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実家売却時の仏壇はどうする?処分方法と費用、注意点を解説

2025-02-28
目次

親御様が大切にされてきた実家を売却する際、多くの方が悩むのが仏壇の扱いです。ご先祖様が宿るとされる大切なものだからこそ、どうすれば良いか途方に暮れてしまいますよね。この記事では、実家売却に伴う仏壇の処分方法や必要な手続き、費用について、分かりやすく丁寧に解説していきます。

実家の売却で仏壇の処分を考える主なタイミング

実家の売却は、仏壇の今後を考える大きなきっかけになります。ただ処分するだけでなく、新しい形での供養を始める良い機会と捉えることもできます。どのような状況で仏壇の処分が検討されるのか、具体的なケースを見ていきましょう。

実家を売却・解体する時

実家を第三者に売却したり、更地にするために解体したりする場合、家の中を完全に空にする必要があります。そのため、必然的に仏壇の移動や処分を考えなければなりません。買い手への引き渡しや解体工事が始まる前に、仏壇をどうするかを決め、手続きを進めておくことが大切です。売却スケジュールに合わせて、早めに準備を始めましょう。

仏壇を受け継ぐが、自宅に置くスペースがない時

ご両親が亡くなり実家を相続したものの、「自宅のマンションには仏壇を置くスペースがない」「インテリアに合わない」といったケースは少なくありません。昔ながらの大きくて立派な仏壇をそのまま引き継ぐのが難しい場合、処分や、よりコンパクトなモダン仏壇への買い替えが検討されます。ご自身のライフスタイルに合った供養の形を選ぶ方が増えています。

跡継ぎがおらず、永代供養を検討する時

ご自身にお子さんがいない、またはお子さんが遠方に住んでいてお墓や仏壇の管理を任せるのが難しいなど、将来的に仏壇を守っていく「跡継ぎ」がいない場合も処分のタイミングです。ご自身が元気なうちに「墓じまい」と合わせて、お寺に永代供養を依頼し、仏壇の処分を進める方が増えています。これは、残された家族に負担をかけないための「終活」の一環とも言えます。

仏壇を処分する前に必ずすべきこと「閉眼供養」

仏壇は単なる「モノ」や「家具」ではありません。処分する前には、必ず行わなければならない大切な儀式があります。この手続きを省いてしまうと、多くの業者で引き取りを断られてしまうため、必ず事前に済ませておきましょう。

閉眼供養(魂抜き)とは?

閉眼供養(へいがんくよう)とは、仏壇に宿っているとされる仏様やご先祖様の魂を抜くための儀式です。地域や宗派によっては「魂抜き」や「お性根抜き」とも呼ばれます。この儀式を行うことで、仏壇は信仰の対象から「ただの木の箱(家具)」に戻り、処分することが可能になります。これまで家族を見守ってくれたことへの感謝を伝える、大切な区切りの儀式だと考えてください。

閉眼供養はどこに依頼する?

閉眼供養は、基本的にはお付き合いのあるお寺(菩提寺)の僧侶に依頼するのが一般的です。もし菩提寺がない、または遠方で依頼が難しい場合は、近くのお寺に相談してみましょう。また、後述する仏壇店や仏壇処分の専門業者を通じて、僧侶を手配してもらうことも可能です。

閉眼供養にかかる費用(お布施)

閉眼供養の際には、僧侶へのお礼として「お布施」をお渡しします。お布施はあくまでも感謝の気持ちを表すものなので、決まった金額はありませんが、1万円から5万円程度が一般的な相場とされています。地域やお寺との関係性によっても変わるため、もし心配な場合は「皆様おいくらくらいお包みされていますか」と率直にお寺に尋ねてみても失礼にはあたりません。この他に、僧侶に実家まで足を運んでもらう場合は「御車代」として5,000円から1万円程度を別途包むのが丁寧な対応です。

仏壇の処分方法5選と費用相場

閉眼供養を終えた仏壇は、いくつかの方法で処分できます。それぞれのメリット・デメリットや費用を比較して、ご自身の状況や気持ちに最も合った方法を選びましょう。

処分方法 費用相場(処分費のみ)
お寺に引き取ってもらう 10,000円~50,000円程度
仏壇店に依頼する 20,000円~80,000円程度
不用品回収業者に依頼する 15,000円~50,000円程度
自治体の粗大ゴミとして出す 500円~3,000円程度
仏壇処分の専門業者に依頼する 20,000円~70,000円程度

お寺に引き取ってもらう

菩提寺によっては、閉眼供養の後にそのまま仏壇を引き取り、お焚き上げなど適切な方法で処分してくれる場合があります。ご先祖様がお世話になったお寺に最後までお任せできるので、最も安心できる方法の一つと言えるでしょう。ただし、すべてのお寺が対応しているわけではないため、事前の確認が必要です。

仏壇店に依頼する

仏壇を購入したお店や、近所の仏壇店に処分を依頼する方法です。仏壇を専門に扱っているプロなので、宗派ごとの慣習にも詳しく、扱いも丁寧で安心して任せられます。新しい仏壇に買い替える場合は、古い仏壇を割引価格や無料で引き取ってくれることもあります。処分のみの場合、費用は仏壇の大きさや材質にもよりますが2万円から8万円程度が目安です。

不用品回収業者に依頼する

実家の他の家財道具と一緒にまとめて処分したい場合に便利なのが、不用品回収業者です。ただし、業者によっては仏壇の回収に対応していない場合や、閉眼供養済みであることが引き取りの必須条件となる場合がほとんどです。トラブルを避けるためにも、見積もり時に「仏壇があるのですが、回収可能ですか?」「閉眼供養は済んでいます」と明確に伝えましょう。

自治体の粗大ゴミとして出す

閉眼供養後の仏壇は「家具」として扱われるため、お住まいの自治体のルールに従って粗大ゴミとして出すことができます。費用は数百円から3,000円程度と最も安価に済ませられる方法です。ただし、自分で収集場所まで運び出す手間がかかることや、「仏壇をゴミとして出すのは心情的に抵抗がある」と感じる方も少なくありません。

仏壇処分の専門業者に依頼する

最近では、仏壇の供養から処分までを一括して請け負う専門業者も増えています。「菩提寺が遠い」「どこに頼めばいいかわからない」といった場合に非常に便利です。僧侶の手配から運搬、処分まで全てをワンストップで任せられるため手間がかかりません。費用は2万円から7万円程度が目安で、供養と処分がセットになったプランが用意されていることが多いです。

仏壇を処分する際の注意点

ご先祖様に関わることだからこそ、仏壇の処分は慎重に進めたいものです。後々のトラブルを防ぎ、皆が納得できる形で進めるために、事前に押さえておきたい3つの注意点をご紹介します。

親族への事前相談を忘れずに

仏壇は、ご家族だけでなく親戚一同にとってもご先祖様を偲ぶ大切な場所です。処分を一人で決めてしまうのではなく、必ず事前に兄弟や主な親戚に相談し、事情を説明して理解を得ておきましょう。「何も聞かされていなかった」と後からトラブルに発展するケースは少なくありません。今後の供養をどうしていくのかも含めて、しっかりと話し合うことが大切です。

菩提寺にも事情を話しておく

菩提寺がある場合は、なぜ仏壇を処分することになったのか、その理由を事前に住職に話しておくことをお勧めします。これまでご先祖様の供養を担ってきてくださったお寺ですから、親身に相談に乗ってくれるはずです。また、仏壇の処分が檀家をやめる「離檀」と誤解されないためにも、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。

仏壇の中の貴重品を確認する

意外と見落としがちなのが、仏壇の引き出しの中です。お線香やろうそく以外に、故人の写真や手紙、日記、さらには通帳や印鑑、不動産の権利書、遺言書といった非常に大切なものが保管されていることがあります。業者に引き渡す前に、必ず全ての引き出しや収納スペースを開けて、中身を隅々まで確認しましょう。

仏壇処分の具体的な流れ

実際に仏壇を処分する際、どのような手順で進めればよいのでしょうか。慌てずに済むよう、一般的な流れを4つのステップに分けて解説します。

ステップ1:処分方法を決めて業者を選ぶ

まず、この記事で紹介した5つの処分方法の中から、ご自身の状況や考えに最も合ったものを選びます。業者に依頼する場合は、1社だけでなく複数の業者から見積もりを取り、料金やサービス内容を比較検討することをお勧めします。価格だけでなく、対応の丁寧さなども含めて信頼できる業者を選びましょう。

ステップ2:閉眼供養の日程を調整する

菩提寺の僧侶や、業者に手配してもらった僧侶と連絡を取り、日程を調整します。実家で閉眼供養を執り行ってもらいましょう。儀式の所要時間は15分から30分程度です。当日はお花やお好きだったお菓子などをお供えして、感謝の気持ちを込めてご先祖様をお見送りしましょう。

ステップ3:仏壇の中身を整理する

閉眼供養が終わったら、仏壇の中を空にします。ご本尊(仏像や掛け軸)や位牌は、閉眼供養を行った僧侶にお願いしてお寺で供養(お焚き上げ)してもらうか、新しい仏壇に移します。線香立てなどの仏具や、引き出しの中の貴重品なども忘れずに取り出しておきましょう。

ステップ4:仏壇を運び出して処分する

業者に依頼した場合は、指定した日時にスタッフが訪問し、仏壇を丁寧に運び出してくれます。粗大ゴミとして出す場合は、自治体のルールに従って手数料を支払い、指定された日時に指定の場所まで自分で運びます。これで仏壇の処分は全て完了です。

まとめ

実家を売却する際の仏壇の処分は、ご先祖様への感謝を伝え、供養の形を見直す大切な節目です。何よりもまず「閉眼供養(魂抜き)」を行い、その後、お寺や専門業者への依頼、粗大ゴミとしての処分など、ご自身の状況に合った方法を選びましょう。費用は方法によって大きく異なりますが、供養のお布施で1万円〜5万円、処分費用で2万円〜8万円程度を見ておくと安心です。最も大切なのは、親族としっかり話し合い、ご先祖様を敬う気持ちを忘れないことです。一人で抱え込まず、専門家や周りの人の力も借りながら、円満に進めていきましょう。

実家売却時の仏壇に関するよくある質問まとめ

Q.実家を売却する際、仏壇はどうすればいいですか?

A.主に「新しい住居へ移動する」「お寺や霊園で永代供養する」「魂抜き(閉眼供養)をして処分する」の3つの選択肢があります。ご家族や親族とよく相談して決めましょう。

Q.仏壇を処分する場合、そのまま捨てても良いですか?

A.そのまま捨てるのは避けましょう。まず菩提寺や僧侶に依頼して「魂抜き(閉眼供養)」という儀式を行います。その後、仏具店や専門の業者に引き取ってもらうのが一般的です。

Q.仏壇の「魂抜き(閉眼供養)」とは何ですか?費用はかかりますか?

A.魂抜き(閉眼供養)は、仏壇に宿っているとされるご本尊やご先祖様の魂を抜き、単なる「物」に戻すための儀式です。費用はお布施として僧侶にお渡ししますが、相場は1万円〜5万円程度が一般的です。

Q.仏壇の処分にはどれくらいの費用がかかりますか?

A.魂抜きの費用とは別に、仏壇本体の処分費用がかかります。仏具店や専門業者に依頼する場合、仏壇の大きさにもよりますが、2万円〜8万円程度が目安です。自治体によっては粗大ごみとして受け付けてくれる場合もありますが、事前に確認が必要です。

Q.新しい家に仏壇を置くスペースがありません。どうすれば良いですか?

A.最近では、小さなモダン仏壇に買い替える「仏壇の引っ越し」も一般的です。ご本尊や位牌はそのままに、新しい住環境に合わせた仏壇を選ぶことができます。仏具店に相談してみましょう。

Q.仏壇を残したまま実家を売却することは可能ですか?

A.買主の合意があれば可能ですが、一般的ではありません。仏壇は宗教的な意味合いが強く、心理的な抵抗を感じる買主が多いため、売却前に移動または処分するのがスムーズです。

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