大切な方が亡くなられた後の銀行口座解約手続きは、時間も手間もかかり、大変ですよね。そんな時、頼りになるのが司法書士です。でも、司法書士に依頼した場合の報酬はいつ、どのように支払うのでしょうか。「解約されたお金から直接支払われるの?」といった疑問をお持ちの方も多いはずです。この記事では、司法書士に口座解約を依頼した際の報酬の支払い方法について、具体的な流れや費用相場を交えながら、わかりやすく解説していきます。
司法書士への報酬支払い、主な2つのパターン
司法書士に口座解約手続きを依頼した場合、報酬の支払い方法は、主に2つのパターンがあります。どちらの方法になるかは、司法書士事務所の方針や、依頼者である相続人の方との話し合いによって決まることが一般的です。まずは、それぞれの方法の特徴を理解しておきましょう。
【パターン1】手続き完了後に請求書で支払う
一つ目の方法は、すべての口座解約手続きが完了した後に、司法書士事務所から請求書が発行され、それに基づいて指定された口座に報酬を振り込む方法です。この場合、相続人の方が一度、解約された預貯金の全額を受け取ることになります。その後、ご自身の資金から司法書士への報酬を支払う流れです。多くの事務所で採用されている一般的な支払い方法と言えるでしょう。
【パターン2】解約された預貯金から報酬を差し引いて精算する
もう一つの方法が、ご質問にあったように、解約された預貯金がいったん司法書士の口座に入金され、そこから司法書士報酬や手続きにかかった実費(戸籍謄本取得費用など)を差し引いた残額が、相続人の口座に振り込まれる方法です。これを「遺産整理業務」の一環として行う事務所もあります。この方法のメリットは、相続人の方が手元にまとまった資金を用意する必要がない点です。特に、複数の金融機関の解約手続きをまとめて依頼する場合や、相続財産が預貯金中心の場合に便利な方法です。
どちらの支払い方法になるの?
どちらの支払い方法になるかは、依頼する司法書士事務所によって異なります。契約前に必ず確認することが大切です。「解約金からの精算」を希望する場合は、その旨を事前に伝え、対応可能かどうかを確認しましょう。多くの事務所では、委任契約書に報酬の支払い方法や時期について明記されていますので、契約内容をしっかりと読み、理解した上で依頼するようにしてくださいね。
口座解約を司法書士に依頼した場合の費用内訳
司法書士に口座解約を依頼すると、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。費用は大きく分けて「司法書士への報酬」と「実費」の2つで構成されています。それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
司法書士への報酬
司法書士への報酬は、手続きの代行に対する専門家への対価です。報酬額は、金融機関の数や口座数、相続人の人数などによって変動します。多くの事務所では、基本報酬を設定し、手続きの複雑さに応じて加算料金が発生する料金体系をとっています。
| 項目 | 報酬の目安 |
| 基本報酬(金融機関1社) | 30,000円~100,000円程度 |
| 金融機関追加(1社あたり) | 20,000円~60,000円程度の加算 |
| 相続人追加(規定人数以上の場合、1名あたり) | 5,000円~10,000円程度の加算 |
| 解約金からの報酬精算・分配 | 分配先1名あたり10,000円~30,000円程度の加算 |
※上記はあくまで一般的な目安です。不動産の相続登記とセットで依頼すると割引が適用される場合もありますので、依頼前に必ず見積もりを確認しましょう。
手続きにかかる実費
実費とは、口座解約手続きを進める上で必要となる費用のことです。例えば、以下のようなものが含まれます。これらは司法書士が立て替えて支払い、後で報酬と一緒に請求されることが一般的です。
- 戸籍謄本・除籍謄本等の取得費用:1通450円~750円程度。亡くなった方の出生から死亡までの戸籍が必要になるため、数千円から1万円以上かかることもあります。
- 印鑑証明書の取得費用:1通300円~400円程度。相続人全員分が必要な場合があります。
- 残高証明書の発行手数料:金融機関ごとに異なり、1通700円~1,000円程度です。
- 郵送費・交通費:書類のやり取りにかかる郵便料金や、金融機関へ赴く際の交通費などです。
解約金から報酬を精算する際の注意点
解約された預貯金から司法書士報酬を差し引いてもらう方法は、相続人にとって手間が少なく便利な方法ですが、いくつか注意しておきたい点があります。依頼する前にしっかりと理解しておきましょう。
委任契約書の内容をしっかり確認する
この方法を利用する場合、司法書士が相続人の代理人として財産を管理することになります。そのため、委任契約書には、どの口座の解約金を預かるのか、報酬額はいくらか、どのような経費が差し引かれるのか、いつまでに相続人に送金されるのか、といった内容が明確に記載されている必要があります。不明な点があれば、契約前に必ず質問し、納得した上で契約を結びましょう。
司法書士の預り金専用口座への入金
通常、信頼できる司法書士は、依頼者から預かったお金を管理するために、事務所の経費を管理する口座とは別に「預り金専用口座」を設けています。解約された預貯金がこの専用口座で適切に管理されるかどうかも、確認しておくとより安心です。
精算報告書の受け取り
手続きが完了し、報酬を差し引いた残額が振り込まれる際には、必ず「精算報告書」や「預り金清算書」といった書類を受け取りましょう。この書類には、解約した預貯金の総額、差し引いた報酬額、立替えた実費の内訳、そして最終的に相続人に支払われた金額が明記されています。お金の流れが透明化されているかを確認するための重要な書類です。
司法書士への報酬支払いと税金の関係
司法書士への報酬支払いに関連して、税金についても少し触れておきましょう。特に源泉徴収について知っておくと役立ちます。
司法書士への報酬は源泉徴収が必要?
司法書士への報酬は、所得税法で定められた源泉徴収の対象となる報酬・料金に該当します。そのため、報酬を支払う側(依頼者)は、原則として所得税および復興特別所得税を源泉徴収し、国に納める義務があります。これを「源泉徴収義務」と言います。
個人が依頼する場合は源泉徴収不要なケースがほとんど
「え、税金を納めないといけないの?」と驚かれたかもしれませんが、安心してください。個人が相続手続きのために司法書士に報酬を支払う場合は、通常、源泉徴収の必要はありません。源泉徴収義務者となるのは、主に会社や個人事業主が事業に関連して報酬を支払う場合です。したがって、相続人の方が個人として口座解約を依頼する際には、源泉徴収について心配する必要はほとんどないと考えてよいでしょう。
司法書士に依頼するメリット
費用はかかりますが、口座解約手続きを司法書士に依頼することには、それを上回るメリットがあります。
面倒な手続きをすべて任せられる
故人の出生から死亡までの戸籍謄本を集めたり、平日の昼間に何度も銀行窓口へ足を運んだりするのは大変な労力です。司法書士に依頼すれば、これらの煩雑な手続きをすべて代行してもらえます。相続人の方は、印鑑証明書の取得や書類への署名・押印など、最低限の対応で済むため、時間的・精神的な負担が大幅に軽減されます。
正確かつ迅速に手続きが進む
相続手続きには専門的な知識が必要です。自分で進めようとすると、書類の不備で何度もやり直しになったり、手続きが滞ってしまったりすることも少なくありません。相続の専門家である司法書士に任せれば、法律に則って正確に、そしてスムーズに手続きを進めてもらえます。
相続人間のトラブル防止にも
相続人が複数いる場合、一人の相続人が代表して手続きを進めると、負担が偏ったり、お金の管理をめぐって不信感が生じたりすることがあります。第三者である司法書士が間に入ることで、手続きが公平かつ透明に進められ、相続人間の無用なトラブルを防ぐ効果も期待できます。特に解約金を司法書士が預かり、各相続人に分配してもらう方法は、公平性を保つのに非常に有効です。
まとめ
司法書士に口座解約を依頼した場合の報酬の支払い方法は、主に「手続き完了後に請求書で支払う」方法と、「解約された預貯金から報酬を差し引いて精算する」方法の2つがあります。解約金から精算する方法は、手元資金がなくても依頼できる便利な方法ですが、契約内容をしっかり確認し、お金の流れが明確にわかるように精算報告書を受け取ることが重要です。司法書士への報酬は、金融機関の数や相続人の人数によって変動しますが、一般的には5万円から15万円程度が目安となります。費用はかかりますが、専門家に依頼することで手続きの負担を大幅に減らし、正確かつスムーズに相続を進めることができます。ご自身の状況に合わせて、信頼できる司法書士に相談してみてくださいね。
参考文献
国税庁 No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは
国税庁 No.2502 源泉徴収義務者とは
国税庁 No.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金
司法書士への口座解約依頼時の報酬支払いに関するよくある質問まとめ
Q.司法書士に口座解約を依頼した場合、報酬はいつ、どのように支払うのですか?
A.一般的には、すべての口座解約手続きが完了した後、司法書士事務所から請求書が発行され、それに基づいて指定された口座に報酬を振り込みます。
Q.解約された預金は、一度司法書士の口座に振り込まれるのですか?
A.はい。解約された預貯金から報酬を差し引いて精算する場合、司法書士が依頼者様専用の「預り金口座」で解約金を一時的にお預かりします。その後、業務完了報告とともにお渡しする精算書に基づき、報酬等を差し引いた金額を相続人代表者様の口座へ送金いたします。
Q.司法書士への報酬を解約金から支払うメリットは何ですか?
A.最大のメリットは、相続人がご自身の財産から費用を一時的に立て替える必要がない点です。特に、相続財産が預貯金中心で、すぐに使える現金が手元にない場合に便利です。
Q.依頼時に着手金は必要ですか?
A.事務所によりますが、着手金は不要で、手続き完了後に解約金から報酬をいただく完全成功報酬制を採用していることが多いです。ただし、戸籍謄本の取得費用などの実費分のみ、先にお預かりするケースもありますので、依頼前の相談時にご確認ください。
Q.司法書士報酬の金額はいつ確定するのですか?
A.通常、正式にご依頼いただく前の無料相談などの段階で、手続きの内容に応じたお見積りを提示します。その金額にご納得いただいた上で契約を締結するため、後から想定外の費用を請求される心配はありません。
Q.複数の金融機関の口座解約をまとめて依頼した場合、報酬の支払いはどうなりますか?
A.はい、複数の金融機関の手続きをまとめてご依頼いただけます。その場合、すべての口座解約が完了した時点で解約金の合計額を司法書士がお預かりし、そこからまとめて報酬を差し引いて精算・送金するのが一般的です。