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未成年者が遺贈で財産を相続する手続きと注意点

2026-03-15
目次

未成年のお子様やお孫様が、遺言によって財産を受け取る「遺贈(いぞう)」の手続きについて、どのように進めればよいのか迷っていませんか。未成年者は大人と同じように単独で法律上の手続きを行うことができないため、特別な対応が必要になります。この記事では、未成年者が遺贈で財産を受け取る際の具体的な手続きや、特別代理人が必要になるケース、そして相続税の負担を軽くする未成年者控除について、分かりやすく解説していきます。

未成年者が遺贈を受ける場合の基本ルール

はじめに、未成年者が遺贈によって財産を受け取る際の基本的なルールを確認しましょう。未成年者であっても財産を受け取る権利はしっかりとありますが、手続きの進め方には大人と違う点があります。

未成年者は単独で遺贈の手続きができない

日本の法律では、18歳未満の未成年者は単独で法律行為をすることができないと定められています。遺産の受け取りや不動産の名義変更、銀行口座の解約などはすべて法律行為にあたるため、未成年者本人が一人で署名や押印をして手続きを進めることはできません。そのため、基本的には親などの法定代理人が代わりに手続きを行う必要があります。

親権者が法定代理人になれないケースとは

通常、未成年者の法定代理人は親(親権者)が務めます。しかし、遺産相続の手続きにおいては、親が子供の代理人になれないことがあります。それは、親と子供が同時に同じ相続の当事者になり、お互いの利益がぶつかり合ってしまう利益相反(りえきそうはん)と呼ばれる状態になる場合です。この場合は、親の代わりに子供の権利を守る特別代理人を家庭裁判所で選んでもらう必要があります。

遺言書による遺贈指定と特別代理人の要否

遺言書によって特定の財産を未成年者に遺贈すると明確に指定されている場合、基本的には相続人同士で話し合う遺産分割協議を行う必要がありません。財産を分ける話し合いが発生しないのであれば親との間で利益相反が起こらないため、特別代理人を選任しなくても、親権者が法定代理人としてそのまま名義変更などの手続きを進めることができます。

特別代理人が必要になる具体的なケース

それでは、どのような状況のときに家庭裁判所で特別代理人を選任してもらわなければならないのでしょうか。よくある具体的なケースを3つご紹介します。

親と未成年の子供が一緒に遺産分割協議をする場合

最もよくあるのが、亡くなった方の配偶者である親と未成年の子供が、一緒に法定相続人として遺産分割の話し合いをするケースです。たとえば、お父様が亡くなり、お母様と未成年の子供で遺産を分ける場合、お母様が子供の代理人を務めると、お母様の都合の良いように遺産を分けてしまう危険性があります。そのため、子供の権利をしっかりと守るために特別代理人が必要になります。

複数の未成年者の子供が遺産分割協議に参加する場合

遺産を分ける話し合いに未成年の子供が2人以上参加する場合も、特別代理人が必要です。たとえば、片方の親がすでに亡くなっていて親権者が一人だけの状態で、未成年の長男と次男が遺産分割協議をするケースです。このとき、親は長男と次男の両方の代理人になることはできません。兄弟の間でも遺産の取り分を巡って利益相反が起こるため、それぞれの子供に対して別々の特別代理人を立てる必要があります。

未成年者が単独で相続放棄または遺贈の放棄をする場合

未成年の子供だけが単独で相続放棄や遺贈の放棄をする場合も、特別代理人が必要になります。親はそのまま財産を受け継ぐのに、未成年の子供にだけ放棄をさせるのは、親に都合の良いように手続きをしているとみなされる可能性があるためです。ただし、親が先に相続放棄をしている場合や、親と未成年の子供が全員そろって同時に相続放棄をする場合には、特別代理人は不要です。

特別代理人が不要になる具体的なケース

さきほどとは反対に、未成年者が関係する相続や遺贈であっても、特別代理人を立てずに手続きを進められるケースもあります。手間や費用をかけずに済むため、当てはまるかどうか確認してみてくださいね。

未成年者の成人(18歳)を待って手続きする場合

遺産分割の話し合いには、いつまでにやらなければならないという法律上の期限はありません。そのため、未成年者がもうすぐ18歳の誕生日を迎えて成人になるという場合は、成人するのを待ってから本人を含めて話し合いを行うことができます。ただし、相続税の申告と納付には「亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」という厳格な期限があります。期限を過ぎてしまう場合はペナルティがかかるため、早めに専門家へ相談しましょう。

遺言書で遺産分割の対象が明確に指定されている場合

亡くなった方が法的に有効な遺言書を残しており、誰にどの財産を渡すかが具体的に指定されている場合は、特別代理人は不要です。遺言書の内容にしたがって手続きを進めるだけで済むため、親権者が法定代理人として銀行や法務局での手続きを代行できます。

親権者など法定代理人が相続人ではない場合

未成年の子供が財産を受け取るものの、その親自身は相続人ではないというケースもあります。たとえばおじい様が亡くなり、すでにお父様が亡くなっているため、未成年の孫が代わりにおじい様の財産を受け継ぐ「代襲相続」のケースです。この場合、孫のお母様は法定相続人ではないため、お母様がそのまま子供の法定代理人として遺産分割の話し合いに参加することができます。

特別代理人を選任する申立て手続きの流れ

特別代理人が必要になった場合、どのような手続きを踏めばよいのでしょうか。ここでは、家庭裁判所へ申し立てを行う際の流れや必要なものについて詳しく解説します。

申立てを行う管轄の家庭裁判所

特別代理人を選んでもらうための申立ては、未成年者本人の住所地を管轄している家庭裁判所に行います。亡くなった方の最後の住所地ではありませんので、提出先を間違えないように気をつけてくださいね。

申立てに必要な書類と準備するもの

家庭裁判所での申立てには、いくつかの書類を準備する必要があります。状況によって追加の書類を求められることもありますが、基本的には以下の表にあるものを揃えます。

特別代理人選任申立書 家庭裁判所の窓口やホームページで入手して記入します
未成年者と親権者の戸籍謄本 本人と親権者の身分や関係を証明するために必要です
特別代理人候補者の住民票 候補者の住所や氏名を確認するためのものです
利益相反に関する資料 誰がどの財産をもらうか記載した遺産分割協議書の案などが必要です
財産に関する資料 預貯金通帳のコピーや不動産の固定資産評価証明書などを用意します

選任にかかる費用と期間の目安

申立てにかかる費用は、子供1人につき収入印紙800円分と、家庭裁判所からの連絡用に使われる郵便切手代です。親族以外の専門家を特別代理人として依頼する場合は、別途数万円から十数万円程度の報酬が必要になることがあります。申立てをしてから特別代理人が正式に選ばれるまでには、およそ1ヶ月から2ヶ月程度の期間がかかるため、余裕を持って手続きを進めましょう。

未成年者が遺贈を受ける際の相続税と未成年者控除

未成年者が遺贈で財産を受け取った場合、気になるのが相続税の負担です。未成年者はまだ収入がなく、税金を支払うことが難しいため、相続税の計算において未成年者控除という負担を軽くするための制度が用意されています。

相続税の未成年者控除の適用要件

未成年者控除を利用して相続税を安くするためには、以下のすべての要件を満たしている必要があります。

財産の取得理由 相続または遺贈によって財産を受け取ったこと
年齢の要件 財産を受け取った時点(相続開始時)で18歳未満であること
住所の要件 財産を受け取った時点で日本国内に住所があること
相続人の要件 法律上の法定相続人であること

未成年者控除の具体的な計算方法

未成年者控除で差し引くことができる金額は、「未成年者が満18歳になるまでの年数 × 10万円」という具体的な計算式で求めます。年齢を計算する際、1年未満の端数がある場合は、切り上げて1年として計算します。たとえば、相続が起きたときの年齢が15歳3ヶ月だった場合、端数の3ヶ月を切り捨てて「15歳」と考えます。そして、18歳までの年数は「3年」となります。この場合、10万円 × 3年 = 30万円が、相続税から控除される金額となります。

控除額が余った場合の扶養義務者への適用

未成年者本人の相続税額よりも未成年者控除の金額のほうが大きく、控除の枠が余ってしまうこともあります。そのような場合は、余った分の控除額を無駄にすることなく、その未成年者を扶養している義務者(親や兄弟姉妹など)の相続税額から差し引くことができます。ご家族全体の税金負担を減らすことができる、とてもありがたい仕組みですね。

まとめ

未成年者が遺贈で財産を受け取る際には、大人にはない特別な手続きが必要になります。親と子の間で利益相反が起きる場合には、家庭裁判所で特別代理人を選任してもらわなければ、名義変更などの手続きを進めることができません。一方で、有効な遺言書があったり、成人するまで待てたりする場合は、特別代理人が不要になることもあります。また、相続税がかかる場合でも、未成年者控除を利用することで税金の負担を大幅に減らすことができます。お手続きには期限があるものも多いため、迷ったときは早めに専門家へ相談してみてくださいね。

参考文献

国税庁 No.4164 未成年者の税額控除

国税庁 No.4152 相続税の計算

未成年者の遺贈や相続に関するよくある質問まとめ

Q.未成年者は遺贈で財産を受け取ることができますか?

A.はい、未成年者でも遺贈によって財産を受け取ることができます。ただし、単独で法的な手続きを行うことはできないため、原則として親権者などの法定代理人、または家庭裁判所で選任された特別代理人が代わりに手続きを進める必要があります。

Q.どのような場合に特別代理人が必要ですか?

A.亡くなった方の配偶者である親と、未成年の子供が一緒に遺産分割協議に参加する場合など、親と子の間で利益が対立する「利益相反」が起こるケースで特別代理人が必要になります。

Q.遺言書がある場合でも特別代理人は必要ですか?

A.遺言書で「どの財産を未成年者に渡すか」が具体的に指定されており、遺産分割協議を行う必要がない場合は、親との間に利益相反が生じないため特別代理人は不要です。

Q.未成年者控除とはどのような制度ですか?

A.未成年者が相続や遺贈で財産を受け取った際に、満18歳になるまでの年数1年につき10万円を相続税から差し引くことができる、税金の負担を軽くするための制度です。

Q.孫が遺贈を受けた場合、未成年者控除は使えますか?

A.未成年者控除を利用するには、その未成年者が法律上の「法定相続人」である必要があります。そのため、代襲相続などで法定相続人になっていないお孫様への遺贈の場合は、原則として未成年者控除は利用できません。

Q.未成年者控除の計算で端数の月齢はどう扱われますか?

A.満18歳までの年数を計算する際、1年未満の端数がある場合は切り上げて1年として計算します。たとえば、15歳3ヶ月の場合は端数を切り捨てて15歳とみなし、18歳までの年数は3年となります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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