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国税局の伝家の宝刀!総則6項とは?タワマン節税対策を徹底解説

2026-02-27
目次

相続税の計算をする際、不動産の価値をどう評価するかは非常に重要です。その中で、国税局が奥の手として使う「総則6項」という言葉を聞いたことはありませんか。これは、極端な節税対策に対して国税局が独自に評価額を見直すことができる、まさに「伝家の宝刀」と呼ばれる強力なルールです。本記事では、総則6項の意味や、どのようなケースで発動されるのか、そして私たちが気をつけるべきポイントについて、具体的な事例や金額を交えながら分かりやすく解説していきます。

国税局の伝家の宝刀「総則6項」とは?

総則6項とは、国税庁が定めた「財産評価基本通達」の第1章第6項に記載されているルールのことです。通常、不動産の相続税評価額は路線価や固定資産税評価額を使って計算されますが、このルールでは「著しく不適当と認められる場合は、国税庁長官の指示を受けて評価する」と定められています。

総則6項が適用されるケース

通常のルール通りに評価した金額と、実際に市場で売買される価格(実勢価格)との間に、大きすぎる差がある場合に適用されます。特に、評価額が実勢価格の何分の一にもなってしまうようなタワーマンションを使った行き過ぎた節税対策などが対象になりやすいです。

適用される主な条件 実勢価格と評価額の大きな乖離、明らかな租税回避の意図
対象となりやすい財産 購入価格が高額なタワーマンションや都市部の優良物件

伝家の宝刀と呼ばれる理由

誰もが守るべき通常の評価ルールを根本から覆し、国税局の権限で特別に鑑定評価額を採用できるためです。納税者側が「ルール通りに計算したのに」と主張しても、著しく公平性を欠くと判断されれば否認されてしまうため、非常に強力で恐れられていることから伝家の宝刀と呼ばれています。

最高裁判所での判例(令和4年4月19日)

総則6項が大きく注目されたのは、令和4年の最高裁判決です。亡くなった方が生前に約13億8,700万円でマンション2室を購入し、約10億5,000万円を銀行から借り入れました。通常の路線価で計算すると評価額は約3億3,300万円となり、借入金と相殺して相続税は0円と申告しました。しかし、国税局は総則6項を発動し、不動産鑑定士による約12億7,300万円での評価を適用しました。結果として約3億3,000万円の追徴課税が行われ、最高裁もこれを適法と認めました。

総則6項適用の判断基準と具体的な要件

では、どのような基準で総則6項という伝家の宝刀が抜かれるのでしょうか。法律で「いくらから適用する」という明確な数値は決まっていませんが、過去の事例からいくつかの危険なポイントが見えてきます。

路線価と実勢価格の乖離率

実際の購入価格と路線価による評価額の差(乖離率)が極端に大きいと危険です。先ほどの最高裁判例では、実勢価格が評価額の約4.1倍にもなっていました。一般的に乖離率が3倍から4倍を超えてくると、国税局から厳しい目を向けられる可能性が高まります。

乖離率の目安 税務署から注目されやすいリスクの度合い
約1倍〜2倍 一般的な不動産に多く、適用リスクは比較的低い
約3倍〜4倍以上 著しい乖離とみなされ、総則6項適用のリスクが高まる

相続開始直前の不動産購入と借入

亡くなる直前に急いで多額の借入を行い、高額な不動産を購入する行為も要注意です。例えば、90歳の高齢者が相続の1年前や半年前に10億円のお金を借りてタワーマンションを買った場合、事業目的ではなく明らかに相続税を減らすためだけの行動だと判断されやすくなります。

租税回避の意図の有無

最も重要なのは「税金逃れが主な目的かどうか」です。銀行の融資稟議書や社内文書に「相続税対策として購入する」といった文言がはっきりと残っていると、国税局から租税回避の意図があったと認定される決定的な証拠になってしまいます。

マンション評価見直しの新ルール(令和6年1月から)

総則6項は強力ですが、国税局にとっても毎回裁判になるのは負担です。そこで、タワーマンションなどの過度な節税を防ぐため、令和6年1月1日からマンションの相続税評価額を計算する新しいルールが導入されました。

新しい評価方法の計算式

新ルールでは、マンションの市場価格と路線価の差を埋めるための「評価乖離率」という数字を計算します。この評価乖離率が1.19を超えるマンションの場合、最低でも市場価格の60%(評価水準0.6)になるように、路線価評価額に一定の補正率を掛けて計算し直すことになりました。

新ルールの対象 区分所有されている居住用のマンション(一部例外あり)
計算の基準となる数値 評価乖離率が「1.19」を超えるかどうかが分かれ目

築年数や総階数の影響

評価乖離率を求めるための計算式には、具体的な要素が4つ組み込まれています。「築年数」「総階数」「所在階」「敷地持分狭小度」です。つまり、築年数が新しく、20階建て以上のタワーマンションで、かつ高層階にある部屋ほど、補正率が高くなり、相続税評価額が引き上げられる仕組みです。

新ルール適用後の対策

この新ルールにより、極端なタワマン節税は封じられつつあります。今後は単に高額なマンションを買うだけでなく、長期的な視野で不動産賃貸業を営むなど、ビジネスとしての実態を伴った堅実な生前対策を行うことがより一層求められます。

まとめ

国税局の「伝家の宝刀」と呼ばれる総則6項は、行き過ぎた節税対策に対して公平性を保つための強力なルールです。約13.8億円のマンション購入による節税が否認された最高裁判例からも分かるように、過度な借入や極端な評価額の引き下げは大きなリスクを伴います。さらに令和6年からはマンション評価の新ルールも始まりましたので、目先の節税効果だけにとらわれず、不動産の適正な価値を見極めた無理のない生前計画を立てることが何よりも大切です。

参考文献

国税庁 相続税財産評価に関する基本通達

国税庁 居住用の区分所有財産の評価について

総則6項のよくある質問まとめ

Q.総則6項とは簡単に言うと何ですか?

A.国税庁が定める財産評価基本通達のルールのひとつで、通常の計算方法による評価額が著しく不適当な場合に、国税庁長官の指示で独自に評価し直すことができる例外規定のことです。

Q.伝家の宝刀と呼ばれるのはなぜですか?

A.納税者が通常のルール通りに計算した評価額であっても、行き過ぎた節税だと判断されれば国税局の権限で覆すことができる非常に強力な武器であるためです。

Q.どのような不動産が総則6項の対象になりますか?

A.購入価格が約10億円以上するような高額なタワーマンションなど、実際の売買価格と路線価による評価額の差が3倍から4倍以上に大きく開いている不動産が狙われやすいです。

Q.最高裁の判例ではどのような結果になりましたか?

A.約13.8億円で購入したマンションを約3.3億円で評価して相続税を0円とした申告に対し、国税局が総則6項を適用して約12.7億円で再評価し、約3.3億円の追徴課税が認められました。

Q.令和6年からの新ルールで何が変わりましたか?

A.マンションの市場価格と路線価の乖離を防ぐため、築年数や総階数などから評価乖離率を計算し、市場価格の最低60%になるよう評価額を引き上げる新しい計算方法が導入されました。

Q.総則6項の適用を避けるにはどうすればよいですか?

A.相続直前の急な多額の借入や極端な節税目的だけの不動産購入を控え、長期的な視点で実態のある賃貸経営などを行う堅実な生前対策を心がけることが大切です。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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