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死亡診断書の費用は相続税から引ける?葬式費用として債務控除するポイント

2026-03-25
目次

ご家族が亡くなられると、悲しむ間もなくさまざまな手続きや費用の支払いに追われることになりますよね。その中で「病院で発行してもらった死亡診断書の費用って、何かの足しになるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。実は、死亡診断書の作成費用は、相続税を計算するときに「葬式費用」として遺産総額から差し引くことができるんです。これを債務控除と呼び、適切に行うことで相続税の負担を軽くできる可能性があります。今回は、死亡診断書の費用と相続税の関係について、わかりやすく解説していきますね。

死亡診断書とは?相続手続きでの大切な役割

まず、死亡診断書がどのような書類で、なぜ必要なのかを簡単におさらいしましょう。この書類は、相続手続きのスタート地点ともいえる、とても重要なものなんですよ。

死亡診断書に記載されている内容

死亡診断書は、医師が人の死亡を医学的・法律的に証明するために作成する公的な書類です。正式には「死亡診断書(死体検案書)」という名称で、左半分が「死亡届」、右半分が「死亡診断書」となっている一枚の用紙が一般的です。ここには、亡くなられた方の氏名や生年月日、死亡した日時と場所、そして直接の死因などが詳しく記載されます。この情報が、後の公的な手続きの基礎となるのです。

死亡診断書の取得方法と費用相場

死亡診断書は、亡くなられた場所によって発行元が異なります。

  • 病院で亡くなった場合:担当の医師が作成・発行します。
  • 自宅で亡くなった場合:かかりつけ医などに連絡し、死亡を確認してもらった上で発行されます。
  • 事故や突然死の場合:警察の検案の後、監察医などが「死体検案書」として発行します。これも死亡診断書と同様の効力を持ちます。

発行にかかる費用は、公的医療保険の適用外(自費診療)となるため、医療機関によって異なりますが、一般的には3,000円から10,000円程度が相場です。死体検案書の場合は、検案作業などが加わるため、30,000円から100,000円程度と高額になることもあります。

死亡届の提出に不可欠な書類

死亡診断書を受け取ったら、亡くなった事実を知った日から7日以内(国外で亡くなった場合は3か月以内)に、市区町村役場へ死亡届を提出しなければなりません。この死亡届を提出しないと、火葬や埋葬の許可が下りず、葬儀を進めることができません。また、年金や保険などの手続きでも必要になることがあるため、役所に提出する前に必ず5~10枚ほどコピーを取っておくことをおすすめします。

死亡診断書の作成費用は相続税の計算で控除できる?

ここからが本題です。支払った死亡診断書の費用が、相続税の計算でどのように扱われるのかを見ていきましょう。結論から言うと、しっかりと控除できますのでご安心くださいね。

結論:「葬式費用」として相続財産から控除可能です

死亡診断書(または死体検案書)の発行費用は、「葬式費用」の一部として、相続財産から差し引くことが認められています。これを債務控除(葬式費用の控除)と呼びます。相続税は、亡くなった方の遺産の総額に対して課税されますが、そこから借金などのマイナスの財産や、葬式にかかった費用を差し引いてから税額を計算する仕組みになっているのです。

なぜ葬式費用として控除できるの?

死亡診断書は、先ほどご説明したように、火葬・埋葬許可を得るために必須の書類です。つまり、葬儀を行う上で避けては通れない、必要不可欠な費用とみなされます。そのため、国税庁も「通常葬式にかかせない費用」として、葬式費用に含めることを認めているのです。

控除するメリットは相続税の節税

葬式費用を控除する最大のメリットは、相続税の課税対象となる財産の額を減らせることです。課税対象額が減れば、それに応じて納める相続税も少なくなります。例えば、遺産総額が1億円で、葬式費用が200万円だった場合、課税対象となるのは9,800万円となります。死亡診断書の費用は数千円から数万円かもしれませんが、こうした費用を漏れなく計上することが、賢い節税につながるのです。

「債務控除」と「葬式費用」の違いを整理しよう

「債務控除」という言葉が出てきましたが、相続税の計算では「本来の債務」と「葬式費用」は少し区別されています。病院への支払いでも扱いが異なる場合があるので、ここで違いをしっかり整理しておきましょう。

債務控除の対象となる「本来の債務」

本来の債務控除の対象となるのは、亡くなった方が生前に負っていた借金や未払金です。これらは、亡くなった時点で支払う義務が確定していたものです。

  • 銀行などからの借入金
  • 未払いの税金(住民税や固定資産税など)
  • 亡くなる前の未払いの入院費や治療費
  • 未払いの公共料金やクレジットカードの支払い

控除の対象となる「葬式費用」

一方で、葬式費用は、亡くなった後に発生する費用ですが、社会通念上必要な出費として特別に控除が認められています。お通夜や告別式の費用などがこれにあたり、死亡診断書の費用もここに含まれます。

【早見表】病院への支払い、控除の分類

同じ病院への支払いでも、内容によって控除の分類が異なります。間違えやすいポイントなので、表で確認してみましょう。

費用の種類 控除の分類
亡くなる前の未払いの入院費・治療費 債務控除(故人の債務)
死亡診断書・死体検案書の発行費用 葬式費用として控除
生命保険金請求のための診断書や証明書の発行費用 控除対象外(相続人のための手続き費用)

このように、生命保険の手続きのために相続人が取得した診断書などは、故人の債務でも葬式に不可欠な費用でもないため、控除の対象にはならないので注意が必要ですよ。

葬式費用として控除できるもの・できないもの

死亡診断書以外にも、葬式費用として認められるものはたくさんあります。一方で、葬儀に関連する出費でも対象外となるものもあるため、ここで具体的に確認しておきましょう。

葬式費用として控除できるものの具体例

項目 具体例
お通夜・告別式の費用 会場使用料、祭壇の費用、飲食代など
火葬・埋葬・納骨の費用 火葬料、埋葬料、納骨作業の費用など
宗教者へのお礼 お布施、読経料、戒名料など
遺体の搬送費用など 病院から自宅や斎場への搬送費用、ドライアイス代など
その他 死亡診断書・死体検案書の発行費用、お手伝いの方への心付けなど

間違いやすい!葬式費用に含められないもの

以下の費用は、葬式費用として控除することはできませんので、申告の際に含めないように気をつけましょう。

  • 香典返しの費用:いただいた香典が非課税のため、そのお返し費用も控除できません。
  • 墓石や墓地の購入費用:これらは非課税財産とされており、葬式費用とは区別されます。
  • 初七日や四十九日などの法事の費用:葬儀そのものとは別の宗教行事とみなされるため、対象外です。ただし、告別式と初七日を同日に行う「繰り上げ初七日」の場合、告別式と一体とみなされ、その費用は控除対象となることが多いです。

控除を受けるための手続きと注意点

では、実際に死亡診断書の費用を控除するためには、どうすればよいのでしょうか。簡単な手続きと、いくつか知っておきたい注意点をご紹介します。

領収書の保管が必須です

債務控除や葬式費用の控除を適用するためには、その支払いを証明する領収書や請求書が原則として必要です。死亡診断書の費用を支払った際の領収書は、必ず大切に保管しておきましょう。もし、お布施など領収書が発行されない費用がある場合は、「いつ、誰に、何のために、いくら支払ったか」をメモに残しておくだけでも、税務署への説明資料として認められる場合があります。

相続税申告書への記載を忘れずに

相続税の申告が必要な場合、申告書の第13表「債務及び葬式費用の明細書」という書類に、支払った葬式費用の内容を記載します。「葬式費用の合計」の欄に、死亡診断書の費用も含めた総額を記入してください。誰がいくら負担したのかも明確に記載する必要があります。

葬式費用を控除できる人

葬式費用を遺産総額から控除できるのは、その費用を実際に負担した相続人、または包括受遺者(遺言によって遺産の全部または一定割合を受け取る人)に限られます。遺言で特定の財産だけを受け取った特定受遺者や、相続放棄をした人は、たとえ葬式費用を負担したとしても控除を受けることはできません。

まとめ

今回は、死亡診断書の費用が相続税の計算上、控除できるかどうかについて詳しく見てきました。最後に大切なポイントを振り返っておきましょう。

  • 死亡診断書や死体検案書の発行費用は、「葬式費用」として相続財産から控除できます。
  • 控除することで課税対象の遺産額が減り、相続税の節税につながります。
  • 控除を受けるためには、領収書を必ず保管し、相続税申告書の第13表に正しく記載する必要があります。
  • 同じ病院への支払いでも、未払いの治療費は「債務控除」、生命保険用の診断書は「控除対象外」となるなど、内容によって扱いが異なるので注意しましょう。

相続手続きは複雑で、どの費用が控除の対象になるのか判断に迷うことも多いかと思います。もし少しでも不安な点があれば、相続に詳しい税理士などの専門家に相談してみてくださいね。漏れなく控除を適用し、納得のいく相続税申告を行いましょう。

参考文献

死亡診断書の費用と相続税控除のよくある質問まとめ

Q.死亡診断書の作成費用は、相続税の計算で控除できますか?

A.はい、死亡診断書(または死体検案書)の作成費用は、相続税の計算上、葬式費用として債務控除の対象となります。

Q.死亡診断書以外に、相続税で控除できる葬式費用にはどのようなものがありますか?

A.お通夜・告別式の費用、火葬・埋葬・納骨にかかった費用、お布施・読経料、遺体の運搬費用などが対象となります。

Q.逆に、葬式に関連する費用で控除できないものは何ですか?

A.香典返しの費用、墓地や墓石の購入・建立費用、仏壇や仏具の購入費用、初七日や四十九日などの法事の費用は控除の対象外です。

Q.死亡診断書の費用を控除するためには、何が必要ですか?

A.費用の支払いを証明できる領収書を保管しておく必要があります。相続税の申告の際に、葬式費用の明細として記載します。

Q.死亡診断書と死体検案書の違いは何ですか?費用はどちらも控除対象ですか?

A.死亡診断書は診療中の医師が、死体検案書はそれ以外の医師が作成します。どちらの作成費用も、相続税の葬式費用として控除の対象になります。

Q.死亡診断書の作成費用は、いくらくらいかかりますか?

A.病院や状況により異なりますが、一般的に数千円から1万円程度です。死体検案書の場合はさらに高額になる傾向があります。これらの費用は全額控除対象です。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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