税理士法人プライムパートナーズ

市街化調整区域で宅地分譲できる?都市計画法34条10号・11号を解説

2026-06-18
目次

相続税の計算において、広い土地をお持ちの方は評価額が下がる特例を使える可能性があります。「評価の対象となる宅地等は、市街化調整区域以外の地域に所在しており、評価の対象となる宅地等が都市計画法第34条第10号又は第11号の規定に基づき宅地分譲に係る開発行為ができる区域にある場合とは」という非常に長い条件を目にして、疑問をお持ちの方に向けて、この複雑な仕組みを優しく分かりやすく紐解いていきます。ご自身の土地が該当するのかどうか、一緒に確認していきましょう。

地積規模の大きな宅地の評価と市街化調整区域の関係

相続税や贈与税を計算するとき、面積が広い土地は戸建住宅の敷地として切り売りする際に道路をつくる必要などがあり、価値が下がる傾向にあります。これを考慮して土地の評価額を下げる制度が用意されています。

地積規模の大きな宅地とは何か

地積規模の大きな宅地とは、三大都市圏では500平方メートル以上、三大都市圏以外の地域では1,000平方メートル以上の広さを持つ土地のことです。この広さの基準を満たし、容積率が400パーセント(東京都の特別区は300パーセント)未満であることなどの条件をクリアすると、規模格差補正率という割引を適用して、評価額を大きく下げることができます。

地域 対象となる面積基準
三大都市圏 500平方メートル以上
三大都市圏以外の地域 1,000平方メートル以上

なぜ市街化調整区域は原則として適用対象外なのか

都市計画法では、無秩序な街づくりを防ぐために地域を分けています。その中で市街化調整区域は、原則として建物を建てたり開発したりすることが厳しく制限されている地域です。自由に土地を切り分けて宅地分譲をすることが法律上難しいため、分割分譲による価値の低下を考慮するこの特例の対象から、原則として外されています。

例外的に適用される都市計画法第34条第10号・第11号とは

原則は対象外となる市街化調整区域ですが、例外が存在します。それが都市計画法第34条第10号又は第11号の規定に基づき宅地分譲に係る開発行為ができる区域にある場合です。市街化調整区域の中であっても、特例として「宅地分譲のための開発をして良いですよ」と法律や条例で認められているエリアであれば、評価額を下げる特例が使えるということになります。

都市計画法第34条第10号の規定による開発行為ができる区域

ここからは、例外として認められる「第10号」の区域について詳しく見ていきます。これは主に、計画的な街づくりが行政によって認められている地域が対象となります。

地区計画や集落地区計画とは

第10号の規定は、市区町村が独自に定めた地区計画集落地区計画というルールに適合する場合を指します。全国にある市街化調整区域の中でも、一部のエリアについて「ここは例外的に計画的な開発を認めよう」と指定されている場所です。国土交通省の都市計画現況調査などで、お住まいの市区町村に指定区域があるかを確認できます。

宅地分譲に係る開発行為が認められる要件

ただ地区計画の区域に入っているだけでは不十分です。その計画の中で宅地分譲を目的とした開発行為が具体的に認められていなければなりません。例えば「店舗の建設は許可するけれど、分譲住宅の建設は許可しない」というルールになっている区域では、この評価減の特例は使えません。

該当するかどうかを自治体で確認する方法

自分の土地が該当するかどうかは、市区町村役場の都市計画や開発を担当する窓口で直接確認するのが一番確実です。「この土地は都市計画法第34条第10号の地区計画区域内ですか?また、宅地分譲のための開発行為が認められていますか?」と具体的に質問することで、正しい回答を得ることができます。

確認する項目 役所での質問ポイント
区域の指定有無 都市計画法第34条第10号の区域内かどうか
開発許可の可否 宅地分譲目的の開発が許可されるルールかどうか

都市計画法第34条第11号の規定による条例指定区域

続いて「第11号」の規定について解説します。こちらは都道府県や市区町村が独自の条例で指定している区域のことです。

自治体の条例で指定される区域の特徴

第11号は、市街化区域のすぐ近くにあり、すでに50以上の建物が連なっているような場所について、条例で特別に開発を認める仕組みです。自治体ごとにルールが異なるため、隣の市では開発できても、自分の市ではできないといった違いが生じるのが特徴です。

自己用住宅限定など制限がある場合の注意点

最も気をつけるべきポイントは、条例による制限内容です。自治体によっては「自分が住むための家(自己居住用住宅)を建てるなら許可するが、他人に売るための宅地分譲は許可しない」という厳しい制限を設けていることがあります。この場合、宅地分譲ができないため、特例の対象外となってしまいます。

役所の開発担当部署での具体的な調査手順

こちらも役所での調査が必須となります。都道府県や市区町村の開発指導課などの窓口へ行き、条例指定区域に該当するかを確認します。さらに「この場所で、分譲住宅を建てる目的の開発許可は下りますか?」と尋ね、分譲目的の許可が確実に得られることを確認してください。

該当しない場合の代替策と評価の注意点

もし役所で調べた結果、宅地分譲ができない区域だと分かった場合でも、あきらめる必要はありません。別の方法で評価額を下げられる可能性があります。

地積規模の大きな宅地の要件をおさらい

評価減を受けるには、面積が三大都市圏で500平方メートル以上、それ以外で1,000平方メートル以上必要です。それに加えて、指定容積率が400パーセント(東京都の特別区は300パーセント)未満であること、工業専用地域ではないことなど、複数の要件をすべてクリアする必要があります。

雑種地などのしんしゃく割合(減価率)の検討

宅地分譲ができない市街化調整区域内の土地の場合、逆に「建物を自由に建てられない」というマイナス要因を考慮して、しんしゃく割合(減価率)という別の割引が適用できる可能性があります。場合によっては30パーセントや50パーセントといった大きな減額ができるため、どちらのルールを適用すべきか慎重に検討することが大切です。

検討する評価方法 適用できる主なケース
地積規模の大きな宅地の評価 宅地分譲のための開発が法的に許可される場合
しんしゃく割合の適用 開発や建築に厳しい制限があり分譲できない場合

まとめ

評価の対象となる宅地が市街化調整区域にあっても、都市計画法第34条第10号又は第11号の規定に基づき宅地分譲に係る開発行為ができる区域にある場合は、例外的に地積規模の大きな宅地の評価を適用でき、税金負担を大きく減らすことができます。しかし、要件が非常に複雑で、自治体ごとのルールを確認する役所調査が欠かせません。もし条件を満たさない場合でも、建築制限を理由とした別の減額方法があるかもしれないため、多角的に土地の価値を見極めることが重要です。

参考文献

国税庁:No.4609 地積規模の大きな宅地の評価
国税庁:「地積規模の大きな宅地の評価」が新設されました

市街化調整区域の土地評価に関するよくある質問まとめ

Q.市街化調整区域にある広大な土地は、必ず評価額を下げる特例が使えないのですか?

A.原則として「地積規模の大きな宅地の評価」という特例は使えません。ただし、都市計画法第34条第10号や第11号に基づき、例外的に宅地分譲目的の開発が認められている区域であれば特例を使える可能性があります。

Q.都市計画法第34条第10号の区域とはどのような場所ですか?

A.市区町村が独自に定めた地区計画や集落地区計画に適合し、市街化調整区域内であっても計画的な開発が例外的に認められている区域のことです。

Q.自分の土地が宅地分譲できる区域かどうかを知るにはどうすればいいですか?

A.土地が所在する市区町村役場の都市計画や開発指導を担当する窓口に行き、都市計画法第34条第10号や第11号に該当するか、また宅地分譲目的の開発が許可されるかを確認してください。

Q.条例指定区域内であれば、必ず特例が適用されますか?

A.必ず適用されるわけではありません。自治体によっては「自己居住用の住宅のみ許可する」といった制限を設けており、宅地分譲ができない場合は特例の対象外となります。

Q.地積規模の大きな宅地として評価されるための面積の基準を教えてください。

A.三大都市圏に所在する土地であれば500平方メートル以上、三大都市圏以外の地域であれば1,000平方メートル以上あることが要件の一つとなります。

Q.宅地分譲ができないと分かった場合、評価額を下げる方法は他にありませんか?

A.雑種地などで建物の建築に厳しい制限がある場合、そのマイナス要因を考慮して「しんしゃく割合」を適用し、評価額を30パーセントや50パーセント減額できる可能性があります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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