)。ゴミ捨て場がどのような形態になっているかを確認してみましょう。

区分地上権に準ずる地役権の評価

もし、ゴミ捨て場として利用することが契約などで明確に定められており、他の用途で使うことが著しく制限されている場合、「区分地上権に準ずる地役権」が設定されていると考えることもできます。この評価は非常に専門的ですが、土地の利用がどの程度制限されているかに応じて、最大で50%(地下に上下水道管が埋設されている場合など)または30%(高圧線が上空を通っている場合など)の評価減が認められることがあります。共有者間での取り決めや、土地の登記情報などを確認することが重要です。

共有名義であることによる評価減

土地が共有名義であること自体も、評価減の対象になる可能性があります。ただし、これは少し特殊なケースで、必ずしも認められるわけではありません。

共有持分の評価

共有名義の不動産は、自分の持ち分だけを売却しようとしても、買い手を見つけるのが非常に難しいですよね。他の共有者全員の同意がなければ土地全体を売却することもできません。このような流動性の低さや利用の制約から、共有持分は単独所有の不動産と比べて価値が低いと考えるのが一般的です。しかし、相続税評価では、原則として土地全体の評価額に自分の持分割合を掛けて計算するため、共有であることによる減額は自動的には適用されません。

評価減が認められるケースとは?

共有持分の評価減は、税務上の明確な規定があるわけではありません。しかし、過去の判例では、共有者間の関係が悪く、分割も売却も極めて困難な状況であるといった特別な事情がある場合に、評価減が認められたケースがあります。ゴミ捨て場の場合、共有者全員がその目的で利用し続けるという暗黙の合意があり、事実上他の用途への転用や売却が不可能であると主張することで、評価減を交渉する余地はあるかもしれません。ただし、これは専門的な判断が必要となるため、税理士への相談が不可欠です。

評価額の計算具体例

言葉だけだと分かりにくいので、簡単な例で評価額がどう変わるか見てみましょう。
前提条件:

  • 土地全体の路線価評価額:2,000万円
  • 土地の面積:100㎡
  • ゴミ捨て場として利用

何も減額しない場合

まずは基本となる評価です。特別な減額を考慮しない場合、評価額はそのまま2,000万円となります。ご自身の持分が4分の1であれば、相続税評価額は500万円(2,000万円 × 1/4)です。

「利用価値が著しく低下している宅地」を適用した場合

ゴミ捨て場であることを理由に、利用価値が著しく低下しているとして10%の減額が認められたとします。

  • 減額後の評価額:2,000万円 × (1 – 0.1) = 1,800万円
  • ご自身の持分評価額:1,800万円 × 1/4 = 450万円

この場合、評価額が50万円下がることになりますね。

正しい評価のためにやるべきこと

ご自身の土地の評価額を正しく、そして有利に計算するためには、いくつか準備しておくべきことがあります。専門家に相談する際にも、これらの情報があるとスムーズですよ。

土地の現状を把握する

まずは、評価対象の土地について詳しく知ることが大切です。以下の点をチェックしてみましょう。

  • 公図や登記簿謄本:土地の形状、面積、地目、権利関係などを確認します。法務局で取得できます。
  • 現地の写真:ゴミ収集箱の設置状況や、周囲の環境がわかる写真を撮っておきましょう。
  • 共有者間の取り決め:ゴミ捨て場として利用することに関する契約書や覚書などがあれば、重要な資料になります。

税理士に相談する

ここまで見てきたように、土地の評価、特に利用に制約がある土地の評価は非常に複雑で、専門的な知識が必要です。「再建築不可」の主張が難しい場合でも、他の減額要因を見つけてくれる可能性があります。特に相続税専門の税理士は、不動産評価に関する知識や経験が豊富です。複数の評価方法の中から、ご自身の状況に最も適した方法を提案してもらえるでしょう。初回相談は無料の事務所も多いので、一度話を聞いてみることをお勧めします。

まとめ

今回は、共有のゴミ捨て場の相続税評価について解説しました。ポイントをまとめますね。

  • ゴミ収集箱があるだけでは「再建築不可」として40%減額を適用するのは難しい。
  • 「再建築不可」の減額は、主に接道義務を満たさない土地が対象。
  • 代わりに「利用価値が著しく低下している宅地の評価(10%減)」などを適用できる可能性がある。
  • 共有持分であること自体は原則減額対象ではないが、状況によっては交渉の余地も。
  • 正確な評価のためには、土地の現状を把握し、相続税専門の税理士に相談することが最も確実な方法です。

土地の評価は、相続税額に直結する非常に重要な部分です。思い込みで判断せず、専門家の力を借りながら、ご自身の状況に合った適切な評価を行うようにしましょう。

参考文献

国税庁 No.4620 無道路地の評価

国税庁 No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価

国税庁 No.4622 私道の評価

共有ゴミ捨て場の土地評価 よくある質問まとめ

Q.共有のゴミ捨て場の土地は「再建築不可」として40%減額できますか?

A.原則として、ゴミ収集箱が設置されているという理由だけで「再建築不可」としての減額を適用することは困難です。再建築不可の減額は、主に建築基準法の接道義務を満たしていない土地に適用されるためです。

Q.ゴミ収集箱があり自分の利用が制限されているのに、なぜ評価が下がらないのですか?

A.ゴミ捨て場としての利用は、共有者全員の合意に基づく目的内の利用と見なされるため、それ自体が「利用価値が著しく低下している」とは認められにくいのが一般的です。評価減が認められるには、他の用途への転用が物理的に不可能など、より深刻な利用制限が必要です。

Q.では、ゴミ捨て場として利用されている共有地は、全く評価減できないのでしょうか?

A.一概には言えません。例えば、その土地がゴミ捨て場以外の用途に転用することが極めて困難で、市場での売買も難しいなど、個別の事情によっては「利用価値が著しく低下している宅地」として評価減が認められる可能性はあります。専門家による個別判断が必要です。

Q.そもそも「再建築不可」とはどういう土地のことですか?

A.「再建築不可」の土地とは、建築基準法で定められた「幅員4m以上の道路に2m以上接する」という接道義務を満たしておらず、現在建っている建物を取り壊した場合に新しい建物を建てられない土地のことを指します。ゴミ箱の有無とは直接関係ありません。

Q.土地が「共有持分」であることは評価額に影響しますか?

A.相続税評価などでは、土地全体を評価した後に、各人の持分割合を乗じて評価額を算出するのが原則です。共有であること自体が直接的な減額要因とはなりませんが、処分や利用の制限が大きい実態がある場合は、別途考慮される可能性もゼロではありません。

Q.自分の持っている共有ゴミ捨て場の土地評価を正確に知るにはどうすればよいですか?

A.土地の評価は、法令の解釈だけでなく、現地の状況や権利関係など複雑な要因が絡みます。正確な評価を知りたい場合は、税理士や不動産鑑定士などの専門家に相談することをお勧めします。

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