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母の相続後に子が実家を売却!3000万円控除は使える?

2026-03-22
目次

お父様が亡くなられた際に子供名義で相続した実家に、お母様が住み続けているケースはよくありますよね。そして、お母様が亡くなられた後、誰も住まなくなった実家を売却しようと考えたとき、「売却にかかる税金はどうなるの?」「税金が安くなる3000万円控除は使えるのかな?」と疑問に思う方は多いのではないでしょうか。実は、誰の名義で相続したかによって、特例が使えるかどうかが大きく変わってきます。今回は、父から子が相続し母が住んでいた不動産を売却する際の課税関係について、優しくわかりやすく解説します。

母の死後に実家を売る際の課税関係の基本

まずは、実家を売却した際にどのような税金がかかるのか、基本的な仕組みを確認していきましょう。

実家売却で発生する譲渡所得と税金

不動産を売却して利益が出た場合、その利益に対して譲渡所得税住民税がかかります。この利益のことを譲渡所得と呼びます。売却した金額がそのまま利益になるわけではなく、購入にかかった費用(取得費)や売却にかかった費用(譲渡費用)を差し引いて計算します。

計算の要素 具体的な内容
収入金額 不動産が売れた金額(売却代金)
取得費 お父様が不動産を購入したときの代金や仲介手数料など
譲渡費用 売却時の仲介手数料や印紙代、取り壊し費用など

税金を計算するための具体的なステップ

譲渡所得の計算式は「収入金額 – (取得費 + 譲渡費用)」となります。例えば、実家が3,000万円で売れて、お父様が購入した時の取得費が1,500万円、売却にかかった譲渡費用が150万円だった場合、「3,000万円 – (1,500万円 + 150万円) = 1,350万円」が譲渡所得となり、この1,350万円に対して税金がかかってきます。

取得費が分からない場合の注意点

お父様が昔購入した不動産だと、購入当時の契約書が見つからず、いくらで買ったか分からないことがよくあります。その場合は、売却金額の5%を概算取得費として計算しなければなりません。3,000万円で売却した場合、取得費はたったの150万円として計算されるため、利益が大きく計算されてしまい、税金が高額になる可能性があるので注意が必要です。

今回のケースで3000万円控除は使えるの?

税金を大きく減らすことができる「3000万円控除」ですが、今回のケースで使えるかどうかが最も気になるポイントですよね。結論から言うと、原則として使うことはできません。その理由を詳しく見ていきましょう。

被相続人の居住用財産(空き家特例)の要件

亡くなった方が住んでいた実家を売却した際に使えるのが被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例です。この特例を使うと、譲渡所得から最高3,000万円(相続人が3人以上の場合は2,000万円)を差し引くことができます。要件としては「昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること」「亡くなった人が一人暮らしであったこと」「売却代金が1億円以下であること」などがあります。

空き家特例が使えない決定的な理由とは

この空き家特例は、「亡くなった人(被相続人)が住んでいて、その家を相続で取得した」場合にのみ使えます。今回のケースでは、お母様が住んで亡くなられましたが、家の名義はすでにお父様の相続の際に「子供名義」になっていますよね。つまり、お母様の相続によって取得した不動産ではなく、お母様の所有物でもなかったため、この特例の対象外となってしまうのです。

子自身のマイホーム特例なら使えるケース

空き家特例は使えませんが、もし名義人である子供自身が、お母様と一緒にその実家に住んでいた場合はどうでしょうか。その場合は、子供が「自分の住んでいるマイホームを売却した」ことになりますので、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例を使うことができます。ただし、子供が別の場所に住んでいて実家が空き家だった場合は、やはりこの特例も使うことはできません。

3000万円控除が使えない場合の税金負担

残念ながら3000万円控除が使えない場合、譲渡所得に対してそのまま税金がかかってしまいます。どのくらいの税率になるのか確認しておきましょう。

所有期間による税率の違い(短期・長期)

不動産の譲渡所得税は、所有期間が5年を超えるかどうかで税率が大きく変わります。相続した不動産の場合、お父様が取得した日を引き継ぐため、多くの場合で5年を超える長期譲渡所得になります。

所有期間 税率(所得税+住民税+復興特別所得税)
5年以下(短期譲渡所得) 39.63%
5年超(長期譲渡所得) 20.315%

取得費加算の特例が使えるかどうかの確認

もし、お母様の相続の際に相続税を支払っており、お母様の相続から3年10ヶ月以内に売却したのであれば相続財産を譲渡した場合の取得費の特例が使えるかもしれません。しかし、今回売却するのは「お父様から相続した不動産」であり、お母様から相続した財産ではありません。そのため、お母様の相続税を取得費に加算することはできず、この特例も対象外となります。※お父様の相続税を支払っていて、お父様の相続から3年10ヶ月以内であれば適用可能な場合があります。

具体的な税金の計算シミュレーション

例えば、譲渡所得が1,000万円で、お父様が購入してから5年を超えている場合、税率は20.315%となります。計算すると「1,000万円 × 20.315% = 203万1,500円」の税金がかかることになります。3000万円控除が使えれば0円だった税金が、約200万円にもなってしまうため、事前の対策がいかに重要かがわかりますね。

生前に対策しておくべきだったポイント

結果論になってしまいますが、お父様が亡くなられた一次相続の際に、少し工夫をしておけば税金を抑えることができました。今後の参考にしてみてください。

一次相続でお母様名義にしておく選択肢

お父様の相続の際に、実家の名義をいったんお母様にしておけばどうだったでしょうか。お母様名義の家にお母様が住み続け、お母様が亡くなられた後に子供が相続して売却すれば、先ほどご説明した被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例の要件を満たすことができ、3,000万円控除を使って税金を大幅に減らせた可能性が高いのです。

一次相続での名義人 母の死後の空き家特例の適用
子供名義で相続した場合 適用不可(3000万円控除は使えない)
母親名義で相続した場合 適用可能(要件を満たせば控除が使える)

遺産分割協議の重要性とやり直しリスク

「とりあえず子供名義にしておこう」と安易に遺産分割をしてしまうと、後から税金面で損をすることに気づくケースが多いです。しかし、一度成立した遺産分割協議をやり直すと、贈与税や新たな不動産取得税がかかってしまうため現実的ではありません。最初の遺産分割の段階で、将来の売却まで見据えて話し合うことがとても大切です。

二次相続を見据えたトータルでの対策

お父様の相続(一次相続)だけでなく、将来のお母様の相続(二次相続)までを含めたトータルでの税金対策が必要です。名義を誰にするかによって、使える特例が全く変わってしまいます。ご家庭の状況に合わせて、不動産を売却する予定があるのか、誰かが住み続けるのかを家族全員で共有しておくことをおすすめします。

実際に実家を売却する前に確認すべきこと

特例が使えないとしても、実家を維持し続けるにはコストがかかります。売却に向けて具体的に動き出す前に確認しておきたいポイントをお伝えします。

相続登記(名義変更)が完了しているか

不動産を売却するためには、お父様から子供への相続登記(名義変更)が必ず完了していなければなりません。2024年4月からは相続登記が義務化されており、期限内に手続きをしないと罰則の対象になる可能性もあります。まだ名義変更がお済みでない場合は、早急に法務局で手続きを進めましょう。

境界確定や測量などの事前準備

一戸建ての土地を売却する場合、隣の土地との境界がはっきりしているかどうかが重要です。境界が不明確なままだと、売却後にトラブルになる恐れがあります。必要に応じて、土地家屋調査士に依頼して測量を行い、境界確定の手続きをしておくことで、買い手も安心して購入でき、スムーズな売却につながります。

売却のタイミングと維持費のバランス

空き家になった実家を放置していると、毎年固定資産税や都市計画税がかかるだけでなく、建物の老朽化が進んで価値が下がってしまいます。税金が高くなるからと売却をためらっていると、結果的に維持費だけで何百万円も損をしてしまうこともあります。手元に残る金額を計算し、早めに売却のタイミングを決断することが大切です。

まとめ

お父様から子供名義で相続した実家に住んでいたお母様が亡くなられ、その後売却する場合、残念ながら空き家特例などの3000万円控除は原則として使うことができません。そのため、売却して出た利益に対しては約20%の譲渡所得税などがかかってしまいます。税金の負担は大きくなりますが、空き家をそのままにしておく維持費やリスクを考慮し、早めに売却などの対応を進めることをおすすめします。

参考文献

国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例

母の相続後の実家売却に関するよくある質問まとめ

Q.父から子が相続した実家で、母の死後に空き家特例の3000万円控除は使えますか?

A.使えません。空き家特例は「亡くなった方(被相続人)が所有して住んでいた家」を相続した場合に適用されます。今回は子供名義の家に母が住んでいた状態であり、母の所有物ではないため特例の対象外となります。

Q.もし一次相続で母が実家を相続していたら、3000万円控除は使えましたか?

A.はい、使えた可能性が高いです。母名義の家に母が住み続け、母が亡くなった後に子供が相続して売却すれば、一定の要件を満たすことで空き家特例の3000万円控除を適用することができます。

Q.実家の購入代金(取得費)が分からない場合、税金はどうやって計算しますか?

A.購入代金が分からない場合は、売却金額の5%を「概算取得費」として計算します。取得費が低く見積もられるため、計算上の利益が大きくなり、結果的に税金が高額になる可能性があるので注意が必要です。

Q.子供が母と実家で同居していた場合、3000万円控除は使えますか?

A.子供が実家の名義人で、かつ実際に同居して生活の拠点としていた場合は、「自分が住んでいるマイホームを売った」とみなされ、居住用財産の3000万円特別控除を使える可能性があります。

Q.実家を売却した際の税金は、いつ払うのですか?

A.不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、所得税を納付します。住民税については、確定申告をした年の6月頃に納付書が届き、それから支払うことになります。

Q.取得費加算の特例とはどのような制度ですか?

A.相続税を支払って取得した財産を、相続開始から3年10ヶ月以内に売却した場合、支払った相続税の一部を取得費に上乗せして譲渡所得税を減らせる制度です。ただし、今回のケースで母の相続税を支払っても、売却するのは父から相続した財産であるため適用できません。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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