マイホームをお持ちの方なら毎年支払うことになる固定資産税。その税額の計算の基礎になるのが「固定資産税評価額」です。この評価額がどのように決まるかご存知でしょうか?実は、その算出には「固定資産評価基準」という全国共通のルールが使われているんです。今回は、この少し専門的に聞こえる固定資産評価基準について、どなたでも分かるように優しく解説していきますね。
固定資産評価基準ってそもそも何?
固定資産評価基準とは、一言でいうと「土地や家屋などの固定資産の価値を評価するための全国統一のルール」のことです。固定資産税は市町村が課税する税金ですが、それぞれの市町村がバラバラの基準で評価してしまうと、不公平が生じてしまいますよね。そうならないように、国(総務大臣)が定めた共通の物差しが、この評価基準なんです。
誰が何のために決めているの?
この基準は、地方税法という法律の規定に基づいて総務大臣が定めています。そして、全国の市町村は、この基準に基づいて個々の土地や家屋の評価額を算定します。目的は、課税の公平性を保つことです。どこに住んでいても、同じような価値の資産であれば、同じように評価されるべき、という考え方が根底にあるんですよ。
3年に一度の「評価替え」とは?
土地の価格や建物の価値は、経済状況などによって常に変動しています。そのため、一度決めた評価額をずっと使い続けるのは実態に合わなくなってしまいます。そこで、原則として3年ごとに評価額を見直すことになっており、これを「評価替え(ひょうかがえ)」と呼びます。評価替えが行われる年度を「基準年度」といい、直近では令和6年度が基準年度でした。次の評価替えは令和9年度に行われる予定です。
固定資産税評価額と他の価格との違い
土地の価格には、固定資産税評価額のほかにも色々な指標があって、少しややこしいかもしれません。それぞれの目的と価格水準が違うので、ここで整理しておきましょう。
| 価格の種類 | 概要と目的 |
| 固定資産税評価額 | 固定資産税や都市計画税、不動産取得税などを計算するための価格。公示価格の約70%が目安とされています。 |
| 公示地価(地価公示価格) | 国土交通省が公表する土地取引の目安となる価格。公共事業の用地買収価格の算定基準にもなります。 |
| 相続税路線価 | 相続税や贈与税を計算するための価格。国税庁が公表し、公示価格の約80%が目安です。 |
| 実勢価格(時価) | 実際に市場で売買される価格のこと。需要と供給のバランスで決まるため、他の価格とは必ずしも一致しません。 |
【土地】の固定資産評価基準
土地の評価は、その土地がどのように利用されているか(地目)や、どの地域にあるかによって評価方法が異なります。基本的には、実際の売買価格である「売買実例価額」を基礎として、その土地の価値を客観的に評価していきます。
地目ごとに評価方法が違う
土地は、その利用状況によって「地目(ちもく)」という区分に分けられています。固定資産税の評価では、登記簿上の地目ではなく、その年の1月1日時点の実際の利用状況(現況地目)に基づいて評価が行われます。主な地目と評価方法は以下の通りです。
| 地目 | 概要 |
| 宅地 | 建物の敷地。市街地にある宅地は主に「路線価方式」で評価されます。 |
| 田・畑(農地) | 農作物を耕作する土地。地域の標準的な農地の価格に比準して評価されます。 |
| 山林 | 木や竹が生育している土地。地域の標準的な山林の価格に比準して評価されます。 |
| 雑種地 | 駐車場や資材置場など、他のどの地目にも当てはまらない土地。売買実例や近隣の土地の評価額を基に評価されます。 |
宅地の評価方法「市街地宅地評価法(路線価方式)」
市街地にある宅地の多くは、「市街地宅地評価法」という方法で評価されます。これは、道路(路線)に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価格である「路線価」を基に計算する方法です。相続税の路線価とは別に、市町村が固定資産税のために定めています。
具体的な評価額は、この路線価に、土地の形状(奥行が長い、形が不整形であるなど)や角地かどうかといった個別の要因を考慮した補正率を掛けて、最後に土地の面積を乗じて算出されます。
路線価がない地域の評価方法
郊外や農村部など、路線価が定められていない地域もあります。そうした場所では、状況が類似する地域の標準的な宅地を選び、その宅地の評価額に比準して個々の土地の評価額を決定する方法がとられます。これにより、路線価がない地域でも公平な評価ができるようになっているんですね。
【家屋】の固定資産評価基準
家屋、つまり建物の評価は、土地とは全く異なる考え方で行われます。土地のように売買価格を基準にするのではなく、「もし今、同じ建物を建てたら、いくらかかるか?」という視点で評価するのが特徴です。
「再建築価格方式」とは?
家屋の評価は「再建築価格方式」という方法で行われます。これは、「評価の対象となる家屋と全く同じものを、評価の時点においてその場所に新築した場合に必要となる建築費(再建築価格)」を求め、そこから年数の経過による価値の減少分を差し引いて評価額を算出する方法です。
つまり、新築時の建築費そのものではなく、評価時点での資材価格や労務費で計算し直すのがポイントです。
評価額の計算の流れ
家屋の評価額は、具体的には以下の流れで計算されます。
- 屋根、外壁、柱、内装、設備など、部分ごとの資材や施工状況を確認し、定められた基準表に基づいて点数を付け、合計して「再建築費評点数」を算出します。
- この再建築費評点数に、年数の経過による価値の減少を反映させる「経年減点補正率」を掛け合わせます。
- 最後に、物価水準などを反映した補正を加えて、評価額が決定されます。
新築の建物はもちろん、年数が経った建物でも、この方法で毎年(実際には評価替えの年まで据え置き)価値が再計算されているんですよ。
新築・増改築した場合の評価
家を新築したり、増改築したりすると、その内容を評価に反映させる必要があります。そのため、完成後に市町村の職員(または委託された調査員)が訪問し、「家屋調査」を行います。この調査では、部屋の間取りや使われている建材、キッチンやお風呂などの設備を確認し、先ほどの再建築価格を計算するための基礎資料を集めるのです。
固定資産税額の計算方法
ここまでで、固定資産評価基準に基づいて「評価額」が決まる仕組みを見てきました。では、最終的に私たちが支払う税額はどのように計算されるのでしょうか。ここにも大切なポイントがあります。
課税標準額とは?
固定資産税は、評価額に直接税率を掛けるわけではありません。税額を計算する直接の基礎となる金額を「課税標準額」といいます。多くの場合、評価額と同じ金額になりますが、特に住宅が建っている土地(住宅用地)については、税負担を軽くするための特例措置があるため、評価額よりも課税標準額が大幅に低くなります。
住宅用地の特例措置
居住用の家屋が建っている土地(住宅用地)には、課税標準額を大幅に引き下げる特例が設けられています。これは固定資産税を計算する上で非常に重要な制度です。
| 用地の種類 | 課税標準額 |
| 小規模住宅用地(住宅1戸あたり200㎡以下の部分) | 評価額 × 1/6 |
| 一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 評価額 × 1/3 |
例えば、評価額3,000万円で200㎡の土地の場合、特例が適用されると課税標準額は500万円(3,000万円×1/6)にまで圧縮されることになります。これは大きな違いですよね。
税額の計算式
課税標準額がわかれば、あとは税率を掛けるだけです。固定資産税の標準的な税率は1.4%と定められています。
固定資産税額 = 課税標準額 × 税率(1.4%)
ただし、この税率は市町村が条例で変更することも可能なため、お住まいの地域によっては異なる場合があります。また、市街化区域内にある場合は、これに加えて都市計画税(税率の上限0.3%)が課されることもあります。
まとめ
今回は、固定資産税の基礎となる「固定資産評価基準」について詳しく見てきました。少し難しく感じたかもしれませんが、ポイントは以下の通りです。
- 固定資産評価基準は、全国の市町村が公平に固定資産税を課税するための統一的なルールです。
- 土地は路線価などを基に、家屋は再建築価格を基に評価されます。
- 評価額は3年ごとの「評価替え」で見直されます。
- 税額を計算する際は、評価額そのものではなく、特例などが適用された後の「課税標準額」が使われます。
毎年送られてくる納税通知書と一緒に入っている課税明細書には、ご自身の土地や家屋の評価額、課税標準額が記載されています。この記事を参考に、一度内容を確認してみてはいかがでしょうか。きっと、固定資産税への理解がより一層深まるはずですよ。
参考文献
固定資産評価基準のよくある質問まとめ
Q.固定資産評価基準とは、簡単に言うと何ですか?
A.全国の市町村が固定資産税の評価額を算出するための、国が定めた統一的なルールのことです。これにより、全国どこでも公平な基準で評価が行われます。
Q.固定資産評価基準は誰が定めているのですか?
A.総務大臣が定めています。法律に基づき、土地、家屋、償却資産の評価方法の細かな基準を告示として公表しています。
Q.土地と家屋で評価の仕方は違うのですか?
A.はい、異なります。土地は売買実例価額などを基にした「適正な時価」を基準に評価されます。一方、家屋は同じものを新しく建てた場合の費用(再建築価格)から、経年劣化分を差し引いて評価されます。
Q.なぜ3年ごとに評価額を見直す「評価替え」があるのですか?
A.土地の価格変動や家屋の経年劣化などを評価額に反映させ、常に適正で公平な課税を保つためです。この3年に一度の見直しを「評価替え」と呼びます。
Q.自分の家の評価額がどのように計算されたか知ることはできますか?
A.はい、可能です。お住まいの市町村役場(都税事務所など)で、ご自身の固定資産が登録されている「固定資産課税台帳」を閲覧することで、評価額やその算定根拠を確認できます。
Q.リフォームをしたら固定資産税の評価額は変わりますか?
A.リフォームの内容によります。柱や壁など建物の構造に影響する大規模な増改築や用途変更を行った場合は、再評価の対象となり評価額が変わることがあります。単なる内外装の修繕であれば、評価額は変わりません。