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固定資産税はいくら払う?計算方法から軽減措置まで徹底解説!

2024-12-02
目次

マイホームの購入や不動産の相続をきっかけに、「固定資産税」という言葉を耳にする機会が増えますよね。毎年支払う税金だと知ってはいても、「一体いくら払うの?」「どうやって計算されているの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。固定資産税は、私たちの暮らしを支える大切な税金ですが、仕組みが少し複雑に感じるかもしれません。この記事では、そんな固定資産税の基本から、具体的な計算方法、そして知っておくとお得な軽減措置まで、わかりやすく丁寧にご紹介していきます。

固定資産税ってどんな税金?

固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や家屋などの固定資産を所有している人に対して、その資産がある市町村(東京23区の場合は都)が課税する地方税です。道路や学校、公園の整備、ゴミ収集や消防・救急といった、私たちが利用する身近な行政サービスを支えるための大切な財源として使われています。

誰が納めるの?(納税義務者)

固定資産税を納める義務があるのは、毎年1月1日(「賦課期日」といいます)時点での固定資産の所有者です。所有者とは、原則として不動産登記簿に所有者として登記されている人のことを指します。
そのため、例えば1月2日に不動産を売却したとしても、その年の固定資産税は1月1日時点の所有者であった売主の方に全額請求されることになります。実際の不動産売買では、売主と買主の間で引き渡し日に応じて日割りで精算するのが一般的ですが、法律上の納税義務者はあくまで1月1日時点の所有者であるということを覚えておきましょう。

何に対してかかるの?(課税対象)

固定資産税の対象となる資産は、大きく分けて次の3つです。

  • 土地:宅地、田、畑、山林など
  • 家屋:住宅、店舗、工場、倉庫など
  • 償却資産:事業のために使用している構築物、機械、備品など(例:駐車場の舗装、看板、パソコン)

個人の方にとっては、主に所有している土地と家屋が課税の対象となります。

いつ、どうやって納めるの?

毎年4月から6月頃になると、市町村から「納税通知書」が送られてきます。この通知書には、税額や課税の根拠となった資産の評価額などが記載された「課税明細書」が同封されています。
納付は、年に4回(例えば6月、9月、12月、2月など)の分割払いが一般的ですが、第1期の納期限までに全額を一度に納付することも可能です。支払い方法は、金融機関やコンビニエンスストアでの納付書払いのほか、口座振替やクレジットカード、スマートフォン決済アプリなど、便利なキャッシュレス納税に対応している自治体も増えています。

固定資産税の計算方法をマスターしよう

固定資産税の税額は、以下の計算式で求められます。少し難しく感じるかもしれませんが、仕組みを理解すればご自身の税額を把握しやすくなりますよ。

固定資産税額 = 課税標準額 × 税率(標準税率1.4%)

この計算式の中で、特に重要なのが「課税標準額」です。ここを詳しく見ていきましょう。

課税標準額とは?

課税標準額とは、税額を計算するための基礎となる金額のことです。原則として、市町村が決定した「固定資産税評価額」が課税標準額となります。
固定資産税評価額は、総務大臣が定めた「固定資産評価基準」に基づいて、土地の時価(公示価格の70%程度が目安)や、家屋の建築費などを基に算出されます。この評価額は、原則として3年に一度、見直しが行われます。これを「評価替え」と呼びます。
ただし、後ほど詳しくご説明する「住宅用地の特例」などが適用される場合は、固定資産税評価額よりも低い金額が課税標準額となります。

税率はいくら?

固定資産税の税率は、多くの市町村で標準税率である1.4%が採用されています。ただし、この税率は自治体が条例で変更することも可能なため、お住まいの地域によっては異なる場合があります。正確な税率は、お住まいの市町村のウェブサイトなどで確認してみてください。

具体的な計算例を見てみよう

それでは、簡単なモデルケースで実際に計算してみましょう。

【設定】

  • 土地:面積150㎡、評価額3,000万円(小規模住宅用地)
  • 家屋:床面積100㎡、評価額1,200万円(新築)
  • 税率:1.4%

【土地の固定資産税】

  1. 課税標準額の計算:住宅用地の特例(200㎡以下のため1/6)を適用します。
    3,000万円 × 1/6 = 500万円
  2. 税額の計算
    500万円 × 1.4% = 70,000円

【家屋の固定資産税】

  1. 課税標準額:家屋は原則として評価額がそのまま課税標準額になります。
    1,200万円
  2. 当初の税額計算
    1,200万円 × 1.4% = 168,000円
  3. 新築住宅の減額:税額が1/2に減額されます。
    168,000円 × 1/2 = 84,000円(減額分)
  4. 納める税額
    168,000円 – 84,000円 = 84,000円

このケースでは、土地と家屋を合わせて、年間の固定資産税は 70,000円 + 84,000円 = 154,000円 となります。

土地に関する固定資産税のポイント

土地の固定資産税は、その土地がどのように利用されているかによって税負担が大きく変わります。特に、住宅が建っている土地には大きな軽減措置が用意されています。

負担が軽くなる「住宅用地の特例」

住宅やアパートなど、人が住むための家屋が建っている土地(住宅用地)は、税負担が軽くなる特例措置が適用されます。この特例には2つの区分があり、それぞれ課税標準額が次のように減額されます。

区 分 課税標準額の軽減割合
小規模住宅用地(住宅1戸あたり200㎡以下の部分) 価格 × 1/6
一般住宅用地(200㎡を超える部分) 価格 × 1/3

例えば、300㎡の土地に一戸建てが建っている場合、200㎡分は「小規模住宅用地」として価格が1/6に、残りの100㎡分は「一般住宅用地」として価格が1/3に軽減されて税額が計算されます。この特例があるおかげで、更地に比べて住宅が建っている土地の税金はかなり安くなっているのです。

特定空き家になると税金が上がる?

注意したいのが、近年問題になっている「空き家」です。適切な管理がされずに放置され、倒壊の危険などがある空き家は、「特定空家等」に指定されることがあります。特定空家に指定されてしまうと、たとえ住宅が建っていても「住宅用地の特例」の対象から外されてしまいます。その結果、土地の固定資産税が最大で6倍に跳ね上がってしまう可能性があるので、空き家を所有している場合は適切な管理がとても重要です。

家屋に関する固定資産税のポイント

家屋の固定資産税評価額は、その家屋と同じものを新築した場合にかかる費用(再建築価格)を基準に、年数の経過による価値の減少(経年減点補正)を考慮して算出されます。新築時やリフォーム時には、税金が安くなる制度があります。

新築住宅の減額措置

新築された住宅については、一定の要件を満たす場合に、家屋にかかる固定資産税が一定期間、2分の1に減額されます。床面積が50㎡以上280㎡以下などの要件がありますが、多くの新築住宅が対象となります。減額される期間は、住宅の種類によって異なります。

住宅の種類 減額期間
一般の住宅(3階建未満) 新たに課税される年度から3年度分
3階建以上の耐火・準耐火建築物(マンションなど) 新たに課税される年度から5年度分
認定長期優良住宅(3階建未満) 新たに課税される年度から5年度分
認定長期優良住宅(3階建以上) 新たに課税される年度から7年度分

リフォームによる減額措置

既存の住宅でも、一定の要件を満たすリフォームを行うことで、固定資産税の減額を受けられる場合があります。主な対象となるリフォームは以下の通りです。

  • 耐震改修:現行の耐震基準に適合させるための改修工事
  • バリアフリー改修:高齢者などが安全に暮らせるようにするための改修工事
  • 省エネ改修:窓の断熱改修など、省エネ性能を高めるための工事

これらの減額措置を受けるためには、工事完了後に市町村へ申告が必要です。リフォームを検討する際は、こうした制度もぜひ活用してください。

固定資産税とあわせて納める「都市計画税」

固定資産税の納税通知書をよく見ると、「都市計画税」という税金が一緒に記載されていることがあります。これは、固定資産税とあわせて納める税金で、主に街路事業や公園、下水道の整備といった都市計画事業の費用に充てられます。

都市計画税の対象となるエリア

都市計画税は、どこでも課税されるわけではありません。原則として、都市計画法で定められた「市街化区域」内に所在する土地と家屋が対象となります。市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域や、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域のことです。

都市計画税の計算方法

都市計画税の計算方法は、固定資産税とよく似ています。

都市計画税額 = 課税標準額 × 税率(上限0.3%)

税率は市町村によって異なりますが、上限である0.3%としているところが多いです。また、都市計画税にも住宅用地の特例があり、課税標準額が以下のように軽減されます。

  • 小規模住宅用地(200㎡以下の部分):価格 × 1/3
  • 一般住宅用地(200㎡を超える部分):価格 × 2/3

まとめ

今回は、固定資産税の基本的な仕組みから計算方法、そして様々な軽減措置についてご紹介しました。固定資産税は、不動産を所有している限り毎年関わってくる大切な税金です。ご自身の納税通知書と課税明細書を見ながら、この記事の内容を照らし合わせてみると、より理解が深まるはずです。特に、住宅用地の特例や新築住宅の減額措置は、税負担を大きく左右する重要なポイントです。もしわからないことや気になることがあれば、お住まいの市町村の資産税課などの担当窓口に相談してみましょう。きっと丁寧に教えてくれますよ。

参考文献

固定資産税・都市計画税(土地・家屋)|東京都主税局

No.2215 固定資産税、登録免許税又は不動産取得税を支払った場合|国税庁

No.4602 土地家屋の評価|国税庁

固定資産税のよくある質問まとめ

Q.固定資産税とは何ですか?

A.土地や家屋、事業用の機械などの固定資産を所有している人が、その資産がある市町村(東京23区の場合は都)に毎年納める地方税です。

Q.固定資産税はいつ支払うのですか?

A.通常、年に4回(例:6月、9月、12月、2月)に分けて支払います。自治体によって納期は異なるため、送られてくる納税通知書で確認してください。

Q.固定資産税はどのように計算されますか?

A.計算式は「課税標準額 × 税率(標準は1.4%)」です。課税標準額は固定資産税評価額をもとに算出され、税率は自治体によって異なる場合があります。

Q.納税通知書はいつ頃届きますか?

A.毎年4月から6月頃に、その年の1月1日時点の所有者宛に市町村から送付されます。

Q.新築住宅の固定資産税には軽減措置がありますか?

A.はい、あります。新築住宅が一定の要件を満たす場合、家屋の固定資産税が新築後3年度分(マンションなどは5年度分)にわたり2分の1に減額されます。

Q.固定資産税が支払えない場合、どうすればいいですか?

A.支払いが困難な場合は、放置せずにすぐに市町村の税務担当課に相談してください。分割納付や徴収猶予などの制度を利用できる可能性があります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。