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受取配当金の源泉要否と益金不算入の要件を徹底解説

2025-11-09
目次

法人が受け取る配当金には、税金の二重課税を防ぐための「受取配当金の益金不算入制度」と、手続きの負担を減らす「源泉徴収不要制度」が用意されています。しかし、それぞれの制度で株式の保有割合などの要件が異なるため、判定に迷う方も多いのではないでしょうか。この記事では、受取配当金の源泉要否と益金不算入の具体的な要件について、わかりやすく詳しく解説します。

受取配当金の益金不算入制度とは

受取配当金の益金不算入制度とは、法人が他の法人から受け取った配当金について、法人税の計算上、株式の保有割合に応じて100パーセントから20パーセントを収益(益金)に含めない仕組みのことです。配当金を支払う法人ですでに法人税が課税されているため、配当を受け取る側でも課税してしまうと、同じ利益に二度税金がかかる「二重課税」になってしまいます。これを防ぐために、受け取った配当金の一部または全額を益金から除外できるというルールになっています。

株式の区分と益金不算入割合

益金不算入となる割合は、保有している株式の種類によって4つに区分されています。具体的には、配当金を支払う法人の株式をどのくらいの割合で持っているかによって判定を行います。関連法人株式等の場合は、借入金の利子を差し引く負債利子控除の計算が必要になる点に注意してください。

株式の区分 益金不算入の割合
完全子法人株式等(保有割合100パーセント) 100パーセント
関連法人株式等(保有割合3分の1超から100パーセント未満) 100パーセント(負債利子控除あり)
その他の株式等(保有割合5パーセント超から3分の1以下) 50パーセント
非支配目的株式等(保有割合5パーセント以下) 20パーセント

益金不算入における保有期間の要件

株式の区分ごとに、いつ時点で、どのくらいの期間株式を保有していなければならないかという保有期間の要件が決められています。完全子法人株式等関連法人株式等については、原則として配当の計算期間の初日から末日まで継続して保有している必要があります。一方で、その他の株式等と非支配目的株式等については、配当の支払基準日時点での保有割合のみで判定を行います。

グループ全体の保有割合による判定

令和4年4月1日以後に開始する事業年度からは、株式の保有割合の判定方法が変更されました。自社単独の保有割合ではなく、100パーセントの完全支配関係があるグループ会社全体での保有割合を合算して判定します。たとえば、自社が20パーセント、親会社が30パーセント保有している場合、合計50パーセントとなり、関連法人株式等として扱われます。

配当金の源泉徴収不要制度とは

これまで法人が受け取る配当金からは、原則として上場株式は15.315パーセント、非上場株式は20.42パーセントの所得税と復興特別所得税が差し引かれていました。しかし、益金不算入となる配当金から源泉徴収をすると、後で法人税の申告時に還付を受けることになり、資金繰りの負担や事務手続きの手間がかかってしまいます。そこで、事務負担を軽減するために、一定の条件を満たす配当金については源泉徴収を不要とする制度が設けられました。

源泉徴収が不要になる具体的な要件

令和5年10月1日以降に受け取る配当金のうち、源泉徴収が不要となるのは、以下の2つの条件のどちらかを満たす株式のみです。すべての配当金が対象になるわけではないので気をつけてください。

株式の区分 源泉徴収の要否
完全子法人株式等(保有割合100パーセント) 不要
関連法人株式等で自社が直接3分の1超を保有 不要
その他の株式等・非支配目的株式等 必要

益金不算入制度との判定基準の違い

ここでとくに注意したいのが、益金不算入制度源泉徴収不要制度で、関連法人株式等の判定基準が異なる点です。益金不算入制度では、グループ会社全体の保有割合で判定しますが、源泉徴収不要制度では「自社が直接3分の1超を保有しているか」どうかで判定します。また、益金不算入制度では継続保有期間が求められますが、源泉徴収不要制度の関連法人株式等は、配当の支払基準日時点での直接保有割合のみで判定されます。

まとめ

法人が受け取る配当金の処理は、益金不算入制度と源泉徴収不要制度の要件をそれぞれ正しく理解することが大切です。株式の区分ごとの保有割合や、グループ会社を含めて合算判定するのか自社の直接保有のみで判定するのかなど、複雑な条件が絡み合っています。税制改正によってルールが変更されている部分もありますので、自社が受け取る配当金がどの区分に当てはまるのか、金額や要件を慎重に確認して正しい税務処理を行いましょう。

受取配当金のよくある質問まとめ

Q.受取配当金の益金不算入制度とは何ですか?

A.法人が他の法人から受け取った配当金について、税金の二重課税を防ぐため、法人税の計算上、収益に含めない仕組みのことです。

Q.益金不算入の割合はどのように決まるのでしょうか?

A.配当金を支払う法人の株式保有割合に応じて、100パーセント、50パーセント、20パーセントのいずれかに区分されて決まります。

Q.株式の保有割合は自社単独で計算するのですか?

A.益金不算入制度では、100パーセントの完全支配関係があるグループ会社全体での保有割合を合算して判定を行います。

Q.配当金の源泉徴収不要制度とはどのような制度ですか?

A.完全子法人株式等など、条件を満たす株式の配当金について、15.315パーセントや20.42パーセントの所得税等の源泉徴収を不要とする制度です。

Q.源泉徴収が不要になる関連法人株式等の要件は何ですか?

A.配当の支払基準日において、自社が直接3分の1超の株式を保有している必要があります。

Q.益金不算入と源泉徴収不要の判定基準は同じですか?

A.異なります。益金不算入はグループ全体の保有割合で判定しますが、源泉徴収不要は自社の直接保有割合のみで判定します。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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