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後期高齢者医療保険の負担割合の基礎!収入基準と所得基準を解説

2025-08-24
目次

病院の窓口で支払う医療費の負担割合について、どうやって決まっているのか疑問に思ったことはありませんか。後期高齢者医療保険の負担割合の基礎となる、収入基準と所得基準をそれぞれ教えてほしいというご質問をよくいただきます。実は、負担割合は前年の「所得」と「収入」という2つの基準をもとに、1割、2割、3割のいずれかに判定されます。この記事では、それぞれの基準の具体的な金額や計算方法について、わかりやすく解説していきます。

後期高齢者医療保険の負担割合が決まる仕組みとは?

後期高齢者医療保険の窓口での自己負担割合は、原則として1割ですが、現役世代並みの所得がある方は3割、一定以上の所得がある方は2割を負担することになります。この判定には、市区町村から送られてくる住民税通知書に記載された課税所得と、1年間のトータル収入が関係しています。

負担割合は所得と収入の2段階で判定される

負担割合を決める際、まずは住民税課税所得という所得基準で大まかな判定が行われます。ここで3割負担と判定された場合でも、その後の収入金額という収入基準の条件を満たせば、1割または2割負担に引き下げられる仕組みになっています。つまり、所得と収入の両方を確認することがとても大切なのです。

所得と収入の違いをわかりやすく解説

所得と収入は似ている言葉ですが、医療保険の判定では明確に区別されています。収入は必要経費や各種控除を差し引く前の総額を指し、所得は収入から経費や控除を引いた後に残る金額のことです。それぞれの意味を正しく理解しておきましょう。

項目 意味と計算方法
収入基準の「収入」 必要経費や控除を引く前の総額(売上、年金総額など)
所得基準の「所得」 収入から必要経費や各種所得控除を差し引いた後の金額

毎年8月に判定が見直されるタイミング

後期高齢者医療保険の負担割合は、毎年8月1日に切り替わります。新しい負担割合は、前年(1月から12月まで)の所得と収入をもとに判定され、翌年の7月31日まで適用されます。そのため、前年の収入状況が変わると、今年の8月からの負担割合も変わる可能性があります。

負担割合の基礎となる所得基準とは?

まずは、最初の判定で使われる所得基準について詳しく見ていきましょう。ここでは、住民税を計算するベースとなる住民税課税所得が基準となります。

3割負担(現役並み所得者)の所得基準

同じ世帯にいる後期高齢者医療保険の被保険者の中に、住民税課税所得が145万円以上の方が1人でもいる場合、その世帯の被保険者全員が原則として3割負担の「現役並み所得者」と判定されます。

負担割合 所得基準の要件
3割負担 同一世帯の被保険者に住民税課税所得145万円以上の方がいる

2割負担(一定以上所得のある方)の所得基準

3割負担ではない方のうち、住民税課税所得が28万円以上145万円未満の方が世帯にいる場合で、さらに「年金収入」と「その他の合計所得金額」の合計が以下の具体的な金額を満たすと、2割負担となります。

世帯の被保険者数 年金収入+その他の合計所得金額
被保険者が1人 200万円以上
被保険者が2人以上 合計320万円以上

1割負担(一般・低所得者)の所得基準

上記の3割負担や2割負担の条件に当てはまらない方は、すべて1割負担となります。たとえば、世帯の被保険者全員の住民税課税所得が28万円未満の方や、住民税が非課税の世帯の方などが該当します。多くの方がこの1割負担に分類されます。

負担割合を引き下げる収入基準とは?

所得基準で3割負担と判定された方でも、実際の収入金額が一定の基準を満たしていれば、申請によって1割または2割負担に引き下げることができます。これが基準収入額適用申請という制度です。

基準収入額適用申請で負担割合が変わる要件

この申請で基準となるのは、経費や控除を差し引く前の収入金額です。市区町村で収入額が確認できる場合は申請不要で自動的に引き下げられますが、確認できない場合はお知らせが届くため、忘れずに申請手続きを行う必要があります。

被保険者の人数 3割負担から引き下げられる収入基準
1人 収入が383万円未満
2人以上 収入の合計が520万円未満

単身世帯の収入基準と対象となる金額

世帯に後期高齢者医療保険の被保険者があなた1人だけの場合、前年の収入が383万円未満であれば申請の対象となります。また、ご自身の収入が383万円以上であっても、同じ世帯に70歳から74歳の方がいる場合は、その方との収入合計が520万円未満であれば引き下げの対象になります。

複数世帯の収入基準と対象となる金額

ご夫婦などで、同じ世帯に後期高齢者医療保険の被保険者が2人以上いる場合は、被保険者全員の前年の収入を合計して判定します。この合計金額が520万円未満であれば、申請によって負担割合が引き下げられます。

所得と収入の計算に含まれるもの・含まれないもの

収入基準と所得基準を計算するときには、どんなお金が含まれて、どんなお金が含まれないのかを知っておくことがとても重要です。

計算に含まれる収入の具体例

収入として計算されるのは、必要経費や控除を差し引く前の金額です。公的年金はもちろん、給与、家賃収入、事業の売上高などが含まれます。

収入の種類 基準となる金額の考え方
事業収入・不動産収入 必要経費を差し引く前の売上金額
株式の譲渡収入 株を売却したときの売却金額そのもの

非課税年金や退職金は計算に含まれない

収入の中には、計算に含めなくてよいものもあります。たとえば、遺族年金や障害年金といった非課税の年金は収入には含まれません。また、一度にまとめて受け取る退職金も、収入基準や所得基準の計算対象からは外れますのでご安心ください。

譲渡損失の確定申告における注意点

株式や不動産などを売却して損が出た場合、税金を減らすために確定申告で損益通算や繰越控除を行うことがあります。しかし、確定申告をしてしまうと、売却した際の収入金額がそのまま収入基準の計算に含まれてしまい、結果的に医療費の負担割合が上がってしまうことがあるので注意が必要です。

負担割合に疑問がある場合の手続きと相談

もし、お手元に届いた保険証の負担割合が間違っているのではないかと感じた場合は、そのままにせず確認をすることが大切です。

所得更正や世帯変更があった場合の再判定

過去の税金の申告をやり直して所得の更正があったり、同じ世帯の家族が転出したりして世帯の状況が変わった場合は、随時、負担割合の再判定が行われます。判定結果が変わる場合は、原則として変更があった翌月の1日から新しい負担割合が適用されます。

窓口での負担割合が違うと感じたときの対処法

病院の窓口で請求された医療費の負担割合が、お持ちの保険証に書かれている割合と違うなど、疑問に思ったときは、お住まいの都道府県の後期高齢者医療広域連合や市区町村の担当窓口に相談してみてください。優しく丁寧に状況を確認してくれますよ。

まとめ

後期高齢者医療保険の負担割合は、毎年の住民税課税所得収入金額という2つの基準をもとに判定されます。まずは所得基準で1割から3割のどれに該当するか決まり、3割と判定されても収入基準を満たせば引き下げられる仕組みです。非課税年金は計算に含まれない一方で、確定申告をすると収入とみなされるものもあるため、ご自身の収入状況をしっかり把握しておくことが大切です。

参考文献

国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.1130 社会保険料控除

後期高齢者医療保険の基準に関するよくある質問まとめ

Q.後期高齢者医療保険の負担割合はいつ見直されますか?

A.毎年8月1日に見直されます。前年1月から12月までの所得と収入をもとに判定され、翌年7月末まで適用されます。

Q.遺族年金や障害年金は収入基準の計算に含まれますか?

A.含まれません。遺族年金や障害年金などの非課税年金は、収入基準や所得基準の計算対象外となります。

Q.3割負担と判定された場合でも負担を減らす方法はありますか?

A.はい。前年の収入金額が単身で383万円未満、複数世帯で合計520万円未満などの要件を満たせば、基準収入額適用申請により1割または2割に引き下げられます。

Q.株式の譲渡損失を確定申告した場合、負担割合に影響しますか?

A.影響する可能性があります。損失を申告しても売却金額そのものが収入とみなされるため、収入基準の金額が増えて負担割合が上がる場合があります。

Q.退職金は収入の計算に含まれますか?

A.含まれません。一度に受け取る退職所得は、負担割合を判定するための収入には含まれない仕組みになっています。

Q.世帯の被保険者が1人の場合、2割負担になる基準は何ですか?

A.住民税課税所得が28万円以上145万円未満であり、かつ年金収入とその他の合計所得金額の合計が200万円以上の場合に2割負担となります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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