税理士法人プライムパートナーズ

名義人の死亡による口座凍結はいつ?解除方法をわかりやすく解説

2026-02-05
目次

ご家族が亡くなられた後、やらなければいけない手続きはたくさんありますが、その中でも特に多くの方が戸惑うのが銀行口座の扱いです。故人の口座が突然凍結されてしまい、葬儀費用や入院費の支払いに困ってしまった…というお話も少なくありません。この記事では、名義人の死亡による口座凍結がいつ行われるのか、どうすれば解除できるのか、その具体的な方法と必要書類について、わかりやすく解説していきますね。

故人の銀行口座が凍結されるタイミングと理由

まず、口座がいつ、なぜ凍結されてしまうのかを知っておきましょう。これを理解しておくだけで、落ち着いて対応できるようになりますよ。

銀行が死亡の事実を知ったとき

故人の銀行口座が凍結されるのは、金融機関が口座名義人の死亡を知ったタイミングです。市役所に死亡届を提出したからといって、自動的に全ての銀行口座が凍結されるわけではありません。金融機関が死亡の事実を知る主なきっかけは、次の3つです。

  • 遺族からの連絡:相続手続きの相談などで遺族が銀行に連絡したとき。
  • 新聞の訃報欄:地域の新聞などに掲載されたお悔やみ情報を見た銀行員が確認したとき。
  • 他人からの情報:葬儀の案内などを通じて、銀行の担当者が知ったとき。

つまり、遺族が連絡をしない限り、しばらく凍結されないこともあります。ただし、金融機関ごとに対応は異なるため、A銀行に連絡してもB銀行の口座は凍結されませんが、同じ銀行の別の支店の口座は同時に凍結されることが一般的です。

なぜ口座は凍結されるの?

口座が凍結されるのは、故人の大切な財産を守るためです。もし口座が凍結されないままだと、一部の相続人が勝手にお金を引き出してしまい、後で「誰がいくら使ったのか」という相続トラブルに発展する可能性があります。また、亡くなった瞬間の預金残高を確定させ、相続財産を正確に把握するという目的もあります。金融機関が口座を凍結するのは、こうしたトラブルを防ぎ、公平な遺産分割をサポートするための重要な措置なのです。

口座が凍結されるとどうなる?生活への影響

口座が凍結されると、具体的にどのような影響が出るのでしょうか。日常生活に関わることもあるので、事前に知っておくことが大切です。

一切の入出金・引き落としがストップ

口座が凍結されると、その口座に関するすべての取引が停止します。具体的には、以下のことができなくなります。

  • ATMや窓口での預金の引き出し
  • 口座への入金や振り込み
  • 公共料金やクレジットカード代金の自動引き落とし
  • 家賃収入や年金などの振り込みによる受け取り

たとえ葬儀費用や未払いの医療費など、急な支払いが必要になったとしても、原則として故人の口座からお金を動かすことはできなくなります。

公共料金やクレジットカードの支払いは?

故人の口座から公共料金(電気、ガス、水道など)やクレジットカードの支払いをしていた場合、引き落としができなくなります。支払いが滞ると延滞料金が発生したり、サービスの利用が停止されたりする可能性もあるため、注意が必要です。口座凍結に備えて、事前に引き落とし口座の変更手続きや、各サービス会社へ連絡をして支払い方法の変更などを進めておくと安心です。

口座凍結を解除するための具体的な手続きと流れ

口座凍結を解除し、預金を引き出すためには、金融機関で所定の相続手続きを行う必要があります。手続きは少し複雑に感じるかもしれませんが、一つずつ進めていきましょう。

解除までの基本的な流れ

口座凍結の解除は、一般的に以下の流れで進みます。手続き完了までには、書類を提出してから2週間から1ヶ月程度かかることが多いです。

  1. 故人が利用していた金融機関へ連絡し、相続が発生したことを伝える。
  2. 金融機関から相続手続きに必要な書類の案内を受ける。
  3. 必要書類を収集・作成する。
  4. 金融機関の窓口に必要書類を提出する。
  5. 金融機関での確認後、口座が解除され、指定した相続人の口座に預金が払い戻される。

必要書類は、遺言書の有無や相続人の状況によって大きく異なります。ここでは代表的な2つのパターンをご紹介しますね。

【遺言書がない場合】の必要書類

遺言書がなく、相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行った場合の必要書類です。金融機関によって多少異なりますので、必ず事前に確認してください。

書類の種類 主な内容
金融機関所定の相続届 相続人全員の署名・実印の押印が必要です。
故人(被相続人)の戸籍謄本等 出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本が必要です。
相続人全員の戸籍謄本 現在の戸籍謄本(発行から6ヶ月以内など有効期限がある場合があります)。
相続人全員の印鑑証明書 発行から3ヶ月または6ヶ月以内のもの。
遺産分割協議書 相続人全員の実印が押印されたもの。これがあれば相続届が不要な場合もあります。
故人の通帳・キャッシュカードなど 紛失している場合はその旨を伝えます。

※法務局が発行する「法定相続情報一覧図の写し」があれば、戸籍謄本一式の提出を省略できる場合があります。

【遺言書がある場合】の必要書類

法的に有効な遺言書がある場合は、その内容に従って手続きを進めます。遺言書がない場合に比べて、必要書類が少なくなります。

書類の種類 主な内容
金融機関所定の相続届 預金を受け取る相続人(受遺者)の署名・実印の押印が必要です。
遺言書(原本) 公正証書遺言以外の場合、家庭裁判所の「検認済証明書」が必要です。
故人(被相続人)の死亡が確認できる戸籍謄本 死亡の記載があるもの。
預金を受け取る相続人の戸籍謄本 現在の戸籍謄本。
預金を受け取る相続人の印鑑証明書 発行から3ヶ月または6ヶ月以内のもの。
(いる場合)遺言執行者の印鑑証明書 遺言書で遺言執行者が指定されている場合に必要です。

すぐにお金が必要なときは?預貯金の仮払い制度

「遺産分割協議がまとまらないけど、葬儀費用を支払わなければ…」そんな時に利用できるのが、2019年7月から始まった「預貯金の仮払い制度」です。この制度を使えば、相続人全員の同意がなくても、相続人が単独で一定額の預金を引き出すことができます。

仮払い制度とは?

この制度は、遺産分割が終わる前でも、相続人が当面の生活費や葬儀費用の支払いに充てるため、故人の預金の一部を払い戻せるようにしたものです。手続きは金融機関の窓口で行います。

引き出せる金額の計算方法と上限

引き出せる金額には上限が決められています。計算方法は以下の通りです。

(相続開始時の預金残高) × 1/3 × (払戻しを求める相続人の法定相続分)

ただし、注意点として、一つの金融機関から払い戻しを受けられる上限額は150万円と定められています。例えば、A銀行に900万円の預金があり、法定相続人が子ども2人(法定相続分は各1/2)の場合、子ども1人が単独で引き出せる金額は、

900万円 × 1/3 × 1/2 = 150万円

となり、上限額である150万円を引き出すことができます。

仮払い制度の必要書類

仮払い制度を利用する際にも、いくつかの書類が必要です。

  • 故人の出生から死亡までの戸籍謄本等
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 払戻しを希望する相続人の印鑑証明書
  • 金融機関所定の申請書

口座凍結前後にやってはいけない注意点

相続手続きをスムーズに進め、トラブルを避けるために、いくつか注意しておきたい点があります。

凍結前の安易な引き出しは危険

金融機関に連絡する前であれば、キャッシュカードと暗証番号を知っていればATMでお金を引き出せてしまうかもしれません。しかし、これは非常に危険な行為です。理由もなく預金を引き出すと、「相続を承認した(単純承認)」とみなされ、後から故人に多額の借金が見つかっても相続放棄ができなくなる可能性があります。また、他の相続人から使い込みを疑われ、トラブルの原因にもなります。葬儀費用などやむを得ない理由で引き出す場合でも、必ず領収書を保管し、何のために使ったのかを明確にしておきましょう。

口座凍結を放置するとどうなる?

凍結された口座をそのまま長期間放置しても、預金がなくなるわけではありません。しかし、最後の取引から10年以上経過すると「休眠預金」となり、預金保険機構に移管されることがあります。もちろん、後からでも手続きをすれば払い戻しは可能ですが、手続きが煩雑になることも考えられます。相続が発生したら、早めに手続きを進めることをお勧めします。

まとめ

今回は、名義人の死亡による口座凍結のタイミングや解除方法について解説しました。手続きは少し大変に感じるかもしれませんが、故人の大切な財産を守り、円満な相続を実現するために欠かせないプロセスです。まずは落ち着いて、故人がどの金融機関に口座を持っていたかを確認し、一つずつ手続きを進めていきましょう。もし手続きが複雑で不安な場合や、相続人間で話し合いがまとまらない場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談するのも一つの方法です。一人で抱え込まず、適切なサポートを受けながら進めてくださいね。

名義人死亡による口座凍結のよくある質問まとめ

Q.口座の名義人が亡くなると、いつ口座は凍結されますか?

A.金融機関が名義人の死亡を知った時点です。通常、相続人からの連絡で知ることが多いです。金融機関が死亡の事実を知らない限り、口座は凍結されません。

Q.亡くなった人の口座が凍結されるとどうなりますか?

A.入出金、引き落とし、振込など一切の取引ができなくなります。公共料金やクレジットカードの引き落としも停止するため、相続人が別途支払い手続きをする必要があります。

Q.口座凍結を解除するには、どのような手続きが必要ですか?

A.相続人全員の同意のもと、所定の書類を金融機関に提出して相続手続き(払戻しや名義変更)を行います。手続きが完了すると、凍結は事実上解除されます。

Q.口座凍結の解除に必要な書類は何ですか?

A.一般的に、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書、遺産分割協議書または遺言書などが必要です。金融機関によって異なるため事前に確認しましょう。

Q.口座が凍結される前に預金を引き出すのは問題ありますか?

A.金融機関が死亡を知る前なら引き出しは可能ですが、引き出した現金も相続財産です。他の相続人とのトラブルを避けるため、葬儀費用など使途を明確にし、領収書を保管しておくことが重要です。

Q.凍結された口座から葬儀費用を引き出すことはできますか?

A.はい、「相続預金の払戻し制度」を利用すれば、他の相続人の同意なしで、一つの金融機関につき最大150万円まで引き出すことが可能です。詳しくは金融機関にお問い合わせください。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。