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教育資金贈与はどの金融機関を選ぶべき?後悔しないための比較ポイント

2025-08-18
目次

お子さんやお孫さんの将来のために、教育資金を贈与したいと考えている方も多いのではないでしょうか。教育資金贈与非課税制度は、最大1,500万円まで非課税で贈与できるとてもお得な制度です。でも、この制度を利用するには金融機関で専用の口座を開設する必要があり、「どの金融機関を選べばいいの?」と迷ってしまいますよね。金融機関によって手数料やサービス内容が違うので、どこを選ぶかはとても重要です。そこで今回は、教育資金贈与の口座を開設できる金融機関の種類と、それぞれのメリット・デメリット、そして後悔しないための選び方のポイントを分かりやすく解説していきますね。

教育資金贈与非課税制度とは?まずはおさらい

まずは、教育資金贈与非課税制度がどのようなものか、簡単におさらいしておきましょう。この制度は、祖父母やご両親から30歳未満のお子さんやお孫さんへ、教育に使うためのお金をまとめて贈与した場合に、最大1,500万円まで贈与税がかからなくなる、というものです。利用するには、金融機関との間で「教育資金管理契約」を結び、専用の「教育資金口座」を開設する必要があります。この口座から、実際に教育費として支払った分を引き出していく仕組みになっています。

制度の概要と非課税限度額

この制度の非課税限度額は、お子さん・お孫さん一人あたり1,500万円です。ただし、この1,500万円には内訳があります。

学校等に直接支払われる費用 上限1,500万円
塾や習い事など学校等以外への費用 上限500万円(1,500万円の内数)

例えば、大学の入学金や授業料などは1,500万円の枠内で使えますが、学習塾やピアノ教室の月謝といった学校以外の費用に使えるのは、最大でも500万円までと決められています。この制度は、現在のところ2026年3月31日までの期間限定の措置となっていますので、検討されている方は期間にも注意してくださいね。

対象となる教育資金の範囲

「教育資金」といっても、どこまでが対象になるのか気になりますよね。対象となるのは、学校や教育機関に直接支払われるお金です。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 入学金、授業料、施設設備費、入園料など
  • 学用品の購入費、修学旅行費、学校給食費など
  • 学習塾やそろばん、水泳、ピアノなどの習い事の月謝
  • 通学定期券代や留学渡航費

学習塾や習い事の費用も対象になるのは嬉しいポイントですね。ただし、支払い先が教育を目的とした事業者であることが条件で、領収書などで支払いを証明する必要があります。

手続きの流れ

制度を利用するための大まかな流れは次のようになります。

  1. 贈与契約を結ぶ:お金をあげる人(贈与者)ともらう人(受贈者)の間で、教育資金として贈与することを書面で約束します。
  2. 金融機関で専用口座を開設:受贈者(お子さん・お孫さん)の名義で、金融機関に「教育資金口座」を開設します。
  3. 資金を一括で入金:贈与者が、契約した金額(最大1,500万円)を一度に口座へ入金します。
  4. 教育費の支払いと払い出し:実際に教育費を支払った後、その領収書を金融機関に提出することで、口座からお金を引き出すことができます。

領収書の提出など、少し手間がかかる部分もありますが、計画的に進めればスムーズに利用できますよ。

教育資金贈与口座はどこで開設できる?

さて、ここからが本題です。教育資金贈与の専用口座は、主に「銀行」「信託銀行」「証券会社」で開設することができます。どこで開設しても制度の基本的な内容は同じですが、手数料やサービスに違いがあります。それぞれの特徴を知って、ご家庭に合った金融機関を選びましょう。

銀行(メガバンク・地方銀行など)

最も身近な選択肢が、メガバンクや地方銀行などの銀行です。普段から利用している銀行であれば、相談しやすく、手続きもスムーズに進められるのが大きな魅力です。多くの銀行では口座管理手数料が無料なので、コストを抑えたい方には嬉しいポイント。ただし、基本的には預金としてお金を預けるだけなので、お金が大きく増えることは期待できません。また、領収書の管理などは自分で行う必要があります。

信託銀行

信託銀行は、資産の管理や運用を専門とする銀行です。教育資金贈与に関しても専門的なノウハウを持っており、領収書の管理を代行してくれるサービスなど、手厚いサポートが特徴です。教育に関する情報提供や、将来的な相続の相談にも乗ってくれる場合があり、安心感を重視する方におすすめです。ただし、その分「信託報酬」という形で手数料がかかることが一般的です。手間をかけたくない方、専門家にお任せしたい方に適しています。

証券会社

証券会社では、口座に入金した資金を投資信託などで運用できるのが最大の特徴です。運用がうまくいけば、預けた1,500万円を教育費として使いながら、さらに増やすことも夢ではありません。将来の教育費インフレに備えたい、積極的に資産を増やしたいという方には魅力的な選択肢です。しかし、もちろん元本割れのリスクも伴います。運用に関する知識が多少必要になるため、リスクを理解した上で選択することが大切です。

【比較】金融機関ごとのメリット・デメリット

それぞれの金融機関のメリットとデメリットを、表で分かりやすくまとめてみました。どちらがご自身の考え方に合っているか、チェックしてみてくださいね。

メリットの比較

銀行 ・店舗が多く、身近で手続きしやすい
・口座管理手数料が無料の場合が多い
・普段使いの口座と同じ感覚で管理できる
信託銀行 ・領収書の管理代行など専門的なサービスが充実
・教育に関する情報提供や相談ができる
・相続発生時も手続きがスムーズな場合がある
証券会社 ・預けた資金を投資信託などで運用できる
・運用がうまくいけば資産を増やせる可能性がある

デメリットの比較

銀行 ・金利が低く、資金はほとんど増えない
・信託銀行のような手厚いサポートはない
信託銀行 ・信託報酬などの手数料がかかる場合がある
・店舗数が銀行に比べて少ない
証券会社 ・元本割れのリスクがある
・運用に関する知識が多少必要になる

後悔しない!金融機関の選び方3つのポイント

メリット・デメリットが分かったところで、具体的にどうやって選べば良いのか、3つのポイントに絞って解説します。このポイントを基準に金融機関を比較検討してみてください。

手数料はかかる?

まず確認したいのが、口座管理手数料です。銀行は無料のところが多いですが、信託銀行では年間数千円から1万円程度の信託報酬がかかることがあります。教育資金口座は長期間利用することになるので、年間の手数料は小さな額でも、10年、15年と経つと大きな差になります。コストを最優先に考えるなら、手数料無料の金融機関を選ぶのが基本です。

手間をかけたくない?サービスの充実度

次に考えたいのが、手続きの手間です。教育費を支払うたびに領収書を金融機関に提出する必要がありますが、その方法が窓口持参のみなのか、郵送や専用アプリで提出できるのかは、使い勝手に大きく影響します。「手続きは面倒だから、できるだけお任せしたい」という方は、領収書の管理代行サービスなどを提供している信託銀行がおすすめです。ご自身の性格やライフスタイルに合わせて、無理なく続けられるところを選びましょう。

資金を増やしたい?運用商品の有無

「せっかくまとまったお金を預けるなら、少しでも増やしたい」と考える方もいらっしゃるでしょう。その場合は、投資信託などで運用できる証券会社が選択肢になります。ただし、繰り返しになりますが、運用には元本割れのリスクが伴います。安全第一で、贈与された資金を確実に教育費として使いたいのであれば、元本が保証されている預金タイプの銀行や信託銀行が安心です。ご家庭の資産状況や投資に対する考え方で、どちらが良いか判断してくださいね。

注意点!制度利用前に知っておきたいこと

とても便利な制度ですが、いくつか知っておくべき注意点もあります。後で「知らなかった」と後悔しないように、しっかり確認しておきましょう。

30歳までに使い切れないと贈与税がかかる

この制度は、お子さん・お孫さんが30歳になった時点で終了します。その時に口座にお金が残っていると、その残額に対して贈与税が課税されてしまいます。贈与額が大きすぎると使い切れない可能性もあるため、将来必要になる教育費をある程度シミュレーションした上で、適切な金額を贈与することが大切です。

贈与者が亡くなった場合の相続税

制度を利用している途中で贈与者(祖父母など)が亡くなった場合、口座の残額が相続税の課税対象になることがあります。以前は対象外でしたが、税制改正により、一定の条件下で相続財産に加算されることになりました。特に2023年4月1日以降の贈与については、この点が厳しくなっていますので、相続税対策も兼ねて利用を考えている方は注意が必要です。

途中解約は原則できない

教育資金口座は、原則としてお子さん・お孫さんが30歳になるまで途中解約はできません。もし特別な事情で解約した場合は、使い切っていない残額が贈与税の対象となります。一度贈与すると、簡単には引き出せないお金になるということを覚えておきましょう。

まとめ

教育資金贈与の金融機関選びは、「手数料」「サービスの手間」「運用の有無」という3つのポイントで比較することが大切です。

コストを抑えたい、手軽に始めたいなら手数料無料の「銀行」
手続きの手間を省きたい、専門家に任せて安心したいなら「信託銀行」
リスクを取ってでも資金を増やしたいなら「証券会社」

というように、ご自身の目的や価値観に合った金融機関を選んでくださいね。どの金融機関が良いか迷ったら、まずは普段お使いの銀行や、お近くの信託銀行の窓口で詳しい話を聞いてみるのがおすすめです。この制度を上手に活用して、大切なお子さん・お孫さんの未来を応援してあげましょう。

参考文献

祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(国税庁)

No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税(国税庁)

教育資金贈与の金融機関選びに関するよくある質問

Q.教育資金贈与はどの金融機関で取り扱っていますか?

A.多くの銀行、信託銀行、証券会社で取り扱っています。ただし、金融機関によってサービス内容や手数料、選べる商品が異なるため、事前に比較検討することが重要です。

Q.銀行、信託銀行、証券会社、どこで口座開設するのがおすすめですか?

A.手続きのしやすさなら普段利用する銀行、資金管理を任せたいなら信託銀行、積極的に運用したいなら証券会社が選択肢になります。ご自身の目的や金融知識に合わせて選びましょう。

Q.金融機関を選ぶ際の比較ポイントは何ですか?

A.「口座管理手数料の有無」「払出し手続きの利便性(店舗窓口、郵送、Web対応など)」「運用商品のラインナップ」「担当者によるサポート体制」などを比較して選ぶことをおすすめします。

Q.教育資金を投資信託などで運用することは可能ですか?

A.はい、可能です。証券会社や一部の銀行では、預け入れた資金を投資信託などで運用できる商品を提供しています。ただし、元本割れのリスクも伴うため、慎重な判断が必要です。

Q.一度契約した金融機関を後から変更することはできますか?

A.原則として、教育資金贈与の非課税措置を利用している口座は、金融機関の変更ができません。そのため、最初の金融機関選びが非常に重要になります。

Q.金融機関での手続きはどのように進めればよいですか?

A.まずは金融機関の窓口やウェブサイトで相談し、必要書類(贈与契約書、戸籍謄本、本人確認書類など)を確認します。その後、書類を提出して専用口座を開設するという流れが一般的です。

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