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家族ががんになったら生活はどう変わる?知っておきたいお金と心の準備

2024-12-25
目次

大切なご家族が「がん」と診断されたとき、ご本人はもちろん、ご家族の皆さんも大きな衝撃を受け、これからの生活がどうなるのか、不安でいっぱいになることと思います。精神的なこと、お金のこと、仕事のこと、そして日々の暮らしのこと。考えなければいけないことはたくさんあります。この記事では、ご家族ががんになったときに直面する生活の変化と、その乗り越え方について、具体的な制度やサポートを交えながら優しく解説していきます。どうか一人で抱え込まず、一緒にこれからのことを考えていきましょう。

精神的な変化と心のケア

ご家族のがんという事実は、ご本人だけでなく、支える家族の心にも大きな影響を与えます。今後の治療への不安、経済的な心配、そして大切な人を失うかもしれないという恐怖。さまざまな感情が押し寄せ、心が揺れ動くのは当然のことです。まずは、ご自身の心の状態を理解し、適切にケアすることから始めましょう。

家族が「第二の患者」と呼ばれる理由

がん患者さんを支えるご家族は、しばしば「第二の患者」と呼ばれます。これは、患者さん本人と同じか、それ以上に大きな精神的ストレスを抱えやすいからです。ご本人の前では気丈に振る舞っていても、内心では不安や悲しみでいっぱいだったり、介護による疲労がたまっていたりします。不眠、食欲不振、気分の落ち込みなどが続く場合は、無理をせず、自分の心と体の声に耳を傾けることが大切です。

ご本人への接し方で大切なこと

がんになったご本人にどう接したら良いか、戸惑うことも多いかもしれません。一番大切なのは、これまで通りの関係性を保つことです。過度に特別扱いするのではなく、一人の人間として尊重し、普段通りに接することが、ご本人の安心につながります。「何かしてあげたい」という気持ちから、良かれと思って治療法を強く勧めたり、「がんばって」と励ましすぎたりすることが、かえってご本人を追い詰めてしまうこともあります。まずは、ご本人の話に静かに耳を傾け、気持ちに寄り添うことを心がけてみてください。

自分のためのセルフケアも忘れずに

ご本人を支えるためには、まずご家族自身が心身ともに健康でいることが不可欠です。意識的に自分のための時間を作りましょう。好きな音楽を聴いたり、友人と話したり、散歩をしたり、どんな些細なことでも構いません。また、つらい気持ちは一人で抱え込まず、信頼できる友人や、病院の「がん相談支援センター」などに相談することも非常に有効です。ご家族が笑顔でいることが、ご本人にとって何よりの支えになります。

経済的な負担と利用できる公的制度

がんの治療には、残念ながらお金がかかります。治療が長引けば、その分経済的な負担も大きくなり、生活への不安につながります。しかし、日本には医療費の負担を軽減するためのさまざまな公的制度があります。どのような制度があるのかを知っておくだけで、心の負担は大きく変わってきます。

がん治療にかかる費用はどのくらい?

がんの治療費は、がんの種類や進行度、治療法(手術、薬物療法、放射線治療など)によって大きく異なります。保険適用の治療であれば自己負担は1割から3割ですが、それでも高額になるケースは少なくありません。また、治療費以外にも、通院のための交通費、入院時の差額ベッド代や食事代、先進医療にかかる費用など、さまざまな出費が考えられます。まずは、担当医や病院の相談員に、治療にかかる費用の見通しを確認してみましょう。

高額療養費制度で医療費の負担を軽減

「高額療養費制度」は、医療費の家計負担が重くなりすぎないように、1か月の医療費の自己負担額に上限を設ける制度です。上限額は年齢や所得によって決まっており、上限を超えた分は後から払い戻されます。事前に「限度額適用認定証」を入手しておけば、病院の窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることができ、一時的な立て替えの負担もなくなりますので、必ず申請しましょう。

所得区分(70歳未満の場合) 自己負担限度額(月額)
年収約1,160万円~ 252,600円+(医療費-842,000円)×1%
年収約770万~約1,160万円 167,400円+(医療費-558,000円)×1%
年収約370万~約770万円 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
~年収約370万円 57,600円
住民税非課税者 35,400円

収入減少を支える傷病手当金と障害年金

治療のために仕事を休むことになれば、収入の減少も心配です。会社員や公務員の方が加入する健康保険には「傷病手当金」という制度があります。これは、病気やケガで連続して3日間会社を休み、4日目以降も仕事に就けなかった場合に、給与のおおよそ3分の2が最長で1年6か月にわたって支給される制度です。また、がんの治療により生活や仕事に著しい制限を受ける状態になった場合には、「障害年金」を受給できる可能性もあります。これらの制度は、申請しないと受け取れませんので、ご自身が対象になるかを確認してみましょう。

仕事と治療の両立はどうする?

最近では、働きながらがん治療を続ける方が増えています。仕事は経済的な基盤であると同時に、社会とのつながりや生きがいを感じる場でもあります。ご本人やご家族が仕事を続けるために、どのような方法があるのかを知っておきましょう。

会社の制度を確認しよう

まずは、勤務先の就業規則を確認し、利用できる制度がないか調べてみましょう。会社によっては、以下のような制度が設けられている場合があります。

  • 病気休暇・私傷病休暇制度
  • 短時間勤務制度
  • 時差出勤制度
  • 在宅勤務(テレワーク)制度
  • 失効した年次有給休暇を積み立てて療養時に使える制度

上司や人事部に相談し、治療と両立できる働き方を見つけることが大切です。

介護休業・介護休暇の活用

ご家族の付き添いや身の回りのお世話のために、仕事を休む必要がある場面も出てきます。その際に活用できるのが「介護休業」と「介護休暇」です。

制度 内  容
介護休暇 対象家族1人につき年5日(2人以上なら年10日)まで、1日または時間単位で休暇を取得できます。通院の付き添いなどに便利です。
介護休業 対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として分割して休業できます。休業中は、雇用保険から「介護休業給付金」が支給されます。

これらの制度は法律で定められた労働者の権利です。必要なときには、ためらわずに勤務先に申し出ましょう。

日常生活の変化と必要なサポート

治療が始まると、副作用による体調の変化などで、これまで通りに生活することが難しくなることがあります。家事や育児など、日常生活におけるサポート体制を整えておくことも重要です。

家事や育児の分担

これまでご本人が主に担っていた家事や育児がある場合、家族内での役割分担を見直す必要があります。誰か一人に負担が集中しないよう、家族全員で話し合い、協力し合うことが大切です。完璧を目指さず、「今日はこれだけで十分」と割り切ることも時には必要です。地域のファミリーサポートや家事代行サービスなどを利用するのも一つの方法です。

介護保険サービスの利用

がん患者さんでも、年齢や状態によっては「介護保険サービス」を利用できます。

対象者 条 件
65歳以上の方 要支援・要介護認定を受けた方
40歳から64歳の方 末期がんと診断され、要支援・要介護認定を受けた方

認定を受けると、自己負担1割~3割で、訪問介護(ホームヘルプ)で身の回りのお世話をしてもらったり、福祉用具(介護ベッドなど)をレンタルしたりできます。お住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談してみてください。

もしもの時に備える成年後見制度

考えたくないことかもしれませんが、がんの進行によっては、ご本人の判断能力が低下してしまう可能性もあります。そのような場合に備えて、法的な手続きや財産管理をどうするかを考えておくことも、ご家族ができる大切な準備の一つです。

成年後見制度とは?

「成年後見制度」とは、認知症や病気などで判断能力が不十分になった方に代わって、財産の管理やさまざまな契約手続きを行う「後見人」を家庭裁判所が選任する制度です。ご本人の意思を尊重しながら、不利益な契約から守ったり、必要な医療や介護サービスを受けられるように手配したりする役割を担います。元気なうちに、将来もし判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ自分で後見人を選んでおく「任意後見契約」という方法もあります。

どんな時に必要になる?

ご本人の判断能力が低下すると、以下のような手続きができなくなる可能性があります。

  • 預貯金の引き出しや解約
  • 不動産の売却や賃貸
  • 介護施設への入所契約
  • 高額な医療費の支払い

これらの手続きが必要になったときに、ご家族が代わりに行うには法的な権限が必要です。そのために成年後見制度の利用が検討されます。いざという時に慌てないためにも、制度の存在を知っておくと良いでしょう。

まとめ

ご家族ががんになると、生活はさまざまな面で大きく変化します。しかし、精神的な支え合い、公的な経済支援、仕事や介護のサポートなど、利用できる制度やサービスはたくさんあります。大切なのは、情報を正しく知り、一人で、あるいは家族だけで抱え込まないことです。病院の相談員、地域の支援センター、そして専門家など、頼れる場所はたくさんあります。どうかご自身とご家族を大切にしながら、一歩一歩、前に進んでいってください。

参考文献

国立がん研究センター がん情報サービス「制度やサービス」

厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

法務省「成年後見制度~成年後見登記制度~」

家族ががんになったときの生活に関するよくある質問まとめ

Q. 家族ががんになったら、治療費はどのくらいかかりますか?

A. がんの種類や進行度、治療法によって大きく異なります。高額療養費制度など、医療費の負担を軽減する公的制度があるので、まずは利用できる制度を確認しましょう。

Q. 治療と仕事の両立は可能ですか?

A. 治療法や体調によりますが、多くの人が仕事を続けています。時短勤務やテレワークなど、働き方について会社と相談することが大切です。傷病手当金などの制度も利用できます。

Q. 家族として、本人にどのように接すればよいですか?

A. まずは本人の気持ちに寄り添い、話をじっくり聞くことが大切です。過度に特別扱いせず、今まで通りの日常を心がけることも本人の安心につながります。

Q. 家族自身のメンタルケアはどうすればよいですか?

A. 家族も大きな不安やストレスを抱えます。一人で抱え込まず、信頼できる友人や専門の相談窓口(がん相談支援センターなど)に相談することが重要です。

Q. 食生活で気をつけることはありますか?

A. 治療の副作用で食欲が落ちることもあります。栄養バランスを基本としつつ、本人が食べたいものを食べられるときに食べられる分だけ用意することが大切です。医師や管理栄養士に相談しましょう。

Q. 治療や生活について、どこに相談すればよいですか?

A. 病院のがん相談支援センターやソーシャルワーカー、患者会などが信頼できる相談先です。公的な窓口では、治療費や生活に関する専門的なアドバイスを受けられます。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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