税理士法人プライムパートナーズ

未成年者への贈与で名義預金と認定されない方法とは?

2026-05-04
目次

お孫さんやお子さんの将来のために、預金口座へお金を移してあげたいとお考えの方は多いですよね。しかし、良かれと思って行ったことが、後になって税務署から「名義預金」と指摘され、多額の税金がかかってしまうケースが少なくありません。特に未成年者への贈与は注意が必要です。ここでは、名義預金と認定されずに、正しく財産を引き継ぐための具体的な対策を優しくわかりやすく解説していきます。

未成年者の口座は名義預金になりやすい?

未成年者の名義で預金をしている場合、税務調査で真っ先に疑われやすいポイントとなります。なぜなら、自分でお金を稼いでいない年齢のお子さんが多額の預金を持っていること自体が不自然だからです。

名義預金とは?

名義預金とは、口座の名前はお子さんやお孫さんであっても、実際にお金を出して管理しているのは親や祖父母である預金のことです。この場合、税務署は「名前を借りているだけで、実質的な持ち主はお金を出した人」と判断します。名義預金とみなされると、せっかく贈与したつもりでも、亡くなった方の財産として扱われてしまいます。

未成年者の口座が疑われやすい理由

未成年者の場合、収入がないため、口座にある資金は親や祖父母からのものだとすぐにわかります。さらに、通帳や印鑑を親が代わりに保管していることが多いため、「本人が自由に使える状態ではない」とみなされやすいのです。贈与は「あげる」「もらう」という双方の合意が必要ですが、小さなお子さんの場合はその合意があったと証明するのが難しいため、特に厳しくチェックされます。

名義預金とみなされた際のリスク

もし名義預金と認定されてしまうと、その預金は生前に贈与したものではなく、亡くなった方の財産として計算し直されます。その結果、本来なら払わなくてよかったはずの相続税が上乗せされるリスクがあります。金額によっては重加算税という重いペナルティが課せられることもありますので、事前の対策が非常に重要です。

名義預金と認定されないための5つの対策

大切なお金を守るためには、税務署に対して「これは間違いなく贈与されたものです」と証明できるようにしておく必要があります。ここでは、誰でも実践できる5つの具体的な対策をお伝えします。

贈与契約書を必ず作成する

贈与の証拠を残すために、毎回贈与契約書を作成しましょう。口約束でも贈与は成立しますが、客観的な証拠がないと税務署を納得させることができません。契約書には、いつ、誰が、誰に、いくら贈与したのかを明確に記載し、双方の署名と押印を行います。

口座の管理を未成年者本人にさせる

口座の通帳、キャッシュカード、銀行印は、できる限り名義人であるお子さん本人に管理させましょう。親が印鑑を持ったままだと、名義預金と疑われます。銀行印も親のものとは別の、お子さん専用の印鑑を作って登録することが大切です。

銀行振込で記録を残す

お金を渡すときは現金の手渡しではなく、必ず銀行振込を利用しましょう。通帳に「いつ・誰から・いくら」振り込まれたかが印字されるため、確実な証拠となります。手渡しではお金の動きが追えなくなってしまうため注意してください。

贈与税の申告を行う

贈与税の基礎控除額である年間110万円を超える贈与を行った場合は、必ず翌年の2月1日から3月15日までに贈与税の申告と納税を行いましょう。申告書を提出して税金を払ったという公的な記録が残るため、名義預金ではないという強力な証明になります。

1年間の贈与額 申告・納税の要否
110万円以下 申告も納税も不要
110万円超 申告と納税が必要

贈与の事実を本人に認識させる

贈与はあげる側ともらう側の両方が納得して初めて成立します。そのため、「あなたの口座に100万円を入れたよ」とお子さん自身にしっかり伝えておくことが必要です。内緒で口座にお金を貯めていた場合は、もらう側の合意がないため贈与とは認められません。

未成年者と贈与契約を結ぶ際の注意点

未成年者との契約には、大人同士の契約とは少し違う特別なルールがあります。法律に則って正しい手順を踏まないと、契約自体が無効になってしまうこともあるので気をつけましょう。

法定代理人(親権者)の同意と署名が必要

未成年者は法律上、単独で完全な契約を結ぶことができません。そのため、贈与契約書には受贈者(もらう人)であるお子さんの名前に加えて、法定代理人である親権者(父母両方、またはどちらか)の署名と押印が必要です。まだ字が書けない小さなお子さんの場合は、親権者が「代筆」として名前を書くことで対応できます。

基礎控除110万円の枠を正しく使う

1年間に110万円までなら贈与税がかからないというルールがあります。ただし、毎年同じ時期に同じ金額(例えば毎年100万円を10年間)を振り込み続けると、「最初から1,000万円を分割して渡す約束だった」とみなされ、全額に税金がかかる定期金給付契約と疑われる恐れがあります。これを防ぐために、毎年金額や振込時期を少し変えたり、その都度契約書を作ることがポイントです。

教育資金や住宅資金などの特例を活用する

まとまった金額を一度に贈与したい場合は、国が用意している非課税の特例制度を利用するのがおすすめです。要件を満たせば、多額の贈与税をゼロにすることができます。

教育資金の一括贈与の非課税措置

30歳未満のお子さんやお孫さんに対して、教育に使う目的でお金を渡す場合、最大1,500万円まで贈与税が非課税になります。学校の入学金や授業料はもちろん、学習塾や習い事の費用にも使えます。金融機関の専用口座を通じた手続きと、領収書の提出が必要です。

用途の例 非課税となる限度額
学校の入学金・授業料・給食費など 最大1,500万円まで
学習塾・習い事などの費用 最大500万円まで(1,500万円の内枠)

結婚・子育て資金の一括贈与

18歳以上50歳未満の方に対して、結婚や子育てにかかる費用を贈与する場合、最大1,000万円までが非課税になります。結婚式の費用や新居の家賃、出産費用、子どもの医療費などが対象です。こちらも専用口座を開設し、金融機関へ領収書を提出して管理してもらう形になります。

口座開設と休眠口座のリスク

未成年者の口座を作る際の手続きや、作ったあとの管理に関する注意点も把握しておきましょう。放置しすぎると引き出しに手間がかかるようになります。

未成年者の口座開設に必要なもの

銀行で未成年者の口座を開設するには、親と子それぞれの身分証明書が必要です。金融機関によって少し異なりますが、基本的な持ち物を表にまとめました。

必要なもの 具体例
本人確認書類(親と子それぞれ) マイナンバーカード、健康保険証、住民票など
お届け印となる銀行印 親とは別の、子供の名前で作った印鑑

10年放置で休眠口座になる点に注意

口座を作ったものの、入出金などの取引が10年以上全くないと「休眠口座」として扱われてしまいます。休眠口座になると、お金を引き出すために窓口での特別な手続きが必要になり、とても不便です。定期的に少額でも入金するか、記帳を行うなどして、口座が動いている状態を保つようにしてください。

まとめ

未成年者へ贈与を行う場合、親や祖父母が良かれと思って管理しすぎると、かえって名義預金と判定されて相続税の負担を増やす結果になりかねません。贈与契約書をしっかり作り、親権者の署名をもらい、銀行振込で証拠を残すことが鉄則です。そして何より、お子さん自身に「あなたのお金だよ」と伝え、本人が管理できる状態を作ることが大切です。適切な対策を行って、大切な財産を無事に次の世代へ引き継いでいきましょう。

参考文献

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合

未成年者への贈与に関するよくある質問まとめ

Q. 未成年者への贈与は法律的に有効ですか?

A. はい、有効です。ただし、未成年者は単独で法律行為ができないため、法定代理人である親権者の同意と署名が贈与契約書に必要となります。

Q. 0歳の赤ちゃんにも生前贈与はできますか?

A. 可能です。赤ちゃん本人は意思表示ができませんが、親権者が代わりに受け取る意思を表示し、契約書に代筆することで贈与が成立します。

Q. 親が子供の通帳を預かっておくのは絶対にダメですか?

A. 子供が未成年のうちは親が代わりに管理しても問題になりにくいですが、成人した後はすぐに本人へ通帳や印鑑を渡し、自分で管理させる必要があります。

Q. 毎年110万円ぴったり贈与すれば申告は不要ですか?

A. 110万円以下であれば贈与税の申告は不要です。しかし、名義預金と疑われないためには、毎回贈与契約書を残し、銀行振込で記録を明確にしておくことが大切です。

Q. お年玉を子供の口座に貯金しても贈与税はかかりますか?

A. 一般常識の範囲内のお年玉であれば非課税です。しかし、あまりにも高額すぎる場合や、1年間の合計が110万円を超える場合は贈与税の対象になる可能性があります。

Q. 名義預金とみなされた場合、いつ税金を払うのですか?

A. お金を出した方(贈与した方)が亡くなり、相続が発生したタイミングで、その方の財産として加算され、相続税として支払うことになります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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