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地盤に凹凸のある宅地は相続税が安くなる?具体的な評価減の条件を解説

2025-09-20
目次

ご家族から受け継いだ大切な土地。でも、もしその土地の地盤がデコボコしていたら…。「もしかして、相続税の評価額が少し下がるかも?」なんて思いますよね。実は、特定の条件を満たせば、土地の評価額を下げられる可能性があるんです。この制度は「利用価値が著しく低下している宅地の評価」と呼ばれています。この記事では、どのような土地が「地盤に甚だしい凹凸のある宅地」にあたるのか、具体的な条件や注意点をわかりやすく解説していきますね。

「地盤に甚だしい凹凸」とは?相続税評価で認められるケース

相続税を計算するとき、土地の評価額はとても重要です。もし土地に「甚だしい凹凸」があると、家を建てたり駐車場にしたりするのが難しくなりますよね。こうした使いにくい土地は、平らな土地よりも価値が低いとみなされ、相続税評価額を10%減額できる可能性があります。これを「利用価値が著しく低下している宅地の評価」といいます。国税庁でも、この評価減が認められるケースとして、いくつか例を挙げていて、その中の一つが「地盤に甚だしい凹凸のある宅地」なのです。

具体的にどんな状態を指すの?

「甚だしい凹凸」と聞いても、なかなかイメージが湧かないかもしれませんね。具体的には、土地の表面が平らではなく、デコボコしている状態のことです。例えば、家を建てる前に大規模な造成工事が必要になるほどの大きな起伏がある土地や、敷地内にがけ地や急な傾斜地が含まれている土地などが考えられます。大切なのは、その凹凸が「宅地としての利用価値を著しく下げている」と客観的に判断されるかどうかです。単に少し傾斜がある、雨が降ると水たまりができやすい、という程度では認められないことが多いので注意してくださいね。

評価減が認められるためのポイント

評価減を認めてもらうためには、いくつかのポイントがあります。その中でも一番大切なのは、「その土地だけの特別な事情である」ということです。例えば、周りの土地はみんな平坦なのに、ご自身の土地だけが大きく傾斜している、といったケースです。もし、その地域全体が丘陵地で、どの土地にも同じような凹凸がある場合、「それは地域の特性なので、すでに土地の価格(路線価)に反映されていますよ」と判断されてしまい、評価減が認められない可能性が高くなります。

凹凸以外の評価減の要因

「利用価値が著しく低下している宅地」と認められるのは、地盤の凹凸だけではありません。他にもいくつかの要因があり、これらが複数当てはまる場合は、評価減がさらに大きくなる可能性もあります。

評価減の要因 具体例
道路との高低差 宅地が面している道路より1m以上高い、または低い位置にある。
震動が甚だしい 線路や幹線道路のすぐそばで、常に振動を感じる。
騒音、日照阻害、臭気、忌みなど 工場の隣で音が気になる、お墓に隣接している、高層ビルで日当たりが悪いなど。

これらの要因が、評価する土地に特有のものであり、周辺の土地と比べて明らかに利用しにくいと認められる場合に、評価減の対象となります。

評価減を適用するための3つのチェックポイント

「うちの土地もデコボコしているから、10%減額できるかも!」と思っても、実際に適用するにはいくつかの条件をクリアする必要があります。過去の判断例などを参考にすると、主に次の3つのポイントが重要になります。これらの条件をすべて満たしているか、慎重に確認してみましょう。

ポイント1:周辺の土地と比べて「著しい」か?

まず、評価したい土地の凹凸が、周辺の土地と比べて「著しく」ひどい状態かどうかが問われます。もし、その地域全体が同じような地形で、どの土地も似たような凹凸がある場合、それは「地域の特性」と見なされてしまいます。このようなケースでは、その地域の土地評価の基準となる「路線価」に、すでに地形の状況が織り込まれていると考えられるため、個別の評価減は認められにくくなります。あくまで「この土地だけが特別に利用しにくい」という状況が必要なのです。

ポイント2:路線価に凹凸が反映されていないか?

次に、その土地が面している道路に設定されている「路線価」に、凹凸による価値の低下がすでに反映されていないかを確認する必要があります。税務署は路線価を設定するとき、その道路沿いにある土地の標準的な状況を考慮します。もし、その道路沿いの土地が全体的に凹凸のある地形であれば、路線価自体がもともと低めに設定されている可能性があります。その場合は、すでに評価が下がっているところに、さらに10%の評価減をすることはできない、ということになります。

ポイント3:土地の一部に平坦な部分はないか?

土地全体が利用困難な凹凸地である、という点も大切です。もし、土地の一部に平坦で問題なく利用できる部分があれば、「利用価値が著しく低下している」とは認められにくくなります。例えば、敷地の奥はデコボコしているけれど、道路に面した部分は平坦で、駐車場として問題なく使えるようなケースです。このような場合は、土地の利用価値が完全に損なわれているわけではないと判断され、評価減の適用は難しくなります。

評価減が認められなかった過去の事例

実際に「土地の利用価値が低い」と主張しても、認められなかったケースは少なくありません。どのような場合に認められないのか、過去の事例を少し見てみましょう。ご自身の土地が適用対象になるか判断する材料にしてくださいね。

事例1:周辺地域全体が傾斜地だったケース

ある方が、「自分の土地は奥行きに向かって約1.5m高くなる傾斜地で凹凸がある」として評価減を主張しました。しかし、税務署が調査したところ、その土地が面している道路沿いの宅地は、ほぼすべてが同じような傾斜地であることがわかりました。そのため、「この高低差は地域の共通した地勢であり、路線価にすでに織り込まれている」と判断され、評価減は認められませんでした。

事例2:高低差があるが、利用価値は高まっていると判断されたケース

道路から1.5m~2.6m高い位置にある店舗の敷地について、評価減の主張がありました。しかし、この高低差は、お店の床を道路の高さに合わせるために意図的に作られたものでした。この場合、「高低差があるものの、それは店舗としての利用価値を高めるためのものであり、付近の宅地と比べて利用価値が低下しているとは認められない」として、主張は退けられました。

評価減を申請する際の手続きと注意点

「地盤に甚だしい凹凸のある宅地」として評価減を適用したい場合、相続税の申告書にその旨を記載し、評価額を計算して提出する必要があります。ただ、申請すれば自動的に認められるわけではないので、しっかりとした準備が大切です。

どんな書類が必要?

評価減を主張するためには、その根拠を客観的に示す資料が必要です。税務署に「なぜこの土地の評価額が下がるのか」をきちんと説明するための証拠を揃えましょう。

必要な書類の例 説明
現地の写真 土地の凹凸の状況がよくわかるように、複数の角度から撮影します。
測量図や高低差がわかる図面 土地の高低差を具体的な数値で示せる専門的な資料です。
周辺の地図や航空写真 周りの土地は平坦で、評価したい土地だけが特殊な状況であることを示します。
造成費用の見積書 土地を平らにするためにどれくらいの費用がかかるか、という見積もりも価値の低下を示す有力な資料になります。

専門家への相談も検討しよう

「利用価値が著しく低下している宅地」の評価は、判断がとても難しい分野です。ご自身で判断して申告した結果、もし税務署から「この評価減は認められません」と言われてしまうと、過少申告加算税延滞税といったペナルティが課されるリスクもあります。少しでも不安がある場合は、相続税に詳しい税理士や、土地評価に精通した不動産鑑定士に相談することをおすすめします。専門家であれば、現地の状況をしっかり調査し、評価減が適用できる可能性を的確に判断してくれますよ。

凹凸地と高低差のある土地の違い

「地盤に甚だしい凹凸のある宅地」と似た評価減の項目に「道路より高い位置にある宅地又は低い位置にある宅地」があります。この2つは混同されがちですが、少し意味合いが異なります。それぞれの違いを理解しておきましょう。

「凹凸地」は敷地内の問題

「地盤に甚だしい凹凸のある宅地」というのは、主に敷地そのものの形状に問題があるケースを指します。土地の内部がデコボコしていて、そのままでは建物を建てたり、有効に利用したりすることが難しい状態です。土地を平らにするためには、土を削ったり(切土)、盛ったり(盛土)する造成工事が必要になります。

「高低差のある土地」は道路との関係性

一方、「道路より高い位置にある宅地又は低い位置にある宅地」というのは、敷地と接している道路との関係性が問題となります。土地自体は平坦でも、道路との間に1m以上の高低差があると、車の出入りができなかったり、階段や擁壁(ようへき)を設置する必要があったりするため、利用価値が低いと判断されるのです。どちらも宅地としての使いやすさを妨げる点では共通していますが、評価の視点が少し違うんですね。

まとめ

今回は、「地盤に甚だしい凹凸のある宅地」の相続税評価について解説しました。

相続した土地に大きな凹凸がある場合、「利用価値が著しく低下している宅地」として評価額を10%減額できる可能性があります。ただし、この評価減を適用するには、「周辺の土地と比べて著しく状況が悪いこと」「路線価にその状況が反映されていないこと」など、いくつかの厳しい条件をクリアする必要があります。

安易な自己判断で評価減を適用すると、後から税務署に否認されてしまうリスクも伴います。評価減の適用を検討する際は、写真や図面などの客観的な資料をきちんと揃え、必要であれば税理士や不動産鑑定士といった専門家に相談することをおすすめします。適切な評価を行うことで、相続税の払い過ぎを防ぎましょう。

参考文献

国税庁 タックスアンサー No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価

地盤に凹凸のある宅地のよくある質問まとめ

Q.地盤に甚だしい凹凸のある宅地とは具体的にどのような土地ですか?

A.傾斜地、がけ地、擁壁(ようへき)がある土地など、平坦にするために多額の造成費が必要と見込まれる宅地のことです。相続税評価などにおいて評価額が減額される可能性があります。

Q.土地に高低差があると、なぜ評価額が下がるのですか?

A.家を建てる際に、土地を平らにするための造成工事や、土砂崩れを防ぐための擁壁工事などに多額の費用がかかるためです。この経済的な負担が考慮され、評価額が減額されます。

Q.擁壁(ようへき)がある土地の注意点は何ですか?

A.擁壁の状態によっては、安全性に問題があったり、補修に高額な費用がかかったりする場合があります。また、建築基準法などの規制により、建てられる建物に制限がかかることもあります。

Q.傾斜地やがけ地でも家は建てられますか?

A.はい、建てられます。ただし、特殊な基礎工事や造成工事が必要になるため、建築コストが割高になる傾向があります。また、自治体の条例(がけ条例など)による建築制限を確認する必要があります。

Q.相続税評価で「地盤に甚だしい凹凸のある宅地」はどのように評価されますか?

A.土地を平坦にするために必要となる造成費を算出し、その造成費相当額を土地の評価額から控除することができます。これを「造成費控除」といいます。

Q.造成費はどのように計算するのですか?

A.国税庁が公表している「造成費の金額表」を基に計算するのが一般的です。造成する面積や傾斜度に応じて、1平方メートルあたりの単価が定められています。

事務所概要
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