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死亡保険金の受取人は誰がいい?損しないための選び方と税金の知識

2026-01-06
目次

もしもの時に、残されたご家族の生活を支える大切なお金が「死亡保険金」です。この保険金を誰が受け取るかによって、かかる税金の種類や手元に残る金額が大きく変わることをご存じでしょうか。受取人の指定は、保険契約の中でも特に重要なポイントです。「とりあえず妻(夫)にしておけばいいや」と安易に決めず、ご自身の状況に合わせて最適な人を指定することが、大切なご家族へ想いを形にして届ける第一歩になります。この記事では、誰を受取人に指定できるのかという基本から、税金で損しないためのポイント、ライフステージの変化に合わせた見直し方まで、わかりやすく解説していきます。

死亡保険金の受取人は誰にできる?指定範囲の基本

死亡保険金の受取人は、誰でも自由に指定できるわけではありません。生命保険は、遺された家族の生活を守るという大切な目的があるため、保険会社は受取人になれる人の範囲を定めています。まずは、誰が受取人になれるのか、基本的なルールから見ていきましょう。

原則は「配偶者」と「二親等以内の血族」

多くの保険会社では、死亡保険金の受取人の範囲を被保険者(保険の対象となる人)の「配偶者」と「二親等以内の血族」としています。二親等以内の血族とは、血のつながりのある親族のことで、具体的には以下の人が該当します。

関係 具体的な続柄
配偶者 夫または妻
一親等の血族 子、父母
二親等の血族 孫、祖父母、兄弟姉妹

養子縁組をしている場合、養子や養父母も法律上の血族として扱われるため、受取人に指定することができます。

内縁の妻や同性パートナーでも受取人になれる?

法律上の婚姻関係にない、いわゆる内縁関係(事実婚)のパートナーや同性パートナーを受取人に指定したいと考える方もいらっしゃるでしょう。近年、家族の形が多様化していることから、保険会社によっては一定の条件を満たすことで受取人として認めるケースが増えています。

ただし、認められるためには、「お互いに戸籍上の配偶者がいないこと」「一定期間以上、同居し生計を共にしていること」などの条件が求められることが一般的です。戸籍謄本や住民票などの書類提出が必要になる場合もあるため、希望する場合は保険会社へ事前に確認することをおすすめします。ただし、税制上は法定相続人とは扱われないため、後述する非課税枠が使えないなどの注意点があります。

子どもは何歳から受取人に指定できる?

お子さんを受取人に指定する場合、特に年齢制限はありません。生まれたばかりの0歳の赤ちゃんでも受取人に指定することが可能です。ただし、実際に保険金を受け取る手続きをする際に受取人が未成年者(18歳未満)である場合、本人が単独で手続きを進めることはできません。その場合は、親権者や未成年後見人が代理で手続きを行うことになります。

【重要】受取人によってかかる税金が変わる!3つのパターンを解説

死亡保険金を受け取った際には、税金がかかります。ここで最も重要なのが、「契約者(保険料を払う人)」「被保険者(保険の対象になる人)」「受取人(保険金をもらう人)」の関係性です。この3者が誰なのかによって、かかる税金の種類が「相続税」「所得税」「贈与税」のいずれかに変わります。税金の種類によって控除額や税率が大きく異なるため、手元に残る金額に大きな差が生まれることもあります。

かかる税金の種類 契約者・被保険者・受取人の関係(例)
相続税 契約者:夫、被保険者:夫、受取人:妻
所得税 契約者:妻、被保険者:夫、受取人:妻
贈与税 契約者:夫、被保険者:妻、受取人:子

パターン①:相続税がかかるケース(契約者=被保険者)

最も一般的で、税制上も優遇されているのがこのパターンです。例えば、夫が自分に保険をかけ、保険料も自分で支払い、受取人を妻に指定する場合がこれにあたります。この場合、死亡保険金は「みなし相続財産」として扱われ、相続税の課税対象となります。相続税には、後で詳しく解説する「生命保険の非課税枠」という大きなメリットがあるため、多くの方がこの形で契約しています。

パターン②:所得税がかかるケース(契約者=受取人)

契約者と受取人が同じ人物の場合、所得税(一時所得)の対象となります。例えば、妻が夫に保険をかけ、保険料は妻が支払い、夫が亡くなった際に妻自身が保険金を受け取るケースです。この場合、自分で支払った保険料が、被保険者の死亡という出来事をきっかけに、形を変えて自分に戻ってきたと解釈されます。
一時所得の課税対象額は、「(受け取った保険金額 − 支払った保険料総額 − 特別控除50万円)× 1/2」で計算されます。

パターン③:贈与税がかかるケース(契約者・被保険者・受取人が全て別人)

契約者、被保険者、受取人がそれぞれ異なる場合、贈与税の対象となります。例えば、夫が保険料を支払い、被保険者を妻、受取人を子に指定するケースです。この場合、保険料を負担した夫から、保険金を受け取った子へ財産が贈与されたとみなされます。
贈与税は、年間110万円の基礎控除はありますが、相続税や所得税に比べて税率が非常に高くなる傾向があります。特別な理由がない限り、この契約形態は避けたほうが賢明と言えるでしょう。

死亡保険金の非課税枠とは?最大限活用するためのポイント

死亡保険金が相続税の対象となる場合、残された家族の生活を守るという趣旨から、税制上の特別な優遇措置が設けられています。それが「生命保険の非課税枠」です。この制度を正しく理解し、活用することで、納税の負担を大きく減らすことができます。

非課税枠の計算方法「500万円×法定相続人の数」

生命保険の非課税限度額は、以下のシンプルな計算式で算出されます。
非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

例えば、法定相続人が妻と子ども2人の合計3人いる場合、500万円 × 3人 = 1,500万円となります。この場合、受け取った死亡保険金のうち1,500万円までは相続税がかかりません。もし死亡保険金が2,000万円であれば、非課税枠を超える500万円分だけが他の相続財産と合算され、相続税の計算対象となります。

なお、「法定相続人の数」には、相続放棄をした人も含めて計算します。これにより、誰かが相続放棄をしても、他の相続人が使える非課税枠が減ってしまうことはありません。

非課税枠が使えないケースに注意!

この非常に有利な非課税枠ですが、誰でも使えるわけではありません。注意すべきなのは、「受取人が法定相続人であること」が絶対条件という点です。

つまり、受取人に内縁の妻や友人、あるいは法定相続人ではない孫(代襲相続の場合を除く)などを指定した場合、その人が受け取る死亡保険金にはこの非課税枠を適用することができません。受け取った保険金の全額が相続税(または遺贈にかかる税金)の課税対象となってしまいますので、受取人を指定する際には十分に注意が必要です。

こんな時はどうする?

人生には結婚や離婚、家族との別れなど、さまざまな変化が訪れます。それに伴い、保険金の受取人も見直す必要が出てくるかもしれません。ここでは、よくあるケースごとに対処法を見ていきましょう。

結婚・離婚した場合

結婚は、保険を見直す絶好のタイミングです。独身時代に親を受取人にしていた方は、配偶者に変更することを検討しましょう。
反対に、離婚した場合は、受取人の変更を忘れないようにしてください。もし受取人を元配偶者のままにしておくと、万が一のことがあった際に、保険金は元配偶者に支払われてしまいます。お子さんやご両親など、本当に遺したい人へ受取人を変更する手続きを速やかに行いましょう。

受取人に指定した人が先に亡くなった場合

受取人に指定していた親や配偶者が、ご自身より先に亡くなってしまうケースもあります。この場合、受取人を変更しないままにしておくと、いざという時、その保険金は「亡くなった受取人の法定相続人全員」で分けることになります。例えば、受取人だった妻が先に亡くなり、その後夫が亡くなった場合、妻の法定相続人(夫、子、場合によっては妻の両親など)が保険金を受け取ることになり、意図しない人に資産が渡ってしまう可能性があります。特定の人に遺したい場合は、受取人が亡くなった時点ですぐに変更手続きを行いましょう。

受取人を複数人指定したい場合

「妻だけでなく、子どもたちにも平等に遺したい」という場合、保険会社によっては受取人を複数人指定することも可能です。その際、「妻に50%、長男に25%、長女に25%」というように、受け取る割合まで細かく指定できる場合もあります。ただし、手続きや保険金の支払い方法が保険会社によって異なるため、希望する場合は契約先の保険会社に確認してみましょう。

死亡保険金の受取人を変更する方法と注意点

死亡保険金の受取人は、契約後でも変更することができます。手続きはそれほど難しくありませんが、いくつか知っておくべき注意点があります。

受取人変更の一般的な流れ

受取人を変更したい場合、一般的には以下の手順で進めます。

  1. 保険会社のコールセンターや担当者に連絡し、受取人変更の意思を伝える。
  2. 保険会社から送られてくる変更手続きの書類を受け取る。
  3. 必要事項を記入し、本人確認書類などを添えて保険会社に返送する。
  4. 保険会社での手続きが完了すると、変更完了の通知が届く。

手続きの詳細は保険会社によって異なりますので、まずは保険証券を手元に準備して、契約先の保険会社に問い合わせてみましょう。

変更する際の注意点

受取人を変更する際に、最も重要な注意点が2つあります。

一つ目は、必ず「被保険者」の同意が必要であるということです。契約者が勝手に受取人を変更することはできません。例えば、妻が契約者で夫が被保険者の保険の場合、妻が受取人を変更するには夫の同意がなければ手続きは進められません。

二つ目は、被保険者が亡くなった後(保険事故の発生後)は、受取人を変更することはできないという点です。見直しは、元気なうちに行うことが鉄則です。

まとめ

死亡保険金の受取人を誰に指定するかは、ご自身の想いを形にし、大切なご家族の未来を守るための重要な選択です。最後に、今回のポイントを振り返ってみましょう。

  • 受取人に指定できるのは、原則として配偶者と二親等以内の血族です。
  • 税金の負担を最も軽くできる可能性が高いのは、「契約者=被保険者、受取人=法定相続人」という組み合わせで、この場合は「相続税」の対象となります。
  • 相続税には「500万円 × 法定相続人の数」という強力な非課税枠があります。これを最大限に活用しましょう。
  • 結婚、離婚、出産、家族との死別など、ライフステージに変化があった際は、必ず保険の受取人を見直す習慣をつけましょう。

どの契約形態がご自身やご家族にとって最適なのかをじっくりと考え、もし迷うことがあれば専門家にも相談しながら、最適な受取人を指定してくださいね。

参考文献

死亡保険金の受取人に関するよくある質問まとめ

Q.死亡保険金の受取人は誰でも指定できますか?

A.原則として、配偶者や2親等以内の血族(子、孫、親、兄弟姉妹など)を指定するのが一般的です。それ以外の人を指定する場合は、保険会社に理由を説明し、審査が必要になることがあります。

Q.死亡保険金の受取人は、配偶者と子供のどちらが良いですか?

A.ご家庭の状況によります。生活保障が目的なら配偶者、子供の教育資金などが目的なら子供を指定することが多いです。複数人を指定したり、割合を決めることも可能です。

Q.死亡保険金の受取人によって税金は変わりますか?

A.はい、変わります。契約者・被保険者・受取人の関係によって、かかる税金が相続税、所得税、贈与税のいずれかになります。一般的に、契約者と被保険者が同一人で受取人が法定相続人の場合に相続税となり、税制上有利になることが多いです。

Q.死亡保険金には非課税枠があると聞きましたが、誰が受け取ると適用されますか?

A.「500万円 × 法定相続人の数」という生命保険の非課税限度額が適用されるのは、受取人が「法定相続人」の場合のみです。法定相続人以外が受け取った場合は、この非課税枠は使えません。

Q.内縁の妻や事実婚のパートナーを受取人に指定できますか?

A.保険会社によっては、一定の条件(同居期間など)を満たせば指定できる場合があります。ただし、戸籍上の配偶者ではないため、生命保険の非課税枠は適用されません。詳しくは保険会社にご確認ください。

Q.死亡保険金の受取人は後から変更できますか?

A.はい、被保険者の同意があれば、保険期間中いつでも変更手続きが可能です。結婚、離婚、出産などライフステージの変化に合わせて見直すことをおすすめします。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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