契約書を作成するときに気になる「収入印紙」。特に「第2号文書」と「第7号文書」は内容が似ていて、どちらに該当するのか迷ってしまうことが多いですよね。印紙税額も200円と4,000円で大きく違うため、正しく理解しておくことが大切です。この記事では、印紙税の基本から、2号文書と7号文書の具体的な違い、どちらに該当するかの判断基準まで、わかりやすく解説していきます。
そもそも印紙税って何?
まずは、契約書に貼る収入印紙と印紙税の基本についておさらいしましょう。なぜ契約書に印紙が必要なのかを知ることで、理解がより深まりますよ。
印紙税とは課税文書にかかる税金
印紙税とは、印紙税法という法律で定められた特定の文書(課税文書)を作成したときに課税される税金のことです。課税文書は全部で20種類あり、契約書や領収書などがこれにあたります。税金の納付は、文書に対応する金額の収入印紙を購入し、それを文書に貼り付けて消印をすることで完了します。これは、文書を作成した人が国に税金を納めたという証になるんです。
収入印紙はどこで買うの?
収入印紙は、身近な場所で購入できます。主な購入場所は以下の通りです。
- 郵便局
- コンビニエンスストア
- 法務局
- 役所の窓口
ただし、コンビニなどでは200円の収入印紙しか取り扱っていない場合が多いです。4,000円のような高額な印紙が必要な場合は、郵便局や法務局へ行くのが確実ですよ。
電子契約なら印紙税はかからない
実は、印紙税は「紙の文書」に対して課税される税金です。そのため、PDFファイルなどで作成・交換する電子契約には、印紙税がかかりません。契約の数が多い場合、印紙代はかなりのコストになりますので、電子契約に切り替えることで大幅なコスト削減につながる可能性があります。
第2号文書とは?「請負に関する契約書」
では、本題の第2号文書について見ていきましょう。ポイントは「請負」という言葉の意味を理解することです。
第2号文書の具体例
第2号文書は、「請負に関する契約書」と定められています。「請負」とは、当事者の一方(請負人)が「仕事の完成」を約束し、相手方(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を支払う契約のことです。建設工事のような形のあるものだけでなく、警備やコンサルティング、システム開発といった形のないサービスの提供も含まれます。
具体的には、以下のような契約書が第2号文書にあたります。
- 工事請負契約書
- 物品加工注文請書
- 広告契約書
- ソフトウェア開発委託契約書
- 会計監査契約書
第2号文書の印紙税額
第2号文書の印紙税額は、契約書に記載された契約金額によって変わります。金額が大きくなるほど、税額も高くなる仕組みです。
| 記載された契約金額 | 印紙税額 |
|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 |
| 1万円以上 100万円以下 | 200円 |
| 100万円を超え 200万円以下 | 400円 |
| 200万円を超え 300万円以下 | 1,000円 |
| 300万円を超え 500万円以下 | 2,000円 |
| 500万円を超え 1,000万円以下 | 1万円 |
| 1,000万円を超え 5,000万円以下 | 2万円 |
| 5,000万円を超え 1億円以下 | 6万円 |
| 契約金額の記載がないもの | 200円 |
※建設工事の請負契約書については、軽減措置が適用される場合があります。
第7号文書とは?「継続的取引の基本となる契約書」
次に、第7号文書について解説します。こちらは「継続的」という点がキーワードです。
第7号文書の主な要件
第7号文書は、「継続的取引の基本となる契約書」のことを指します。これは、特定の相手方との間で、繰り返し行われる取引の基本的なルール(取引条件)をあらかじめ定めておくための契約書です。代表的なものに「業務委託基本契約書」や「売買取引基本契約書」があります。
第7号文書に該当するには、主に以下の要件を満たす必要があります。
- 契約期間が3か月を超えていること(または、期間の定めがないか、更新の定めがあること)
- 営業者間(事業者間)の契約であること
- 売買、請負など特定の取引に関する契約であること
- 2つ以上の取引に共通して適用される取引条件(目的物の種類、単価、支払方法など)を定めていること
第7号文書の具体例
具体的には、以下のような契約書が第7号文書に該当する可能性があります。
- 売買取引基本契約書
- 業務委託基本契約書
- 代理店契約書
- 保守契約書
- 貨物輸送基本契約書
第7号文書の印紙税額
第7号文書の大きな特徴は、印紙税額が契約金額にかかわらず一律4,000円であることです。第2号文書のように金額によって変動することはありません。
【重要】2号文書と7号文書、両方に当てはまる場合はどうする?
ここが一番迷いやすいポイントです。例えば、システムの保守契約のように、「仕事の完成(請負)」の性質を持ちつつ、「継続的」な取引である契約書は、2号文書と7号文書の両方の特徴を持っています。このような場合、どちらとして扱えばよいのでしょうか。
判断基準は「契約金額の記載があるか」
2号文書と7号文書の両方に該当する可能性がある契約書は、「契約金額が計算できるかどうか」で判断します。これが所属を決定するためのルールです。
- 契約書から契約期間全体の総額が計算できる場合 → 第2号文書
- 契約書から契約期間全体の総額が計算できない場合 → 第7号文書
このルールを知っているだけで、判断がとても楽になりますよ。
具体的なケースで判断してみよう
いくつか具体的な例を見て、どちらに該当するのかを考えてみましょう。
【ケース1】月額5万円、契約期間1年間のサーバー保守契約書
この場合、「月額5万円 × 12か月 = 60万円」と契約金額の総額を明確に計算できます。したがって、これは第2号文書に該当します。契約金額が100万円以下なので、貼るべき収入印紙は200円です。
【ケース2】保守作業1回あたり1万円、契約期間1年間、作業回数は都度依頼する契約書
この契約書では、年間の作業回数が決まっていないため、契約期間全体の総額を計算することができません。そのため、これは第7号文書に該当し、貼るべき収入印紙は4,000円となります。
【ケース3】契約期間1年間の業務委託基本契約書。ただし、具体的な業務内容や単価は、都度発行する個別契約書で定めると記載。
この基本契約書自体には、契約金額に関する記載がありません。金額が計算できないため、第7号文書となり、4,000円の収入印紙が必要です。なお、この場合、都度発行される個別契約書が請負契約にあたり、契約金額の記載があれば、その個別契約書は第2号文書として別途印紙が必要になる点にも注意しましょう。
印紙税で注意すべきこと
最後に、印紙税に関するよくある注意点をご紹介します。うっかりミスでペナルティを受けないように、しっかり確認しておきましょう。
印紙を貼り忘れたらどうなる?
収入印紙を貼り忘れた場合、契約自体の効力はなくなりませんが、過怠税(かたいぜい)というペナルティが課せられます。税務調査などで指摘された場合、本来貼るべきだった印紙税額とその2倍に相当する金額、合計で3倍の税金を納めなければなりません。ただし、調査を受ける前に自主的に貼り忘れを申し出た場合は、1.1倍に軽減されます。
消印を忘れずに!
収入印紙を貼ったら、必ず消印(けしいん)をしなければなりません。消印は、印紙の再利用を防ぐためのもので、契約当事者の印鑑または署名(サイン)で行います。印紙と文書の紙面にまたがるように、はっきりと押しましょう。消印を忘れた場合も、印紙の額面金額と同額の過怠税が課されるので注意が必要です。
間違えて多く貼ってしまったら?
もし、本来必要な金額より多い額の収入印紙を貼ってしまった場合でも、あきらめる必要はありません。税務署で「印紙税過誤納確認申請」という手続きを行えば、払い過ぎた分を還付してもらえます。未使用の収入印紙も、郵便局で他の額面の印紙やはがきなどに交換してもらえますよ。
まとめ
今回は、間違いやすい印紙税の第2号文書と第7号文書の違いについて解説しました。ポイントをまとめると以下のようになります。
- 第2号文書(請負に関する契約書):仕事の完成を目的とし、契約金額に応じて税額が変わる(最低200円~)。
- 第7号文書(継続的取引の基本となる契約書):継続的な取引の基本ルールを定め、税額は一律4,000円。
- 両方の性質を持つ契約書は、「契約金額の総額が計算できるか」で判断する。
- 計算できる → 第2号文書
- 計算できない → 第7号文書
この判断基準を覚えておけば、どちらの文書に該当するのか迷うことが少なくなります。印紙税は正しく納めないとペナルティもあるので、慎重に確認しましょう。また、コスト削減や業務効率化の観点から、印紙税が不要な電子契約の導入を検討するのも一つの有効な方法です。
参考文献
収入印紙に関するよくある質問
Q.収入印紙はなぜ必要なんですか?
A.印紙税法で定められた特定の文書(課税文書)を作成した際に課される「印紙税」を納めるためです。収入印紙を貼って消印をすることで納税したことになります。
Q.第2号文書と第7号文書の印紙税額はいくらですか?
A.第2号文書は契約金額によって異なり、最低200円からとなります。一方、第7号文書は契約金額にかかわらず一律4,000円です。
Q.保守契約書は第2号文書と第7号文書のどちらになりますか?
A.契約内容によります。契約書に月額料金や年額料金が明記され、総額が計算できる場合は第2号文書に、総額が計算できない場合は第7号文書に該当します。
Q.印紙を貼り忘れると契約は無効になりますか?
A.契約の効力自体には影響ありません。ただし、税務調査などで貼り忘れが発覚すると、本来納めるべき印紙税額の3倍の過怠税が課される可能性があります。
Q.電子契約書に収入印紙は必要ですか?
A.必要ありません。印紙税は「紙の文書」に対して課税されるため、電子データでやり取りする電子契約書は非課税となります。
Q.間違えて違う金額の印紙を貼ってしまいました。どうすればいいですか?
A.多く貼りすぎた場合は、税務署で「印紙税過誤納確認申請」という手続きを行うことで還付を受けられる可能性があります。少なく貼ってしまった場合は、速やかに不足分を貼りましょう。