税理士法人プライムパートナーズ

建築工事の追加変更トラブルを防ぐ!口約束のまま着工する訴訟リスク

2026-01-22
目次

建築工事において、口頭でのやり取りだけで追加工事や変更工事を進めてしまうことは非常に危険です。後になって「言った」「言わない」という認識のズレが生じ、数千万円から数億円規模の訴訟問題に発展するケースも少なくありません。本記事では、建築工事における追加変更トラブルの原因や、それを未然に防ぐための具体的な対策について、分かりやすく解説していきます。

追加変更工事でトラブルが起こる主な原因

追加工事や変更工事でトラブルが発生する最大の原因は、契約内容の不明確さと認識の食い違いにあります。工事着手後に施主様から「ここを変更してほしい」と要望があった際、その場での口頭による合意のみで工事を進めてしまうと、後日大きな問題となります。このような状況を放置すると、最終的な代金請求時に支払いを拒否されるリスクが高まります。

トラブルの原因 具体的な状況例
契約の不明確さ 追加費用の負担ルールが事前に書面で決まっていない状態
認識の食い違い 施主様は無料のサービスだと思い、業者は有料の追加工事と認識

口約束による発注のリスク

「急いでいるから後で書類を作ろう」という現場の対応は、深刻な訴訟リスクを招きます。追加工事の金額が50万円から300万円と膨らんでいくと、施主様も予算オーバーを理由に支払いをためらう傾向があります。見積書や注文書を取り交わさずに着工してしまうと、裁判になった際に「追加工事の明確な合意があった」と証明することが非常に難しくなってしまいます。

本工事と追加工事の境界線の曖昧さ

施主様から「これは最初の見積もりに含まれているはずだ」と指摘されるケースも多発しています。当初の設計図書や見積書に記載された本工事の範囲が曖昧だと、どこからが追加工事になるのかの線引きができません。この境界線を明確にするためには、最初の見積もり段階で「工事一式」という曖昧な表現を避け、具体的な数量や単価を記載することが大切です。

工事の区分 具体的な内容
本工事の範囲 当初の契約書や設計図面、明細付きの見積書に明記された作業
追加工事の範囲 契約後に施主様の要望や現場の状況変化で新たに発生した作業

手直し工事と無償工事の誤解

一度完成した部分を施主様の要望でやり直す場合、それが有料の追加工事なのか、無料の手直し工事なのかで揉めることがよくあります。例えば、外壁の色が図面通りに塗られているのに「イメージと違うから塗り直して」と変更を求められた場合、これは本来100万円単位の費用がかかる追加変更工事に該当します。しかし、明確な取り決めがないと、施主様はサービスで直してもらえると誤解してしまうことが多いのです。

訴訟リスクを回避する具体的な対策方法

数億円規模の訴訟に発展させないためには、事前の準備と工事中の適切な対応が不可欠です。少しの手間を惜しまず、必ず書面や客観的な証拠を残す習慣を身につけていきましょう。

事前見積もりと追加変更契約書の作成

追加や変更が発生した際は、必ず着工前に見積書を作成し、施主様に提示してください。建設業法でも、請負契約の内容を変更する際は書面での交付が義務付けられています。たとえ10万円程度の少額の変更であっても、後々のトラブルを防ぐための強力な証拠となります。

作成すべき書面 記載すべき具体例
追加工事見積書 追加となる材料費50万円、人件費20万円などの詳細な内訳
変更契約書 変更後の総額、工期の延長期間、支払い条件などの合意内容

打ち合わせ議事録の徹底

現場での立ち話や電話でのやり取りは、必ず打ち合わせ議事録として記録に残しましょう。議事録には、いつ、誰が、どのような指示を出したのかを詳細に記載し、施主様からサインや確認印をもらうことが理想的です。もしサインをもらうのが難しい場合は、打ち合わせ後に内容をまとめたメールを施主様に送信し、履歴を残しておくだけでも有効な対策となります。

工事中断や代金未払いに備える知識

万が一、施主様との間で意見が対立し、工事が中断してしまった場合の対処法も知っておく必要があります。正しい知識を持つことで、会社の利益を守ることができます。

施主都合による契約解除の扱い

民法の規定により、施主様は建物が完成するまでの間であれば、いつでも請負契約を解除することができます。ただし、その場合は施工業者に対して損害賠償を行う義務が発生します。すでに施工が完了している部分(出来高)については、その分の代金をしっかりと請求することができますのでご安心ください。

賠償請求の対象 具体的な請求内容の例
すでに発生した実費費用 発注済みの資材費100万円や、稼働した作業員の人件費50万円など
得られるはずだった利益 工事全体が完成していれば得られたはずの見込み利益200万円など

建設業法における下請業者の保護ルール

元請業者と下請業者の間でも、追加変更工事を巡るトラブルは頻発します。建設業法では、立場の弱い下請業者を保護するための厳しいルールが定められていますので、お互いにルールを守って取引することが大切です。

書面交付の義務と支払い時期

元請業者は、下請業者に追加工事を依頼する際にも、着工前に必ず書面で変更契約を交わさなければなりません。また、元請業者が施主様から工事代金を受け取った場合、原則として1か月以内に下請業者に対して代金を支払う義務があります。これを怠ると、建設業法違反として厳しい指導を受ける可能性がありますので注意しましょう。

トラブル発生時の専門家への相談

どうしても当事者同士の話し合いで解決できない場合は、早めに法律の専門家に相談することが最も安全な解決策です。問題がこじれる前に動くことが重要です。

第三者に相談するメリット

専門家が間に入ることで、施主様との感情的な対立を避け、法的な根拠に基づいた冷静な交渉が可能になります。数千万円から数億円の未払いリスクを背負い込む前に、サポートを受けて適切な対応を取りましょう。会社の存続に関わる問題ですので、決して一人で抱え込まないでください。

専門家の役割 期待できる具体的な効果
法的な見解の提示 理不尽な要求に対して、法律に基づきはっきりと拒絶できる
証拠の整理と立証 議事録やメールから、150万円の追加工事の合意があったことを証明する

まとめ

建築工事における追加変更トラブルは、口約束のまま工事着工することを無くし、全てを書面で記録することによって大幅に防ぐことができます。着工前の詳細な見積もり提示、変更契約書の締結、そして日々の打ち合わせ議事録の作成を徹底してください。もしトラブルの兆候が見えた場合は、すぐに対策を講じて、数億円の訴訟リスクから大切な会社を守りましょう。

建築工事の追加変更に関するよくある質問まとめ

Q.追加工事の依頼を口約束で受けてしまった場合、後から請求できますか?

A.請求すること自体は可能ですが、相手が支払いを拒否した場合に合意があったと証明することが非常に困難になります。証拠としてメールや議事録の履歴を集める必要があります。

Q.施主から「これは当初の見積もりに含まれているはずだ」と言われたらどうすればいいですか?

A.契約時の設計図書や詳細な見積書を基に、本工事の範囲外であることを具体的に説明してください。見積もりが一式などの曖昧な表記だと反論が難しくなります。

Q.追加変更工事の契約書はいつ交わすべきですか?

A.必ず追加工事に着手する前に交わしてください。建設業法でも事前の中間契約や変更契約の書面交付が求められています。

Q.工事中に施主都合で契約を解除された場合、それまでの費用はどうなりますか?

A.民法上、施主は損害賠償を行う義務があります。すでに発注した資材費や作業済みの出来高代金は、しっかりと請求することができます。

Q.些細な変更でも毎回見積書を出さなければいけませんか?

A.はい、金額の大小に関わらず書面を残すことが重要です。正式な見積書が難しい場合は、打合せ議事録に費用を明記しサインをもらう方法も有効です。

Q.トラブルが訴訟に発展しそうな場合、いつ専門家に相談すべきですか?

A.施主側が支払いを強く拒否し始めたり、理不尽な要求が続いたりした段階で、すぐに専門家に相談することをお勧めします。早期対応が被害を最小限に抑えます。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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