税理士法人プライムパートナーズ

固定資産税の課税、市町村はどうやって調べてる?資産の把握方法を解説!

2025-10-08
目次

マイホームを購入したり、親から土地を相続したりすると、毎年「固定資産税」の納税通知書が届きますよね。「どうして市町村は私が不動産を持っていることを知っているんだろう?」と不思議に思ったことはありませんか?実は、市町村はさまざまな方法で、皆さんがお持ちの土地や家屋といった固定資産を正確に把握しているんです。この記事では、市町村が固定資産税の対象となる資産をどのように見つけて、管理しているのか、その仕組みを分かりやすく解説していきます。

固定資産税とは?まずはおさらい

はじめに、固定資産税について簡単におさらいしましょう。固定資産税は、土地、家屋、償却資産(事業で使う機械や備品など)といった「固定資産」に対してかかる地方税です。とても大切なポイントは、毎年1月1日(「賦課期日」といいます)時点の所有者に、その資産がある市町村から課税されるという点です。そのため、市町村は1月1日時点で誰がどの資産を所有しているのかを正確に把握する必要があるのです。

市町村は固定資産をどうやって把握しているの?

市町村が固定資産を把握する方法は一つだけではありません。いくつかの方法を組み合わせて、公平な課税ができるように努めています。主な方法は、法務局からの情報、職員による現地調査、所有者からの申告、そして航空写真の活用などです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

【基本】法務局からの登記情報

最も基本的で重要なのが、法務局からの通知です。土地や建物を購入したり、相続したり、贈与されたりすると、通常、法務局で「所有権移転登記」という手続きをしますよね。この登記が行われると、法務局から市町村へ「この不動産の所有者が〇〇さんから△△さんに変わりましたよ」という通知が届く仕組みになっています。これにより、市町村は新しい所有者を把握し、翌年度からその新しい所有者に固定資産税を課税することができるのです。これは、市町村が資産を把握するための、いわば「王道」の方法です。

【新築・増築時】職員による「家屋調査」

家を新築したり、大規模な増改築をしたりすると、完成後に市町村の職員が「家屋調査」のために訪問します。これは、固定資産税の課税対象となる「家屋」の評価額を算出するために行われる、とても大切な調査です。
調査では、建物の外観だけでなく、お部屋の中に入らせていただき、どのような資材がどれくらい使われているかなどを確認します。この調査結果をもとに評価額が決まり、税額が計算されるため、正確な課税のためには欠かせないプロセスです。

確認項目 内容
建物の構造 木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造など
屋根・外壁 使用されている資材(瓦、スレート、サイディングなど)
内装 天井・内壁・床の仕上げ材(クロス、板張り、フローリングなど)
建築設備 キッチン、お風呂、トイレ、空調設備(ビルトインエアコンなど)、太陽光発電システムなど

【所有者自身で】申告や届出

法務局からの通知や家屋調査だけでは把握しきれない情報については、所有者自身による申告や届出が求められます。特に重要なのは以下のケースです。

  • 未登記家屋の所有者変更や取り壊し
    法務局に登記していない家屋(未登記家屋)の所有者が変わったり、建物を取り壊したりしても、法務局からの通知は市町村に届きません。そのため、所有者の方が「所有者が変わりました」「家を取り壊しました」と市町村に届け出る必要があります。これを忘れると、前の所有者に納税通知書が届き続けるといったトラブルの原因にもなりかねません。
  • 償却資産の申告
    会社や個人で事業を営んでいる方が所有する、事業用のパソコン、機械、看板、店舗の内装設備なども「償却資産」として固定資産税の対象です。これらの資産は、所有者が毎年1月1日時点の状況を市町村に申告する「償却資産申告」という手続きによって把握されます。
ケース 内容
未登記家屋の所有者変更 売買や相続で登記していない建物の所有者が変わった場合
家屋の取り壊し(滅失) 登記の有無にかかわらず、建物を取り壊した場合
償却資産の所有 事業で使う機械や備品などを所有している場合(毎年の申告が必要)
土地や家屋の用途変更 住宅を店舗に変えた場合など

【最新技術も】航空写真や現地調査

市町村は、デスクワークだけでなく、実際に現地を確認したり、最新技術を活用したりもしています。その代表的なものが航空写真の活用です。
定期的に市町村全域の航空写真を撮影し、過去の写真と比較することで、新しく建てられた家や取り壊された建物、土地の利用状況の変化(例えば、畑だった場所が駐車場になっているなど)を発見します。最近では、AI(人工知能)を使って航空写真を解析し、変化のあった場所を自動でリストアップするような先進的な取り組みを行う自治体も増えています。
もちろん、職員が車や徒歩で地域を巡回し、現地の状況を目で見て確認する「現地調査」も、公平な課税を支える重要な業務の一つです。

こんな時はどうなる?固定資産把握のQ&A

固定資産の把握について、よくある疑問をQ&A形式でまとめてみました。

Q. 家を取り壊したのに納税通知書が届いたのはなぜ?

A. これにはいくつかの理由が考えられます。
一つ目は、固定資産税が1月1日時点の状況で課税されるためです。例えば、1月10日に家を取り壊した場合でも、その年の1月1日には家が存在していたため、その年度分の固定資産税は納める必要があります。家屋に対する課税がなくなるのは、翌年度からです。
二つ目は、手続きが完了していないケースです。登記されている家屋を取り壊した場合は、法務局で「建物滅失登記」を行う必要があります。未登記の家屋の場合は、市町村役場へ「家屋滅失届」などの届出が必要です。これらの手続きがされていないと、市町村は家がなくなったことを把握できず、納税通知書を送り続けてしまうことがあります。

Q. 登記していない古い物置にも固定資産税はかかるの?

A. 登記の有無にかかわらず、家屋として認定される要件を満たしていれば課税対象となります。物置や車庫であっても、以下の3つの要件を満たす場合は「家屋」とみなされ、固定資産税がかかる可能性があります。航空写真の解析や現地調査で発見されることも少なくありません。

要件 説明
土地への定着性 基礎などで土地にしっかりと固定されていること(コンクリートブロックの上に置いただけの物置は対象外になる場合も)
外気分断性 屋根があり、三方向以上の壁で囲われていて、雨風をしのげる状態であること
用途性 居住、作業、貯蔵などの目的で利用できる状態であること

Q. 畑を駐車場に変えたら税額が上がったのはなぜ?

A. 土地の利用状況(地目)が「畑(農地)」から「雑種地(駐車場)」に変わったことで、土地の評価額が再計算されたためです。固定資産税の評価は、登記上の地目ではなく、1月1日時点の実際の利用状況(現況地目)で行われます。
一般的に、農地よりも駐車場や宅地の方が評価額は高くなります。また、住宅が建っている土地に適用される「住宅用地の特例」という税負担の軽減措置が、駐車場には適用されません。市町村は、航空写真の確認や現地調査によって土地の利用状況の変化を把握し、翌年度の課税に反映させるため、税額が上がることがあるのです。

まとめ

今回は、市町村が固定資産税の対象となる資産をどのように把握しているのかについて解説しました。市町村は、法務局からの登記情報を基本としつつ、職員による家屋調査や現地確認、航空写真の活用、そして皆さんからの申告など、さまざまな方法を組み合わせて課税対象となる資産を正確に把握しています。これにより、課税の公平性を保っているのですね。
もし、ご自身の土地や家屋に新築、増築、取り壊し、用途変更などの変化があった場合は、どのような手続きが必要かを確認し、忘れずに申告・届出を行うようにしましょう。

参考文献

東京法務局|相続登記が義務化れました

国税庁|資料情報事務

固定資産税の調査に関するよくある質問まとめ

Q.市町村はどうやって新築の家を把握しているのですか?

A.法務局からの登記情報や、建築確認申請の情報をもとに把握します。その後、職員が現地に伺い、税額を計算するための「家屋調査」を行います。

Q.家を建てた後に行われる「家屋調査」とは何ですか?

A.固定資産税を正しく計算するために、市町村の職員が建物の構造や材質、設備などを確認する調査です。この調査結果をもとに、家屋の評価額が決定されます。

Q.未登記の建物でも固定資産税はかかりますか?なぜバレるのですか?

A.はい、未登記であっても固定資産税の課税対象です。市町村は航空写真の比較や現地調査、近隣からの情報提供などを通じて未登記家屋を把握しています。

Q.土地の情報はどのように把握しているのですか?

A.主に法務局の登記情報に基づいて把握しています。土地の地番、地目(用途)、地積(面積)などの情報を基に、路線価などを参考にして評価額を計算します。

Q.事業で使う機械や備品(償却資産)はどのように把握されるのですか?

A.事業用の機械や備品などの償却資産は、所有者からの申告に基づいて把握します。毎年1月1日時点の資産状況を、所有者が市町村に申告する義務があります。

Q.固定資産の評価は毎年行われるのですか?

A.土地と家屋の評価額は、原則として3年ごとに見直されます(評価替え)。ただし、新築や増改築があった場合などは、その都度評価が行われます。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。