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死亡退職金は一時金と年金どっちがお得?相続時の税金と選び方

2026-06-05
目次

ご家族が亡くなられたとき、生前の勤務先から遺族に対して死亡退職金が支払われることがあります。このとき、「一括で一時金として受け取るか、それとも分割して年金として受け取るか」という選択を迫られ、どちらを選べば税金面でお得になるのか悩んでしまう方はとても多いです。結論から言うと、基本的には非課税枠が使える一時金での受け取りのほうが税負担を抑えられるケースが多くなります。しかし、ご遺族の状況によっては年金を選んだほうが生活設計がしやすい場合もあります。この記事では、それぞれのメリットやデメリット、税金の計算方法の違いについて、わかりやすく丁寧にお伝えしていきますね。

死亡退職金の相続における基本的な取り扱い

死亡退職金とはどのような財産か

死亡退職金とは、従業員が在職中に亡くなってしまった場合、本来なら退職時に支払われるはずだったお金をご遺族が代わりに受け取るものです。民法上では、亡くなった方の財産をそのまま引き継ぐわけではなく、ご遺族ご自身の固有の財産として扱われます。そのため、もし亡くなった方に多額の借金があり、家庭裁判所で「相続放棄」の手続きをした場合でも、死亡退職金は問題なく受け取ることができるのが大きな特徴です。

相続税の対象となる死亡退職金の範囲

民法上はご遺族の財産であっても、税金の計算上は少し扱いが変わります。亡くなったことが原因で支払われるお金であるため、税務署はこれを「みなし相続財産」と呼び、相続税の計算に含めるルールになっています。具体的には、亡くなった日から3年以内に支給が確定した退職金が相続税の対象です。もし3年を過ぎてから支給が決まった場合は、相続税ではなく受け取ったご家族の「一時所得」として所得税の対象になるので注意が必要です。

死亡退職金の非課税枠

死亡退職金が相続税の対象になるとはいえ、受け取った全額に税金がかかるわけではありません。残されたご家族の生活を守るため、「500万円 × 法定相続人の数」という手厚い非課税枠が用意されています。例えば、法定相続人が奥様とお子様2人の合計3人だった場合、500万円 × 3人 = 1,500万円までは、どれだけ死亡退職金を受け取っても相続税は一切かからない仕組みです。

法定相続人の数 死亡退職金の非課税枠
1人 500万円
2人 1,000万円
3人 1,500万円
4人 2,000万円

死亡退職金を一時金で受け取る場合の特徴

一時金で受け取るメリット

一時金で受け取る最大のメリットは、なんといっても相続税の非課税枠をフルに活用できることです。この非課税枠のおかげで、多くのご家庭では死亡退職金に税金がかからずに済みます。また、まとまった資金が手に入るため、お葬式にかかる費用や、当面の間の生活費、お子様の教育資金などにすぐ充てることができる安心感も大きな魅力ですね。

一時金で受け取るデメリット

デメリットとしては、もし死亡退職金の額が非課税枠を大きく上回ってしまった場合、他の預貯金や不動産などの相続財産と合算されて、相続税が高額になってしまう可能性がある点です。相続税は財産が多ければ多いほど税率が上がる累進課税の仕組みとなっているため、一時金として一気に多額の財産を計上することで、適用される税率が跳ね上がってしまうケースも考えられます。

死亡退職金を年金で受け取る場合の特徴

年金で受け取るメリット

年金形式で毎月、あるいは毎年少しずつ受け取るメリットは、ご遺族の長期的な生活の安定につながることです。「手元に大金があると、つい使いすぎてしまって将来が不安」という方にとっては、お給料のように定期的にお金が入ってくる仕組みはとても心強いですよね。また、受け取るお金は相続税の対象ではなく「雑所得」として毎年の所得税の対象になるため、ご自身の他の収入が少ない方であれば、毎年の税負担を低く抑えられる可能性があります。

年金で受け取るデメリット

一番気をつけなければならないデメリットは、死亡退職金の非課税枠が一切使えなくなってしまうことです。年金として受け取ったお金は毎年の「雑所得」となるため、ご遺族ご自身の給与や公的年金などの収入と合算され、毎年所得税や住民税を払い続けなければなりません。結果として、一時金でもらっておけば非課税で済んだはずなのに、年金を選んだことで余計に税金を納めることになってしまう失敗ケースが少なくありません。

一時金と年金、どちらがお得になるかの判断基準

相続税の基礎控除額をもとに判断する

まずは、亡くなった方の全財産が相続税の基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超えるかどうかを確認しましょう。もし全財産が基礎控除額を下回っており、もともと相続税がかからないご家庭であれば、一時金で受け取って非課税枠の恩恵を受けるのがもっとも手元にお金が残ります。逆に、財産が数億円あり、相続税率が非常に高くなるような場合は、年金で受け取って所得税を払うほうが結果的にお得になる珍しいケースもあります。

受け取るご家族の今後の収入見込みで判断する

年金形式を選ぶ場合は、受け取るご本人の今後の収入状況が大きなカギを握ります。もし奥様がバリバリ働いていて十分なお給料をもらっている場合、そこに死亡退職金の年金が上乗せされると、所得税の税率が上がってしまい、税金でごっそり引かれてしまうことになります。専業主婦で他に収入がない場合であれば年金受け取りのダメージは少ないですが、それでもやはり一時金の強力な非課税枠には勝てないことが多いのが実情です。

受け取り方法別の税金シミュレーション

妻が一時金で2,000万円を受け取る場合

亡くなったご主人の法定相続人が妻と子供2人の合計3人だとします。この場合、死亡退職金の非課税枠は「500万円 × 3人 = 1,500万円」です。妻が一時金で2,000万円を受け取ったとすると、非課税枠の1,500万円を差し引いた残りの500万円だけが相続税の対象となります。さらに、配偶者には最低でも1億6,000万円まで相続税が無税になる特例があるため、実質的にこの退職金に対して税金はかからず、2,000万円をそのまま手元に残せる可能性が高いです。

計算項目 金額
受け取った一時金額 2,000万円
非課税枠(3人分) マイナス 1,500万円
相続税の対象になる額 500万円(※配偶者の特例で実質非課税)

妻が年金で毎年200万円を10年間受け取る場合

同じく総額2,000万円を、毎年200万円ずつ10年間の年金として受け取るとします。この場合、相続税の非課税枠は使えません。毎年受け取る200万円は「雑所得」として扱われ、妻の所得税や住民税の計算に組み込まれます。もし妻がパートで年間100万円の収入を得ている場合、そこに200万円が上乗せされるため、毎年約10万〜20万円ほどの所得税・住民税が10年間にわたって発生してしまいます。総額で100万円以上の税金を払うことになり、一時金と比べて大きく損をしてしまうのです。

死亡退職金の受け取り方法まとめ

死亡退職金を一時金で受け取るか、年金で受け取るかについて詳しく解説してきました。基本的には、「500万円×法定相続人の数」という強力な非課税枠を使える一時金での受け取りが、税金面では圧倒的にお得になるケースがほとんどです。年金受け取りは毎年の税金がかかってしまうため、どうしてもご自身の財産管理に不安がある場合を除いては、一時金を選択して手元にしっかりと資金を残すことをおすすめします。ご家庭の状況によっても最適な選択は変わりますので、迷ったときは財産目録を作り、基礎控除額を計算してみることから始めてみてくださいね。

参考文献

国税庁:No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金

国税庁:No.4120 弔慰金を受け取ったときの取扱い

死亡退職金の受け取りに関するよくある質問まとめ

Q.死亡退職金は誰の財産になりますか?

A.会社の規定で定められた受取人(通常は配偶者などの遺族)の固有の財産となります。ただし、税務上は「みなし相続財産」として相続税の対象に含まれます。

Q.一時金と年金の一部ずつを組み合わせることはできますか?

A.会社の退職金規定に「一部を一時金、残りを年金」とする制度があれば可能です。規定をよく確認してみましょう。

Q.死亡退職金の非課税枠は、年金受け取りでも使えますか?

A.使えません。死亡退職金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)は、一時金として受け取る場合にのみ適用されます。年金で受け取る場合は毎年の所得税の対象となります。

Q.亡くなった人に借金があった場合、死亡退職金も返済にあてられますか?

A.死亡退職金は遺族の固有の財産となるため、原則として亡くなった方の借金の返済にあてる義務はありません。相続放棄をしても受け取ることができます。

Q.年金で受け取った場合、毎年の税金はどうなりますか?

A.年金として受け取る死亡退職金は、受け取るご家族の「雑所得」となり、毎年の所得税や住民税の対象となります。

Q.死亡退職金の手続きには期限がありますか?

A.会社への請求期限は社内規定によりますが、相続税の申告が必要な場合は「亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」に申告と納税を済ませる必要があります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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