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市街化調整区域の違法建築物!敷地評価で損しない相続税の減額ポイント

2026-03-01
目次

亡くなったご家族の財産に、許可なく建てられた違法建築物の敷地が含まれている場合、相続税の評価はどうなるのでしょうか?違法建築だから価値が低いだろうと自己判断してしまうと、相続税で大きく損をしてしまう可能性があります。違法建築物の敷地評価には特別なルールがあります。専門的で難しいと思われがちな評価方法について、優しくわかりやすく解説していきますね。

違法建築物とは?まずは基本の確認

そもそも違法建築物ってどんなもの?

違法建築物とは、建物を建てる際に守るべき建築基準法や都市計画法などの法律に違反して建てられた建物のことです。建ぺい率や容積率の上限をオーバーしているもの、道路に2メートル以上接していない接道義務違反のもの、無許可で増築や改築を行ったものなどが該当します。建築された当初からルールを守っていないため、役所から是正命令を受けるリスクや、売却しにくいといった問題があります。

既存不適格建築物との違い

違法建築物と似た言葉に、既存不適格建築物があります。これは、建てた当時は法律を守っていて適法だったものの、その後の法律や条例の改正によって現在の基準に合わなくなってしまった建物のことです。違法建築物とは異なり、そのまま使い続けることに法的な問題はありません。

種類 内容
違法建築物 建築当初から法律違反。是正命令の対象になる可能性がある。
既存不適格建築物 建築時は適法だが法改正で基準外に。そのまま使用可能。

違法建築物が敷地評価にもたらす影響

違法建築物が建っている土地は、そのままでは売却が難しく、金融機関からの融資も受けにくいため、利用価値が大きく下がります。相続税の計算においても、この利用価値の低さをしっかりと評価に反映させることが重要です。特に市街化調整区域という、原則として建物を建ててはいけないエリアに建てられた違法建築物の場合、特別な評価方法を用いることで相続税を大幅に減額できる可能性があります。

違法建築物の敷地の相続税評価の基本ルール

原則は「建物はないもの」として更地評価

相続税のルールでは、違法建築された建物は法的に認められない存在であるため、「最初から存在しないもの」として扱います。つまり、建物が建っていても、税務上は更地として土地のみを評価するのが大原則です。アパートなどを貸し出している場合に使える「貸家建付地」の減額特例も、違法建築物の場合は原則として使うことができません。

市街化区域内にある場合の評価

街づくりを積極的に進める市街化区域内の場合、違法建築物がないものとして、通常の更地と同じように「路線価×面積」などで評価します。ただし、接道義務を満たしていないために現在の法律では建物を建て直すことができない「再建築不可物件」などの事情がある場合は、利用制限を考慮して評価額を減額できるケースがあります。

市街化調整区域内にある場合の評価

市街化調整区域は、自然環境などを守るために建物の建築が厳しく制限されているエリアです。このエリアに違法建築物がある場合、建物がないものとして評価すると、「建物を建てることができない土地」となります。そのため、宅地ではなく「雑種地」として評価するのが一般的です。建築制限があるため、利用価値が著しく低いとみなされ、評価額を大きく下げる要因になります。

市街化調整区域における具体的な評価方法

近傍宅地の価額からスタート

市街化調整区域内にある雑種地の評価は、まずその土地の近くにある標準的な宅地の価格(近傍宅地)を基準にします。路線価が定められている地域なら路線価を、倍率地域なら固定資産税評価額に1.1倍などの倍率をかけたものをベースの金額とします。

宅地造成費を差し引く

次に、その雑種地を宅地として使えるように整地する場合にかかる費用を計算し、ベースの金額から差し引きます。これを宅地造成費の控除と呼びます。国税庁が地域ごとに定めている1平方メートルあたりの平坦地の造成費(例えば整地費700円など)を用いて、具体的な金額を算出します。

利用価値の低さを反映する「しんしゃく」

そして最も重要なのが、「しんしゃく(斟酌)」による大幅な減額です。市街化調整区域では建物の建築が難しいため、その利用価値の低さを考慮して評価額を割り引きます。これをしんしゃく割合と呼び、土地の状況に応じて30パーセントから50パーセントの範囲で評価額を下げることが可能です。

しんしゃく割合(減価)の目安と判断基準

しんしゃく割合はどう決まる?

しんしゃく割合は、一律に決まっているわけではなく、その土地で将来的に建物の建築許可(開発許可)が下りる可能性がどれくらいあるかによって決まります。周辺が市街化されているか、道路や上下水道などのインフラが整っているか、農地や山林に囲まれているかなど、個別の状況を総合的に見て判断します。

30パーセント減額と50パーセント減額の違い

実務上、しんしゃく割合は30パーセントか50パーセントになることが多くなっています。

土地の状況 しんしゃく割合の目安
周辺が宅地化されており、店舗などの開発許可が得られる可能性がある 30パーセント
周囲が農地や山林で、将来にわたって開発許可が得られる見込みが全くない 50パーセント

このように、開発の可能性がゼロに等しい土地であれば、評価額を半分に減らすことができるのです。

役所での徹底的な調査が不可欠

このしんしゃく割合を正しく決めるためには、市役所や町役場の都市計画課などに出向き、専門的な役所調査を行う必要があります。窓口の担当者に「この土地で開発許可を得ることは可能ですか?」とヒアリングを行い、許可が得られない客観的な理由を確認することが、50パーセントの減額を税務署に認めてもらうための重要な証拠になります。

違法建築物の敷地評価における注意点

再建築不可物件の評価との違い

接道義務を満たしていないために建て替えができない「再建築不可物件」と、今回の「違法建築物の敷地」は、評価のアプローチが異なります。再建築不可物件は、適法な建物が存在することを前提に、利用制限を考慮して評価を下げます。一方、違法建築物の敷地は、まず建物を「ないもの」として地目を雑種地などとし、そのうえで建築制限のしんしゃくを考慮します。混同しないように注意しましょう。

農地法違反の無断転用リスク

市街化調整区域でよくあるのが、本来は農地(畑や田んぼ)である土地に、農業委員会の許可を得ずに勝手に建物を建ててしまう無断転用のケースです。この場合、農地法違反となり、現状回復を求められるリスクがあります。評価の際も、農地として評価するのか雑種地として評価するのか、非常に高度な判断が求められます。

専門家による判断が欠かせない理由

市街化調整区域内の違法建築物の敷地評価は、税務調査でも厳しくチェックされる非常に専門的な分野です。自己判断でしんしゃく割合を高く設定しすぎると、過少申告加算税などの重いペナルティを受ける恐れがあります。逆に、役所調査が不十分で減額できることを見落としてしまうと、多額の相続税を払いすぎることになります。必ず相続税の土地評価に強い専門家に相談してください。

まとめ

市街化調整区域に建てられた違法建築物の敷地は、原則として「建物がないもの」として雑種地などで評価します。建物の建築が厳しく制限されるエリアであるため、役所調査で開発許可の見込みがないことをしっかりと確認できれば、しんしゃく割合を用いて評価額を最大50パーセント減額することが可能です。しかし、判断には専門的な知識が不可欠ですので、適正な評価をして相続税を抑えるためにも、まずは実績のある専門家へ相談することをおすすめします。

参考文献

国税庁 No.4620 無道路地の評価
国税庁 No.4623 農地の評価

市街化調整区域内の違法建築物の評価に関するよくある質問まとめ

Q.違法建築物の敷地は必ず評価が下がりますか?

A.必ずではありませんが、市街化調整区域内にある場合は建築制限が厳しいため、雑種地として評価し、最大50パーセントの大幅な減額が認められる可能性があります。

Q.違法建築物と既存不適格建築物の違いは何ですか?

A.違法建築物は建築当初から法律違反の建物ですが、既存不適格建築物は建てた当時は適法で法改正により基準を満たさなくなった建物です。税務上の扱いも異なります。

Q.親が許可なく建てた倉庫の敷地はどう評価しますか?

A.無許可で建てられた倉庫は違法建築物とみなされ、建物はないものとして敷地を更地(雑種地など)として評価するのが原則です。

Q.評価額を50パーセント減額できる基準は何ですか?

A.周囲が農地や山林で、今後も開発許可(建築許可)が得られる見込みが全くないと役所調査で確認できる市街化調整区域内の土地の場合に適用されるのが一般的です。

Q.違法建築物を貸している場合、貸家建付地の特例は使えますか?

A.違法建築物は税務上「存在しないもの」として扱われるため、原則として貸家建付地による敷地評価の減額特例を適用することはできません。

Q.自分で市役所に聞いて評価額を計算しても大丈夫ですか?

A.役所の回答を税務上の評価にどう反映させるかは非常に専門的な判断が必要です。間違えると税務調査でペナルティを受ける恐れがあるため、専門家への相談をおすすめします。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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