「土地の評価って、必ず実測しないといけないの?」「実測って費用も時間もかかりそう…」
土地の評価について調べていると、こんな疑問が出てくること、ありますよね。
特に相続や売買を控えている方は、正確な評価額を知りたいけど、実測の必要性や費用について悩んでしまうこともあるでしょう。
この記事では、土地評価における実測の必要性について、皆さんの疑問にお答えする形で、わかりやすく解説していきます。
実測が必要なケース、不要なケース、費用の目安、そして判断基準まで、具体的な情報を盛り込んでいますので、ぜひ参考にしてくださいね。
土地評価の基本!まずは「地積」の種類を知ろう
土地の評価額を計算する上で、「地積」、つまり土地の面積はとても重要な要素です。
でも実は、「地積」にはいくつかの種類があるんです。まずは、それぞれの違いを理解しておきましょう。
登記地積(公簿地積)って何?
登記地積とは、法務局に登記されている土地の面積のことです。
土地の登記簿謄本(登記事項証明書)に記載されているので、「公簿地積」とも呼ばれます。
でも、この登記地積、実は明治時代の測量技術で作られたものも多く、現在の正確な面積とは異なる場合があるんです。
現況地積って何?
現況地積とは、その名の通り、現在の土地の状況を測量して得られた面積のことです。
ブロック塀やフェンスなどで区切られた範囲を測るので、隣地との境界が確定していない場合もあります。
実測地積って何?
実測地積とは、隣接する土地の所有者全員の立ち会いのもと、境界を確定させて測量した面積のことです。
法的な効力を持つ、最も信頼性の高い地積と言えます。
相続税の土地評価、実測は必ず必要?
相続税の申告で土地を評価する場合、「実測しないといけないの?」という疑問を持つ方は多いでしょう。
結論から言うと、必ずしも実測は必要ありません。
国税庁の財産評価基本通達では、「課税時期(相続開始日)における実際の面積による」とされています。
(参照:国税庁「相続税財産評価に関する基本通達」)
しかし、これは「すべての土地を実測しなさい」という意味ではありません。
国税庁の質疑応答事例でも、「台帳地積(登記地積)と実際地積とが異なるものについて、実際地積によることとする基本的な考え方を打ち出したもの」と説明されています。
(参照:国税庁「質疑応答事例」「実際の地積」によることの意義」)
実測が必要になるのはどんなケース?
では、どんな場合に実測が必要になるのでしょうか?
主なケースは以下の通りです。
- 登記地積と現況が明らかに異なる場合:
例えば、登記簿上は100㎡なのに、見た感じ明らかに広い(または狭い)場合などです。 - 土地の形状が複雑な場合:
不整形地や、角地で間口が狭い場合などは、正確な面積を把握するために実測が必要になることがあります。 - 相続税評価額に大きく影響する場合:
例えば、広大な土地や、市街地の中心部にある土地など、評価額が高額になる可能性がある場合は、実測によって評価額が変わることもあります。 - 土地を売却する場合(特に買主から求められた場合):
売買契約においては、境界を明確にし、正確な面積を確定させるために実測を行うことが一般的です。 - 分筆や合筆をする場合:
土地を分割したり、複数の土地を一つにまとめたりする場合は、法務局に地積測量図を提出する必要があるため、実測が必須となります。
実測しない場合の注意点
実測しない場合でも、登記地積や固定資産税評価証明書に記載されている地積を使って評価することは可能です。
ただし、以下の点に注意しましょう。
- 縄伸び・縄縮みの可能性:
昔の測量技術では、実際の面積よりも広く(縄伸び)、または狭く(縄縮み)登記されていることがあります。特に、山林や田畑などでは、縄伸びしているケースが多いと言われています。 - 税務調査での指摘:
明らかに縄伸びしているのに登記地積で申告した場合、税務調査で指摘を受ける可能性があります。
例えば、航空写真で確認できる場合や、過去に実測図がある場合などです。
土地売買の実測、注意点と流れ
土地を売買する際には、トラブルを避けるためにも、実測を行うことが一般的です。
ここでは、土地売買における実測の注意点と流れについて解説します。
売買で実測が必要な理由
土地の売買で実測が必要な主な理由は、以下の3つです。
- 境界の明確化:
隣接する土地との境界を確定させることで、将来的なトラブルを防ぎます。 - 面積の確定:
正確な面積を把握することで、売買価格の根拠を明確にします。 - 買主の安心:
買主は、実測によって確定された面積に基づいて購入を検討できるため、安心して取引できます。
実測の流れ
土地売買における実測は、以下のような流れで行われます。
- 土地家屋調査士への依頼:
まずは、土地家屋調査士に実測を依頼します。 - 資料調査:
土地家屋調査士が、法務局や役所などで、登記簿謄本、公図、地積測量図などの資料を調査します。 - 現地調査:
現地で、境界標の確認や測量を行います。 - 隣接所有者との立ち会い:
隣接する土地の所有者全員に立ち会ってもらい、境界を確認します。 - 境界確定:
境界が確定したら、境界標を設置します。 - 測量図の作成:
土地家屋調査士が、測量結果に基づいて、測量図を作成します。 - 登記申請(必要な場合):
測量結果が登記地積と異なる場合は、法務局に地積更正登記を申請します。
実測費用の目安
実測費用は、土地の面積や形状、隣接地の数、地域などによって異なりますが、
一般的には、30万円~80万円程度が目安となります。
ただし、以下のような場合は、費用が高くなる可能性があります。
- 土地の面積が広い場合
- 土地の形状が複雑な場合
- 隣接地の数が多い場合
- 境界紛争がある場合
- 山林や傾斜地など、測量が困難な場合
土地を分ける「分筆」、実測は必要?
土地を分ける「分筆」を行う場合、原則として実測が必要になります。
分筆とは、1つの土地(1筆の土地)を、複数の土地(複数の筆の土地)に分割することです。
分筆で実測が必要な理由
分筆を行う際には、法務局に地積測量図を提出する必要があります。
地積測量図は、土地家屋調査士が実測を行い、作成する図面です。
分筆後の各土地の面積や形状、境界などを正確に記録し、法的に証明する役割があります。
分筆の流れと費用
分筆の手続きは、通常、以下の流れで行われます。
- 土地家屋調査士への依頼:
まずは、土地家屋調査士に分筆の相談と依頼をします。 - 資料調査:
土地家屋調査士が、法務局や役所などで、関係資料を調査します。 - 現地調査・測量:
現地で、境界標の確認や測量を行います。 - 仮分筆:
測量結果に基づいて、仮の分割線を設定します。 - 隣接所有者との立ち会い・境界確認:
隣接する土地の所有者に立ち会ってもらい、境界を確認します。 - 境界確定:
境界が確定したら、境界標を設置します。 - 地積測量図の作成:
土地家屋調査士が、測量結果に基づいて、地積測量図を作成します。 - 分筆登記の申請:
土地家屋調査士が、法務局に分筆登記を申請します。
分筆の費用は、土地の面積や形状、隣接地の数、地域などによって異なりますが、
一般的には、30万円~80万円程度が目安となります。
土地評価の実測、自分でできる?
「実測って、自分でできないの?」と考える方もいるかもしれません。
結論から言うと、法的な効力を持つ実測は、土地家屋調査士に依頼する必要があります。
自分でできること、できないこと
- 自分でできること:
- メジャーなどを使って、土地のおおよその面積を測る(あくまで参考程度)
- 縄やロープを使って、土地の形状を確認する
- Google Mapなどの航空写真で、土地の形状を確認する
- 隣接する土地との境界を確定させること
- 法的な効力を持つ測量図(地積測量図など)を作成すること
- 法務局に登記申請をすること
土地家屋調査士に依頼するメリット
土地家屋調査士に実測を依頼するメリットは、以下の通りです。
- 正確性:
専門的な知識と技術を持つ土地家屋調査士が測量を行うため、正確な面積を把握できます。 - 信頼性:
法的な効力を持つ測量図を作成するため、相続や売買などの際に、安心して利用できます。 - トラブル防止:
隣接する土地の所有者との境界紛争を未然に防ぐことができます。 - 時間と労力の節約:
専門的な知識や技術が必要な測量や登記申請を、自分で行う必要がありません。
まとめ
土地の評価における実測の必要性について解説しました。
実測は必ずしも必要ではありませんが、以下のような場合には検討することをおすすめします。
- 登記地積と現況が明らかに異なる場合
- 土地の形状が複雑な場合
- 相続税評価額に大きく影響する場合
- 土地を売却する場合
- 分筆や合筆をする場合
実測には費用がかかりますが、正確な土地の評価額を把握し、将来的なトラブルを防ぐためには、専門家である土地家屋調査士に依頼することを検討しましょう。
今回の記事が、皆さんの土地評価に関する疑問解決の一助となれば幸いです。
土地評価、実測は本当に必要? 境界確定のよくある質問まとめ
Q. 土地評価で実測は必ず必要ですか?
A. いいえ、必ずしも必要ではありません。土地の評価方法には、公的な資料(公簿)に基づく評価と、実測に基づく評価があります。どちらを選択するかは、目的や状況によって異なります。
Q. 公簿面積と実測面積が異なることはありますか?
A. はい、よくあります。特に昔の土地は、測量技術が未発達だったため、公簿面積と実測面積に差がある場合があります。
Q. 実測のメリットは何ですか?
A. 実測を行うことで、正確な土地面積を把握でき、以下のメリットがあります。
- 境界トラブルの防止
- 適正な価格での売買
- 相続時のトラブル防止
- 正確な土地評価額の算出
Q. 実測のデメリットは何ですか?
A. 実測には費用と時間がかかる点がデメリットです。測量費用は土地の広さや形状、依頼する測量士によって異なります。
Q. どのような場合に実測が必要になりますか?
A. 以下のような場合には、実測が必要となることが多いです。
- 土地の売買
- 土地の境界が不明確な場合
- 相続で土地を分割する場合
- 土地の正確な面積を知りたい場合
- 金融機関から融資を受ける場合(担保評価のため)
Q. 実測はどこに依頼すればいいですか?
A. 土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。土地家屋調査士は、土地の測量や境界確定の専門家です。