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固定資産税の家屋調査でどこ見る?評価額が決まるポイント徹底解説

2025-10-19
目次

新築や増改築をすると、市区町村の職員が訪れる「家屋調査」。これは、毎年支払うことになる固定資産税の金額を決める、とても大切な調査です。でも、「具体的にどこを見られるの?」「何か準備は必要?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。家は建てて終わりではなく、維持していくためにも税金の知識は欠かせません。この記事では、家屋調査の流れから、評価額に影響する具体的なチェックポイント、そして調査当日の心構えまで、わかりやすく丁寧にご説明しますね。

そもそも家屋調査って何?固定資産税評価額のきほん

まずは、家屋調査がなぜ行われるのか、そして固定資産税評価額がどのように決まるのか、基本的な部分から見ていきましょう。この仕組みを知ることで、調査のポイントがより深く理解できますよ。

家屋調査の目的とは?

家屋調査の目的は、ずばり「固定資産税評価額」を算出するためです。市区町村の職員(評価員)が実際に家を訪れて、建物の構造や使われている資材、設置されている設備などを目で見て確認します。この調査結果をもとに、あなたの家の評価額が決定されるのです。一般的に、新築や増改築が完了してから1か月から3か月後くらいに、市区町村の資産税課などから調査日程の連絡が入ります。

固定資産税評価額はどう決まるの?

固定資産税評価額は、実際に家を建てたときの建築費そのもので決まるわけではありません。総務大臣が定めた全国共通のルールである「固定資産評価基準」に基づいて算出されます。これは、「その家と同じものを、今もう一度建てたらいくらかかるか(再建築価格)」という考え方で評価する方法です。具体的には、屋根や外壁、内装の仕上げ材、キッチンやお風呂などの設備といった項目ごとに点数が決められており、その合計点数によって評価額が計算される仕組みです。

家屋調査の一般的な流れ

家屋調査は、おおむね以下の流れで進みます。全体の流れを把握しておくと、当日も落ち着いて対応できますね。

  1. 市区町村からの連絡:まず、お住まいの市区町村から家屋調査の案内通知が届くか、電話で連絡があります。
  2. 日程の調整:担当者と訪問日時を調整します。ご自身の都合が悪い場合は、遠慮なく日程変更を相談しましょう。
  3. 事前の準備:調査日までに、建築確認済証や図面など、指定された書類を手元に用意しておきましょう。
  4. 調査当日:担当者が1~2名で訪問します。所要時間は建物の規模にもよりますが、30分から1時間程度が一般的です。所有者の立ち会いのもと、図面と照らし合わせながら内外装や設備を確認していきます。
  5. 質問と説明:調査の最後に、固定資産税の軽減措置などに関する説明や、簡単な質疑応答の時間があります。

【外部編】家屋調査でチェックされるポイント

家屋調査では、まず家の外観からチェックが始まります。どのような部材が使われているかで評価が変わってくるため、外から見える部分も大切なポイントです。ここでは、主に屋外で確認される項目について見ていきましょう。

屋根の材質と形状

屋根は、使われている材質によって評価が変わります。一般的には、スレート(コロニアル)よりもガルバリウム鋼板、さらに瓦屋根の方が評価は高くなる傾向にあります。また、屋根の形もポイントで、勾配が急な屋根や、採光のための天窓(トップライト)があると、評価額が上がる要因になります。

外壁の仕上げ

外壁も屋根と同様に、どのような仕上げ材が使われているかを確認します。評価は、一般的なサイディングよりも、塗り壁タイル貼りの方が高くなります。面積が広い部分なので、評価額への影響も比較的大きい箇所です。

基礎の高さと構造

家の土台となる基礎もチェック対象です。特に基礎の高さが見られます。地面から建物がどれだけ高く作られているかという点で、基礎が高いほど頑丈なつくりと見なされ、評価が上がる傾向にあります。コンクリートの量が多くなるためですね。

給湯器や太陽光パネルなどの設備

屋外に設置されている設備も見られます。例えば、エコキュートのような高効率な給湯器は、評価の加点対象となります。また、太陽光パネルについては、設置の仕方によって扱いが異なります。屋根材と一体になっている「建材一体型」は家屋の評価に含まれますが、一般的な「屋根置き型」は家屋の評価には含まれません。ただし、発電出力が10kW以上あるなど事業用と見なされる場合は、別途「償却資産」として固定資産税がかかることがあります。

【内部編】家屋調査でチェックされるポイント

調査員が家の中に入ってからは、各部屋の内装や水回りの設備などを細かく確認していきます。ここが評価額を左右する一番のポイントとも言えます。どんな点が評価に繋がりやすいのか、場所ごとに詳しく見ていきましょう。

内装(床・壁・天井)

各部屋の内装は、仕上げ材の種類によって評価が変わります。調査員は図面を見ながら各部屋を回り、材質を確認していきます。

場所 評価が低い傾向の仕上げ材
クッションフロア、フローリング(複合)
ビニールクロス

反対に、床材であれば無垢材タイル、壁材であれば塗り壁(珪藻土や漆喰など)やデザイン性の高いエコカラットタイルなどを使用していると評価は高くなります。

キッチン設備

キッチンは、特にシステムキッチンの間口(横幅)が評価のポイントです。標準的なサイズとされる幅255cmよりも広い場合は、評価が上がります。また、ビルトインタイプの食器洗い乾燥機やオーブンなども加点対象となる設備です。

浴室・洗面所

浴室は、ユニットバスの広さが重要です。一般的な1坪サイズ(1616サイズ)よりも広い場合は評価が高くなります。また、雨の日や冬に便利な浴室換気乾燥機も評価を上げる設備の一つです。洗面所にある洗面化粧台も、間口が広いもの(例:90cm以上)や、収納が多い高機能なものは評価が高くなります。

トイレ

トイレは、まず設置されている個数が評価に影響します。1階と2階の両方にトイレがある場合は、1つだけの場合よりも評価は上がります。また、便器とは別に独立した手洗いカウンターを設けている場合も、加点対象となります。

その他の設備(床暖房・空調など)

快適な生活のための設備も評価の対象です。冬に足元から暖めてくれる床暖房は、設置されている面積に応じて評価が加算されます。また、壁掛けのエアコンは対象外ですが、天井に埋め込まれたビルトインエアコンや、家全体を空調管理する全館空調システムは、評価額が上がる大きな要因となります。その他、ホームエレベーターなども当然、評価の対象です。

家屋調査に備える!当日の注意点と準備

調査当日をスムーズに、そして適正な評価をしてもらうためには、いくつかの準備と心構えが大切です。安心して調査に臨めるように、事前にポイントを押さえておきましょう。

準備しておくべき書類

市区町村から案内のあった書類を事前に準備しておきましょう。一般的に、以下の書類が必要になることが多いです。

  • 建築確認済証および確認申請書(副本)
  • 建物の図面(平面図、立面図など)
  • 長期優良住宅などの認定通知書(該当する場合)

これらの書類と実際の建物を照合しながら調査が進められます。すぐに出せるように、まとめておくと良いでしょう。

調査には必ず立ち会おう

家屋調査は、原則として所有者の立ち会いが必要です。もし立ち会わなかった場合、図面などの書類のみで評価されることになります。その際、現地で確認できない部分は安全側(高め)に評価されたり、本来受けられるはずの軽減措置が見落とされたりする可能性もゼロではありません。適正な評価を受けるためにも、必ずご自身かご家族が立ち会うようにしてください。

調査員への対応のコツ

調査員への対応は、難しく考える必要はありません。基本は「聞かれたことに、正直に、淡々と答える」ことです。こだわって建てた家だと、つい「この壁はイタリア製の高級なもので…」などとアピールしたくなるかもしれませんが、それは評価額を自ら上げてしまうことになりかねません。もちろん、嘘をつくのは絶対にいけませんが、必要以上に情報を与える必要もないのです。あくまで税額を決めるための事務的な調査と割り切って、冷静に対応しましょう。

固定資産税を賢く抑えるための知識

家屋調査で評価額が決まりますが、固定資産税には税負担を軽くしてくれる制度があります。これらの制度を知っているかどうかで、毎年の納税額が大きく変わることも。ぜひ知っておきたい軽減措置について解説します。

新築住宅の軽減措置

新しく建てた家には、税金が安くなる嬉しい特典があります。一定の要件を満たす新築住宅は、新築後3年間(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は5年間)、居住部分の床面積120㎡までの部分にかかる固定資産税が2分の1に減額されます。さらに、「認定長期優良住宅」の場合は、この期間が5年間(3階建て以上は7年間)に延長されます。

【主な適用要件】

  • 令和8年3月31日までに新築された住宅であること
  • 居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下であること

住宅用地の特例

家が建っている土地(住宅用地)に対しても、税負担を軽くする特例があります。土地の広さに応じて、課税標準額が大幅に減額されます。

区分 内容
小規模住宅用地 住宅1戸あたり200㎡までの部分の課税標準額が価格の6分の1
一般住宅用地 200㎡を超える部分の課税標準額が価格の3分の1

この特例があるため、更地のまま土地を持っているよりも、家を建てた方が土地の固定資産税は安くなるのです。

家屋調査後の物置設置

庭に設置する物置も、固定資産税の対象になるケースがあります。基礎工事を行い、地面にしっかりと固定された物置は、建築物(家屋)と見なされて課税対象になります。一方で、コンクリートブロックの上に置いただけのような、簡単に移動できるものは対象外です。もし固定式の物置を設置する予定があるなら、家屋調査が終わった後に設置することで、少なくともその次の評価替えまでは課税を遅らせることができる場合があります。

まとめ

今回は、市区町村が行う家屋調査のポイントについて詳しく解説しました。最後に、大切な点をもう一度おさらいしましょう。

  • 家屋調査は、固定資産税評価額を算出するために行われる現地調査です。
  • 評価は、全国共通の「固定資産評価基準」に基づき、内外装の材質や設備のグレードなどから点数方式で決まります。
  • 高価な材質や、グレードの高い設備、床暖房や全館空調などは評価額を上げる要因になります。
  • 調査には必ず立ち会い、聞かれたことに正直に答えるのが基本です。不要なアピールは控えましょう。
  • 新築住宅の軽減措置住宅用地の特例など、税負担を軽くする制度を正しく理解しておくことが大切です。

家屋調査は少し緊張するかもしれませんが、仕組みを理解していれば何も怖いことはありません。この記事を参考にしていただき、安心して調査に臨んでくださいね。

参考文献

総務省|地方税制度|固定資産税

固定資産税の家屋調査に関するよくある質問まとめ

Q. 家屋調査とは何ですか? なぜ行われるのですか?

A. 新築や増改築した家屋の固定資産税評価額を算出するために、市区町村の職員が建物の構造や材質、設備などを現地で確認する調査です。適正な課税のために行われます。

Q. 家屋調査は拒否できますか?

A. 法律に基づく調査のため、正当な理由なく拒否することはできません。協力しない場合、外観調査や図面などから評価額が推計され、不利益が生じる可能性もあります。

Q. 家屋調査はいつ頃行われますか?

A. 通常、建物が完成してから数ヶ月以内に、市区町村から日程調整の連絡が入ります。平日の日中に行われることが一般的です。

Q. 家屋調査の前に何か準備するものはありますか?

A. 建物の平面図や立面図、仕様書など、建築確認申請に関する書類一式を準備しておくと調査がスムーズに進みます。

Q. 家屋調査にはどのくらいの時間がかかりますか?

A. 家屋の規模や構造によりますが、一般的には30分から1時間程度で終了します。

Q. 家屋調査では具体的にどこを見られますか?

A. 主に建物の外壁や屋根などの「外部」と、各部屋の内装材(壁・床・天井)、キッチンやお風呂、トイレなどの「建築設備」を確認します。収納の中まで細かく見ることはありません。

事務所概要
社名
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