支払調書と法定調書、言葉は似ていますが、実は意味が少し違います。事業をしていると必ず関わるこれらの書類について、違いをきちんと理解していますか?この記事では、法定調書とは何か、支払調書との関係性、それぞれの種類や提出義務について、初心者の方にも分かりやすく解説していきますね。
そもそも法定調書って何?支払調書との関係は?
「法定調書」と「支払調書」、経理の仕事をしているとよく聞く言葉ですよね。なんだか難しそうに聞こえますが、関係性を知るとスッキリしますよ。まずは基本から押さえていきましょう。
法定調書は税務署に提出が義務付けられた書類の総称
法定調書とは、簡単に言うと「所得税法」や「相続税法」などの法律によって、税務署への提出が義務付けられている書類全般のことを指します。税務署は、この法定調書をもとに「皆さんが正しく税金の申告・納税をしているか」を確認するための、大切な資料なんです。国税庁によると、現在63種類もの法定調書があるんですよ。
支払調書は法定調書の中の一つのグループ
では、支払調書とは何でしょうか?実は、支払調書は法定調書という大きな枠組みの中の一つなんです。法定調書の中には、「支払調書」という名前がつく書類がたくさんあります。例えば、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」や「不動産の使用料等の支払調書」などがそれに当たります。つまり、「法定調書」というカテゴリの中に、「支払調書」というグループが存在する、というイメージですね。
源泉徴収票も法定調書の一種
支払調書とよく似た書類に「源泉徴収票」がありますよね。実はこの源泉徴収票も法定調書の一つです。会社員の方が年末にもらう「給与所得の源泉徴収票」も、立派な法定調書なんです。支払調書は主に外部の個人事業主や法人への支払いを記録するもの、源泉徴収票は従業員への給与支払いを記録するもの、という役割の違いがあります。
支払調書と法定調書の違いを整理しよう
ここまでで、支払調書は法定調書の一部だということが分かりましたね。ここでは、それぞれの関係性を表で分かりやすくまとめてみましょう。
| 項目 | 説 明 |
| 法定調書 | 法律で税務署への提出が義務付けられた書類の総称。全部で63種類ある。 |
| 支払調書 | 法定調書の中に含まれる書類の一つ。特定の支払い内容を税務署に報告するための書類。 |
| 源泉徴収票 | 法定調書の中に含まれる書類の一つ。従業員への給与などの支払い内容を報告する書類。 |
このように、法定調書という大きな箱の中に、支払調書や源泉徴収票など、いろいろな種類の書類が入っていると考えると分かりやすいです。ですから、「支払調書と法定調書の違いは?」と聞かれたら、「支払調書は法定調書の一種です」と答えるのが正解になります。
代表的な支払調書(法定調書)の種類と提出義務
法定調書には63種類もありますが、事業を行っていると特に関わる機会が多い、代表的な支払調書をいくつかご紹介します。どんな場合に提出が必要になるのか、具体的な金額も一緒に見ていきましょう。
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
これは、フリーランスのデザイナーやライター、弁護士や税理士といった専門家へ報酬を支払った場合に提出が必要になる、最も一般的な支払調書です。提出が必要になる金額の基準は、支払う相手や内容によって異なります。
| 支払いの内容 | 提出が必要な年間の支払金額 |
| 弁護士・税理士への報酬、原稿料、講演料など | 同一人に対し年間5万円を超える場合 |
| 外交員、集金人、プロボクサー、ホステスなどへの報酬 | 同一人に対し年間50万円を超える場合 |
| 広告宣伝のための賞金 | 同一人に対し年間50万円を超える場合 |
不動産の使用料等の支払調書
事務所の家賃や権利金、更新料などを支払った場合に提出する支払調書です。法人が個人(大家さん)に家賃を支払っているケースなどが該当します。
| 対象となる支払い | 同一人に対し年間15万円を超える地代・家賃、権利金、更新料などの支払いがあった場合に提出が必要です。 |
| 注意点 | 支払い先が法人の場合、権利金や更新料は対象ですが、月々の家賃や賃貸料だけの場合は提出不要です。 |
不動産等の譲受けの対価の支払調書
不動産(土地や建物など)を買い取った際に、その代金を支払った場合に提出が必要になります。法人や不動産業者である個人が対象です。
| 対象となる支払い | 同一人に対し、年間100万円を超える不動産等の譲受けの対価を支払った場合に提出が必要です。 |
不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
不動産の売買や賃貸の仲介をしてくれた不動産会社などに、仲介手数料を支払った場合に提出する支払調書です。
| 対象となる支払い | 同一人に対し、年間15万円を超えるあっせん手数料を支払った場合に提出が必要です。 |
支払調書(法定調書)の提出について
支払調書は、作成するだけでなく、きちんと期限内に税務署へ提出しなければなりません。提出に関する基本的なルールを確認しておきましょう。
提出期限はいつ?
ほとんどの法定調書の提出期限は、支払いが確定した年の翌年1月31日です。例えば、2023年1月1日から12月31日までの支払いに関する法定調書は、2024年1月31日までに提出する必要があります。年末調整の時期と重なるため、経理担当者の方は毎年大変な時期ですよね。
どこに提出するの?
法定調書は、支払事務を取り扱う事務所や事業所の所在地を管轄する税務署に提出します。「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」という表紙のような書類と一緒に提出するのが一般的です。
提出しなかったらどうなる?
法定調書の提出は法律で定められた義務です。もし正当な理由なく提出しなかったり、嘘の内容を記載して提出したりした場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります(所得税法第242条)。うっかり忘れていた、ということのないように気をつけましょう。
支払調書と源泉徴収票の大きな違い
支払調書も源泉徴収票も同じ「法定調書」の仲間ですが、一つ大きな違いがあります。それは「支払いを受けた本人への交付義務」があるかどうかです。
源泉徴収票は本人への交付義務がある
会社は、従業員に対して源泉徴収票を交付する義務があります。これは所得税法で定められています。従業員は、この源泉徴収票を使って転職先で年末調整をしたり、自分で確定申告をしたり、収入証明として利用したりします。
支払調書は本人への交付義務がない
一方、支払調書には、支払いを受けた本人(例えばフリーランスの方など)への交付義務はありません。税務署への提出義務はありますが、取引先に送付するかどうかは、支払う側の判断に委ねられています。とはいえ、多くの企業では親切心や慣習から、確定申告の参考資料として支払調書の写しを送付しているのが実情です。
まとめ
今回は、支払調書と法定調書の違いについて解説しました。ポイントをまとめると以下のようになります。
- 法定調書は、法律で税務署への提出が義務付けられた書類の総称です。
- 支払調書は、数ある法定調書の中の一つの種類です。源泉徴収票も法定調書の一種です。
- 支払調書には様々な種類があり、それぞれ提出が必要な金額の基準が定められています。
- 提出期限は原則として翌年1月31日です。提出しないと罰則があります。
- 源泉徴収票と違い、支払調書は支払いを受けた本人への交付義務はありません。
言葉が似ているので混乱しがちですが、「法定調書」が大きなカテゴリ名、「支払調書」がその中身の一つだと理解しておけば大丈夫です。事業主の方は、どの支払いがどの法定調書の提出対象になるのかをしっかり確認し、期限内に忘れず提出するようにしましょう。
参考文献
法定調書と支払調書に関するよくある質問まとめ
Q. 法定調書と支払調書は同じものですか?
A. 違います。法定調書は税務署への提出が義務付けられた書類全体の総称で、支払調書はその中の一つの種類です。
Q. すべての支払いで支払調書の提出が必要ですか?
A. いいえ。支払調書の種類ごとに、提出が必要となる支払いの内容と年間の金額が法律で定められています。例えば、弁護士報酬などは年間5万円超で提出義務が生じます。
Q. 支払調書の提出期限はいつですか?
A. 原則として、支払いがあった年の翌年1月31日です。
Q. 支払調書を支払い先の相手に渡す義務はありますか?
A. いいえ、法律上の交付義務はありません。税務署への提出義務のみです。ただし、取引先への配慮として交付する企業は多いです。
Q. 源泉徴収票も法定調書ですか?
A. はい、源泉徴収票も法定調書の一種です。従業員への給与支払いを報告する書類で、こちらは従業員本人への交付義務があります。
Q. 支払調書を提出しなかった場合、罰則はありますか?
A. はい、あります。正当な理由なく提出しなかったり、虚偽の記載をしたりすると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。