税理士法人プライムパートナーズ

土地等の負債利とは?制度背景とともに説明します

2026-02-22
目次

不動産投資やアパート経営をしていると、確定申告の際に「土地等の負債利」という言葉を目にすることがあるのではないでしょうか。不動産所得が赤字になった場合、この土地等の負債利の扱いが非常に重要になります。ここでは、土地等の負債利とは一体何なのか、なぜこのような仕組みになっているのかという制度背景から、具体的な計算上の取り扱いまでを分かりやすくお話ししていきます。

土地等を取得するために要した負債の利子とは

不動産所得の計算において、土地や建物を購入するために銀行などからお金を借りた場合、その借入金に対して支払う利息は経費になります。このうち、土地を取得するために要した借入金の利子のことを「土地等の負債利」と呼びます。

不動産所得の損益通算における特例

不動産所得の計算上で生じた赤字は、原則として給与所得など他の所得から差し引くこと(損益通算)ができます。しかし、不動産所得が赤字の場合、その赤字のうち土地等の負債利に相当する部分は、他の所得と損益通算できないというルールがあります。

対象となる利子 損益通算の取り扱い
土地等を取得するための負債利 不動産所得が赤字の場合、その赤字のうち利子相当額は損益通算できない
建物等を取得するための負債利 制限なく全額が損益通算の対象となり、給与所得などから差し引ける

なぜこの制度ができたのか?(制度背景)

なぜ建物の利子はよくて、土地の利子は損益通算できないのでしょうか。この制度背景には、平成4年(1992年)に施行された税制改正が深く関わっています。当時の日本はバブル経済のただ中にあり、借金をして土地を買い、地価が上がったところで売却して利益を得るという投機的な動きが活発でした。多くの方が多額の借入金で土地を買い、年間数百万円という高額な利息を支払って不動産所得を意図的に赤字にし、給与所得と相殺して税金を減らしていました。
このような行き過ぎた節税や土地への投機を抑え、地価の高騰を沈静化させる目的で、「土地を取得するための借入金利子は、不動産所得が赤字の場合には他の所得と相殺させない」という厳しいルールが作られたのです。

対象となる土地等と負債の範囲

損益通算の制限対象となる「土地等」には、土地そのものだけでなく、借地権や地上権などの権利も含まれます。また、負債の範囲は、金融機関からの借入金だけでなく、知人から借りた500万円の借入金に対する利子なども対象となります。ただし、建物のみを取得するための借入金や、すでに所有している土地に100万円をかけて造成工事を行うための借入金などは対象外です。

区分 具体例
制限の対象になるもの 土地の購入代金のための借入金利子、借地権の取得費用に対する借入金利子
制限の対象にならないもの 建物の購入・建築代金のための借入金利子、所有している土地の造成費のための借入金利子

負債利子の具体的な計算方法

実際に不動産所得が赤字になった場合、どのように計算を進めればよいのでしょうか。具体的な金額を用いて、計算の手順を確認してみましょう。

不動産所得が赤字になった場合の計算手順

例えば、給与所得が700万円、不動産所得の赤字が150万円だったとします。この不動産所得の計算において、土地等を取得するための負債利が50万円、建物を取得するための負債利が30万円含まれていたと仮定します。
この場合、不動産所得の赤字150万円のうち、土地等の負債利50万円までは「なかったもの」として切り捨てられ、他の所得と損益通算ができません。
結果として、損益通算できる赤字の金額は、150万円から50万円を差し引いた100万円となります。したがって、給与所得700万円から100万円を引いた600万円が、その年の総所得金額となります。

建物の負債利子との違いと按分方法

土地と建物を一括で5,000万円の借入金により購入した場合、借入金の利子を土地部分と建物部分に分ける(按分する)必要があります。原則として、借入金はまず建物の購入代金に充てられ、残りが土地の購入代金に充てられたものとして計算します。これにより、納税者にとって少しでも有利に(損益通算できる建物の負債利が多くなるように)計算できる仕組みになっています。

借入金の充当順序 按分のルール
第1順位(優先される部分) 建物の購入代金に充てられたものとする(損益通算の対象となる)
第2順位(残りの部分) 建物の代金を超える借入金が、土地の購入代金に充てられたものとする

まとめ

土地等の負債利とは、土地を購入するために借り入れたお金に対する利息のことです。バブル期の土地投機を抑えるという制度背景から、不動産所得が赤字になった場合、この土地等の負債利に相当する部分は他の所得と損益通算できないルールになっています。土地と建物を同時に借入金で購入した場合は、借入金をまず建物代金に充てたものとして計算するなど細かい決まりがありますので、確定申告の際は借入金の返済予定表などを確認しながら正確に計算を行ってくださいね。

参考文献

国税庁:No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算

土地等の負債利に関するよくある質問まとめ

Q.土地等の負債利とは何ですか?

A.アパート経営などにおいて、土地を取得するために金融機関から借り入れたお金に対して支払う利息のことです。

Q.なぜ土地の負債利は損益通算できないのですか?

A.平成初期のバブル期に、借金をして土地を買い、意図的に不動産所得を赤字にして税金を減らす投機行為が横行したため、それを抑える制度背景があります。

Q.建物の借入金利子も損益通算の制限を受けますか?

A.建物を取得するための負債利は制限を受けず、不動産所得が赤字の場合でも全額を給与所得などと損益通算できます。

Q.土地と建物を一緒に借入金で買った場合、利子はどのように分けますか?

A.原則として、借入金はまず建物の購入代金に充てられたものとし、建物の金額を超えた部分の借入金が土地の購入代金に充てられたものとして計算します。

Q.不動産所得が黒字の場合、土地の負債利はどうなりますか?

A.不動産所得が黒字であれば、土地等の負債利は全額がそのまま必要経費として差し引かれます。制限は赤字のときのみ適用されます。

Q.土地の造成費用に対する借入金利子は制限の対象ですか?

A.すでに所有している土地を造成するための借入金利子は「土地の取得」には当たらないため、損益通算の制限対象にはなりません。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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