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源泉徴収票のサイズはなぜA6?法律で決まった理由と仕組みを解説

2025-03-20
目次

年末調整の時期になると、会社から渡される「給与所得の源泉徴収票」。多くの場合、A4用紙を4つに切ったような、少し小さめの紙で受け取ることが多いですよね。「どうしてこのサイズなんだろう?」と、一度は疑問に思ったことがあるかもしれません。実は、この源泉徴収票のサイズには、法律に基づいたはっきりとした理由があるんです。この記事では、源泉徴収票のサイズに隠された秘密と、その書類が持つ大切な役割について、わかりやすく解説していきます。

源泉徴収票がA6サイズである明確な理由

結論からお伝えすると、源泉徴収票がいつも見慣れたあのサイズなのは、法律で様式と大きさが決められているからです。決して、会社が経費削減のために紙を小さく切っているわけではないんですね。もう少し詳しく見ていきましょう。

法律で定められた公式の様式

源泉徴収票の様式は、「所得税法施行規則」という法律のルールの中で、別表第六(一)という箇所に細かく定められています。そして、その様式の大きさについて「日本産業規格A列6番」、つまり「A6サイズ」にすることが明確に規定されているのです。A6サイズは、105mm × 148mmで、一般的なコピー用紙であるA4サイズをちょうど4分割した大きさにあたります。

なぜA6サイズが採用されたのか?

では、なぜ法律でA6サイズが指定されたのでしょうか。はっきりとした理由は明記されていませんが、いくつかの理由が考えられます。一つは、かつて手書きで書類を作成していた時代に、大量の書類を効率よく作成・保管・管理するためには、このコンパクトなサイズが適していたという歴史的な経緯があるのかもしれません。また、一人の従業員の所得情報をまとめるのに、過不足のない適切なサイズだったという実用的な側面もあるでしょう。

源泉徴収票とそっくりな「給与支払報告書」

実は、私たちが受け取る源泉徴収票には、そっくりな兄弟のような書類が存在します。それが「給与支払報告書」です。この書類も、地方税法施行規則というルールによって、源泉徴収票とほぼ同じ様式、そして同じA6サイズと定められています。これら2つの書類は密接な関係にあり、私たちの税金の計算に重要な役割を果たしているのです。

源泉徴収票と給与支払報告書は何が違うの?

会社は、年末調整が終わると、従業員一人ひとりについて書類を作成します。この書類は、渡される私たちだけでなく、税金を計算する行政機関にも提出されています。どこに、どの書類が提出されているのかを知ると、仕組みがよくわかりますよ。

誰に、どの書類を提出している?

会社が作成する書類は、基本的に以下の3つの宛先に提出されます。内容はほとんど同じですが、提出先によって書類の名称が変わります。

提出先 書類の名称
従業員本人 給与所得の源泉徴収票
税務署 給与所得の源泉徴収票
市区町村 給与支払報告書(個人別明細書)

このように、同じ情報が国の機関(税務署)と地方の機関(市区町村)の両方に共有されることで、所得税と住民税が正しく計算される仕組みになっているんですね。ちなみに、以前は市区町村へ2枚提出する必要がありましたが、令和5年提出分からは1枚に変更されています。

税務署への提出は全員分ではない

会社は、すべての従業員の源泉徴収票を税務署に提出しているわけではありません。税務署へ提出する義務があるのは、年間の給与支払額が一定の金額を超える場合など、所得税法で定められた範囲に限られています。具体的には、以下のケースが該当します。

対象者 年間の給与支払額
法人の役員 150万円を超える
弁護士、税理士などへの報酬 250万円を超える
上記以外の一般の従業員 500万円を超える
年末調整をしなかった従業員 50万円を超える(乙欄適用者など)

市区町村へは原則全員分を提出

税務署とは対照的に、市区町村へ提出する「給与支払報告書」は、原則として給与を支払ったすべての従業員(年の途中で退職した人も含む)の分を提出する必要があります。たとえ給与の支払額が少なくても提出しなければなりません。なぜなら、この給与支払報告書が、翌年度の住民税を計算するための最も重要な基礎資料になるからです。私たちが確定申告をしなくても住民税の通知が届くのは、会社がこの書類を市区町村に提出してくれているおかげなのです。

A6サイズに凝縮された重要な情報

あの小さなA6サイズの紙には、私たちの1年間の収入と税金の情報がぎゅっと詰まっています。特に重要な4つの項目を見てみましょう。

支払金額

いわゆる「年収」にあたる部分です。1月1日から12月31日までの1年間に、会社から支払われた給与や賞与などの合計額が記載されています。税金や社会保険料が引かれる前の、総支給額となります。

給与所得控除後の金額

「支払金額」から「給与所得控除額」を差し引いた金額です。給与所得控除は、会社員にとっての必要経費のようなもので、収入額に応じて自動的に計算されます。この金額が、税金を計算する上でのスタートラインになります。

所得控除の額の合計額

社会保険料控除や生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除など、個人の状況に応じて適用されるさまざまな所得控除の合計額です。この金額が大きいほど、税金の負担は軽くなります。

源泉徴収税額

最終的に確定した、1年間の所得税の金額です。毎月の給与から天引きされていた所得税の合計額と、年末調整で計算された本来の税額との差額が調整(還付または追加徴収)された後の、最終的な納税額がここに記載されます。

ペーパーレス化の波と源泉徴収票の未来

これまで紙で受け取ることが当たり前だった源泉徴収票ですが、近年はペーパーレス化、つまり電子化が急速に進んでいます。紙のサイズを気にすることも、だんだんと少なくなっていくかもしれません。

電子交付(PDFなど)が当たり前に

実は2007年(平成19年)から、従業員の同意があれば、源泉徴収票を紙ではなく電子データで交付することが認められています。メールにPDFファイルを添付したり、社内システムからダウンロードしたりする方法が一般的です。電子交付には、以下のようなメリットがあります。

  • 紙の書類を保管する必要がない
  • 紛失のリスクがない
  • いつでもデータを確認できる
  • 印刷や郵送のコストを削減できる

e-Taxでの確定申告がもっと便利に

電子化のメリットは、確定申告の際にも発揮されます。マイナポータルと連携したり、会社からXML形式のデータで源泉徴収票を受け取ったりすることで、e-Tax(国税電子申告・納税システム)での申告時に、源泉徴収票の内容が自動で入力されるようになりました。これにより、面倒な手入力の手間や入力ミスがなくなり、確定申告が格段に楽になります。こうした流れが加速すれば、「源泉徴収票の紙のサイズ」という話題自体が、過去のものになる日も近いかもしれませんね。

まとめ

今回は、「源泉徴収票はなぜ、あの紙のサイズなの?」という素朴な疑問について深掘りしてみました。最後にポイントをまとめておきましょう。

  • 源泉徴収票のサイズがA6なのは、「所得税法施行規則」という法律で定められているから。
  • 源泉徴収票とほぼ同じ内容の「給与支払報告書」が市区町村に提出され、住民税の計算に使われている。
  • 税務署への提出は年収500万円超など条件があるが、市区町村へは原則全員分を提出する義務がある。
  • 近年は電子交付が進んでおり、確定申告も非常に便利になっている。

小さな紙切れに見える源泉徴収票ですが、実は法律に基づいて作られ、私たちの税金の計算に欠かせない、とても重要な書類です。電子データで受け取る機会も増えてきましたが、そこに記載されている内容の大切さは変わりません。ぜひ一度、ご自身の源泉徴収票をじっくりと眺めてみてくださいね。

参考文献

国税庁:B2-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)

源泉徴収票のよくある質問まとめ

Q.源泉徴収票のサイズは法律で決まっているのですか?

A.はい、「所得税法施行規則」という法律のルールによって「日本産業規格A列6番」、つまりA6サイズと定められています。

Q.源泉徴収票と給与支払報告書は何が違うのですか?

A.提出先が異なります。源泉徴収票は税務署と従業員本人へ、給与支払報告書は市区町村へ提出され、住民税を計算する基の資料になります。記載されている内容はほぼ同じです。

Q.会社は全員分の源泉徴収票を税務署に提出するのですか?

A.いいえ、全員分ではありません。法人の役員で年間の給与支払額が150万円を超える場合や、一般の従業員で500万円を超える場合など、法律で定められた基準に該当する場合のみ税務署への提出義務があります。

Q.退職したのですが、源泉徴収票はもらえますか?

A.はい、会社(給与の支払者)は、退職した人に対して、退職後1か月以内に源泉徴収票を交付する義務があります。転職先の年末調整やご自身の確定申告で必要になりますので、必ず受け取ってください。

Q.源泉徴収票は紙ではなくデータで受け取ることはできますか?

A.はい、従業員本人の同意があれば、会社はPDFなどの電子データで交付することが法律で認められています。これを電子交付といいます。

Q.源泉徴収票をなくしてしまったらどうすればいいですか?

A.勤務先に依頼すれば再発行してもらえます。源泉徴収票の発行は会社の義務ですので、経理や人事の担当部署に遠慮なく相談してください。

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税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。