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死亡保険金を希望通りに!子どもや兄弟へ円満に分配する方法

2026-01-30
目次

生命保険は、万が一の時に家族の生活を守るための大切な備えですよね。でも、その死亡保険金、本当にあなたの想い通りに大切な人へ届けられるか、考えたことはありますか?「子どもたちに平等に分けたい」「お世話になった兄弟にも渡したい」そんな希望を叶えるためには、事前の準備がとても重要なんです。このブログでは、死亡保険金を子どもや兄弟に希望通りに分配するための具体的な方法や、知っておくべき税金の話を、分かりやすく解説していきます。

死亡保険金は相続財産と違う?基本的なルールを知ろう

まず知っておきたい大切なことは、死亡保険金は原則として「相続財産」ではないということです。亡くなった方の預貯金や不動産といった相続財産は、相続人全員で遺産分割協議を行って分け方を決めます。しかし、死亡保険金は、保険契約で指定された「受取人」固有の財産となります。そのため、遺産分割協議の対象にはならず、受取人が全額を受け取る権利を持っています。この違いを理解することが、希望通りの分配への第一歩になります。

受取人固有の財産とは?

「受取人固有の財産」とは、その名の通り、保険契約で受取人に指定された人だけが受け取れるお金のことです。例えば、受取人が長男に指定されていれば、他の兄弟が「分けてほしい」と要求しても、法律上は長男がそれに応じる義務はありません。また、故人が遺言書で「保険金は〇〇に分けるように」と書いていても、法的な拘束力はないのです。あくまで、保険契約の内容が最優先される、と覚えておきましょう。

親族と分ける義務はない

受取人に指定された方は、法律上、受け取った死亡保険金を他の親族(兄弟など)と分ける義務はありません。これは、先ほど説明したように、保険金が受取人個人の財産だからです。しかし、「他の兄弟にも渡したい」という気持ちから、受け取った後に任意で分配することはもちろん可能です。ただし、その場合は後述する「贈与税」の問題が出てくる可能性があるので注意が必要です。

高額な保険金は「特別受益」になることも

原則として遺産分割の対象外である死亡保険金ですが、例外もあります。保険金の額が他の相続財産と比べて著しく高額で、相続人間で大きな不公平が生じる場合、裁判所によって「特別受益」とみなされることがあります。特別受益と認められると、その保険金は遺産の前渡しとみなされ、遺産分割の際にその分を差し引いて計算されることになります。例えば、遺産総額が1,000万円なのに対し、長男だけが5,000万円の保険金を受け取るようなケースが考えられます。

死亡保険金を子どもたちに希望通り分配する方法

「子どもたちには平等にお金を残したい」そう考える方は多いですよね。死亡保険金を複数の子どもに公平に分配するためには、生前の対策が何より大切です。後々のトラブルを防ぐためにも、ご自身の状況に合った方法を選びましょう。

子どもを共同受取人にする

一番シンプルで確実な方法は、保険契約を結ぶ際に、複数の子どもを「共同受取人」として指定することです。申込書の受取人欄に、子ども全員の名前とそれぞれの受け取り割合(例:長男 1/2、長女 1/2)を明記します。こうすることで、保険会社から直接、指定された割合でそれぞれの子どもの口座に保険金が支払われるため、分配の手間や贈与税の心配がありません。

子どもごとに複数の保険契約を結ぶ

もう一つの方法として、子ども一人ひとりを受取人とする保険契約を複数結ぶ方法があります。例えば、長男を受取人とする1,000万円の保険と、長女を受取人とする1,000万円の保険に加入する、といった形です。この方法も、それぞれが直接保険金を受け取れるため、公平な分配が実現できます。また、手続きも受取人が一人なのでスムーズに進むというメリットがあります。

受取人が複数の場合の手続きの注意点

共同受取人を指定した場合、保険金の請求手続きには注意が必要です。保険会社によっては、受取人全員の署名や印鑑証明書などの書類が必要となり、一人でも連絡が取れなかったり、協力が得られなかったりすると手続きが進まないことがあります。また、振込先口座は代表者1名の口座にまとめて振り込まれるケースも多いため、契約時に保険会社へ手続き方法をしっかり確認しておくことが大切です。

兄弟姉妹に死亡保険金を分配したい場合

お世話になったご兄弟など、子ども以外の親族に死亡保険金を渡したいと考えることもあるでしょう。その場合も、事前の対策が重要になります。原則として、配偶者や子ども(第一順位)、親(第二順位)が法定相続人となるため、兄弟姉妹(第三順位)が相続人になるケースは限られています。

兄弟を受取人に指定する

最も確実なのは、生命保険の受取人として兄弟を指定することです。これにより、他の相続人の同意がなくても、指定した兄弟に直接死亡保険金を渡すことができます。ただし、保険会社によっては、配偶者や二親等以内の血族(子ども、親、兄弟)までしか受取人に指定できない場合があるため、契約前に確認が必要です。

遺言書で意思を明確にする

遺言書で「〇〇銀行の預金は兄に遺贈する」といったように、特定の財産を渡す相手を指定することもできます。しかし、先述の通り、死亡保険金は受取人固有の財産のため、遺言で分配を指示しても法的な拘束力はありません。ただ、遺言書で「保険金受取人である長男は、受け取った保険金の中から〇〇万円を叔父(被保険者の兄)に渡すように」といった「付言事項」として想いを残すことで、受取人がその意思を汲んでくれる可能性は高まるでしょう。

法定相続分を参考に分配割合を決める

もし受取人が複数いる場合や、受け取った後に任意で分配する場合、分け方の割合で悩むかもしれません。そんな時は、法律で定められた相続割合である「法定相続分」を参考にすると、公平な基準として話し合いが進めやすくなります。例えば、相続人が兄弟3人の場合、法定相続分はそれぞれ1/3ずつとなります。これを基準に分配を検討するのも一つの方法です。

知っておきたい!死亡保険金にかかる税金

死亡保険金を受け取ると、税金がかかる場合があります。誰が保険料を払っていたかによって、かかる税金の種類(相続税、所得税、贈与税)が変わってくるため、契約内容をしっかり確認しておくことが重要です。

相続税がかかるケース

亡くなった方(被保険者)自身が保険料を支払っていた場合、受け取った死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。ただし、生命保険には非課税枠があり、受け取った保険金が「500万円 × 法定相続人の数」の金額以下であれば、相続税はかかりません。これは預貯金などにはない大きなメリットです。

契約者(保険料負担者) 被保険者(亡くなった人)
受取人 相続人(配偶者、子など)

所得税がかかるケース

保険料を支払っていた人と、保険金を受け取った人が同一人物の場合、受け取った保険金は所得税(一時所得)の対象となります。例えば、夫が被保険者の保険で、妻が保険料を支払い、妻自身が保険金を受け取るようなケースです。この場合、受け取った保険金額から支払った保険料総額を差し引き、さらに特別控除50万円を引いた金額の1/2が課税対象となります。

契約者(保険料負担者) 受取人
被保険者 亡くなった人

贈与税がかかるケース

保険料を支払っていた人、被保険者、保険金受取人がすべて別人である場合、贈与税の対象となります。例えば、父が保険料を支払い、母が被保険者で、子どもが保険金を受け取るケースです。この場合、父から子へ財産が贈与されたとみなされます。また、本来の受取人が受け取った保険金を、後から他の兄弟に分けた場合も、その分けた金額(年間110万円の基礎控除後)に対して贈与税がかかる可能性があります。贈与税は相続税に比べて税率が高い場合が多いため、注意が必要です。

契約者(保険料負担者) Aさん
被保険者 Bさん(亡くなった人)
受取人 Cさん

トラブルを避けるための生前対策

ここまで見てきたように、死亡保険金の分配は、受取人の指定や税金など、考えるべきことがたくさんあります。大切な家族が揉めることのないよう、元気なうちから対策をしておくことが何よりも大切です。

保険契約の内容を定期的に見直す

家族構成や人間関係は時間とともに変化します。結婚、出産、離婚など、ライフステージに変化があった際には、保険の受取人が現状に合っているか定期的に見直しましょう。「昔契約したままで、受取人が誰になっているか覚えていない」ということがないように、保険証券を確認する習慣をつけることが大切です。

家族で話し合い、想いを伝えておく

なぜその受取人にしたのか、誰にどのくらいのお金を残したいのか、あなたの想いを家族に伝えておくことも重要です。たとえ法的な効力がなくても、あなたの気持ちを伝えることで、残された家族が納得しやすくなり、円満な分配につながります。エンディングノートなどを活用して、想いを書き残しておくのも良い方法です。

専門家への相談も検討する

相続関係が複雑な場合や、財産額が大きい場合など、自分たちだけで判断するのが不安な時は、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することをおすすめします。税金の計算や最適な保険契約の形など、専門的な視点からアドバイスをもらうことで、安心して対策を進めることができます。

まとめ

死亡保険金をあなたの希望通りに子どもや兄弟へ分配するためには、「誰を受取人にするか」という生前の指定が最も重要です。保険金は受取人固有の財産であり、遺産分割の対象外となるのが原則です。トラブルを避け、円満に想いを引き継いでもらうためには、以下の点を押さえておきましょう。

  • 複数人に分けたい場合は、共同受取人に指定するか、個別の保険契約を結ぶ。
  • 保険料の負担者によって、かかる税金(相続税・所得税・贈与税)が変わることを理解する。
  • 生命保険の非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)を有効に活用する。
  • 定期的に契約内容を見直し、家族と想いを共有しておく。

生命保険は、残された家族への最後の贈り物です。あなたの愛情が、争いの種ではなく、感謝とともにしっかりと届くよう、ぜひこの機会に保険契約の内容を確認してみてくださいね。

参考文献

国税庁 No.1750 死亡保険金を受け取ったとき

国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合

財務省 親が亡くなりました。遺産を相続する場合にどのような税金がかかるのですか?

死亡保険金の分配に関するよくある質問まとめ

Q.死亡保険金の受取人を子供たち複数人に指定できますか?

A.はい、できます。受取人を複数人指定し、それぞれの受取割合も「長男50%、次男50%」のように細かく設定することが可能です。保険会社所定の手続きで変更できます。

Q.死亡保険金を兄弟に渡したい場合、どうすればいいですか?

A.保険契約時に受取人を兄弟に指定するか、契約後に受取人変更の手続きを行うことで渡せます。ただし、一般的に受取人に指定できるのは配偶者と2親等以内の血族(子、親、兄弟姉妹など)の範囲となります。

Q.遺言で死亡保険金の分け方を指定できますか?

A.死亡保険金は受取人固有の財産とされるため、原則として遺産分割の対象外となり、遺言で分け方を指定することはできません。希望通りの人に渡すには、保険契約の受取人を指定・変更しておくことが最も確実です。

Q.受取人が1人の場合、他の相続人に分配しないとトラブルになりますか?

A.死亡保険金は受取人の固有財産のため、法的には他の相続人に分配する義務はありません。しかし、他の相続人との関係性を考慮し、受取人が自らの意思で分配することは可能です。トラブルを避けるためにも、生前に意図を伝えておくことが大切です。

Q.死亡保険金の受取人を指定しないとどうなりますか?

A.保険契約の約款で定められた法定相続人が受取人となります。この場合、民法で定められた法定相続分に応じて保険金が支払われるのが一般的です。希望通りの分配にならない可能性があるため、受取人は明確に指定しておくことをお勧めします。

Q.子供や兄弟が受け取る死亡保険金に税金はかかりますか?

A.はい、かかります。契約者と被保険者が同一人物の場合、死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の対象となります。ただし、「500万円 × 法定相続人の数」という生命保険の非課税枠が利用できます。

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