税理士法人プライムパートナーズ

抵当権設定と根抵当権設定の違いとは?基礎からわかりやすく解説

2026-04-08
目次

不動産を購入したり事業用の資金を借り入れたりする際によく耳にするのが、抵当権設定と根抵当権設定という言葉ですね。どちらも不動産を担保にするための仕組みですが、その性質や使い道には大きな違いがあります。この記事では、それぞれの特徴や具体的な費用、相続時の注意点まで、わかりやすく解説していきます。

抵当権設定と根抵当権設定の基本

銀行などからお金を借りる際、万が一返済ができなくなったときに備えて不動産を担保にする手続きをします。これが担保権の設定です。担保権には主に抵当権と根抵当権の2種類がありますので、まずは基本的な仕組みを見ていきましょう。

抵当権設定とは

抵当権設定とは、特定の1つの借入に対して不動産を担保にする手続きのことです。たとえば、3,000万円の住宅ローンを借りる場合、その3,000万円の返済を担保するためだけに設定されます。そのため、ローンを全額返済すると抵当権の役割は完全に終わり、抹消手続きを行うことになります。

根抵当権設定とは

根抵当権設定とは、あらかじめ5,000万円といった上限額(極度額)を決めておき、その範囲内であれば何度でもお金を借りたり返したりできる担保のことです。借入金を一度完済しても自動的には消滅しないため、継続的に資金が必要な場合にとても便利な仕組みとなっています。

抵当権と根抵当権の主な違い

2つの担保権の違いをわかりやすく表にまとめました。ご自身の状況に合わせてどちらが適しているか確認してみてくださいね。

比較項目 内容
抵当権の仕組み 1回の借入専用。完済すると消滅するため抹消登記が必要
根抵当権の仕組み 極度額まで何度でも利用可能。完済しても消滅しない

抵当権設定を利用する具体的なケース

抵当権は、1回限りの大きなお金を借りる際に利用されることが一般的です。具体的な活用シーンを見てみましょう。

マイホームのための住宅ローン

最も代表的なのが住宅ローンです。たとえば、4,000万円のマンションを購入するために銀行からお金を借りる場合、その不動産に抵当権を設定します。毎月コツコツと返済を続け、最終的に4,000万円を完済すれば、銀行から抵当権抹消登記の書類をもらって法務局で手続きをします。

メリットとデメリット

メリットは、借入の目的が明確で、必要な金額に対してのみ担保を設定するため、手続きがシンプルであることです。デメリットとしては、将来ふたたび同じ不動産を担保にお金を借りたくなった場合、新しく抵当権を設定し直さなければならず、その都度約10万円ほどの登記費用や手間がかかってしまう点があげられます。

根抵当権設定を利用する具体的なケース

根抵当権は、事業を営んでいる方が継続的にお金を借り入れする際にとても役立ちます。

会社経営やアパート経営の事業資金

たとえば、会社を経営していて仕入れ資金が定期的に必要になる場合や、アパートを複数経営していて修繕費などで頻繁に融資を受ける場合があります。極度額を5,000万円と設定しておけば、今日は1,000万円借りて、来月500万円返し、また半年後に2,000万円借りる、といった資金調達がスムーズに行えます。

メリットとデメリット

最大のメリットは、極度額の範囲内であれば新たな借入のたびに登記手続きをする必要がなく、スピーディーに融資を受けられる点です。その都度の登記費用も節約できます。一方でデメリットは、完済しても担保が残ったままになるため、不動産を売却したいときには銀行との交渉や特別な抹消手続きが必要になることです。

登記費用と登録免許税の計算方法

担保を設定する際には、法務局で登記の手続きを行う必要があり、国に納める登録免許税という税金がかかります。費用面での違いも押さえておきましょう。

抵当権設定にかかる費用

抵当権の登録免許税は、原則として実際の借入金額の0.4%です。たとえば、3,000万円を借り入れた場合、3,000万円×0.4%=12万円となります。ただし、ご自身が住むための住宅ローンで床面積50平方メートル以上などの一定の要件を満たすと、税率が0.1%に軽減され、費用は3万円で済む特例もあります。

根抵当権設定にかかる費用

根抵当権の登録免許税は、実際の借入額ではなく極度額の0.4%となります。極度額を5,000万円に設定した場合、たとえ最初は1,000万円しか借りていなくても、5,000万円×0.4%=20万円の税金がかかります。根抵当権には住宅用の軽減税率が適用されないため、初期費用は少し高くなる傾向にあります。

以下に費用の計算例を表でまとめました。

担保の種類 登録免許税の計算例
抵当権(借入3,000万円) 3,000万円 × 0.4% = 12万円(軽減適用なら3万円)
根抵当権(極度額5,000万円) 5,000万円 × 0.4% = 20万円(軽減適用なし)

相続が発生した際の手続きの注意点

不動産の持ち主がお亡くなりになり相続が発生した場合、設定されている担保権の種類によって必要な手続きが大きく異なりますので注意が必要です。

抵当権付き不動産の相続

抵当権が設定されたアパートなどを相続した場合、借入金も一緒に引き継ぎます。このとき、銀行の承諾を得て借金を引き継ぐ人の名前を変更する債務引受という手続きを行います。残債が2,000万円であれば、その金額をそのまま引き継ぐため、比較的わかりやすい手続きで済みます。

根抵当権付き不動産の相続

根抵当権の場合、相続開始から6ヶ月以内に指定債務者の合意の登記という特別な手続きを法務局で行わなければなりません。もしこの期間内に手続きを忘れてしまうと、亡くなった時点での借入額で元本が確定してしまい、それ以降は根抵当権の極度額の枠を使って新たにお金を借りることができなくなってしまいます。事業を引き継ぐ方にとっては非常に重要なポイントです。

まとめ

抵当権設定と根抵当権設定には、利用目的や費用、相続時のルールに明確な違いがあります。マイホーム購入など1度きりの借入なら抵当権、事業資金など何度も借り入れを繰り返すなら根抵当権が適しています。将来のライフプランや生前対策を見据えて、ご自身の状況にぴったりの方法を選んでくださいね。専門的な手続きが必要な場面も多いため、迷ったときは無理をせず早めに相談することも大切です。

参考文献

国税庁:No.7191 登録免許税の税額表

法務省:不動産登記の登録免許税について

抵当権設定と根抵当権設定のよくある質問まとめ

Q.抵当権と根抵当権の最大の違いは何ですか?

A.抵当権は1回の借入に対する担保で完済すると消滅しますが、根抵当権は上限額(極度額)の範囲内で何度でも借り入れでき、完済しても消滅しない点が最大の違いです。

Q.住宅ローンを組むときはどちらを設定しますか?

A.一般的な住宅ローンでは、1回限りの借入となるため抵当権を設定します。要件を満たせば登録免許税の軽減措置を受けられることもあります。

Q.根抵当権の極度額とは何ですか?

A.極度額とは、不動産を担保にして借り入れができる上限金額のことです。たとえば極度額5,000万円であれば、その金額に達するまで何度でも融資を受けることができます。

Q.借入を全額返済したら抵当権はどうなりますか?

A.抵当権は役割を終えますが、自動的に登記簿から消えるわけではありません。銀行から書類を受け取り、法務局で抵当権抹消登記を行う必要があります。

Q.根抵当権が設定された不動産を相続する際の注意点は?

A.相続発生から6ヶ月以内に指定債務者の合意の登記を行わないと、以降は新たにお金を借りることができなくなってしまうため、早めの手続きが必要です。

Q.登録免許税の計算方法は同じですか?

A.異なります。抵当権は実際の借入金額の0.4%ですが、根抵当権は実際の借入額に関わらず極度額の0.4%として計算されます。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

\ 相続の不安、専門家にまずは無料相談 /
相続税申告でお困りの方へ
土日無料相談会 受付中!
今日からできる相続対策
プライム相続クラブ
士業の先生向け専門家AI
士業AI【税務】