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在宅緩和ケア給付金は相続財産になる?相続税の対象か分かりやすく解説

2025-11-13
目次

ご家族が亡くなられた後、保険会社から「在宅緩和ケア給付金」が支払われることがあります。「これは故人の財産なの?」「相続税はかかるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。この給付金は、手続きの中で見落とされがちなポイントの一つです。この記事では、在宅緩和ケア給付金の基本的な知識から、相続財産としての扱いや相続税について、分かりやすく解説していきます。

在宅緩和ケア給付金とは?

まずはじめに、「在宅緩和ケア給付金」がどのようなものか確認しておきましょう。これは、主に民間の生命保険や医療保険の特約(オプション)として提供されている給付金です。

どんなときに支払われるの?

在宅緩和ケア給付金は、医師によって緩和ケアが必要と診断された被保険者(保険の対象者)が、入院せずにご自宅で療養(在宅医療)を受けた際に支払われることが一般的です。がんなどの特定の病気と診断され、痛みを和らげるための治療をご自宅で受けた場合などが対象となります。保険契約の内容によって支払われる条件は異なりますが、終末期医療をご自宅で過ごす際の経済的な負担を軽減することを目的としています。

給付金の受取人は誰?

在宅緩和ケア給付金の受取人は、多くの場合、保険の対象者である「被保険者本人」と定められています。つまり、療養を受けていた故人自身が受け取る権利のあるお金ということです。この点が、後の相続手続きにおいて非常に重要なポイントとなります。

いくらくらいもらえるの?

給付される金額は、加入している保険契約によってさまざまです。例えば、「一時金として1回100万円」や「在宅緩和ケアを受けた月ごとに10万円」といった形で定められています。お手元の保険証券を確認したり、保険会社に問い合わせたりして、具体的な契約内容をしっかりと確認することが大切です。

在宅緩和ケア給付金は相続財産になるのか

ここからが本題です。故人が亡くなられた後に受け取ることになった在宅緩和ケア給付金は、相続財産に含まれるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

結論:相続財産になります

結論からお伝えすると、在宅緩和ケア給付金は相続財産に含まれます。故人が亡くなられた後にご遺族が請求して受け取ったとしても、それは本来、故人自身が受け取るはずだった財産だからです。亡くなられた時点でまだ受け取っていなかったこの給付金は、「未収金」や「未収給付金」として扱われ、預貯金や不動産などと同じように故人の財産の一部とみなされます。

遺産分割協議の対象にもなります

在宅緩和ケア給付金が相続財産になるということは、遺産分割協議の対象にもなるということです。相続人が複数いる場合は、誰がこの給付金を受け取るのか、他の財産と合わせて話し合って決める必要があります。相続人の一人が代表して受け取った場合でも、それはあくまで一時的に預かっているだけで、その人の固有の財産になるわけではないので注意しましょう。

相続税の課税対象?死亡保険金との違い

相続財産になるということは、原則として相続税の対象にもなります。ここでよく混同されがちなのが、「死亡保険金」との違いです。両者は税務上の扱いが大きく異なるため、しっかり区別しておく必要があります。

非課税枠が使えないので注意

死亡保険金には、「500万円 × 法定相続人の数」という生命保険の非課税枠が設けられています。しかし、在宅緩和ケア給付金は、この非課税枠の対象外です。この給付金は、被保険者の「死亡」を原因として支払われるものではなく、「生前の療養」を原因として支払われるものだからです。そのため、受け取った金額がそのまま相続財産として加算され、相続税の計算対象となります。

死亡保険金と在宅緩和ケア給付金の違いをまとめると、以下のようになります。

項目 在宅緩和ケア給付金(入院給付金など)
性質 生前の療養に対する給付
受取人 原則として被保険者(故人)
相続財産 本来の相続財産として扱われる
遺産分割 対象になる
非課税枠 使えない
項目 死亡保険金
性質 死亡を原因とする給付
受取人 保険契約で指定された受取人
相続財産 みなし相続財産として扱われる
遺産分割 対象にならない(受取人固有の財産)
非課税枠 使える(500万円 × 法定相続人の数)

申告漏れしやすい財産なので気をつけましょう

在宅緩和ケア給付金は、故人が亡くなられた後に手続きを行い、相続人の口座に振り込まれることが多いため、相続財産であるという認識が薄れがちです。そのため、相続税の申告から漏れてしまうケースが少なくありません。

故人の医療記録や保険証券を確認

相続が開始したら、故人がどのような保険に加入していたか、保険証券などを探して必ず確認しましょう。また、生前に在宅での緩和ケアを受けていた可能性がある場合は、医療機関の領収書や診療明細書なども手がかりになります。保険会社からの支払通知書が届いた際には、その内訳をよく確認し、「死亡保険金」と「在宅緩和ケア給付金(または入院給付金など)」が別々に記載されていないかチェックすることが重要です。

相続税申告の際は財産リストに必ず記載

相続税の申告が必要な場合は、作成する財産目録(財産リスト)に「未収給付金」などの項目で、在宅緩和ケア給付金を忘れずに記載しましょう。金額が少額であっても、申告漏れが税務調査で指摘されると、延滞税や過少申告加算税といったペナルティが課される可能性があります。不明な点があれば、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

今回は、在宅緩和ケア給付金と相続の関係について解説しました。最後に大切なポイントをまとめます。

  • 在宅緩和ケア給付金は、本来故人が受け取るべきものなので相続財産に含まれます。
  • 相続財産であるため、遺産分割協議の対象となります。
  • 死亡保険金とは異なり、生命保険の非課税枠は適用されません。受け取った金額がそのまま相続税の課税対象となります。
  • 亡くなった後に受け取るため、相続税の申告漏れが起こりやすい財産です。注意深く確認しましょう。

相続手続きは複雑で分かりにくいことも多いですが、一つひとつの財産を正しく把握することが、円満な相続と適切な納税につながります。この記事が、皆さまの不安を少しでも解消する一助となれば幸いです。

参考文献

国税庁 No.4105 相続税の課税対象になる財産

在宅緩和ケア給付金と相続のよくある質問まとめ

Q. 在宅緩和ケア給付金とは何ですか?

A. 生命保険や医療保険の特約の一つで、医師により余命が一定期間内と判断された場合などに、被保険者が生存中に受け取れる給付金です。治療費や生活の質(QOL)向上のために使われます。

Q. 在宅緩和ケア給付金は相続財産になりますか?

A. はい、なります。被保険者が生前に給付金を受け取り、亡くなった時点で使い切らずに残っていたお金は、預貯金などと同様に「本来の相続財産」として相続の対象となります。

Q. 在宅緩和ケア給付金には相続税がかかりますか?

A. 相続財産になるため、相続税の課税対象です。生命保険金には非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)がありますが、在宅緩和ケア給付金は、この非課税枠の対象外です。

Q. 被保険者が亡くなった後に請求することはできますか?

A. はい、多くの場合、亡くなった後でも相続人が請求することが可能です。ただし、請求期限が設けられていることがあるため、早めに保険会社へ確認することをおすすめします。

Q. 在宅緩和ケア給付金とリビング・ニーズ特約は同じものですか?

A. 似ていますが異なります。リビング・ニーズ特約は死亡保険金の一部を前払いする制度ですが、在宅緩和ケア給付金は医療保険などに付帯する独立した給付金であることが一般的です。

Q. 在宅緩和ケア給付金を受け取ると、死亡保険金は減りますか?

A. いいえ、原則として減りません。在宅緩和ケア給付金は死亡保険金とは別の給付金だからです。ただし、死亡保険金を前払いするリビング・ニーズ特約を利用した場合は、その分死亡保険金が減少します。

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