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死亡診断書がない?検案・解剖・搬送料金はいくら?費用を徹底解説

2025-11-01
目次

ご家族が亡くなられた直後は、深い悲しみとともに、さまざまな手続きや費用の問題に直面します。特に、病院以外で亡くなられた場合、「死亡診断書はどうなるの?」「検案や解剖ってお金がかかるの?」といった疑問や不安を感じる方も少なくありません。この記事では、死亡診断書の代わりとなる「死体検案書」の手続きや、検案料金、解剖料金、そしてご遺体の搬送料金について、どのような時にいくらかかるのかを分かりやすく解説します。予期せぬ出費に慌てないためにも、ぜひ参考にしてくださいね。

死亡診断書と死体検案書の違いとは?

人が亡くなったことを法的に証明する書類には、「死亡診断書」と「死体検案書」の2種類があります。どちらも役所への死亡届の提出や火葬許可、相続手続きなどに不可欠な大切な書類ですが、発行される状況が異なります。

死亡診断書とは?

死亡診断書は、病院などで診療を受けていた患者さんが、その病気が原因で亡くなられた際に、担当の医師が発行する書類です。医師が死亡を確認し、生前の診察情報をもとに死因を特定します。一般的に、A3サイズの用紙の左半分が死亡届、右半分が死亡診断書という形式になっています。発行にかかる費用は医療機関によって異なりますが、おおよそ3,000円から10,000円程度が目安です。

死体検案書とは?

死体検案書は、診療中の病気以外で亡くなられた場合や、自宅での突然死、事故死など、医師の管理下にない状況で亡くなられた場合に発行される書類です。この場合、まず警察による検視が行われ、事件性がないかどうかが確認されます。その後、医師がご遺体を調べて(検案して)死因を特定し、死体検案書を作成します。つまり、「死亡診断書の代わり」となるのが死体検案書です。

なぜ死体検案書が必要になるの?

かかりつけ医がいない状況でのご逝去や、診療を受けていた病気とは異なる原因で亡くなられた可能性がある場合、その死が本当に病死なのか、あるいは事件や事故によるものなのかを客観的に判断する必要があります。これを「異状死」と呼び、その死因を明らかにするために警察の介入と医師による検案が法律で定められています。この手続きを経て発行される死体検案書は、公的な死亡証明として、その後の手続きを進めるために絶対に必要となるのです。

死体検案料金はいくらかかるの?

死体検案書を発行してもらうためには、医師による検案が必要となり、そのための費用が発生します。これは「検案料」と呼ばれ、基本的にご遺族が負担することになります。

検案料金の相場

検案料金は、決まった金額があるわけではなく、状況によって変動します。特に、医師が現場(ご自宅など)へ出向く出張費や、検案を行う時間帯(夜間・休日)によって金額が変わってきます。

項目 料金相場(目安)
検案料 30,000円 ~ 100,000円程度
文書作成料 5,000円 ~ 10,000円程度

上記はあくまで目安であり、地域や依頼する監察医事務所、医療機関によって異なります。合計で50,000円から150,000円程度を見ておくと安心かもしれません。検案が終わった後、担当した医師や警察から費用の支払いについて案内がありますので、指示に従いましょう。

費用は誰が支払う?

死体検案にかかる費用は、原則としてご遺族(相続人)が負担します。この費用は、後ほど説明しますが、相続税の計算をする際に「葬式費用」として遺産総額から控除することができますので、必ず領収書を保管しておきましょう。

解剖料金はどんな時に必要?費用は?

「解剖」と聞くと、費用がとても高額になるのではないかと心配される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、日本の法律に基づいて行われる解剖のほとんどは、公費で賄われるためご遺族の負担はありません。解剖には大きく分けて3つの種類があります。

行政解剖(監察医解剖)

犯罪性はないものの、死因が不明な場合に行われる解剖です。例えば、自宅で突然倒れて亡くなられた場合などが該当します。この解剖は、監察医制度が設けられている特定の地域(東京23区、大阪市、名古屋市、横浜市、神戸市)で、死因の究明や公衆衛生の向上のために行われます。行政解剖の費用は公費で賄われるため、ご遺族の金銭的な負担は原則としてありません。

司法解剖

殺人や事故など、犯罪の疑いがあるご遺体に対して、警察の捜査の一環として行われるのが司法解剖です。死因と犯罪との因果関係を調べる目的で行われ、裁判の証拠となります。これも国の法律に基づいて行われるため、費用はすべて国が負担し、ご遺族に請求されることは一切ありません。

承諾解剖(病理解剖)

こちらは上記2つとは異なり、病院で病気治療の末に亡くなられた患者さんに対して行われることがある解剖です。生前の治療の効果を検証したり、診断が正しかったかを確認したり、今後の医療の発展に役立てることを目的とします。この解剖は、ご遺族の承諾(インフォームド・コンセント)がなければ行われません。費用は研究・教育的な側面が強いため、病院側が負担することがほとんどですが、ご遺体の搬送費用など一部をご遺族が負担するケースも稀にあります。

寝台搬送料金はいくらかかる?

ご遺体を安置場所へお連れするためには、専用の車両(寝台車)が必要です。この搬送料金は、葬儀費用の中でも最初にかかる費用の一つです。

搬送のタイミングと種類

ご遺体の搬送は、主に次のようなタイミングで必要になります。

  • 病院の霊安室からご自宅や斎場の安置室へ
  • 警察署からご自宅や斎場の安置室へ(検案や解剖後)
  • ご自宅から葬儀会館へ

特に警察署に安置されている場合、長期間の安置はできないため、速やかに葬儀社に連絡し、搬送と安置の手配をする必要があります。

搬送料金の計算方法と相場

寝台車の料金は、主に「搬送距離」「時間帯」によって決まります。多くの葬儀社では、基本的な料金に距離や深夜料金が加算される仕組みになっています。

項  目 料金相場(目安)
基本料金(~10km) 15,000円 ~ 20,000円
距離加算(10kmごと) 3,000円 ~ 5,000円
深夜・早朝割増 基本料金の2~3割増
付帯品(ドライアイス等) 別途実費

例えば、深夜に20kmの距離を搬送した場合、「基本料金+距離加算+深夜割増」となり、合計で30,000円~50,000円程度かかることが想定されます。多くの葬儀プランには、一定距離までの搬送料が含まれていることが多いですが、遠方からの搬送や深夜の搬送では追加料金が発生する可能性があることを覚えておきましょう。

相続税申告で控除できる費用は?

ここまで解説してきた死体検案や搬送にかかった費用は、相続が発生した際に、相続税の計算上「葬式費用」として遺産の総額から差し引くことができます。これにより、相続税の負担を軽減できる可能性があります。

葬式費用として控除できるもの

国税庁では、相続財産から控除できる葬式費用を定めています。今回ご説明した費用は、その多くが控除の対象となります。

費用項目 控除の可否
死亡診断書・死体検案書の発行手数料 控除できる
死体検案にかかる費用(検案料) 控除できる
寝台車や霊柩車など遺体の搬送料金 控除できる
解剖料金(ご遺族が負担した場合) 控除できる

この他にも、通夜・告別式にかかった費用やお布施、火葬・埋葬料なども控除の対象です。

控除を受けるための注意点

これらの費用を葬式費用として確実に控除するためには、支払ったことを証明する「領収書」や「明細書」が必ず必要です。死体検案料や搬送料金を支払った際には、必ず領収書を受け取り、相続税の申告が終わるまで大切に保管しておきましょう。万が一領収書がもらえなかった場合は、支払先、金額、日付などを詳しく記録したメモを残しておくことが重要です。

まとめ

ご家族との突然のお別れは、精神的にも経済的にも大きな負担がかかります。特に病院以外で亡くなられた場合は、「死体検案書」が必要となり、そのための検案料や搬送料といった予期せぬ費用が発生します。今回解説したように、解剖に関しては公費負担で済むケースがほとんどですが、検案料や搬送料はご遺族の負担となります。それぞれの費用の相場を知っておくことで、いざという時に落ち着いて対応できるはずです。また、これらの費用は相続税の申告時に「葬式費用」として控除できることも、ぜひ覚えておいてください。そのために、領収書は必ず保管しておきましょう。もし費用や手続きで分からないことがあれば、一人で抱え込まずに、依頼する葬儀社の担当者や専門家に相談してくださいね。

参考文献

国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用

ご逝去後にかかる費用(検案・解剖・搬送)のよくある質問まとめ

Q.死亡診断書と死体検案書の違いは何ですか?

A.死亡診断書は、かかりつけ医などが生前の診察に基づいて作成します。一方、死体検案書は、かかりつけ医以外が突然死や事故死など、診察なしで死因を特定するために作成する書類で、死亡診断書の代わりとなります。

Q.死体検案書の料金はいくらくらいかかりますか?

A.費用は医療機関により異なりますが、一般的に3万円~10万円程度が目安です。これに加えて、医師の出張費や交通費が別途かかる場合があります。

Q.解剖が必要になるのはどんな時ですか?また、料金はかかりますか?

A.犯罪性が疑われる場合(司法解剖)や、死因が不明な場合(行政解剖)に警察の判断で行われます。これらの公的な解剖の場合、遺族に費用が請求されることは基本的にありません。

Q.寝台車の搬送料金はどのように決まりますか?

A.搬送料金は主に「距離」と「時間帯」で決まります。基本料金に加え、10kmごとに料金が加算されるのが一般的です。深夜や早朝は割増料金がかかります。

Q.警察が介入した場合、必ず費用がかかるのですか?

A.警察の検視や公的な解剖自体に遺族の費用負担はありません。しかし、警察署などからご遺体を搬送する寝台搬送料や、医師が作成する死体検案書の費用は遺族の負担となります。

Q.自宅で亡くなった場合、どのような費用が発生しますか?

A.かかりつけ医がいない場合は警察の検視が必要となり、医師による検案が行われます。この場合、「死体検案書作成料」と、ご遺体を安置場所へ移すための「寝台搬送料」が主に発生します。

事務所概要
社名
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税理士 島本 雅史

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