ご自宅に届く固定資産税の納税通知書を見て、「評価額」と「課税標準額」という2つの金額が書かれていて、どう違うんだろう?と疑問に思ったことはありませんか。なんだか難しそうに感じますよね。でも、この2つの違いを理解すると、ご自身の税金がどのように計算されているのかがよく分かり、スッキリしますよ。今回は、この「評価額」と「課税標準額」の違いについて、できるだけ専門用語を使わずに、やさしく解説していきますね。
「評価額」と「課税標準額」の基本的な違い
まずは、2つの言葉がそれぞれ何を示しているのか、基本的な役割から見ていきましょう。一言でいうと、評価額は「資産の価値」で、課税標準額は「税金を計算するための基礎となる金額」です。この2つは似ているようで、実は役割が全く違うんです。
固定資産税評価額とは?|その資産の「価値」を示す金額
固定資産税評価額(ひょうかがく)とは、みなさんがお持ちの土地や家屋(建物)が、現時点でどのくらいの価値があるのかを、市町村(東京23区の場合は都)が算定した金額のことです。いわば、その不動産の「公的な価格」のようなものですね。
この評価額は、総務大臣が定めた「固定資産評価基準」という全国共通のルールに基づいて、3年に1度見直し(評価替え)が行われます。
・土地の場合:国が公表する地価公示価格の70%程度を目安に評価されます。
・家屋の場合:その家屋と同じものをもう一度新築した場合にかかる費用(再建築価格)を基準に、年数の経過による傷み具合(経年減点補正)を考慮して評価されます。
課税標準額とは?|税金を「計算する元」になる金額
一方、課税標準額(かぜいひょうじゅんがく)とは、実際に固定資産税の税額を計算するために使われる金額のことです。固定資産税は、以下の計算式で求められます。
固定資産税額 = 課税標準額 × 税率(標準は1.4%)
この計算式からも分かるように、税額を直接左右するのが課税標準額なんですね。原則としては「評価額=課税標準額」となるのですが、特に土地の場合は、税金の負担を軽くするための特例措置が適用されることが多く、その場合は「評価額 > 課税標準額」となります。
評価額と課税標準額の違いまとめ
ここまでの内容を簡単な表にまとめてみました。
| 用語 | どのような金額か |
|---|---|
| 評価額 | 固定資産そのものの価値(時価に近いもの) |
| 課税標準額 | 税金を計算する元になる金額(評価額から調整されることがある) |
なぜ土地の評価額と課税標準額は違うの?
「原則は同じなのに、どうして金額が変わるの?」と不思議に思いますよね。その最大の理由は、土地にかかる税金の負担を軽くするための「特例」や「措置」があるからです。特に重要な2つの仕組みについて見ていきましょう。
住宅用地の特例措置で税負担が軽くなる
みなさんがお住まいの家が建っている土地(住宅用地)には、税負担を軽減するための特例措置が設けられています。これにより、課税標準額が評価額よりも大幅に低く計算されるんです。
| 土地の種類 | 課税標準額の計算方法 |
|---|---|
| 小規模住宅用地(住宅1戸あたり200㎡以下の部分) | 評価額 × 1/6 |
| 一般住宅用地(住宅1戸あたり200㎡を超える部分) | 評価額 × 1/3 |
例えば、土地の評価額が3,000万円で面積が180㎡の場合、小規模住宅用地に該当します。この場合、課税標準額は「3,000万円 × 1/6 = 500万円」となります。評価額と比べると、かなり金額が小さくなることがわかりますね。
負担調整措置で税金の急激な上昇を防ぐ
もう一つ、負担調整措置(ふたんちょうせいそち)という仕組みがあります。これは、3年に一度の評価替えで土地の評価額が急に上がったとしても、税金の額まで急激に上がってしまわないように、ゆっくりと税負担を調整していく仕組みです。
前年度の課税標準額をもとに、今年度の税負担が上がりすぎないようにブレーキをかけてくれる、と考えていただくと分かりやすいかもしれません。この措置によっても、評価額と課税標準額に差が生まれることがあります。
家屋(建物)の評価額と課税標準額は?
土地の場合は特例が多くて複雑でしたが、家屋(建物)の場合はもっとシンプルです。基本的には、土地のような特例措置がないため、「評価額 = 課税標準額」となることがほとんどです。
新築住宅には税額の軽減措置がある
ただし、家屋にも嬉しい軽減措置があります。それは新築住宅に対するものです。一定の要件を満たす新築住宅は、新築後の一定期間、固定資産税の税額そのものが2分の1に減額されます。
・一般の住宅(戸建てなど):新築後3年間
・3階建て以上の耐火・準耐火建築物(マンションなど):新築後5年間
※長期優良住宅の場合は、それぞれ5年間、7年間に延長されます。
これは課税標準額を調整するのではなく、計算された税額から直接引かれる形になるので、納税通知書で最終的な税額を確認してみてくださいね。
自分の評価額と課税標準額を確認する方法
ご自身の不動産の評価額と課税標準額がいくらなのか気になりますよね。確認方法はとても簡単です。
毎年届く「納税通知書」に同封の「課税明細書」
最も手軽な方法は、毎年4月~6月頃に市町村から送られてくる「固定資産税・都市計画税 納税通知書」を確認することです。この通知書に「課税明細書」という書類が同封されています。
この明細書には、お持ちの土地や家屋ごとに、「価格」または「評価額」という欄と、「課税標準額」という欄がありますので、それぞれの金額をはっきりと確認することができます。
市町村の窓口で「固定資産評価証明書」を取得する
不動産の売買や相続の手続きなどで、公的な証明書が必要になった場合は、「固定資産評価証明書」を取得します。これは、お住まいの市町村役場や都税事務所の窓口で申請すれば、発行してもらえます(手数料がかかります)。この証明書にも、評価額と課税標準額の両方が記載されています。
まとめ
今回は、固定資産税の「評価額」と「課税標準額」の違いについて解説しました。最後にポイントを振り返っておきましょう。
・評価額は、固定資産そのものの「価値」を示す金額。
・課税標準額は、税金を計算するための「元」になる金額。
・土地は「住宅用地の特例」などがあるため、評価額よりも課税標準額の方が低くなることが多い。
・家屋は原則として評価額と課税標準額は同じ金額になる。
・自分の金額は、納税通知書に同封の「課税明細書」で簡単に確認できる。
この違いが分かると、納税通知書の内容がより深く理解できるようになります。ぜひ一度、お手元の課税明細書をチェックして、ご自身の資産の価値と税金の計算根拠を確認してみてくださいね。
参考文献
固定資産税の評価額と課税標準額に関するよくある質問
Q. 固定資産税の「評価額」と「課税標準額」の最も大きな違いは何ですか?
A. 「評価額」は固定資産の価値そのものを示す価格です。一方、「課税標準額」は税金を計算するための基礎となる金額で、特例措置などにより評価額よりも低くなることがあります。
Q. 固定資産税の「評価額」はどのように決まるのですか?
A. 市町村(東京23区は都)が、国が定めた「固定資産評価基準」に基づいて決定します。土地は路線価、家屋は再建築価格などを基に3年に1度評価が見直されます。
Q. 「課税標準額」が「評価額」よりも低くなるのはなぜですか?
A. 住宅用地の特例や負担調整措置といった、税負担を軽減するための特例が適用されるためです。これにより、税金の計算に使われる課税標準額が評価額よりも低くなります。
Q. 自分の固定資産税の評価額や課税標準額はどこで確認できますか?
A. 毎年4月〜6月頃に市区町村から送られてくる「納税通知書」に同封されている「課税明細書」で確認できます。評価額と課税標準額の両方が記載されています。
Q. 土地の課税標準額が評価額よりかなり低いのですが、これはなぜですか?
A. 土地の上に住宅が建っている場合、「住宅用地の特例」が適用されている可能性が高いです。この特例により、土地の課税標準額が評価額の1/3や1/6に軽減されます。
Q. 固定資産税は「評価額」と「課税標準額」のどちらを基に計算されるのですか?
A. 固定資産税は「課税標準額」を基に計算されます。計算式は「課税標準額 × 税率(標準は1.4%)」となります。