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株式の相続手続きで損しない!流れと注意点をわかりやすく徹底解説

2026-02-16
目次

ご家族が亡くなられて、心身ともに大変な時期かと思います。そんな中、「故人が持っていた株式はどうすればいいの?」と、株式の相続手続きについて不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。預貯金とは少し違う株式の相続は、専門用語も多くて難しく感じますよね。でも、大丈夫です。この記事では、株式の相続手続きの全体像から、税金で損をしないためのポイントまで、一つひとつ丁寧に、わかりやすく解説していきます。一緒に確認していきましょう。

株式の相続、まず何から始める?手続きの全体像

まず最初に、株式を相続するために何から手をつければ良いのか、大きな流れをつかんでおきましょう。手続きはいくつかのステップに分かれています。慌てずに、順番に進めていくことが大切ですよ。

亡くなった方の株式情報を確認しよう

最初に行うべきことは、亡くなった方(被相続人)がどの会社の株式を、どのくらい持っていたのかを把握することです。ご自宅に証券会社から届いた「取引残高報告書」や「配当金計算書」といった郵便物がないか探してみましょう。これらの書類には、取引のある証券会社名や保有している株式の銘柄、株数などが記載されています。
もし書類が見つからず、どの証券会社に口座があるか全くわからない場合は、「証券保管振替機構(ほふり)」に情報開示請求を行うことで、故人が取引していた証券会社を調べることができます。

証券会社への連絡と口座凍結

取引のあった証券会社がわかったら、まずは電話で連絡を入れ、口座の名義人が亡くなったことを伝えます。連絡を受けると、証券会社はその口座を凍結します。口座が凍結されると、株式を売買したり、出金したりすることは一切できなくなります。これは、相続財産を安全に保つための大切な手続きです。この連絡の際に、今後の相続手続きに必要な書類についても案内してもらえますので、しっかりメモしておきましょう。

相続人全員で遺産分割協議を行う

株式を誰がどのように相続するのかを、相続人全員で話し合って決める必要があります。これを「遺産分割協議」といいます。遺言書がある場合は、原則としてその内容に従いますが、遺言書がない場合は、相続人全員の合意が必要です。話し合いがまとまったら、その内容を「遺産分割協議書」という書面にまとめ、相続人全員が署名と実印の押印をします。この遺産分割協議書は、後の名義変更手続きで必要になる重要な書類です。

相続する株式の価値はどう決まる?相続税評価額の計算方法

相続税を計算するためには、相続する株式の価値、つまり「相続税評価額」を算出する必要があります。現金や預金と違って、株式の価値は日々変動するため、少し特殊なルールで評価額が決まります。

上場株式の評価方法:4つの価格から一番低いものを選択

証券取引所で売買されている上場株式は、相続税を計算する上で、相続人にとって最も有利になるように、以下の4つの価格の中から一番低い金額を選んで評価することができます。これは、株価が急に高くなったタイミングで相続が発生しても、税負担が重くなりすぎないようにするための配慮なんです。

評価の基準となる日 価 格
① 亡くなった日(相続開始日) その日の終値
② 亡くなった月 その月の毎日の終値の平均額
③ 亡くなった月の前月 その月の毎日の終値の平均額
④ 亡くなった月の前々月 その月の毎日の終値の平均額

複数の銘柄を相続した場合は、それぞれの銘柄ごとに最も有利な価格を選んでOKです。例えば、A株は①の価格、B株は④の価格で評価する、ということも可能です。

非上場株式の評価方法:専門家への相談がおすすめ

証券取引所に上場していない非上場株式(中小企業の自社株など)の評価は、上場株式に比べて非常に複雑です。会社の規模や状況によって「純資産価額方式」や「類似業種比準方式」といった専門的な方法で評価額を計算します。評価方法を間違えると、相続税を払い過ぎてしまったり、逆に後から追徴課税されたりするリスクがあります。非上場株式を相続した場合は、ご自身で判断せず、相続に詳しい税理士などの専門家に相談することを強くおすすめします。

株式を相続人で分ける3つの方法

遺産分割協議で、株式を複数の相続人で分ける際には、いくつかの方法があります。それぞれのメリット・デメリットを理解して、ご家族にとって一番良い方法を選びましょう。

分割方法 内  容
現物分割 株式をそのまま株数で分ける方法です。「A株1,000株のうち、長男が600株、次男が400株」というように分けます。手続きは比較的シンプルですが、株価の変動によって将来的に相続人間の資産価値に差が出る可能性があります。
換価分割 株式をすべて売却して現金に換え、その現金を相続人で分ける方法です。1円単位で公平に分けられるのが最大のメリットです。ただし、売却のタイミングによっては思ったより低い金額になってしまうリスクや、売却益に対して税金がかかる点に注意が必要です。
代償分割 相続人のうちの一人が株式をすべて相続する代わりに、他の相続人に対してその人の取り分に相当する現金(代償金)を支払う方法です。特定の相続人が会社の経営を引き継ぐ場合などに使われます。代償金を支払う側は、まとまった現金を用意する必要があります。

相続した株式の名義変更手続きに必要な書類

遺産分割協議で誰が株式を相続するかが決まったら、証券会社で株式の名義を故人から相続人へ変更する手続きを行います。この手続きには、いくつかの書類が必要になります。

証券会社での手続きに必要な書類一覧

一般的に必要となる書類は以下の通りです。ただし、証券会社や相続の状況によって異なる場合があるため、必ず事前に証券会社に確認してくださいね。

  • 証券会社の相続手続依頼書(証券会社から取り寄せます)
  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印が押されたもの)
  • 亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書(発行から6ヶ月以内のもの)
  • 株式を相続する方の本人確認書類(運転免許証など)

遺言書がある場合は、遺産分割協議書や相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書が不要になることもあります。

手続きの注意点:相続人も同じ証券会社の口座が必要

株式を相続するためには、相続する人が、故人と同じ証券会社に自分名義の証券口座を開設する必要があります。例えば、故人がA証券に口座を持っていた場合、株式を相続する人もA証券に口座を持っていなければ、株式を移管することができません。もし口座を持っていない場合は、相続手続きと並行して新規口座開設の手続きを進めましょう。

知っておきたい税金の話:株式を売却するときの特例

相続した株式を売却して現金化しようと考える方も多いと思います。その際に知っておくと、税金の負担を軽くできるかもしれない特例があります。少し難しい話かもしれませんが、とても重要なので確認しておきましょう。

相続した株式の売却益にかかる税金

相続した株式を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)の税金がかかります。ここで注意したいのが、利益を計算するときの「取得費」です。取得費とは、その株式を買ったときの値段のことですが、相続の場合は、亡くなった方がその株式を購入したときの価格を引き継ぎます。相続したときの評価額ではないので、間違えないようにしましょう。

節税につながる「取得費加算の特例」とは?

もし、株式を相続したことで相続税を支払った場合、とても有利な特例が使えます。それが「取得費加算の特例」です。
これは、相続が始まってから3年10ヶ月以内に相続した株式を売却した場合、支払った相続税の一部を株式の取得費に上乗せできるという制度です。取得費が増えるということは、計算上の利益が減るので、結果的に売却益にかかる税金を安くすることができるのです。
この特例を使うためには、確定申告が必要になります。せっかくの制度を使わないと損をしてしまうので、株式の売却を考えている場合は、この期間を意識しておくと良いでしょう。

まとめ

今回は、株式の相続手続きについて、全体の流れから評価方法、税金の話まで解説しました。大切なポイントをまとめます。

  • まずは故人の株式情報を確認し、証券会社へ連絡する。
  • 株式の評価額は、4つの価格から最も有利なものを選ぶ。
  • 遺産分割は、現物分割、換価分割、代償分割から最適な方法を選ぶ。
  • 名義変更には、故人と同じ証券会社の口座が必要になる。
  • 株式の売却を考えているなら「取得費加算の特例」を忘れずに。

株式の相続手続きは、戸籍謄本を集めたり、相続人全員の合意を取り付けたりと、時間と手間がかかることが多いです。特に、相続税の申告・納付は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」という期限があります。手続きをスムーズに進めるためにも、早めに準備を始めることが大切です。もし手続きでわからないことや不安なことがあれば、税理士などの専門家に相談するのも一つの方法ですよ。

参考文献

株式の相続手続きに関するよくある質問まとめ

Q.亡くなった人の株は、どうやって調べればいいですか?

A.まずは故人宛の郵便物から証券会社の「取引残高報告書」などを探しましょう。見つからない場合は、証券保管振替機構(ほふり)に開示請求をすることで、取引のあった証券会社を調べることができます。

Q.株式の相続手続きには、どのような書類が必要ですか?

A.一般的に、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書などが必要です。手続きする証券会社所定の書類も必要になるため、事前に確認しましょう。

Q.上場株式と非上場株式で、相続手続きに違いはありますか?

A.はい、違います。上場株式は証券会社で名義変更手続きを行いますが、非上場株式の場合はその株式を発行している会社に直接連絡を取り、所定の手続きを行う必要があります。

Q.株式を相続した場合、必ず相続税がかかりますか?

A.いいえ、必ずかかるわけではありません。株式も相続財産の一部として計算され、遺産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に、超えた部分に対して相続税が課税されます。

Q.相続する株式の価値(評価額)は、どのように決まるのですか?

A.上場株式は、原則として亡くなった日の「終値」「その月の終値の平均」など4つの価格から最も低いものを選びます。非上場株式は会社の規模などに応じて、複雑な計算方法で評価額を算出します。

Q.相続手続きが終わる前に、株式を売却することはできますか?

A.原則としてできません。遺産分割協議が完了し、ご自身の証券口座へ株式の名義変更(移管)手続きが完了した後でなければ、売却することはできません。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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